【戯言特売日】 朱:夏の暑い盛りは〜、洗濯物が乾いて良いですね〜。 黄:実に、良い弟と妹を持ったんだよぉ。 青:自分の下着くらい、自分で干そうとは思わないのですか、お姉様。 黄:その妄言を聞き流す度量を持ってこそ、長子の貫禄を持つと言える訳なんだよぉ。 【チクリと一刺し】 青:全く。とても思春期の女性とは思えない思考回路ですね。 黄:色々と、大人の事情があるんだよぉ。 朱:ふに〜? 黄:例えば、この家に三人しか居ない理由とか、触れ始めるとキリが無いんだよぉ。 青:話題を逸らしたところで、最初の問題の解決にはなっていませんけどね。 【孤高のギャンブラー】 黄:晩御飯の係を決めるんだよぉ。 青:どうして、順番ではなく、クジなのですか? 黄:一切やらない可能性が僅かにでもあれば、それだけで何となく希望を感じるんだよぉ。 青:何とも、堕落しきったお答えで、何も言うことはありません。 【何というダメ人間】 黄:……週五回も外れを引いたんだよぉ。 青:得てして、そういうものです。 朱:お、お姉様。私が手伝って――。 青:甘やかすのは、プライドが傷付きますよ。 黄:そんなもの、切り刻んでドブに捨てて良いから、温情を頂きたい訳なんだよぉ。 【ペットボトルを使え】 朱:夏らしく〜、メバルを焼こうと思います〜。 黄:そこまでメジャーな魚では無い気がするんだよぉ。 朱:七輪で焼いていると〜、何だか風情がありますよね〜。 黄:若干の、落とし穴を忘れてる気がするんだよぉ。 白:物凄く良い匂いがしたから、寄ってみたんだけど。 黄:お魚咥えたドラ猫を、どう処理すべきかを悩んでみるんだよぉ。 【何だこの教訓】 朱:素直に〜、お裾分けしたら良いじゃないですか〜。 黄:尻尾一つでも与えたら、図に乗るのが生態なんだよぉ。 白:何だか野良猫扱いされてない? 黄:泥棒猫は、少しはオドオドして可愛げというものがあるんだよぉ。 朱:人間の方が、タチが悪いというお話でした〜。 【蝮に類似】 朱:夏はやっぱり〜、ウナギですよね〜。 黄:昨今は、随分と希少価値が上がったものなんだよぉ。 青:良く、長くてニョロニョロしたものを食せますね。 黄:どういう意味なんだよぉ。 青:いえ、一応、触れておいただけです。 【何だこの哲学】 朱:そういえば〜、寄生虫にも長くてニョロニョロしたのが居ますよね〜。 黄:食事中の話題じゃないんだよぉ。 青:所詮、我々人間も、自然に寄生した生き物であるということなんですよ。 黄:そして、そう深い話題に持っていかれても、リアクションが取りづらい訳なんだよぉ。 【軽く灼熱】 朱:今日は〜、登校日ですね〜。 黄:鈍りきった肉体には、実に酷なんだよぉ。 青:何でしたら、おぶっていって差し上げましょうか。 黄:この暑いのに、そんな体感温度の上がる真似なんかしたくも無い訳なんだよぉ。 【専門職の余裕】 朱:絵的には〜、ほのぼのはしますよね〜。 黄:いい歳の姉弟がそんなことしてたら、只の馬鹿なんだよぉ。 青:馬鹿姉であることは周知の事実ですから、株が下がるのは私だけですけどね。 黄:それにしてもこの弟は、本格的に嫌味が巧いんだよぉ。 【致命的敗因】 白:う〜。暑い〜。 朱:びゃ、白虎さん〜。何で長袖を着てるんですか〜? 白:ふっふっふ。登校日のことを忘れてて、うっかりクリーニングに出しちゃった訳よ。 朱:あ、余りの汗だくっぷりに、アイスキャンディーを思い出す程です〜。 【ベクトルに差が】 月:夏の暑い時にこそ、熱い物で英気を養うべき。 朱:だ、だからって、学校で緑茶を淹れなくても良いじゃないですか〜。 月:あひゃ、あひゃひゃ、あひゃひゃひゃひゃー。 朱:つ、月読さんが壊れました〜。 白:考え様に依っては、いつも通りとも言えるけどね。 【捻りも無し】 朱:夏も終わりに近付くと〜、切ないですね〜。 黄:セミの屍骸の片付けが、大変なんだよぉ。 青:実に現実的なお答えで。 月:ここで一言、『ふっふ、この虫ケラ共め』と言えば優越感に浸れる。 黄:余りのそのままっぷりに、返す言葉が一欠片として無いんだよぉ。 【怠惰への贖罪】 月:そう言えば、結局、宿題はやってない。 朱:わ、私は〜、やってるんですけど終わりません〜。 黄:どっちも、これからが大変なんだよぉ。 青:そういう姉さんは、やっているのですか。 黄:こういう時、双子であることは実に便利だと思う訳なんだよぉ。 青:生憎、見せるつもりはありませんからね。 【時間差にも程が】 黄:仕方無いから、勉強会を開催するんだよぉ。 月:最終日まで粘るのが楽しいのに。 朱:終わらせて〜、すっきりしましょう〜。 白:うんうん。とりあえず朱雀、数学見せて。 月:私も、私も。 朱:わ、私のは〜、参考にならないと思います〜。 黄:学年の違うのが一人混じるのは、 勉強会としての意義が少ないことに、今、気付いたんだよぉ。 【体の良い一人占め】 黄:やる気の無いのが二人に、のんびり屋が一人。 これはもしや、子守を押し付けられたのでは無いかと思うんだよぉ。 朱:ふに〜、ふに〜……スイカが美味しいです〜……。 白:うにゃにゃー……。 月:くかーくかー。 黄:良い夢を見てる子達を起こすのも忍びないから、 ここらでこっそり、本物のスイカを食べてやるんだよぉ。 【潜入捜査員風味】 朱:余りに暑いので〜、海に行きましょう〜。 黄:中々、良い提案なんだよぉ。 朱:ですけど〜、一つ致命的な問題が〜。 黄:なんだと言うんだよぉ。 朱:外に出るだけで燃え尽きそうで〜、二の足を踏んでしまいます〜。 黄:そういう時は、コンビニを中継点にして、体力を温存しつつ行けば良い訳なんだよぉ。 【店員視線地獄】 青:店側にとっては、至極、迷惑な話ですね。 黄:それも、商売の内なんだよぉ。 朱:ついでに〜、マンガを読んでほっと一息つければ最高ですよね〜。 黄:早くも、海まで辿り着けるかが、実に不安な展開になってきたんだよぉ。 【超高速撤回】 青:今更ですが、クラゲは大丈夫なんですか? 黄:根性で何とかするんだよぉ。 朱:あんな水の塊だけの生き物なんて〜、怖くなんか無いです〜。 青:聞くところに依ると、彼らは人語を解し、虚仮にされることを一番嫌うそうです。 朱:す、すいません〜。少し、調子に乗った発言がありました〜。 【逃げ様の魔術師】 朱:何とか〜、辿り着けましたね〜。 黄:長い戦いだったんだよぉ。 青:ここで満足感に浸るのも如何かと思いますが。 月:やぁ。皆さん、御機嫌如何。 黄:さて。そろそろ帰り支度を始めるんだよぉ。 青:ですから、今来たばかりですよ。 【掌を透かすなよ】 朱:私は〜、開発したんです〜。 黄:何をなんだよぉ。 朱:胴体に加えて〜、両腕と両脚にも浮き輪をすれば沈まないんです〜。 黄:どれだけ浮力が必要なんだよぉ。 朱:ふに〜。水の上って気持ち良いですね〜。 黄:絵的には、何処と無くアメンボを彷彿とさせると言わざるを得ない訳なんだよぉ。 【推進力は不明】 月:成程。これは面白い。 黄:地味に流行り出したんだよぉ。 月:目指すは、次期五輪正式種目採用。 黄:自由形や平泳ぎの横でこれをやったら、 九割方ドン引きする訳で、何とも言えないんだよぉ。 【良い子じゃ無いもん】 白:ん〜。海の幸が取り放題ってのは良いね〜。 黄:漁業組合に怒られるんだよぉ。 白:大丈夫。海では、指紋なんて相当に頑張らないと残らないからっ! 黄:全力で主張されても、やってることは確実に犯罪なんだよぉ。 【楽々共犯】 月:そこのところは、前向きに考えるべき。 黄:どういうことなんだよぉ。 月:いざとなったら、白虎の単独犯行であるということで完全に解決。 黄:一緒になって、焼きサザエを頬張りつつ言われても、 何の説得力も持ち合わせていないんだよぉ。
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