邂逅輪廻



【ある種の毛玉天国】
白:あー、何かだるだるだよねー。
窮:うにゃうにゃ。
猫:まーお。
ヘ:うなーお。
フ:ふぉふふぉふ。
黄:いや、何で白くて丸い奴らが大集合してるのか、
 誰かちょっと、説明して欲しいんだよぉ。


【原書は結局死んだまま】
朱:何だか、たんぽぽの綿毛が集まってるみたいですね〜。
黄:そんなメルヘンなものでもないんだよぉ。
白:あー、生肉食いてー。
黄:こんな童話はあってはならないと言いたいけど、
 狼が婆さんを食ったり、あいつら意外とエグいから困るんだよぉ。


【アマチュアとプロの壁みたいな】
白:アメリカ人って、肉焼くの好きらしいじゃん?
朱:ふに?
白:でも、焼いてばっかりで生肉あんま食わないし、種類も牛、豚、鶏メインだし、
 ちょっと共感するのは難しいかなって思ってさ。
黄:肉食民族といっても、所詮は雑食動物、
 真の肉食エキスパートには敵うまい、という話だったんだよぉ。


【生物界のバグ的存在】
ヘ:そうだな、小腹も減ったし、庭でバーベキューでもやるか。
黄:人の家で、何言ってるんだよぉ。
朱:といいますか、小腹で食べるものじゃないですよね〜?
ヘ:腹八分の締めは七面鳥、小腹が空いたらバーベキュー、がっつり食べたい時は水牛の丸焼き、
 飢え死に寸前ならダチョウの踊り食い、何か、間違ってるか?
朱:す、全てが間違いすぎていて、どこから訂正していいのか分かりません〜。


【世界すら飲み込むのはむしろ】
黄:異次元に、身体より大きな内臓があるとしか思えない食事量なんだよぉ。
朱:すごい収納術ですよね〜。
ヘ:これでも一応、主婦に分類されるからな。
黄:何だその自信、なんだよぉ。
ヘ:旦那を操縦する術は、極めていないがな!
フ:おぅふ?
黄:これを御するのは天上の神々ですら無理ではないかと思ったけど、
 フェンリルって元々、そういうものだと思い出したんだよぉ。


【皮下脂肪すらも貫けぬ】
窮:食材はどうするの?
ヘ:山の幸は飽きたな。海に行って、クジラでも狩ってくるか。
黄:食べるのもそうだけど、運べるのが大概おかしいんだよぉ。
白:それ、前にやろうとしたけど、潜る前に仕留めないと命懸けだよ?
ヘ:なぁに、取り付いてすぐに心臓を握り潰してやれば問題はあるまい。
黄:何クジラに狙いを定めてるか知らないけど、
 普通に考えて腕の長さが足りない気がするんだよぉ。


【自然界は甘くない】
白:えー、クジラの心臓って、食べたことないんだけど、潰しちゃうのもったいなくない?
ヘ:一理あるな。
黄:肉食獣同士の会話は、何かおかしいんだよぉ。
窮:脳なら、致命傷を与えても、大部分残るんじゃない?
フ:というか、脳震盪で気絶させて陸に上げてしまえばいいのでは。
黄:世間の肉食獣ファミリーがどんなものなのか知らないけど、
 これが標準だとすると、なんと殺伐としたことか、なんだよぉ。


【河の豚が黙っちゃいない】
朱:クジラさんとイルカさんって〜、生物学的には同じものらしいですね〜。
黄:サイズの差だけってことは、ワシ、タカと同じ関係ってことなんだよぉ。
白:イルカって海の豚って書くけど、全然、豚っぽい味じゃないよね?
黄:漢字苦手なんじゃなかったかというツッコミと、
 味基準もどうなんだという二つのツッコミが、頭の中を駆け巡ったんだよぉ。


【それはそれで影響力】
白:肉の話なら、他国の文字も憶えられるってもんでしょ。
黄:それはそれで、どうなんだよぉ。
朱:月読さん風に言いますと〜、
 『英単語は憶えられないのに、ゲームの変な文字列の呪文は暗記できる』
 みたいな感じですかね〜?
黄:的確ではあるんだけど、この納得ができない感じ、
 この場に居なくてもやるせない気持ちを作ってくれるんだよぉ。


【猫を見れば分かる】
白:シャチとか、手頃なサイズでいいんじゃないかな。あれもイルカの仲間だっけ?
黄:海のギャング相手に、苦手フィールドで戦おうとはどういう度胸なんだよぉ。
白:でもあいつら怖いの牙だけで、こっちは両手両足の爪も使えるんだから有利でしょ。
黄:一瞬、正しいんじゃないかと思ってしまったけど、
 あんたら本格的に泳ぐの苦手だったはずなんだよぉ。


【軽めの奴でも十トン級】
ヘ:どのクジラが美味いんだか分からんから、とりあえず三種類くらい狩ってきた。
黄:何だこの絵面、なんだよぉ。
ヘ:さしあたり一匹は丸焼きにするから、オーブンを貸せ。
黄:こんな巨大なブツを焼ける窯は、多分、世界の何処を探しても無いんだよぉ。


【食べるっていうか吸い込む】
ヘ:仕方ない。とりあえずいつも通り、半分は生のまま食うか。
黄:本当、人んちの庭で、何してるんだよぉ。
白:生きるってことは食べるってこと。
  エネルギーをほとんど自己生産できない動物は、食べ続けるしかないんだよね。
黄:遠い目をして何かいいこと言ってる気分になってるところ悪いんだけど、
 悠長にしてたら御母堂が全部食べ尽くしてしまうんだよぉ。


【晴れてるかはさておいて】
朱:さ、先程の、小腹が空いてる発言はどこにいったんですか〜?
ヘ:狩りをしたら、本格的に腹が減った。
黄:ぐぅの音も出ない返しなんだよぉ。
ヘ:やはり青空の下で食べる飯は、格別だな。
黄:何かこの言葉だけを聞いたら爽やかに聞こえなくもないけど、
 野生動物は大体、アウトドアな食事だと思うんだよぉ。


【こんな進化は認めてない】
白:しっかし、このヒゲ、すっごい弾力だよね。びょんびょーんって。
黄:ちょっと前まで、コルセットとか、釣り竿とかに使われてたんだよぉ。
朱:何で水生生物のクジラさんに、ヒゲが必要なんですか〜?
黄:食べ物を海水と一緒に飲み込むから、ろ過装置として使うとか聞いたんだよぉ。
朱:生物の神秘ですね〜。
黄:世界で一番神秘的な生き物が、何かを言ってるんだよぉ。
朱:ふに?


【しばらく肉を見たくもない】
ヘ:さて、とりあえず人心地ついたし、残りは網焼きにでもするか。
黄:山のような肉塊が、文字通り半壊したんだよぉ。
朱:もう、その点については考えるのをやめました〜。
白:前菜は生肉、メインディッシュに焼き肉、締めはあっさり水炊き。
  これぞ、肉食獣のフルコースだよね。
黄:御相伴を一切してないのに、この胸焼け感、
 思い込みの力はかくも強いものなのか、なんだよぉ。


【後を引いてまた最初から】
白:でも、カルパッチョとかいって、生に近い肉をオードブルにするじゃん。
黄:もう、何が正しいか、分からなくなってきたんだよぉ。
朱:で、デザートは甘いものが主流ですよね〜?
白:ん、じゃあ、照り焼きとか、甘辛い味付けにしようかな。
黄:味としてはむしろくどくなっていて、最後の料理としてはいかがなものか、なんだよぉ。


【二百度くらいあれば何とか】
朱:ケモノって、火を怖がるものじゃなかったでしたっけ〜。
黄:それに、どうツッコめと言うんだよぉ。
白:朱雀が生き延びてきたのって、属性のおかげっていう新説?
窮:でも、熱いのをハフハフ言いながら食べるのも一興だよね、猫舌だけど。
朱:ご、護身の為、一時的にでも体温を上げる術を身に付けようかと思います〜。


【他に食うもの無かった説もある】
白:動物の護身っていえばさ、毒持ってるの結構いるけど、
 相打ちになるだけで、結局食べられてるよね?
黄:辛うじて生き残るかも知れないし、
 群れで見れば、あいつやべーから食わない方がいいなになるんだよぉ。
朱:一番すごいのは、二番目にフグを食べた人っていうあれですね〜。
黄:野生を超越した人間の探究心がいいものなのか、悪いものなのか、
 ちょっと分かりづらい部分はあるんだよぉ。


【さすがに骨は食えない】
ヘ:あー、食った食った。
白:さすがに、これだけ食べられれば満足だよ。
窮:お腹一杯で、眠くなってきたなぁ。
フ:ふるぁーご。
猫:まおーん。
黄:何か、つい先刻、こんな光景を見たような、
 何にしてもこの骨格標本を何とかしてから横になりやがれなんだよぉ。


【月読が脳裏をよぎった】
朱:うちの白虎も、ちゃっかり食べてたみたいですね〜。
黄:保存さえできれば、並の猫の一生分はあったはずなんだよぉ。
白:いや、その猫、体重比率で言えば、私達と同じくらい食べてたよ。
猫:ぐるにゃーご。
黄:普段、ロクに動いてないくせに、どれだけのエネルギーを必要としているのか、
 いや、むしろそういう輩の方が無駄に大飯食いなのかも知れないんだよぉ。


【一種のトコロテン方式】
朱:いつもは、そんなには食べませんよ〜?
黄:どっか別の家でもエサもらってんじゃないか、なんだよぉ。
白:飼い猫も、リスクマネジメントする時代ってことじゃないの。
  朱雀も、いつどうなるか分からないし。
朱:白虎さんは、どうなるかじゃなくて、どうするかの立場じゃないですか〜。
黄:まあ何かしらあったら当代白虎を放逐してこの白猫を据えるから、
 そこんところは安心していいと思うんだよぉ。
白:うにゃ?


【猪口にビールは注げない】
猫:うなーお。
朱:『たまにはこういう珍しい肉もいいもんだな』だそうです〜。
黄:発想が、白虎ファミリーと変わらないんだよぉ。
朱:大物に育ってくれたらいいですよね〜。
黄:でっかくなりすぎると麒麟の顰蹙を買うから、そこんところは程々にな、なんだよぉ。


【マムシは絶食に強い】
白:しっかしクジラ肉ってそんなに食べたこと無かったけどさ。
  味はまあまあだし、腹持ちいいって中々の食材だよね。
黄:腹持ちいいの意味が違うんだよぉ。
白:これなら、晩御飯は軽めでもいいかな。
黄:いや、これだけ食べておいて、今日また食べる気なのか、
 あんたらの内臓は一体どうなってやがるんだよぉ。


【中国の砂漠化が加速する】
ヘ:くーくー。
白:すやすや。
窮:うまーうん。
フ:くふくふ。
黄:このまま四匹まとめて箱詰めして、見知らぬ土地へ送りつけたいんだよぉ。
朱:犬の帰巣本能は凄いですけど、虎はどうなんですかね〜?
黄:帰ってくるかどうかはともかく、行った先々の生態系が心配で、
 結局、目の届くところに置いておいた方がいい気がしてならないんだよぉ。


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