邂逅輪廻



【真っ先に思いついた】
黄:たまには、老害っぽいことをしてみたいんだよぉ。
朱:ふ、ふに?
月:何か言い出したぞ、おい。
黄:朱雀、湯呑みの茶しぶが取れてないけど、どういうことなんだよぉ。
月:それは只の姑だけど、ある意味正しいから、まあいいのか。
朱:ちょ、直接的被害を受けた私にとってはよくありません〜。


【脱税もみんなでやれば怖くない】
黄:よく考えたら、家事は自分でやってるんだから、あら探しにならないんだよぉ。
月:考えなくても気付けや。
黄:ここは一つ、みんなの職場に行って、苦言を呈してみようと思うんだよぉ。
月:面白くなりそうなので放置すべきか、被害が拡大するのを防ぐべきか、
 こんなにも悩む余地のない二択は珍しいのである。
朱:こ、この際ですので、私も矛先が向かない方を選択させてもらいます〜。


【トリックスターの本領発揮】
黄:白虎、この仕事のやり方は慣例に反するんだよぉ。
白:え、なにこのすごい茶番感。
月:すいやせん。御老公の戯れに付き合ってあげてください。
朱:月読さんまで、ノリだしました〜。
月:こうなってしまった以上、諦めた振りして目一杯煽ろう。
白:今のところ、蚊帳の外だから言ってるだけだよね、それって。


【飼い亀に手を噛まれた】
黄:玄武、茶の一杯も出さないとは、どういう了見なんだよぉ。
玄:え、あ、はい。すいません。
月:考えようによっては、規律を正す効果があるのではなかろうか。
  ぶっちゃけて言うと、麒麟の威圧だけではマンネリ。
麒:おい、部外者。
黄:この淹れ方では、お茶っ葉に失礼というものなんだよぉ。
玄:ま、マニュアルの問題です。
  ちゃんとしたデータを入力してくれなかった、麒麟さんが悪いんです。
麒:そしてそっちも、ナチュラルに責任転嫁するな!


【立たなくてもいいんじゃないかな】
黄:まーったく、最近の若い奴らはこれだから、なんだよぉ。
月:早くも出たぁ! 老害として欠かせない発言、第一位の名台詞だぁ!
朱:ち、ちなみに、二位以下もお伺いしていいですか〜。
月:酒や煙草をたしなまない奴は半人前、栄光時代の自慢話しかできない、
 アレコレ時代を知らん奴は話にならんなどが堂々のランクインを果たしている。
朱:こ、この知識が、私の人生で役に立つ日が来るんですかね〜?


【大体黄龍が悪い】
月:考えようによっては、朱雀もれっきとした老害なのだが。
  世襲のお嬢様なのか、五千歳を超える長老なのかで、解釈が割れるところだが。
朱:そこは〜、うまいこと立場を使い分けたいと思ってます〜。
月:なるほど、大国と新興国のいいとこ取りをしようという、中国のやり口を踏襲した訳だな。
朱:そ、その返しは予想できませんでした〜。
月:ハハハ。
黄:なんだこの空気、なんだよぉ。


【結論ありきの理論武装】
黄:次は、日本の連中にちょっかい掛けてやるんだよぉ。
月:いいですな。あそこの最高神は若造のくせに調子乗ってますから。
朱:お、同い年ですよね〜?
月:双子三つ子に序列をつける社会に、異を唱えたい。
朱:つ、月読さんが上だったら、絶対に文句を言っていないと思うんです〜。


【いきなりすぎて訳分からない】
黄:ふぅん、中国と距離をとって強国化とは、日本国様は随分と傲慢なんだよぉ。
天:な、なんですか、唐突に。
月:黄龍様は、遣唐使時代の恩も忘れて欧米列強へと擦り寄った、
 節操の無さを嘆いておられるのだ。
天:そして月読も、一体、どういった立場で物を言っているんですか。


【悪気が無いのが酷い】
天:はぁ、老害ごっこですか。
黄:最年長みたいなものなんだから、一回くらいはやっておきたかったんだよぉ。
月:姉さんも老害の域なんだから、とっとと最高神から降りるべき。
天:とはいえ、知名度で私に匹敵するのが須佐之男くらいの現状を考えますと中々。
月:こんにゃろめ!


【思い出したくもないことを】
櫛:培ってきた経験を活かせば、老いても害悪とは言えませんわよ?
黄:現実は、大体、耄碌を始めるんだよぉ。
月:更に言えば、権力にしがみつき始める。
黄:長年、積み重ねてきたものを失う怖さが、貴様らに分かるか、なんだよぉ。
櫛:実体験を持つ黄龍さんに言われては、致し方ありませんわね。


【譲れない一線というものが】
黄:そういえば、須佐之男は須勢理が大国主を連れてきた時にいびりまくった、
 老害の国の王子様みたいな男だったんだよぉ。
月:これは、参考にするしかないな。
須:なんじゃい、姉貴?
月:勢いで言ってみたけど、須佐之男を手本にするのは、さすがにちょっと。
黄:その件に関しては、全くもって同意せざるをえないんだよぉ。


【清々しいまでの迷走】
黄:日本は中々、老害度が高い国だったんだよぉ。
月:まー、基本が年功序列で、格重視だからな。
黄:幹部が高齢化した時、円滑に世代交代できるかが今後の課題なんだよぉ。
月:この行脚は、こんなにもちゃんとした考察をするためのものだったであろうか。


【彼の者に明日はない】
メ:ん……生まれた時から大体序列が決まってる天界に、
 老害という概念はあんましない。
黄:何て風通しの悪い組織なんだよぉ。
月:前向きに、完成度が高いと言っておこう。進歩の余地が無いとも言うが。
メ:一度くらい、中間管理職とかやってみたいなぁ。
黄:その言葉、本物の中間管理職の前で口にしてみやがれ、なんだよぉ。


【トップダウンは尻すぼみ】
黄:大体、その序列とやらはどうやって決めるんだよぉ。
メ:主の、気分?
黄:最強の老害が居たんだよぉ。
月:あれだな、組織に溜まる老害分はどこも一定で、分散するか、一極集中するかみたいな話か。
黄:こんな珍説に妙な説得力がある辺り、老害業界も意外に奥が深いのかも知れないんだよぉ。


【お後がよろしくない】
メ:全知全能の主が、判断を誤ることはない、という建前。
黄:ぶっちゃけやがったんだよぉ。
メ:間違えをしない人に、魅力は感じないと思うのだけど。
月:うむ、ドジっ子萌えが分かるとは、中々の素質だな。
黄:統括神クラスのやらかしは新たなクリーチャーを生み出しそうで、
 でもひょっとしたらそれが人類だなんてオチがつきそうなんだよぉ。


【或いは黄龍自身より】
黄:昔、間違いを直さないのが間違いだとか何とか、
 どっかの爺さんに聞いたことがある気がするんだよぉ。
月:それはもしや、孔子さんとか言いませんかね。
メ:ん……スケールの大きな話。
黄:ま、あのくらいの爺さんなら、老害じゃないって認めてやってもいいんだよぉ。
月:中国史上、最高クラスの影響力持ちを最低線呼ばわりたぁ、恐れいった。


【世界はまだまだ終わらない】
黄:さりげに、北欧の神々がどんな仕事をしているか、よく知らないんだよぉ。
月:サンプルがあのバカ夫婦ではいかんともしがたい。
黄:イメージとしては、定期的にラグナロクとかいう終末の日を起こして、
 ドッタンバッタンしてるんだよぉ。
月:貴様は今、北欧神話通をコケにした!


【他二つは人間社会レベル】
フ:本気のラグナロクが起こったことはないというのが、今のところ定説のようです。
月:キリスト教の最後の審判に似ているな。
黄:こうなったら、仏教の末法思想と合わせて終末大戦を引き起こすしかないんだよぉ。
月:三つ同時に起こったらどれが一番優先されるのかとも思ったけれど、
 世界そのものが消滅するラグナロクのスケールが違いすぎる訳で。


【視点の問題説急浮上】
黄:それで、北欧神話に老害は居ないのか、なんだよぉ。
フ:妻に言わせれば、自分より格上は全て老害だそうですが。
月:究極の意見だな。
フ:ここだけの話、こんなことを言う妻が一番の老害になりそうではありませんか?
黄:大抵の場合、楽しいのはトップを取るまでだから、
 維持しようとすれば、自然とそうなる気もするんだよぉ。


【解釈は御自由に】
ヘ:嫁を肴にする会話は楽しいか?
フ:ハッハッハ。
黄:考えようによっては、嫁ってのは一種の老害なのかも知れないんだよぉ。
月:その発想はナッシング。
ヘ:年取ってから迷惑を掛けることを恐れて、結婚ができるか。
黄:こうも堂々と言い切られるといい台詞にも思えるけど、
 単に自分本位なだけな気もしてならないんだよぉ。


【割と本気で殴られた】
月:ところで、黄龍と老害を語るなら、外せないのがいるのでは。
黄:あの腐れジジイのことなら、思い出したくもないんだよぉ。
月:逆に考えると、アレが反面教師となっているとも言えるのか。
黄:関わり自体を、認めたくないんだよぉ。
月:こう言われると、嫌よ嫌よも好きのうちに聞こえるから不思議!


【腕関節を極められた】
月:うむ、手が出るようでは、老害として免許皆伝と言ってもいい。
黄:意識せず、ポイントを稼いでしまったんだよぉ。、
月:高位神の私だったから痛いくらいで済んだが、朱雀だったら顎が砕けていたぞ。
黄:朱雀だったら、何を言われようと朱雀だからで受け流せるんだよぉ。
月:この自分の孫にだけは甘い感じも、立派な老害っぽい!


【リアクションに困る】
黄:金にもならないプロレスをさせるんじゃないんだよぉ。
月:一方的に攻撃を加えてその言い様はいかがか。
黄:自分の道理を強引に押し通すのも、老害らしいんだよぉ。
月:大してうまいこと言った訳でもないのに、自信満々な辺りもな!


【立場逆転のお味はいかが】
月:というか、いつになくツッコミを入れて疲れた。
黄:ツッコめる人材が、極めて限られてるから仕方ないんだよぉ。
月:青龍ー、青龍はいずこぞー。
黄:実害があるならともかく、こんな戯れに付き合ってくれるほど奴は暇じゃないんだよぉ。
月:はんぎゃらべったらだもん!


コント連載中



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