邂逅輪廻



【税金泥棒と罵倒されるだけの簡単なお仕事】
朱:キリスト教系の地獄って、どういうところなんですかね〜。
月:悪いことして反省せずに死ねばいいんだから、行くの自体は簡単だぞ。
  戻ってこれるかまでは責任持てんが。
朱:ですけど、死後の世界って縄張り争いが激しいんじゃなかったでしたっけ〜。
月:そういえば、そんな感じのこともあったような?
黄:仮にも黄泉の国の管理者のくせにこの適当っぷり、
 普段、如何に仕事をしてないかが、ダダ漏れなんだよぉ。


【無神論者は無へと還るんですかね】
マ:ここんとこ、西洋も他宗教が幅を利かせてきとってなー。
  死んだ地域やなしに、どこの審判を仰ぐか、
 死人自身に選ばせようっちゅう案も出とるねんで。
月:マジで!?
黄:町内会とかに全く出ない、個人商店のオッサンみたいな反応なんだよぉ。
朱:横の繋がりを重視したところで共倒れになる時代ですし、
 これはこれで正解の一つということにしておきましょう〜。


【心の弱い者は数時間で廃人になるという】
マ:ほんでなー。こっちの地獄は、ほんまに過酷やでー。
朱:ぐ、具体的には、何がどうなるんですか〜?
マ:まず、下っ端悪魔どもに取り囲まれるねん。
朱:それだけで恐ろしい話ですね〜。
マ:ほいでもって、延々と一発ギャグをかまさんといかんのや。
  ちなみに、下っ端連中は全くの無反応やで。
朱:つ、辛さは伝わってきましたけど、
 何でそんな罰を受けるに至ったのか、全くもって想像がつきません〜。


【ヒキニートが増えてしまうのも自然の摂理だな】
月:推定だが、生前に自分は面白人間だと吹聴したのではなかろうか。
黄:どうして人は、わざわざハードルを上げて首を締めるのか、なんだよぉ。
マ:虚栄心は高慢に類する、れっきとした大罪やから、しゃーないな。
朱:あまり卑下しすぎても鼻につきますし、どうしたらいいんですかね〜。
黄:何事も程々が一番と言えれば楽でいいんだろうけど、
 そうすると今度は没個性という評価を受けてしまうんだから、世の中は面倒なんだよぉ。


【詐欺師の手口は案外ワンパターン】
月:よく、大した労力も費やさず大儲けすることを錬金術って表現するよな。
朱:株や為替取引なんかで使う方は居ますね〜。
月:あれって考えてみれば錬金術舐めてると思うんだ。
  金を生み出すのに研究を重ね、出資者に下げたくもない頭を下げ、
 成果の出ない日々に悶々としたという事実を、あまりに軽視している。
黄:まあ、そういった錬金術師も結構居ただろうけど、
 口車で資金を集めるだけ集めて消えたのも居たはずだから、
 ある意味、的確な気もするんだよぉ。
 

【まるでフィクサーだった頃があるみたいな物言い】
月:大体、金なんてもんは産出量が限られてるから価値があるのであって、
 個人で錬成できる技術を確立したら、確実に消されると思う訳だ。
黄:タイムマシンは完成してるけど、
 権力者に依って隠蔽されてるみたいな理論を聞いたんだよぉ。
朱:ちょっと前ならいざ知らず、今の世の中では難しいですよね〜。
月:通信網の発達で、私も裏で暗躍しづらい嫌な時代だな!


【プルトニウム辺りだと流石に負けるけど】
黄:錬金術の本来の目的は、存在を完全にすることであって、
 卑金属が貴金属になるのは、一つの結果に過ぎないんだよぉ。
朱:金って、完全な存在なんですか〜?
月:いきなり核心を突きやがるな、こいつ。
黄:現代でも元素単体で見ればかなり高価な部類ではあるんだけど、
 『純金が一番素晴らしいです』と言い出すと、
 人間として不完全な気がするという二律背反を抱えてるんだよぉ。


【月読がそれを発言していいのかは知らない】
月:結局のところ、一番の錬金術は供給量を調整して、
 値段を釣り上げることなんですけどね。
朱:また、月読さんのしたり顔パターンが始まりました〜。
黄:この、戦地から故郷へ帰った時のような安堵感、
 職人技の域と言っても過言では無いんだよぉ。
月:いつものこととはいえ、お前ら、無遠慮にも程があるよな。


【劇薬はリスクがあるから劇薬なのです】
玄:もしも、もしもですよ。
  私が四神を辞めると口にしたら、どういったことになるのでしょうか。
黄:まーた、構って欲しい病の発作を起こした患者が出てきたんだよぉ。
朱:基本的な対処法は軽く流すことですけど、
 荒療治として、徹底的に干渉するっていうのもあるそうですね〜。
黄:一度、とことんまでにやってやりたい気持ちはあるけど、
 一つ間違ったら依存される訳で、やっぱりやめておくんだよぉ。


【とりあえずレアアイテムはかっぱいでおこう】
黄:ちなみに、人事権は無いから推定だけど、粛々と真武が受け継ぐか、
 先代に新型の開発を要求するかの二択だと思うんだよぉ。
朱:先代玄武さんの復帰はない感じですか〜。
黄:アレは、麒麟がどうにも合わないらしいから、なさげなんだよぉ。
朱:黄龍さんが返り咲けば、戻ってくる可能性もあるんですかね〜。
玄:この一欠片として引き止めてもらえない感じに、
 オンラインゲームで引退宣言する危険性を汲みとった次第です。


【やりたいことが無いよりはいいよねという逃げ口上】
亜:たくさん予算くれて、内容に口出ししないっていうんなら、復職してあげてもいいけど。
朱:どこの世界に、そんな申請が通る業界があるんですかね〜。
黄:機密費とか、なくはないけど、相当の特権階級にしか許されてないんだよぉ。
玄:白紙の小切手とか、ロマン溢れる響きですよね。
亜:領収書は要らないよって言いながら札束ドーンは、死ぬまでにやってみたいよねぇ。
黄:こうやって誰もが一生に一度でいいから達成したいリストを溜めるだけ溜めて、
 最終的には全部放り投げて涅槃へと旅立つものなんだよぉ。


【地元出身の生え抜きだから雇われてるみたいな】
玄:分かりました、私、辞めません。
  と言いますか、何があろうともしがみつきます。
朱:昨今は、再就職も大変ですからね〜。
黄:特筆すべき技能を持たない聖獣が守護職を解かれると、
 大体は野良と化すか、怨霊的に悪さをしだすといったデータもあるんだよぉ。
玄:この、どこまで行っても世知辛い感じに、
 どのような反応を示したものかが分かりません。


【困難は己の力で乗り越えてこそ価値がある的に】
青:仕事をしなくても、仕事をした気分になれる方法はありませんかね。
黄:この御仁は、何を言いやがってるんだよぉ。
青:いえ、ここのところ幾ら働いても充足感に欠けるので、参考にしようかと。
黄:何で素直に、仕事の満足感を復活させる方法を聞かないんだよぉ。
青:ハッ!?
黄:本当に、骨の髄から疲れてるんだなぁというのは感じるけど、
 いつも通り、だからといって何かするという訳でもないんだよぉ。


【世界はそういう風に出来ていると言っておけばいいさ】
白:その手の話題なら、私はプロだよ。
黄:一番、口にしてはいけない輩が口にしてないだろうか、なんだよぉ。
青:伺いましょうか。
黄:こっちも、何かが色々とおかしいんだよぉ。
朱:悪を知らぬ者に悪を裁く資格は無いって理屈もありますし、
 青龍さんの懐の深さを感じ入りました〜。
黄:いつもながらの字面だけはまともな解釈だけど、
 壊れたピース同士が偶然合わさっただけの危うさしか感じないんだよぉ。


【要は部下のくせに見たことない】
白:例えばだけど、退社する時に『今日一杯やってく?』って言っておけば、
 それだけでやりきった気分になる人種はいるらしいね。
青:成程。
黄:何が成程、なんだよぉ。
朱:そもそも、青龍さんってお酒飲むんですか〜?
白:大酒飲みを意味するウワバミは大蛇のことだし、
 蛇の親玉みたいな龍族がいける口じゃないなんてありえないんじゃないかな。


【なにせ加減というものを知らない男だから】
黄:飲もうと思えば幾らでも飲めるけど、なきゃないで気にしない感じなんだよぉ。
白:これは、一度徹底的に付き合って貰うべきだね。青龍と黄龍の奢りで。
黄:後輩にキップのいいところを見せないといけない風習は、
 長命種族には損ばっかり溜まっていくんだよぉ。
青:それよりも、飲みニケーションというやつは、むしろストレスが溜まりそうなのですが。
黄:これ程までに発散が苦手な輩も珍しいような、そうでもないような感じだけど、
 部下のちゃらんぽらんさを見習ったら精神崩壊しそうで、軽々に勧められないんだよぉ。


【もはや何を言っているかもよく分かっていない】
天:夏です! 太陽の季節です! 天照として目一杯頑張ります!
朱:朱夏と言うくらいですから、私の季節ですよ〜。
黄:こいつら、少しくらい自重しやがれなんだよぉ。
白:流石に、ちょっと洒落にならない暑さだね。
天:何事も、好敵手と呼べる存在があってこそ研鑽の甲斐があるというものです。
黄:だからといって連日、最高気温記録を更新する勢いで働くのは、
 怠惰の悪魔ベルフェゴールに対して、申し訳ないのではなかろうか、なんだよぉ。


【保護者であることを放棄する気は無い模様】
朱:動物は案外、高温への耐性がありますから、大丈夫ですよ〜。
白:体温七十五度が言うと、説得力があるような、ないような。
黄:今すぐにでも、二百度を超えた特製サウナに放り込んで、
 同じことをほざけるのか試したいんだよぉ。
白:最新の研究では錫の溶融温度までは大丈夫じゃないかって報告があるんだけど。
黄:どこの誰が書いたものかは知らないけど、本当に試行した奴が居るんなら、
 憂さ晴らしがてら、殴りにいってやろうと思うんだよぉ。


【好き好んでそういう生態な訳でもない】
天:地球とは、太陽無くして成り立たない天体です。
  それを考えれば感謝こそすれど、文句を言うのはお門違いではないでしょうか。
黄:じゃあアンタ、生命体には塩化ナトリウムが必要不可欠なんだから、
 絶妙な味付けをされた高級料理に食卓塩ぶっかけても四の五の言わずに食いやがれなんだよぉ。
白:おー、軽くキレてる。
朱:暑さは、心の余裕を奪うんですかね〜。
白:でも黄龍って変温動物だから、寒いと身体の自由を奪う訳で、
 中々に難しい生き方を選んでると思うよ。


【自然との共存とかほざく甘ちゃんに聞かせてやりたい】
黄:暑い季節は、生き物は所詮、自然には勝てないことを思い知らされるんだよぉ。
朱:そういうものですかね〜。
黄:ちなみに、地震、火山、台風、雷、大波、吹雪なんかも、対抗手段が思い付かないんだよぉ。
朱:ま、負けてばっかりじゃないですか〜。
天:生とは即ち、敗北から学ぶということ。中々に、含蓄がありますよね。
黄:その妹そっくりのしたり顔に腹立ちを抑えきれないから、
 エンドレス往復ビンタを食らいたくなかったら、太陽の活動を少し抑えやがれなんだよぉ。


【だけど構わないと拗ねる面倒くささ】
朱:天使さんって、畏敬の念を抱けばいいんですか、
 それとも、親しみを持つべきなんですかね〜?
月:あー、その問題あるあるー。
  こう神として気高くなりすぎると距離を置かれちゃうみたいな。
黄:何だ、この説得力の無さ、なんだよぉ。
朱:そんなに意地や見栄を張って生きなくてもいいんですよって、慰めるべきですかね〜。
月:そういう表面だけの心遣いが一番堪えるからやめて!


【オカルト誌で天使特集とか組まれても違和感はない】
メ:主に対しては敬って、天使は気さくに声を掛けるくらいでいいんじゃないかな。
朱:自宅に訪問して、『やってる?』って聞くくらいですかね〜。
黄:小料理屋か、なんだよぉ。
月:だけど気楽に、『私は天使と会話できる』なんて言うと、えらいことになる訳で。
黄:宇宙人と大差ない扱いの現実があるんだよぉ。
メ:それだけ庶民的な待遇っていうのも、多分、ありなんじゃないかってことで。


【尊敬してくれるかまでは責任持てないけど】
朱:それでは、格を落とさず親近感を増す方法を考えてみましょう〜。
月:ハイ!
朱:月読さん、どうぞ〜。
月:教えを、ポップな感じ、ないしはラップ調で歌ってみるのはどうでしょうか。
朱:うーん、少し媚びすぎじゃないですかね〜。
黄:この、なんとも言えない台本感はなんなんだよぉ。
メ:この姿を見せたら、少なくても自分達と大差ない生き物だとは思ってくれると思う。


【あいつら生命の定義を揺らぎまくってるしな】
メ:ま、どう扱われようと、私自身が変われるという訳でもないから、どうでもいいかな。
黄:この天使様、月読菌にでも感染したのではなかろうか、なんだよぉ。
月:なんで朱雀はウィルスで、私は菌なんだ。
朱:論点は、そこでいいんですか〜?
黄:つい百年位前まで原因が完全に不明だったウィルスの底知れぬ恐ろしさが、
 朱雀という存在に合致してるからなんだよぉ。
月:それっぽい理屈で、果てしなく薄っぺらいって言われた気がする!


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