【扱いが最下層】 月:さぁて、そろそろ本気を出そうかと思う。 黄:ダメ人間の常套句なんだよぉ。 月:いや、真面目に、今度は本当だから。 黄:まあ、期待しなければ落胆も無い訳で、 勝手に始動でも何でもすれば良いかと思われるんだよぉ。 【基本は見て見ぬ振り】 月:――飽きた。 黄:いつものこととはいえ、酷いものなんだよぉ。 月:こんな連綿と続く事務作業は、本来、助手がやるべき。 黄:無能な学生と、その程度の助手しか集まらない現実は、 あくまで教授自身にあると、いい加減、気付いて然るべきなんだよぉ。 【世は常にこんなもの】 月:テレポーターとしての能力を覚醒させたい。 黄:何でここで、願望を述べてるんだよぉ。 月:どの機関に如何ほどの金を積めば成せるのか、 調べざるを得ない。 黄:そんなお金があるなら、助手に回して欲しいだなんて、 言ったところできっと無駄な辺りが虚しいんだよぉ。 【脳構造的に無理】 月:特務機関に、『週に一回、お母さんの作る料理が何かを当てる能力』 を開花させて貰った。 黄:胡散臭さの極みなんだよぉ。 月:母無し子の私は、一体、どうすれば良いのか。 黄:いい加減、騙された事実を受け入れやがれ、なんだよぉ。 【余り晒してないけど】 月:ヤバい。銀行に行く用事を、すっかり忘れていた。 黄:もう、四時過ぎなんだよぉ。 月:今から全力で飛ばせば、何とか間に合う――。 黄:銀行窓口は三時に閉まるという常識もない社会人は、 世間様に晒すべきではないと思う訳なんだよぉ。 【大学背負ってるのに】 月:ナヌ? 五時ではないと言うのか。 黄:それは、役所窓口なんだよぉ。 月:おのれ、怠慢な。 黄:私立とはいえ、準公人である教授がサボってる現実は良いのかと、 チクチク言わせて貰うんだよぉ。 【忠誠心など無いよ】 黄:更に言うなら、二時を過ぎると、翌日処理の場合もあるから、 時間ギリギリに飛び込んでも大差無い可能性さえあるんだよぉ。 月:うむ分かった。黄龍に、明日朝一で行って貰うことにした。 黄:ここのところ、どうにも尻拭いの仕事が多いような、 そんな感覚を覚えてしょうがないんだよぉ。 【労災要求したい】 黄:何事かと思えば、ゲーム代金の振込みだったんだよぉ。 月:昨日の内に入金しないと、発売日に届かないリスクがあった。 黄:代引きなり店舗予約なり、方法は幾らでもあるんだよぉ。 月:特典を忘れるとは、まだまだアマチュアの人が居る。 黄:ここのところ、血圧が無駄に上がってしょうがないんだよぉ。 【末期的状態】 月:トリビュ〜ト。 黄:今日も、アホな発言をする御仕事が好調の様なんだよぉ。 月:ところで、トリビュートって何? 黄:分からないなら、口をつぐんで欲しい。 今、心の底からそう思ったんだよぉ。 【一度殴るべき】 月:トリビュート。感謝に対する賛辞や、配当のこと。 黄:少しは、助手に感謝しやがれなんだよぉ。 月:うむ、いつも済まぬのぉ。 黄:素直な物言いのはずなのに、捻くれた返しにするとは、 何処までも困った人なんだよぉ。 【損得勘定最強論】 月:アバンチュ〜ル。 黄:この職場の何処に、冒険的な恋があるんだよぉ。 月:ちなみに、フランス語であることは地味に知られていない。 黄:この豆知識を得ることによって、一体、 何の益があるのか、さっぱり分からなくて困るんだよぉ。 【本格的にもうダメだ】 月:よし、研究室内恋愛を解禁しよう。 黄:むしろ今まで禁止だったことに驚きなんだよぉ。 月:私は、男女どちらでも大丈夫だから、どうぞ宜しく。 黄:この情報も、一体、誰が得をするのか、 さっぱり分からないものなんだよぉ。 【サラリーマンは大変だ】 月:人間関係は、全てツンデレで説明出来るという学説を発表したい。 黄:意味が分からないんだよぉ。 月:前日、怒り心頭だった上司が、翌日は微妙ににこやかだったり。 黄:それは、今後の人間関係に気を遣っているだけで、 怒り自体が帳消しになった訳ではないと真面目に答えさせて貰うんだよぉ。 【聞くも涙な物語】 月:なんと。 黄:何が、なんと、なんだよぉ。 月:すると黄龍が、微妙に優しい時があるのも――。 黄:そっちは、只単に、欠片もやる気が無いだけだと、 真実を暴露させて頂くんだよぉ。 【慇懃無礼の極み】 月:人間関係は、全てヤンデレで説明出来るという発見をした。 黄:今日も、早々に帰りたいんだよぉ。 月:まあつまり、人間、必要以上に近付きすぎると疲れるから程々にやれと言うこと。 黄:かなり適当に付き合ってるつもりなのに、 神経疲労が半端無い貴女様は、本格的に凄いと思うんだよぉ。 【自衛隊に連絡だ】 月:褒めてくれてありがとう。 黄:嫌味が通じないんだよぉ。 月:私の精神フィールドを破りたかったら、 対戦車砲の一つや二つくらい用意して貰おうか。 黄:本当に用意したら、それはそれで文句を言うくせに、 良くぞ言ったもの、なんだよぉ。 【進歩が絶無】 月:嗚呼……カードゲームが楽しい。 黄:これは酷い廃人なんだよぉ。 月:一昔前は対戦相手が居なくて街を徘徊したものだけど、 ネット対戦が普及して便利になったもの。 黄:何にしても、ダメ教授の中のダメ教授から脱却する気は無いようで、 それはそれは本当に結構なことなんだよぉ。 【最優先リストラ対象】 黄:何でこんな研究室に居るのか、自問自答が止まらないんだよぉ。 月:就職の内定が出ずに、 『安月給で良いから置いてくれ』と言ったテープは保管中。 黄:今にして思えば、ちょっと危険そうな企業でも、 ここに比べれば幾ばくかマシだった気がしてならないんだよぉ。 【何の話だっけか】 月:何も生み出さず、誰にも奉仕せず、それでも御飯が食べられるこの不思議。 黄:株屋みたいなことを言うんじゃないんだよぉ。 月:カブは浅漬けにして、薄くスライスしたものが一番の美味。 黄:もしや話をとっちらかす技術に関して、 この教授に敵う人は少ないのではなかろうか、なんだよぉ。 【良い歳した大人なのに】 黄:それで、カードゲームはどうしたんだよぉ。 月:ロックに特化した嵌めデッキを使っていたら、 ハブられて出入り禁止を食らった。 黄:情けない末路なんだよぉ。 月:まあ、あんな子供じみた遊び、所詮、高貴な私には合わないということ。 黄:高いところの葡萄は酸っぱいと言いたいけれど、 うっすら浮かんだ涙に、口を噤んでしまう辺りが甘いんだよぉ。 【もうやだこの教授】 月:ふぅ。梅雨の晴れ間の洗濯は、心も洗われるよう。 黄:何で就業時間中に、全自動洗濯機を稼動させてるんだよぉ。 月:これは奇怪な。日が傾いてからでは、乾きに違いが出るではないか。 黄:話の論点はそこではない。 言っても無駄だろうから、一人ごちて完結することにしたんだよぉ。 【遺伝子がざわめく】 月:しかし、洗濯物が乾くのは良いのだけれど、何かが釈然としない。 黄:どうしたんだよぉ。 月:きっと、昔から何故だか太陽を嫌いなのが関係しているんだと思う。 黄:ある意味に於いて、この地球で一番の権力者にケンカを売るとは、 根性が座ってるのか、線が足りないのかなんだよぉ。 【真面目な議論に】 月:ベストなのは、夜干しで綺麗に乾くこと。 黄:空気が乾燥していれば或いは、なんだよぉ。 月:ふむ。つまり砂漠で洗濯すれば全て解決。 黄:唯、あちらは氷点下もザラらしいから、 本当に効果があるかは怪しいものなんだよぉ。 【悪運だけで生きてます】 月:そう言えば、幼少の頃、何故か洗濯物を湯気に当てれば、 速く乾くのではと考えたことがある。 黄:アホが居るんだよぉ。 月:今にして思うと、理系が決定的に向いてないのはあの頃からだったか。 黄:何だか、消去法で今の職に就いたかのような、 そんなニュアンスを感じてしょうがないんだよぉ。
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