【黄龍自身はどうなんだ】 朱:自由の女神さんって〜、一歩も動けないのにどこが自由なんですかね〜? 黄:アメリカ政府に、消されかねない発言なんだよぉ。 月:知らんのか? 奴は腰回りを気にして、夜な夜なのジョギングを日課にしているのだぞ。 朱:そ、それは不勉強でした〜。 黄:考えてみれば百年以上もスタイルを維持している訳で、 並々ならぬ影の努力をしているのは想像に難くないんだよぉ。 【堕落と放蕩を象徴】 月:ってか、女神という以上、私と同族か? 黄:神の価値を、知名度と信奉されてる度合いで考える場合、大惨敗なんだよぉ。 月:私も、室戸岬辺りに巨大な銅像作るか。何の縁も無いけど。 黄:それは一体、何を祈願しているのか、 聞きたいけど聞いたら負けの空気がいかんともしがたいんだよぉ。 【どうしてこんなに黒いのか】 玄:ブラックコーヒーって言いますけど、よくよく見てみると濃い茶色ですよね? 黄:カップに注いで遠巻きに見れば、黒と言えなくもないんだよぉ。 玄:いえ、黒とは、それ以上に染まることのない究極の色なんです。 この程度で黒を名乗ろうとは、所詮は素人ということですか。 黄:おーい、誰かこのお嬢さんに、イカスミをぶっかけてやるんだよぉ。 【玄武とかいう構造欠陥】 玄:私が知る限り、女性に黒い汁を滴らせる趣向は聞いたことがないのですが。 黄:世の中、どんなニッチであっても、わずかな需要があるらしいんだよぉ。 玄:マジョリティに媚びていると言われようが、私は大衆の支持が欲しいのです。 黄:世の中には適材適所という言葉があるんだから、 そろそろ割り切ってもいい頃合なんだよぉ。 【お値段天井知らず】 月:書とは、魂を文字に宿らせるもの。 雑念や煩悩といった迷いを断ち切り、心を無にして一心不乱に書き記す。 白:何か、昼寝から起きてみたら、尻尾の先が黒く染まってたんだけど。 月:お陰で、よいものを書けた。礼を言う。 黄:赤ちゃんの産毛で作る筆があるんだから、聖獣の体毛のがあってもおかしくはないと、 適当極まりないことは言っておくんだよぉ。 【異界への扉が開くかも】 白:朱雀の羽根とかふわっふわだし、いい素材なんじゃないの? 朱:ふに? 月:試してみたことは、ある。 朱:あ、あるんですか〜? 月:だが、こっくりさんの如く、意図せぬ方向に筆が走り、見たことのない文字になる。 黄:多分それ、失われたはずの古代語とかなんだとかいう展開なんだよぉ。 朱:よ、予期せぬ方向に、話が広がってます〜。 【悪行の報いというにはあまりにも】 朱:桃太郎さんにきびだんごをもらうのがちょっとした夢なんですよ〜。 黄:雉の代わりに朱雀とは、豪気な御伽話なんだよぉ。 白:ってことは、犬はオオカミなら許容範囲ってことで、お父さん? フ:ほほぉ。 黄:何だかオーバーキル過ぎて、鬼がちょっと可哀想な気がしてきたんだよぉ。 【出来レースの可能性が急浮上】 月:猿はどうする気だ。 黄:月読でいいんだよぉ。 白:ああ、たしかにちょっと、っぽいよね。 月:何を言う! きびだんごとかいう汎用菓子でケモノをだまくらかし、 死地へと誘う鬼畜の所業、私以外に務まる者がいるものか! 黄:いや、話の筋としては動物サイドが要求してた気もするけど、 たしかにそれだけで一緒に戦ってくれるというのも変な話ではあるんだよぉ。 【不毛な争いにも程がある】 月:ニートに、爵位を与えればニートではなくなるのではなかろうか。 黄:このバカの発想に、ついていけないんだよぉ。 月:その場合、問題となるのは、ニート伯爵なのか、伯爵ニートなのか。 語呂はどちらも悪く無いから、難題だ。 黄:好きに呼べばいいんだよぉ。 月:無論、黄龍にはニート大公の称号を与えるから安心したまえ。 黄:そんなことをした場合、 こっちは月読をニート大帝として祭りあげてやるから覚悟しやがれなんだよぉ。 【貴族とニートは紙一重】 月:爵位がバタくさいというのなら、官位という手もある。 黄:ニート大納言とか、バカにしてるようにしか聞こえないんだよぉ。 月:軍隊の階級もアリだな。 黄:ニート軍曹とか、ちょっと面白くはあるんだよぉ。 月:貴様、一体、何を言っている。 黄:この芸術的とすら言えるハシゴの外しっぷり、 ニートらしい根気の無さを体現してるのではなかろうか、なんだよぉ。 【日本神話の業は深い】 黄:大体のものは、数が増えれば質が落ちるものなんだよぉ。 月:ああ、四天王くらいならまだしも、 八人衆とかになると、六人目辺りから雑になってくるみたいな。 朱:ふに〜。 月:ん? 朱:お、思ってませんよ〜? 三貴子なのに、真ん中の作りがちょっと緩いだなんて〜。 月:今日はもう帰って寝る! 【プレミアの大半は希少性】 白:そういや、五龍も四神に比べると微妙な感じあるよね。 黄:全部龍族で固めたせいで、キャラが被ってしょうがないんだよぉ。 朱:さ、三匹の龍さんを殴って気絶させたのは、数を減らす為じゃないですよね〜。 黄:成程、今にして思うと自己防衛の為という大義名分を盾に、 そういった深層心理が働いたと否定しきれない部分もあるんだよぉ。 白:後に廃された黄龍が言うと、因果応報ってあるんだなと思うよ。 【半隠居の二人だもの】 天:アイドルとは、即ち偶像のことです。 私達は元祖アイドルとして、もっと夢を与えるべきなのではないでしょうか。 月:つまり、事務所を設立して豪快に中抜きをするということだな。 黄:なんだ、宗教界の現状とあんまし変わってないんだよぉ。 天:当事者だというのに、よくそんなことが言えますね。 【ライブ活動とかしたかったのに】 亜:中抜きと聞いて参上したよ。 黄:出たな、娘の給料ピンハネしてた最低おかん、なんだよぉ。 玄:結局、今でも振り込み先の変更はできていないのですが。 亜:何言ってんの。私の研究費になるってことは、バージョンアップの礎になるってことでしょ。 結果的に損してないじゃん。 玄:そ、そうですかね? 黄:言いくるめられたんだよぉ。 天:あのー、私のアイドルの話は、一体どこに? 【何しろ絶対数が】 則:のぉ、妾らの営みには、音が足りぬと思わぬか? 黄:レコードでも掛けるんだよぉ。 月:物持ちいいなぁ。 則:楽団の一つも用意できぬとは、ほんにささやかなものよの。 黄:今となってはレコードはある意味で贅沢品なのだけれど、 それを解させるのも面倒だし、無視することに決めたんだよぉ。 【もうほとんどヤケっぱち】 朱:何でしたら〜、私が歌いましょうか〜? 月:なんだろう、この碌でもない予感しかしない空気は。 黄:総員、警戒態勢をとれ、なんだよぉ。 朱:ふ〜に〜ふにふにふ〜に〜。 月:うおっ、歌い出したと同時に、すさまじい量の雪が降りだした。 黄:その声で自然現象さえ操るとは、何かちょっと神話っぽいんだよぉ。 【人知の限界に挑んでる】 朱:宇宙の果てに行こうと思ったら〜、光の速さで百四十億年くらいかかるんでしたっけ〜? 月:百四十億年前に宇宙が誕生したとされているから、見える限界が果てだとかなんとか。 黄:宇宙の膨張速度は、光の速さを超えているという説もあるらしいんだよぉ。 朱:ひ、光の速さだと、時間って全く進まないんですよね〜? 月:地球から見た宇宙の果てより遠くは、時間が逆行してるとでもいうのか。 黄:正直、最近出てきた宇宙物理学とかいうのは、 話としては面白くても、理解できるかと言われるとさっぱりなんだよぉ。 【一気に一般人レベルに】 黄:要約すると、一万歳とか、宇宙から見れば赤子以下ということなんだよぉ。 月:いや、それは暴論だ。 朱:私が五千歳なのか、八歳なのかも、大した問題じゃないってことですね〜。 月:だから、な。 黄:肌年齢や脳年齢が十歳や二十歳ズレてたとしても、宇宙規模でみれば誤差みたいなものなんだよぉ。 月:なんかもう、どうでもいいや。 【朱雀的妹物語とかあったな】 玄:思ったのですが、学園ものとして展開すれば、私達の人気はもっと上がるのではないでしょうか。 黄:学園黄龍ちゃん、まもなく開演、なんだよぉ。 月:やる気ゼロだな。 亜:ここは、聖獣から女子高生に華麗なジョブチェンジをした私の出番だね。 黄:そしてあんたは、一体、何年高校生やるつもりなんだよぉ。 【こいつらに通じる訳がない】 亜:いやー、若い子とどうしようもない会話するのが楽しくて、ついつい。 黄:発想が、完全にオッサンなんだよぉ。 月:男も女も、最終的には精神がオッサンになるという学説を今作った。 黄:だったらこっちは、オッサンウィルスが侵食してるという説を唱えるんだよぉ。 朱:オッサンだらけの学園ものとか、斬新で売れるかも知れませんね〜。 玄:私の要望は、どこへと行ったんでしょうね。 【朱雀がジョーカーになりそうだ】 玄:能力バトル展開にすれば、人気を獲得できるのではないでしょうか。 黄:割とめげない子なんだよぉ。 月:とはいえ、得意技が殴るか蹴るか、或いは噛み付くか関節技かといった面々ばかりなのだが。 玄:そこはまあ、御都合主義で、生体に反応する因子がバラ撒かれ、 みんながみんな、特殊能力に目覚める筋にすれば何とか。 黄:とすると、玄武とその一族だけ、無能力のままなんだよぉ。 玄:……ハッ!? 【このトリオはどうしよう】 玄:の、能力のない私達が、科学的火力だけで応戦するなら、それはそれで話になります。 黄:それは主人公か、重要ライバルの立ち位置なんだよぉ。 月:あー、玄武がそのポジは、ダメだ。 玄:何とか、なりませんかね。 黄:どうにかできるもんなら黄龍の凋落を防げたと、真顔で言ってやろうかと思ったんだよぉ。 【あくまでも円満退職】 朱:今更なんですけど〜、聖獣って、究極的に何をするのが目的なんですかね〜。 黄:レゾンデートルを問い質すとは、朱雀も成長したんだよぉ。 月:うむ、この領域にまで辿り着いたのならば、聖獣卒業も近いな。 朱:て、テレビ番組のレギュラーみたいに言わないでください〜。 【なんて酷い先輩達だ】 黄:建前としては、人間界の秩序を守る補佐をする為なんだよぉ。 朱:ですけど〜、社会が生まれてから、ずっと混沌としてますよね〜? 月:まあ、仕事なんてものは、大抵の場合、目的を達成できないものだからな。 朱:き、聞かなかった方がよかった気がしてきました〜。 黄:それが分かっただけ、一人前に半歩進んだとも言えるんだよぉ。
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