邂逅輪廻



【むしろ説として有力】
メ:天国という言葉で日本人がイメージするのは、西洋的な天界らしい。
黄:ヘブンを和訳したものなんだから、そりゃそうなんだよぉ。
メ:その割に、ヘルを和訳した地獄は仏教と共有という話を聞いた。
月:見たか、これがジャパニーズの、適当宗教観だ!
黄:もしや月読がこうも大雑把でいい加減で粗雑なのは、
 その宗教観に由来しているのではなかろうかなんだよぉ。


【自分の首も絞まるけど】
黄:それにしても、極楽という仏教の理想郷があった上で天国という新語を作ったのに、
 どうして地獄は既存の言葉を使ったのかが謎なんだよぉ。
月:悪人が行く場所なんか、どうでもいいという意図が見え隠れするな。
メ:生前の罪を悔い改める場所という意味では、似たようなもの。
黄:それは、極楽、天国も一緒なんだよぉ。
月:何にしても、姉さんの高天原がマイナーなのは嬉しい限りだな!


【三権分立的視点より】
朱:ところで〜、いい人は天国に、悪い人は地獄に行くって言いますけど、
 どれくらいがラインなんですかね〜?
メ:誰が見てもアウトな人はともかくとして、微妙な場合は、大体その時の気分。
黄:ひっでー話を聞いたんだよぉ。
メ:極悪非道な人生を送ったのに、蜘蛛一匹助けただけでワンチャン与える極楽よりはマシ。
黄:それは一応小説で、閻魔の審判をひっくり返す真似は、釈迦と言えども感心しない行為なんだよぉ。


【朱に交わる心配がない】
メ:大半の人はいいこともすれば悪いこともするんだから、
 判断つきかねる人は、もう一回別の人生を歩ませたらどうだと進言したことはある。
黄:あ、こいつサボりたいだけだな、なんだよぉ。
メ:そうしたら、地獄より過酷な道を選ばせるとはなんと恐ろしいことを、と言われた。
黄:住めば都と言うけれど、地獄には悪人しか居ないんだから、
 逆に大したことない気がしてきたんだよぉ。


【何て面倒な人格だ】
月:神話とラノベは、何が違うのか。
黄:真顔で、何を言ってるんだよぉ。
月:人の妄想を文章化したものという意味で、差は感じられない。
黄:アイデンティティを崩壊させるようなことを、よく言えたものなんだよぉ。
月:崩れそうな自我に刺激を与えることで安定を保つ逆療法だ!


【類を見ないこじつけ感】
朱:やっぱり〜、たくさんの人に共感されたり、
 長い間、受け継がれたりするのが大事なんじゃないですかね〜。
月:ラノベだって、信者がたくさん居るものは居るぞ。色々な意味で偏ってるけど。
黄:それは宗教も変わらないんだよぉ。
月:問題は、あいつら、気付いたらホイホイ宗旨を変えてる点だが。
黄:歴史上にも、分派したと思ったら一瞬で消えるようなのも結構あるし、
 この際、息の長さに関しては目を瞑っていこうと思うんだよぉ。


【それ何て無理ゲー】
月:神話をモチーフにしたラノベは、新解釈の神話体系という説。
黄:何だか、哲学的な思考に陥りそうなんだよぉ。
朱:どこまでを正統と認めるかという話ですね〜。
黄:そう言われると、中央組織の匙加減一つの気もするんだよぉ。
月:つまり、今からでも月読礼賛の小説を大ヒットさせれば、
 大逆転の機会があるということだな!


【ワクワクドキドキより効率を】
月:夜なべして、書いてみた。
黄:何て暇な神様なんだよぉ。
朱:『絶対最強・月読流転無双劇』ですか〜。
黄:この、全く売れなさそうな感じが、逆に素晴らしいんだよぉ。
朱:先にあらすじを聞いていいですかね〜?
黄:そして確実につまらないと分かっているからこそ、
 こういう荒業も可能になるというものなんだよぉ。


【過去に言ったことがありそう】
玄:単純な戦闘力とか、霊力なんかで、格を決めるのはどうかと思うんですよ。
 もっと、中身を、人となりを見て下さい。
月:行き遅れみたいなことを言い出したな。
黄:お互いの心に突き刺さる物言いはどうなんだよぉ。
玄:私の真の魅力を理解しない、世間が悪いんです。
黄:そしてその発言は、年を食えば食うほど痛々しくなるから、
 若い今の内に省みた方がいいんだよぉ。


【誰とは言っていないのに】
玄:強ければ偉いなんて、殺伐とした世界で本当にいいんですか。
黄:ある意味、世界の真理ではあるんだよぉ。
月:現実的に、強国が頭を抑えつけておいた方が、全体的には安定するしな。
黄:まあ、腕力だけはあるバカがトップだと混沌とするのは、
 それはそれで事実なんだけど、なんだよぉ。
玄:一応、服務規程ですので、麒麟さんの悪口は報告させてもらいますね。


【身体能力は園児並】
月:じゃあ、あれだ。何年かに一度、最もでかい岩を持ち上げた奴が指導者になろう。
黄:プロテインとステロイドの販売が捗りそうなんだよぉ。
玄:私も、強化アームの開発に尽力したいと思います。
黄:何か、それはそれでありじゃないかとも思ったけど、
 あっちで朱雀が泣き出しかねないし、やめておくべきなのかも知れないんだよぉ。


【結局最後は殴り合い】
玄:カードゲームで決めるとかどうですかね。戦術眼、心理戦、そして時の運。
  血も流さず、ある意味において平和的だと思うのですが。
黄:ルールの制定に、血が流れそうなんだよぉ。
月:大抵の場合、地元でしか通じないローカルルールがあるからな。
玄:それを決める権利を、前回優勝者に与えればいいではないですか。
黄:いや、だから第一回をどうするかという話であって、
 大体、そのルールをひっくり返すために、直接的武力を使う奴が出てくるんだよぉ。


【講義として高等すぎやしないか】
マ:神さんなんてもんは、所詮は雇い主の一つに過ぎんのやでー。
  気に入らんかったら、転職か、独立するに限るわ。
黄:一応は一神教のくせに、何という多神教的なものの考え方なんだよぉ。
朱:月読さんも、現状に不満があるなら新日本神話の主役になればいいんですよ〜。
月:いやいや、日本の神話界も、私のような良識派が裏で支えてるからこそ、
 辛うじて体裁が保たれている訳だしな。
黄:とまあ、こう不平不満を述べる奴に限って今のぬるま湯が大好きという、
 残念すぎる現実を知ってもらえたと思うんだよぉ。


【とにかく言質は取らせない】
マ:なんや、これが日本の、タマムシイロっちゅうやつか。
  イエスかノーか、はっきりせーや。
月:私、月読之命は、自身の保身と安寧より、国家国民の為、
 粉骨砕身、全身全霊を籠めて邁進する所存にあるような気がしないでもない訳でもないです。
黄:ダメだこりゃ、なんだよぉ。
マ:ここまでくると、逆に興味も湧いてくるっちゅーもんやけどな。


【これで食っていけないだろうか】
月:国内で無駄な派閥を作ることは弱体化に繋がる。
  私ほどのカリスマともなると影響は甚大だから、慎重に行動しないといけない。
黄:言ってろ、なんだよぉ。
マ:ようもここまで、次から次へと口が回るもんやな。
黄:これしか取り柄が無いんだよぉ。
月:失敬なことを言う。私のどこに喋るしか能が無いというのか、
 四百字詰め原稿用紙三枚以内で即時に述べて貰おうか。
黄:自ら一瞬で証明するとは、返す返すも、月読らしい話なんだよぉ。


【無難な仕事をしそうではある】
月:すいません、しばらく日本神話に籍置かせてもらいます。
黄:謙虚になったようで、厚顔無恥に見えるんだよぉ。
マ:いくじなしやなー。そんなことやったら、ええ悪魔にはなれへんでー。
月:待てよ。神様兼キリスト教の悪魔のダブルワークならリスクを最小限に――。
黄:どこまでいっても発想が小市民のそれで、とても大成すると思えないんだよぉ。


【月読神社は本当レア】
朱:天使さんって〜、どなたが一番人気なんですか〜?
黄:聞いてはいけないことを、なんだよぉ。
メ:大事なのは誰に人気があるとかそういうことじゃなくて、
 心で何を考えるかだと思う。
黄:きっちり、言い訳は用意してあったんだよぉ。
朱:ですけどどれくらい差があるか分からないと、
 御札とか作る時に困りますよね〜?
黄:そんなキャラクターグッズみたいに言われても困るけど、
 そこは神社仏閣の数の差で、大体察せるところではあるんだよぉ。


【投票権付き聖書を作ろう】
メ:まあ、強いて言うなら、四大天使、その中でもミカエルとガブリエルみたいな?
黄:微妙に、哀愁を感じるんだよぉ。
メ:天使の階級は人間が作ったものだけど、
 もしも人気でランキングを付けるような真似を始めたら、本気で天罰も辞さない覚悟。
黄:冗談めかして言ってるけど目がマジで、
 これはちょっと洒落にならない雰囲気なんだよぉ。


【二部リーグでも作るのか】
朱:四神の一番人気は、誰なんですかね〜。
玄:私でないことだけは、はっきりしています。
黄:まーたこのパターンなんだよぉ。
玄:ええ、どうせ私のことを聖獣界の不良債権だとか、
 入れ替え戦を行うべきではないかと影で言っているんでしょう。
黄:被害妄想もここまで来ると何らかの処置を施すべきに思えるけど、
 入れ替え戦はちょっと面白いから困ったものなんだよぉ。


【ミカエルとルシフェルの夢の共演】
朱:天使さんの格も、人気で入れ替え戦をしたらどうなるんですかね〜?
メ:第一位から、第五位くらいまで落ちそうだから、本当勘弁。
黄:えらい弱気なんだよぉ。
メ:総合格闘技で決めよう。
  タッグ戦にすれば、大体をサンダルフォンに任せて私は楽ができる。
黄:天使らしからぬ殺伐とした発想と言いたいけれど、
 実は天使って奴は案外、力押しとか大好きだったりするんだよぉ。


【卓越した嗅覚が必要】
月:逆に閃いた。有志を募って、どんな宗教をも許容する真の楽園を作ろう。
朱:それって、この黄龍さんの家と何が違うんですか〜?
月:ナヌ?
黄:寄り合い所みたいなところであることは認めるけど、
 そこまで大仰なものではないんだよぉ。
月:なんということだ、先駆者が居たとは思わなんだ。
  いや、先に役所に権利的なものを申請しておけば、独占事業にできるはずだ。
黄:このありがちな業界ゴロっぷりを、商売上手とするかどうかが、
 判断しづらいところではあるんだよぉ。


【そして全面戦争へ】
月:ええい、私の目的はこんなチンケな場所ではない。
  火星に入植して、丸々王国とする、一大プロジェクトだ。
黄:植民という名の、厄介払いに見えてきたんだよぉ。
朱:二度と帰ってこれないことを前提にしてるんですね〜。
黄:現代の姥捨て山が宇宙移民とかいうのも、
 何だかサイエンス・フィクションじみていて、妄想だけは広がるんだよぉ。


【まさかの龍族大勝利】
メ:地上に土地は、南極くらいしか残ってないから、しょうがないかな。
朱:氷を削って、中に住むことは出来ないんですかね〜?
黄:水はともかくとして、御飯とか燃料はどうするんだよぉ。
朱:夏の間はずっとお日様が照ってるんですから、
 ソーラーパネルとか、培養で何とかなりませんかね〜。
黄:逆に冬はまともに太陽が上がってこない訳で、
 冬眠機能がついてない人間には、ちょっと厳しいものがあるんだよぉ。


【忍耐力と持続力が猫レベル】
月:逆に閃いた! 深海は、まだまだ未開拓だ!
黄:もう、逆にって言いたいだけに聞こえてきたんだよぉ。
朱:斜に構えるには、便利なフレーズですよね〜。
月:泣くぞ、オラァ。
黄:ハッハッハ。深海で涙を流しても、周りはもっと濃い塩水なんだよぉ。
月:もう全体的に、どうでもよくなってきた。


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