【未だに横行】 月:はぁ……今日も研究。明日も研究。 黄:それが、正しい探求者というものなんだよぉ。 月:教授になれば、部下の論文を巻き上げて楽が出来ると聞いたのに、騙された。 黄:リアルな実情を暴露されても、それはそれでこっちが困るんだよぉ。 【パッケージ大好き】 月:とは言え、教授という肩書きは、幅が利いて良い。 黄:今時、客員まで含めればゴロゴロしてるんだよぉ。 月:飲み屋で、『教授をさせて頂いております』と言えるあの優越感は最高。 黄:発想が、殆どダメダメなオッサンのそれなんだよぉ。 【人徳なんて知らない】 月:教授の基本的な仕事は、優秀な学生の囲い込み。 黄:だから、リアル過ぎるんだよぉ。 月:特に、親元を離れての学生は、恥部を探し出すのが楽で良い。 黄:脅迫を前提としている時点で、本物の人材は確保出来ないんだよぉ。 【不遜か謙虚か】 月:所詮、二十歳そこそこの若造、小娘に、論文の良し悪しが分かる訳無い。 黄:極稀には、居ると思われるんだよぉ。 月:どっちにしろ、そんな本物がうちを選択する訳が無い。 黄:自分を理解しているというのも、こういう場合は厄介この上無いんだよぉ。 【もしや茶人か】 月:一仕事終えた後の、ティータイムは格別。 黄:午前だけで、既に七度目なんだよぉ。 月:訂正。ティータイムを終えた後の、ティータイムは格別。 黄:最早、何が本職なのか、さっぱり分からない状況なんだよぉ。 【むしろ自分の話】 月:茶人は、朝から晩まで茶を飲んで、お腹がタプタプにならないのか不思議。 黄:本質を勘違いしているんだよぉ。 月:ついでに、カフェインの取り過ぎで寝付けるのかが謎。 黄:教授にそんな心配をされる程、茶人も堕ちちゃいないと思われるんだよぉ。 【内実暴露】 月:まあまあ。どうぞお茶でも飲んでいきなさい。 朱:ふに〜。御馳走になります〜。 黄:昨今は、学生の質も落ちたものなんだよぉ。 朱:自分でも〜、良く合格出来たものだと思います〜。 月:一部大学は、入学の可否を、ちゃんと必要経費を積めるかで決めるのは常識。 黄:余りの生々しさに、とりあえず目を背けておくんだよぉ。 【あんた助手だろ】 月:私達のお給金は、そこから支払われている、この現実。 黄:自分の研究で、スポンサーをつけようとは思わないかと問うんだよぉ。 月:コクゾウムシの写真を集めただけで金を巻き上げられる程、世の中甘くない。 黄:時たま、本当に何の研究をしているかを理解出来なくなるんだよぉ。 【それでも突き進む】 月:教授会というのは、面倒なもの。 黄:それは、後ろめたいことがあるからなんだよぉ。 月:やっぱり、ブーブークッションを仕込んだのが問題だった。 黄:自覚しているなら、自重すべきことかと思われるんだよぉ。 【残念な結論】 月:いや〜。小難しい顔をした爺さん達の、あの、驚いた顔。 黄:とばっちりが怖いんだよぉ。 月:証拠は完全無欠なまでに消しきってるから、問題無し。 黄:むしろ、状況証拠と消去法だけで、確実に一人しか残らないんだよぉ。 【ある種の行動学】 月:黒板消し落としは、成功した試しが無い。 黄:あれは案外、バレバレなんだよぉ。 月:今度は、扉と紐を連動させて、きっちり当たる様、計算しようと思う。 黄:その労力を、学業に使えば少しはまともな結果を残せるんだよぉ。 【不思議な話】 月:その論文なら、書いたことがあるけど一切、評価されなかった。 黄:それもまた、人生なんだよぉ。 月:だけど、同じ内容の新書本は、そこそこ売れた。 黄:どちらかと言うと、頭の中は一般人寄りの模様なんだよぉ。 【しかも電波メドレー】 月:教授室だと、凄い音量でクラシックを聞いても怒られないから素敵。 黄:それは、単に諦められてるだけなんだよぉ。 月:この間、アニソンを全開で流してみた時も、何も言われなかった。 黄:そっちは、完全に呆れられただけかと思われるんだよぉ。 【どっちが本業だ】 月:次の論文は、『アニソンの変遷に見られるサブカル史』で攻めてみようと思う。 黄:ピンポイント過ぎて、またも空気扱いなんだよぉ。 月:だけど、大学教授がそんな本を書けば、またも小金がたんまり。 黄:肩書きの使い方が、余りに志の低い話で、何も言うことが無いんだよぉ。 【ある種のフィッシング詐欺】 月:ネットを閲覧すれば、私はそこそこ有名人で嬉しい限り。 黄:もう少し、真っ当な方法で名を売って欲しいものなんだよぉ。 月:『ちぃっ、月読教授の本、また表紙で騙されたぜ』 『表紙で騙されるって、お前は中学生かww』 『騙されるぜ、こんな萌え萌えテカテカな本なら……』 黄:とりあえず、褒められてないことだけは、そこはかとなく理解したんだよぉ。 【故意的天然】 月:売り上げ上位に食い込む為、あらゆる販売戦略を駆使するのは基本。 黄:そういうことをするから、視線が厳しくなるんだよぉ。 月:所詮、経済動向の何たるかも分からぬ駄馬どもに、どう思われようと気にしない。 黄:そう言葉にしている時点で、思いっきり気にしているのは自明というものなんだよぉ。 【計略を疑え】 黄:普通、教授職には、研究成果が認められて就けるものなんだよぉ。 月:世間一般は、そうらしい。 黄:物凄い他人事なんだよぉ。 月:私の場合、単に、上の教授が不祥事で辞めた後釜に過ぎないから。 黄:今、余りに酷いぶっちゃけを耳にしてしまったんだよぉ。 【勝者の余裕】 月:同年代の、准教授や講師辺りにくすぶってる連中からの嫉妬オーラが辛い。 黄:とても嬉しそうに見えるんだよぉ。 月:まあ、肩書きなんて、あればあったで色々とうざったいもの。 黄:完全なる上から目線に、唯、呆れることしか出来ないんだよぉ。 【かなりのレア物】 月:教授は、一度、納まりさえすれば終身雇用が約束される不思議ジョブ。 黄:無理に英訳しなくて良いんだよぉ。 月:その特殊能力は、単位をちらつかせ、学生を恐怖に陥れること。 黄:英訳では無く、ゲーム用語変換だったとは、まだまだ修行が足りないんだよぉ。 【特異的性質に由来】 月:冗談はさておき。 黄:かなり、本気に聞こえたんだよぉ。 月:必修科目でも無いのに、私の講義が人で溢れかえるのは知っての通り。 黄:若干、濃い連中しか集まらないのは、きっと気のせいじゃないんだよぉ。 【そもそも食事なのか】 月:昼御飯はやっぱり、ドライフルーツ。 黄:口の中が甘いわ、カラカラだわでとんでもない状況なんだよぉ。 月:奢ってあげたんだから、文句を言うものじゃない。 黄:実態がこうであると知っていれば、確実に断っていた自信があるんだよぉ。 【本当に今更】 月:ビタミン、ミネラルに加えて、食物繊維も豊富なこの食材に何の不満が。 黄:デザートなら、許容もするんだよぉ。 月:噛めば噛むほど味も出て、顎が鍛えられて小顔化計画。 黄:今更ながら、この教授、人の話を一切、聞いていないんだよぉ。 【何というパワハラ】 月:先日の昼食を、少し反省した。 黄:少しの辺りが、感心せざるを得ないんだよぉ。 月:今日は、生のフルーツで御飯を食べる手段を模索しようと思う。 黄:お願いだから、人を巻き込まず、一人でひっそり実験して欲しいものなんだよぉ。 【とても迷惑なので】 月:ザクロの酸味と、御飯の甘味は微妙に合わない。 黄:そもそも、甘いに甘いは基本的に無理なんだよぉ。 月:嗚呼……味噌汁、納豆、浅漬けが恋しい。 黄:途中で弱音を吐くくらいなら、こんな挑戦は最初からしないで欲しいものなんだよぉ。
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