邂逅輪廻



【遊んでるとしか思えない生態】
月:鳥類というのは、空を飛ぶために尋常ではない筋肉を蓄えているはずなのだが、
 朱雀はどうしてこうも貧弱なのか。
朱:ふに?
黄:不必要な物を切り捨てるのも進化なのだから、
 反重力で浮遊する術を会得した朱雀はこれでいいのではなかろうか、なんだよぉ。
月:生き残るために有用であるかは別にしてな!


【ニッチな特需が或いは】
月:一般的な鳥の筋肉量は、体重比率で言えば、ボディビルダーの何倍もあるらしい。
黄:マッチョなんてレベルじゃないんだよぉ。
月:つまり、リアルな鳥娘を描こうと思ったら、異常なまでのムッキムキにすべきなのだな。
黄:男ならいざ知らず、そんなものを喜ぶ輩がいるのか、なんだよぉ。


【やっぱり反重力なんだろう】
月:鳥が飛べると言っても、重力に逆らっているのは初動だけで、移動の多くは滑空している訳だ。
黄:何の講義なんだよぉ。
月:その為に飛行姿勢は平べったいというか、
 揚力を得やすい上が膨らんだ形になるのが一般的なのだが――。
朱:ふに〜。
月:羽根が背中にあるのは、どう考えても空気抵抗で墜落すると思う次第で。
黄:その件に関しては、天使の背中に羽を生やした、
 ルネッサンス期の画家にでも、お伺いを立てやがれなんだよぉ。


【物質文明は毒的な発想】
メ:重力とか、空気抵抗とか、細かいことは気にしない。
黄:すんごいこと言い出したんだよぉ。
メ:その気になればオーラ的なアレでそこそこ浮ける龍族に言われても。
黄:東洋ウン千年の独自体系は、西洋の自然科学至上主義になんて屈しないんだよぉ。
月:言ってることが無茶苦茶すぎて、むしろ潔い感じ。


【そもそも誰も知らない】
朱:最終的に空を飛ぶ方法は〜、気合とド根性ですよね〜。
月:この意見を、リリエンタールはどう思っているのだろうか。
黄:地球史で最初に空を飛んだのは昆虫の類だろうけど、
 どうやって飛んだのかと言われれば、多分、一種の執念だったんだよぉ。
月:そこまでのスケールを持ち出されると、反論の余地がないではないか。


【月読が言っていいことではない】
月:陸上に上がった奴は、たまたま打ち上げられたのが生き延びたんだろうとは思う。
  だが、空を飛んだ奴は意味が分からなすぎる。
朱:キリンさんの首が長くなったように〜、高いところの餌を食べたかったんですかね〜?
黄:関係が無いと分かっていても、キリンという単語を耳にするだけで腹が立つんだよぉ。
月:アンタ、それもう、末期だわ。


【宇宙規模の偶然があれば或いは】
メ:大体は、ダーウィンが悪い。進化論は、生物の系譜全てを表せるものではない。
黄:天使自ら危険な発言を、なんだよぉ。
月:まあ、進化論で朱雀の生態を説明は無理そうだし、思考停止も悪くはない。
朱:な、なんで私に、お鉢が回ってくるんですかね〜。


【くさいものには蓋的な】
マ:空を飛べるなんて魅力的な力、悪魔と取引したに決まっとるやないかー。
メ:また貴様らか!
黄:成程、話の筋は通ってるんだよぉ。
月:それはそれで思考停止では。
黄:何かこう、ミッシングリンク的に不可解な事例は、
 全部悪魔のせいにすれば丸く収まる気がしてきたんだよぉ。
月:こうやって、異端は半永久的に異端のままであるという訳か。


【なんて甘美な響きだ】
朱:ホタルイカさんがわざわざ発光して目立つのは不思議だったんですけど〜、
 悪魔さんの仕事なら仕方ないですよね〜。
マ:人生の最期くらい華々しく着飾りたいっちゅう願いを叶えたった訳やで。
黄:一応、アレは撹乱や日中の迷彩的な意味があるとされてるんだよぉ。
月:敵に場所を知らせるリスクを背負ってまで頑張る必要はあるのかという疑問は残るがな。
黄:やっぱり、悪魔のせいってことにしておけばいいという誘惑に勝てそうもないんだよぉ。


【想像力の限界に挑む】
朱:タツノオトシゴさんのオスがメスから卵を預かって体内で孵化させるのも、
 悪魔さんが叶えたんですか〜。
マ:男でも出産してみたい願望は、少なからずあるからなー。
黄:いやいや、なんだよぉ。
月:もういっそ、人間にもその能力を与えたらどうだろうか。
黄:それはそれで面白そうだけど、全ての倫理観が崩壊しそうで、
 見たいような見たくないような気分ではあるんだよぉ。


【テロメア完全再生能力保有者達】
朱:世代交代も考えず、無限の寿命を持った龍族も不可解な存在ですよね〜。
黄:なぜだか、飛び火してきたんだよぉ。
月:まあ、神族や朱雀も、近しいところがあるのだけれど。
マ:そないなヘンテコなバグみたいなんが、一つくらいおってもおもろいやないか。
黄:しかし進化論的に進化とは遺伝子のコピーミス、即ちバグであって、
 極端なことを言えば、生物全てが欠陥品の気もしないでもないんだよぉ。


【最近ではまた否定気味】
朱:人類が〜、腕力と体力をかなぐり捨てて知力と器用さに注ぎ込んだのも、
 悪魔さんの仕業だったんですね〜。
月:たしかに、ここまで極振りした生き物は前例が無い気がする。
黄:こっちはこっちで、宗教観が根底からひっくり返るんだよぉ。
マ:進化論を認めるっちゅうことは、悪魔の干渉を否定できないっちゅうことや。
黄:もしやキリスト教的に進化論は天動説に並ぶ、
 絶対に譲ってはいけない一線だったのではなかろうか、なんだよぉ。


【むしろ月読が手先状態】
月:そういえば、ウィルス進化説というのがあったな。
朱:なんですか、それ〜?
月:偶発的だとされる遺伝子の変異が、実はウィルスに侵されたことで起こるというもの。
黄:まさかウィルスとは、悪魔の手先なのではなかろうか、なんだよぉ。
マ:段々と、外堀が埋まってきたようやなー。
メ:ウヌ、ウヌヌヌヌ。


【何の問題があろうか】
朱:結局、ウィルスさんって、生き物なんですかね〜?
月:自己増殖能力はないものの、遺伝子を増やそうとする機構から生物とする派と、
  生き物の最小単位、細胞を持たないという意味で非生物とする派で分かれている。
朱:どうしてちゃんと決めないんでしょうか〜。
黄:下手に定義付けて、朱雀が非生物扱いになるくらいならまだしも、
 人間自身が除外される展開を恐れてる可能性はあるんだよぉ。
朱:な、なんでまだしも扱いされたんですかね〜。


【悪魔が活用する悪魔の証明】
マ:生き物の理解しがたい程に凄まじい変化は、悪魔が用意したウィルスで成される。
  どや、反論できるかー?
黄:反論しようがないけど、証明しようもないんだよぉ。
月:この抜け目のない布教戦略、参考になるな。
黄:そしてそっちも、妙なところを真似していいとこどりしようとしてるんじゃないんだよぉ。


【実際世の中そんなもの】
メ:うぃ、ウィルスは、天使が用意したものかもしえない。
黄:噛んでるんだよぉ。
マ:建前上、そっちサイドは主の深い考えで動いてるんちゃうんやったかー。
メ:うちのが、実は何も考えず行き当たりばったりなの、みんな知ってるくせに。
黄:言い負けて悔しいのは分からないでもないけど、
 ちょーっと危険な発言が混じりつつあるから、ここらで一度、打ち切るべきなんだよぉ。


【人類には早過ぎるよ】
朱:なんにしましても、私が空を飛べるのは始祖鳥さんのおかげですよね〜。
黄:だから、朱雀は絶対、進化の体系から外れてるんだよぉ。
月:朱雀ウィルスは、脳だけではなく生態にまで影響を及ぼす可能性が。
黄:なんだそのホラー、なんだよぉ。
朱:みんなが私みたいにふにふに浮いていれば、争いとかは世界から消えますよ〜。
黄:まあ、赤というか朱の聖獣だし、思想がアカいのも、致し方ないのかも知れないんだよぉ。


【ガリレオはいかにして異端となったのか】
月:もしや前足の変形ではなく、背中から羽が生えているのもウィルスの影響ではなかろうか。
朱:ふに〜。
黄:ウィルス万能説、便利すぎるんだよぉ。
月:問題は、この説を発表して事実だった場合、ノーベル賞どころか、物理的に拘束されそうなところ。
黄:真実が世界にとって常に正しいものではないという、
 実社会の面倒くささを垣間見た気がするんだよぉ。


【勝者がドンドン減っていく】
メ:進化って、何かを得て、何かを失うことなのかも。
黄:立て直そうと、ちょっといい話にしようとしてるんだよぉ。
月:ここからの逆転は、相当に難しいと思う。
朱:具体的には〜、天照さんの立ち位置に月読さんが収まるくらいですかね〜。
月:ふんぎゃー!
黄:朱雀の余計な一言で、いじけ虫がもう一匹、増えてしまう流れになってしまったんだよぉ。


【あとはもう神様くらいしか】
月:進化のバッキャロー!
黄:とんでもない濡れ衣を見たんだよぉ。
朱:侮辱罪で訴えられませんかね〜。
黄:全ての命を包容するのが進化だからとか、適当なことを言っておこうと思うんだよぉ。
月:ついでに、天使もバッキャロー。
メ:なぜ?
黄:この場で名前が上がるのは、善玉の代名詞だからむしろ名誉なことなんだよぉ。


【本格的に拗ねだした】
朱:そういえば、悪魔のバカヤローとはあまり言いませんよね〜。
黄:多分、呪われそうだからだと思うんだよぉ。
マ:失礼なやっちゃなー。
  そんなこと叫ぶ奴はなんかしら悩み抱えてるんやから、新規開拓のチャンスやで。
黄:商売人根性が凄いんだよぉ。
マ:神なんかの意志に頼らず、自分で生きてくっちゅうんが進化の本筋や。
メ:もう、なんだか、どうでもいいや。


【面倒くささが二乗に】
メ:いじいじ。
月:うだうだ。
黄:おい、天使と公認悪魔、そろそろ起きるか帰るかするんだよぉ。
メ:別に、頑張ろうが頑張るまいが、世界は関係なく回っていく。
黄:お前は思春期か、なんだよぉ。
月:永遠に、初心を忘れないということだ。
黄:そしてそっちはちょっと元気そうだから、せめて晩御飯の準備を手伝いやがれなんだよぉ。


【今晩のおかずは肉野菜炒め】
月:進化しようがしまいが、動物は飯を食わねば生きていけない。
黄:全ての命は繋がっているは、仏教思想だったか、なんだよぉ。
月:どんな流れでそうなったか知らんが、最初に他が作ったものを搾取しようとか考えた奴は天才だな。
黄:何十億年経って、社会レベルでも常態化してる訳なんだから、
 自覚は無いにしても、地球史で一番罪深い生き物であると言える気がしてきたんだよぉ。


【被保護相手が増えていく】
メ:お腹も膨れたし、今日はこれくらいで勘弁してあげる。
黄:安い立腹だったんだよぉ。
月:懐柔で胃袋を攻めるのは、常道の部類だからな。
メ:ん、なんだかすごく眠いから寝るね。
黄:いや、怠惰は大罪の一つだろうだとか、なんでナチュラルに泊まるつもりになってんだとか、
 色々言いたいことはあるけど、機嫌が直ったなら、まあいいかなんだよぉ。


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