邂逅輪廻



【天を仰ぎ見てみる】
則:……のぉ。
黄:どうしたんだよぉ。
則:天下とは、どういったものなのじゃろうな。
黄:いきなり、スケールがでかすぎなんだよぉ。
則:一時はこの手に収めたはずなのじゃが、理解していると言われると、の。
黄:それを庶民にも分かるレベルで噛み砕けるんなら、
 歴史に残る大思想家になれる訳なんだよぉ。


【妄想力は無限大】
黄:世界の定義を、人間社会とするのか、
 地球という惑星にするのかで話は変わってくるんだよぉ。
則:成程のぉ。妾の場合、人の世としての天下やも知れぬな。
黄:地球という話になると、生物が存在する領域までなのか、
 マントル以下の核まで含めるのかになってくるんだよぉ。
則:そちの方が、話を大きくしてないかえ。


【それでも人は人のまま】
黄:もっと大きくするなら、太陽系、銀河系、全宇宙とまで広げられるんだよぉ。
則:いつの日か、そこまで手を広げてみたいものじゃ。
黄:最近の学説じゃ、平行宇宙は無限に存在するのが定説になりつつあるらしいんだよぉ。
則:ほんの数百年で、世界という概念は、とんでもなく広がってしもたわな。
黄:人間にとっては広大な中国大陸も、
 視点を変えるとせせこましいものに見えるから不思議なんだよぉ。


【具体的な策はない】
則:であろうとも妾は、天下を欲するがの。
黄:まあ、それは自由なんだよぉ。
則:人が生きるということは、甲斐を求めるということじゃ。
  妾にとっての天下とは、そういうものやも知れぬ。
黄:ほぼ地縛霊が何か言ってるけど、成仏されても困るし、
 その方向でまとまってよかったんだよぉ。


【割と普段から】
則:世は常に変わりゆくものじゃが、ここ百年は凄まじい物があるの。
黄:物や情報の移動速度が、飛躍的に上がったせいなんだよぉ。
則:そのことによってよきこともあるが、悪しきこともある。
  それもまた世の理と言うてしまえばそれまでじゃが。
黄:何にしたって、黄龍が復権することはないからどうでもいいんだよぉ。
則:そなた、時たま投げ槍になるの。


【大艦巨砲主義は素人】
則:視点を変えてみよ。この様な時代だからこそ、好機やも知れぬぞ。
黄:こういう発想でのし上がってきたんだと、再認識したんだよぉ。
則:世の仕組みと、心の間隙を突くのが常道というものじゃ。
黄:そこそこ正しいことを言っているはずなのに、この納得したくない感、
 多分、人格補正が大きいんだと思うんだよぉ。


【科学は人をダメにする】
則:てれふぉんなるもの自体が面妖極まりないのに、昨今は誰もが持ち運んでおるのじゃぞ。
  このようなこと、妾の時代には想像すらできなんだわ。
黄:テレパシー的な連絡手段なら、あった気もするんだよぉ。
則:修めるのに、どれ程の鍛錬を必要とすると思っておるのじゃ。
黄:たしかに、仙人見習いとして数十年は頑張らないといけないから、
 直接会った方が早いんだよぉ。


【何でもできるのも考えもの】
則:しかし、このような板で異国とも話ができるとは何とも奇っ怪なものよの。
  理は通っておるが、中々に納得できぬ。
朱:わ、私のスマホ、返してください〜。
黄:只のイジメっ子なんだよぉ。
則:この小鳥も、国に仕えているのであらば、妾の臣下も同じであろう?
  ならば妾のものも同然ではないか。
黄:何だかどこかで聞いたことがある理屈だけど、
 どうせ使いこなせやしないんだから、素直に返してやるんだよぉ。


【水に落ちた朱雀に厳しい】
黄:そもそも、朱雀の分際でスマホとは何事なんだよぉ。
朱:青龍さんから支給された仕事用ですよ〜。
則:租税で豪奢の限りを極めるとは、やるのぉ。
朱:そ、そこまでの話じゃありませんよね〜?
黄:こうやって、誰もが権力に溺れていくんだよぉ。
朱:お、黄龍さんまで乗らないでください〜。


【炎の鳥としてどうなんだ】
則:この、電子れんじとかいうのもどうなっておるのじゃ。
  火も使わず温まるとは、理解できぬわ。
黄:電磁波とは、エネルギーそのものらしいんだよぉ。
朱:ふに?
黄:朱雀の場合、燃えてるんだか、電磁波なんだか分からないのが困ったものなんだよぉ。
朱:ふにふに?


【電波界のニューウェーブ】
則:けーたいとやらの原理も、電磁波ではなかったか?
黄:波長によって、色々な使い道があるらしいんだよぉ。
則:ほむ。この小鳥は、大した役に立たぬのにのぉ。
朱:な、何で私が、比較に持ちだされるんですか〜。


【あながち間違ってない】
黄:とはいえ、火が温かいのも赤外線という電磁波の力だから、
 ギリギリセーフなのかも知れないんだよぉ。
朱:許されたんですかね〜?
黄:微妙なところなんだよぉ。
則:こうもあらゆる局面で出てくるとは、
 電磁波とやらは、世界を制することができる力なのやも知れぬの。


【底辺なのか頂点なのか】
朱:世界史上の悪女を集めて競い合えば〜、
 則天武后さんの悪行の印象が薄まると思うんですよ〜。
黄:何か言ってるんだよぉ。
則:世界がいかに広く、営みが長かろうとも、妾に勝てる輩がいるとは思えぬわ。
朱:と、とんでもない自信です〜。
黄:そんなに的外れでもないのが、これの恐ろしさなんだよぉ。


【人のクローン創造並に】
則:近頃の言葉でいうところの、おんりーわんというやつじゃの。
黄:こんなのが、何人も居られても困るんだよぉ。
朱:それは分かる気もします〜。
黄:ちなみに朱雀の分裂も、倫理的に考えて法で規制すべきだと思ってるんだよぉ。
朱:ふ、ふに?


【知ることも罪なのか】
則:大体、三大悪女などというが、権力を得る過程で搦め手を使わぬ者などおるものか。
  たまたまオナゴであったというだけで、扱いを大きくしすぎというものじゃ。
黄:一理あるんだよぉ。
朱:あ、あれを搦め手で済ませていいんですかね〜?
黄:中国史には、開けてはいけないパンドラボックスが、そこら中に転がってるんだよぉ。
朱:わ、私も、記憶を掘り起こさない方向でいきたいと思います〜。


【偉大な人物ではあるけれど】
朱:悪妻といえば、ソクラテスさんの奥さんが有名ですよね〜。
則:悪き嫁を娶らば哲学者になれる、じゃったかの。
黄:ちなみに、ソクラテス自身は私塾で聴講料をとっておらず、
 奥さんや愛人に食わせてもらってたんだよぉ。
朱:ふ、ふに?
黄:無収入の男に嫁をどうこう言う権利があるのか、
 これは中々に、業が深い話なんだよぉ。


【歴史は結果論なのか】
朱:マリー・アントワネットさんは〜、
 結局、世間ズレしたお嬢様というのが、妥当なんですかね〜?
黄:時代が合致すれば、持ち上げられてた気もするんだよぉ。
則:それも含めて、後世の評価というものじゃろ。
黄:言ってることは正論だけど、結果として悪女扱いされてるのが言っても、
 説得力という意味では微妙なんだよぉ。


【闘牛と赤いヒラヒラみたいな】
黄:傾国の美女は、大体、悲劇の女として扱われるのが納得いかないんだよぉ。
朱:傾国ってなんですか〜?
黄:国を傾けるほど、権力者の男にうつつを抜かさせた女性のことなんだよぉ。
朱:楊貴妃さんとかですかね〜?
則:そなた、妾を挑発する気かえ?
朱:ふ、ふに?
黄:それに楊貴妃という単語を聞かせると興奮するから、
 極力触れない方向でいった方がいいんだよぉ。


【若作りだしまだまだ】
則:ええい、なぜ一介の側女に過ぎぬあやつが、中華史で屈指の名を残しておるのじゃ。
黄:歴史家は、女の価値をどれだけの男に取り入ったかで判断するからなんだよぉ。
朱:クレオパトラさんとか、虞美人さんが有名ですよね〜。
黄:悔しかったら、誰でも知ってる超有名人を落としてみるんだよぉ。
則:そなた、言うたな?
黄:勢いに任せて口にしたけど、何か凄い面倒なことになりそうな予感しかしないんだよぉ。


【それを言ったらキリがない】
朱:日本史は、これといった悪女がいませんよね〜。
黄:感覚が麻痺してるだけで、権力専横くらいならチョボチョボいるんだよぉ。
則:あのような僻地の島国に、妾のような雄大さを持てという方が酷というものよ。
黄:とはいえ、本当にあくどい奴は歴史の表舞台には立たないという意見もあるんだよぉ。


【史実だからしょうがない】
黄:最近の業界では、心変わりを一回したら、それだけで悪女扱いなんだよぉ。
朱:そういうものなんですかね〜。
則:まだまだ、女の機微というものが分かってないのぉ。
黄:ちなみにこの皇帝様、大本は皇帝の側室で、
 後に皇帝になるその息子をたらしこんで権力の座に駆け上がった筋金入りなんだよぉ。


【宇宙創世の素かも知れない】
則:容易く本心を見せてしまうようでは、女としての器量に欠けるというものであろう?
黄:この時代に、よく言ったものなんだよぉ。
則:男などというものは未知にこそ魅了されるものじゃ。
  それを理解しておらぬ者が多すぎると思わぬか。
朱:ふに〜?
黄:いや、この小鳥は未知というか、ダークマターに近い存在であって、
 学術的興味はともかく、男心をくすぐるタイプのものではないんだよぉ。


【それはそれで需要があるのか】
黄:ここまでをまとめると、
 悪女は残酷な仕打ちをする系と男を弄ぶ系があるみたいなんだよぉ。
朱:そ、則天武后さんは、どちらも網羅してませんか〜?
黄:ハイブリッドとは、恐れいったんだよぉ。
則:妾なら、ざっとこんなものじゃ。
黄:これが他のジャンルならまだカッコイイ台詞っぽいのに、
 悪女だといかんともしがたい辺り、罪深い話なんだよぉ。


【未来はいつだって未知数】
則:人には誰しも、悪に惹かれる心がある。妾はそれを、体現してきたにすぎぬわ。
黄:すっげー深いことを言ってるようで、すっげー自己中なだけなんだよぉ。
朱:こ、これはこれで個性なんじゃないですかね〜。
黄:無理にフォローしなくていいんだよぉ。
則:妾の心根を理解するには、この小鳥はまだ幼すぎるのであろうな。
黄:朱雀には、こんな大人になって欲しくないと思うのが大多数だろうけど、
 純粋無垢とも、ジョーカーとも言えるだけに、どうなるかは分からないんだよぉ。


コント連載中



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