【仕事なんてもんは惰性が九割】 白:人間ってさ、凄いと思う? ショボいって思う? 黄:何だいきなり、なんだよぉ。 白:いや、放浪時代から少し考えてたんだけど、欲望の為にどんどん社会を発展させてるけど、 その為に延々と仲間内で争い合ってるのはどうなのかなぁ、ってさ。 黄:まあ食って寝てさえいれば大体満足な白虎からすると理解の範疇外なのかも知れないけど、 仮にも百年以上、その人間を守護してきた聖獣としてはどうなんだという問題は残るんだよぉ。 【生き延びてるだけで大正解という説もある】 マ:お、ウチの専門分野の話かー? 白:考えようによっちゃ、マモンってそういう社会構造作ってる黒幕? 黄:世界は悪魔が構築してるとか、新書が一本書けそうなタイトルなんだよぉ。 マ:けったいなこと言うなー。 ウチは単に、倫理なんちゅう誰が作ったとも知れん枷を解き放つ手伝いをしてるだけやでー。 黄:そのことによって人類が得た功と罪はどちらが大きいのか、 本気出して考察したら、大論文が完成しそうな勢いなんだよぉ。 【肉体的にも凝縮された感じ】 白:でもまあ、火を制御したのは素晴らしいことだと思うよ。 私達ネコ科の歴史が何千万年あるか知らないけど、肉を煮たり焼いたりするなんて経験、 ここ数万年のことだもんね。 黄:むしろあんたら、その数千万年、何してきたんだよぉ。 白:狩って! 寝て! 一生懸命遊ぶ! 黄:この家猫と何も変わらない感じ、ある意味、究極の進化をした末なのではないかと、 割と本気で思えてしょうがないんだよぉ。 【二十年前すら戻れる気がしない】 マ:ちゅうか、人型で生活しとるあんたらは、文明の恩恵、思いっきり受け取るやないかい。 黄:龍型のまんまだと、台所仕事一つとっても、難易度が高いんだよぉ。 白:コタツと布団って、何であんなに完成度高いんだろうねぇ。 黄:この数千年、どんどん便利なものを開発し続ける人間こそ、堕落を助長してるんだよぉ。 マ:こないに見事な逆ギレは、中々お目に掛かれるもんとちゃうで、ホンマ。 【野球が出来るのも手があるから】 白:虎型だと、ボールペンも握れないし、しょうがないよね。 黄:多分、人間が文明を築けたのは、頭脳でも文字でもなく、この手の形の力なんだよぉ。 白:よくこんなもん考えついたよねー。 進化論とか、絶対嘘っぱちでしょ。自然淘汰でこんなの出来る気がしないもん。 マ:そこで出てくるんが、悪魔の取り引きっちゅう訳やで。 黄:この悪魔万能理論も、一種の唯一神的発想に近い気もしてるけど、 ここは敢えて、目を瞑っていこうと思うんだよぉ。 【あまりいいイメージは無いよね】 マ:そういや、ここの嬢ちゃんがケダモンの姿してんのは見たことあらへんなぁ。 白:朱雀のこと? 黄:それよりケダモンって、なんだよぉ。 マ:言い方の問題や、深う考えたらあかんで。 則:そういうものかの。 黄:こういう風に、人間の皮を被っていてもケダモノに近い生き物も居るんだし、 表現は限りなく正確に使うべきだと思うんだよぉ。 【神秘的エネルギーってことで説明は可能だ】 黄:そういえば、朱雀は生まれた時から人間型だったんだよぉ。 則:そのようなこともあったの。 白:お約束だから聞いておくけど、転生した時、服ってどうなってたの? 黄:その辺に関しては、昨今の色々と規制が厳しい情勢を受けて、 謎の強い光が全身を覆っていたことにしておこうと思うんだよぉ。 【どのような意思であるかは気にしない】 マ:世の中、温泉に行ったら不自然な湯気が立ち籠めるもんやからな。 黄:鉱泉だから、謎ガスの発生もやむなしなんだよぉ。 白:謎の妨害が多いなぁ。 マ:世俗っちゅうんは、謎があるからこそ楽しいもんらしいで。 黄:この場合の謎と、好奇心を刺激される謎は別物の気がしないでもないけど、 誰かの思惑が絡んでるという意味では、あんま変わらない気がしてきたんだよぉ。 【前振りとヒントがクドすぎる領域】 鳥:ふに〜。 白:ところで、この縁側に居る小さい鳥、何? おやつに食べていいの? 猫:ふるにゃーご。 黄:猫の方の白虎が狙ってるから、譲ってやれなんだよぉ。 鳥:ふに! ふにふに!! マ:この鳴き声に、赤い毛並み、そして愉快な動きと、どこかで見覚えあらへんのかいな。 【人は論理などで納得しない】 白:もしかして、朱雀なの? 鳥:ふ〜に〜。 黄:何で十年近く人間形態で過ごしてきたのに、いきなり鳥になってるんだよぉ。 白:そりゃまあ、朱雀だから? 黄:定型文極まりない返答なのに、これ以上説得力があるものも無い辺り、 順応したのか、毒されたのか、永遠に答は出ないんだよぉ。 【野生で生きられる気がしない】 白:ハッ、ってかこれじゃ、食べる分量が減って大損じゃん。 黄:とりあえずの問題点はそこじゃ無いんだよぉ。 マ:こないなちっこい鳥、生贄に捧げても大したもんは召喚でけへんで。 黄:そこでも無いんだよぉ。 鳥:ふに〜。 黄:そして会話の中身だけ聞けば命の危機なのにこの呑気さ、 やっぱり朱雀で確定みたいなんだよぉ。 【ライオンに舐められたら頬が削げる的な】 鳥:ふに〜ふに〜。 猫:なーご。 黄:とりあえず、戯れてるんだよぉ。 白:お腹一杯なら、無理に狩ろうなんて思わないしね。 猫:うにゃうにゃ。 鳥:ふ、ふに!? 白:ただ、猫サイドにしてみれば遊んでるつもりでも、 あのサイズの鳥だと致命傷になることは、往々にしてあるかな。 【設計図書いた奴に説教したいレベル】 鳥:ふにふにふに〜。 白:んで、何が言いたいの、これ。 黄:言語学者も、匙を投げる難解さなんだよぉ。 マ:何やら、見たことないもん召喚できそうな文字列やな。 白:推すなぁ、それ。 黄:いや、朱雀は見た目こそ割と普通の部類だけど、 中身は外宇宙から来た異形の類と言われても、誰も疑わない存在なんだよぉ。 【一人しか使えない言語は言語と呼べるのか問題】 黄:こんなことなら、モールス信号みたいに、 ふにふにだけで意思疎通ができる符牒を作っておけばよかったんだよぉ。 鳥:ふにふに。 マ:ほんま、言葉っちゅうんは、通じるのと通じへんのではえらい違いや。 黄:マモンが言うと、謎の説得力があるんだよぉ。 猫:うにゃーご。 黄:そしてこっちも、朱雀が居ないと何言ってんだか誰にも分からないんだよぉ。 【騙し騙され無限ループへ】 鳥:ふにふに〜♪ 黄:とはいえ、普段の感嘆符としての活用法に慣れてるから、機嫌くらいは分かるんだよぉ。 マ:女の、表に出とる雰囲気を信用したらあかんで。 黄:何の教訓なんだよぉ。 マ:でも、敢えて騙されるっちゅう駆け引きもあるさかい、一概には言えんのやけどな。 黄:この悪魔的な発想が変に現実を反映してる辺り、 世の中は善意より悪意で回ってると痛感してしまうんだよぉ。 【何故母親は子供を完全制御できると考えるのだろうか】 鳥:ふに! 白:これは、怒ってるの? 単にテンション上がってるだけ? 黄:そこんところは、ソムリエの領域なんだよぉ。 白:要するに、分からないんだね。 マ:役に立たへん保護者やなぁ。 黄:仮に実子だとしても子供の考えることなんて分かりゃしないからこそ、 子育ては永遠の難題であると言い訳をしておこうと思うんだよぉ。 【銀メダルで叩かれるこんな世の中じゃ】 鳥:ふに〜。 黄:なんでこいつ、頭の上に乗ってるんだよぉ。 白:鳥ってキラキラしたもの好きだし、金髪が気に入ったんじゃないの。 黄:テッカテカの銀髪が、何か言ってるんだよぉ。 マ:大体の地方で、銀より金のが高価やからしゃーないやろ。 黄:ちょっと前まで銀本位制が世界の主流でブイブイ言わせてたのに、 昨今は本当、銀に厳しい時代なんだよぉ。 【飛び降りるまでが大変なスカイダイビングの様に】 鳥:ふに! 白:こっちに飛び移ったと思ったら、私の髪の毛を滑り落ちてるんだけど。 黄:なんちゃらスライダー的な遊び方なんだよぉ。 鳥:ふにふにふに。 白:それはそれでいいとして、頭のてっぺんに戻るのに苦労してるみたいなんだけど。 黄:まるでリフト無しでスキーを楽しんでるみたいに見えて牧歌的だから、 どこまで続くか見物してみようと思うんだよぉ。 【こうやって事実は捻じ曲げられる】 マ:そう言うたら、クシャクシャの髪質を鳥の巣頭っちゅうたりするな。 黄:それは朱雀が一番なんだよぉ。 白:あのワカメヘアーの中に、小鳥を何匹か飼ってる可能性って無い? 黄:中々に、興味深い考察なんだよぉ。 鳥:ふにふに! 黄:多分、違うと抗議してるんだとは思うけど、 ここは一つ、肯定ということにするのも悪くないのではなかろうか、なんだよぉ。 【この際なので捏造路線を貫く】 白:平然と嘘をつくって話なら、政府は外せないと思うんだけど。 マ:国体維持の為には致し方ない必要悪やで。 黄:悪魔のささやきは、今日も好調なんだよぉ。 鳥:ふに、ふに。 黄:一方で小鳥のささやきは微笑ましいようでいて、 実はドン引きするくらい腹黒いことを言っていると誰が思ったであろうか、なんだよぉ。 【ネコ科の射程距離は一定だという戦術上の常識】 鳥:ふに! ふにふに! 猫:うにゃー! 白:おぉ、飼い主が飼い猫に追われて逃げ惑ってる。 黄:こんなアニメ、どっかで観たことある気がするんだよぉ。 白:あれは大体、小鳥の方が猫をあしらうけど、 これは割と本気の攻防で、ちょっと緊迫感があるよね。 【そもそも解析する技術が未発達】 マ:放っておいてええんか? 黄:あれで五千年以上生きてる訳だから、天運が味方してくれるんだよぉ。 白:逆に、一生の総量が決まってるとしたら、そろそろ尽きる頃合ってことはない? 黄:朱雀なら、むしろ蓄積しそうな感はあるんだよぉ。 マ:その代償があのキャラクターっちゅう可能性もありそうやな。 黄:何をバカなことをと言いたいところだけど、 こと朱雀に関しては、どのような仮説も否定に足る根拠が無いから困るんだよぉ。 【酷い論理のすり替えがあったような】 猫:うなにゃー。 鳥:ふに〜! 白:お、タンスの隅に追い込んだ。 黄:これは、詰みかも知れないんだよぉ。 マ:この状況で助けようとしないアンタらも、悪魔の才能あるんちゃうか。 黄:そうは言うけど、闘犬、闘鶏、ハブ対マングースに至るまで縮小傾向にある中で、 それを軽々しく動物愛護に絡めると偽善者っぽく感じたりもするんだよぉ。 【いいこと言ってるようで碌でもない話だ】 黄:とはいえ、一応、保護者の責務は果たそうと思うんだよぉ。 猫:うにゃ? 白:猫缶開けたら、朱雀に興味なくしてこっち凝視したね。 マ:飼い主様は、猫缶以下の存在っちゅうことか。 鳥:ふ、ふに〜。 黄:当面の危機は去ったものの、自尊心は粉々にされる、 命とは、生き長らえるだけで満たされるものでは無いのかも知れないんだよぉ。
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