【全国の次子以降に謝ろう】 メ:忘れがちだけど、私にはサンダルフォンという弟がいる。 朱:どちら様でしたっけ〜? 黄:この鳥頭め、とは言い切れないくらい、記憶の彼方なんだよぉ。 月:あー、あの面倒な弟さん。 黄:どの口が言うんだよぉ。 月:古今東西、弟は出来が悪いものだからな。 黄:それは果てしなく厄介な妹である月読が言っていい台詞ではないんだよぉ。 【格の問題ということでなんとか】 白:そういえば、メタトロンとサンダルフォンって、双子だよね? メ:ん……そう。 白:動物みたいに、生まれてくる順番があったとは思えないんだけど、 どうやって姉、弟って決めた訳? メ:……。 黄:あまりに盲点な質問に、無言のまま目を逸らすのはやめるんだよぉ。 【保身能力は類を見ない】 朱:聞いたところによりますと〜、お二方は元々人間だったという話もあるんですけど〜。 メ:あくまでも……一説だから。 黄:人間が、ここまでの力をつけられても困るんだよぉ。 月:あれあれぇ。元マムシの黄龍さんは、『たかが人間が』とか上から目線なタイプ〜? 黄:世界の人口は千年前の数十倍とも言われていて、 そいつら全員が高位の存在を目指し始めたら、パワーバランスは崩壊必至なんだよぉ。 月:よし、人間は、人間の枠に収まるべきだな。 【アイドルの楽屋裏に匹敵】 黄:とはいえ、青龍も、元は人間だったという話もあるんだよぉ。 朱:に、人間って、何千年も生きられるものなんですか〜? 黄:人間辞めて、霊的な存在になれば、無いとは言えないんだよぉ。 メ:じゃあまあ、私も人間だった頃、サンダルフォンと姉弟だったってことで。 黄:この、唯一神の代理人とは思えない適当っぷり、 信奉してる方には見せられないんだよぉ。 【私の視力は三十六万五千です】 朱:メタトロンさんは、目が三十万以上あるって伺ったんですけど〜。 月:何故、そう、数を増やしてハッタリをかますのか。 白:昆虫みたいに、複眼ならいけるかも。 黄:などと無知な凡俗が言いたい放題言ってますが、 実際はどうなのですか、なんだよぉ。 メ:多分、草原の民より遠くが見れることから拡大解釈されたのかな、と。 黄:この斬新な解釈に、言葉も無いんだよぉ。 【予定調和とはこのこと】 黄:四大天使と比べて、メタトロンが絵画に描かれることが少ない訳なんだよぉ。 メ:……泣くよ? 月:お前は今、豪快に泣いていい。 メ:月読に言われると、意地でも泣きたくなくなるから不思議。 黄:かくいう月読は、致命的な設定がある訳でもないのに、 あんまし描かれてない訳ではあるんだよぉ。 月:こんちきしょーめ。 【後付けっていい響き】 朱:そもそも、目が二つある種が多いのは、距離感を掴むためでしたっけ〜? 月:どっちかが見えなくなるリスクがあるんだから、四つくらいあってもよかったと思う。 メ:そこはまあ、設計した主にも、深い考えがあってのことだから。 黄:生物を設計した造物主がいるかどうかはさておいて、 作る側の論理で言えば、何となく以外に決定する方策はないんだよぉ。 【完全に妖怪化】 白:ちなみに、三十六万もあったら、世界ってどう見えるの? メ:……さぁ? 月:考えてみれば、機能性が著しく向上する訳ではないな。 死角や盲点がなくなるくらいか。 朱:役割分担で、ラジオ波やエックス線も視認できるやも知れませんよ〜。 黄:そもそも、視覚情報を重要視するのは人間の特徴で、 高位の存在として描きたいなら、耳や鼻も増やすべきだと思うんだよぉ。 【世界はカオスに満ちている】 メ:友達に、セクハラが趣味の天使がいる。 月:ひっでー業界だな、おい。 黄:誰か、鏡を用意するんだよぉ。 メ:曰く、直接的所作を楽しむ奴は三流、反応を観察して二流、 コミュニケーションとして成立させて一流だとかなんとか。 月:ほほぉ。中々、話せる奴のようだな。 黄:この、どこからツッコんだらいいのか分からない感が、 むしろ日常的だというのを認めたくないんだよぉ。 【中間管理職は二度死ぬ】 黄:本来、神族、聖獣、天使の仕事は、 世界にある程度の秩序をもたらすことだった気がしないでもないんだよぉ。 月:とりあえずちゃぶ台をひっくり返してから、収集方法を考える主義なのだが。 黄:もう、ダメなんだよぉ。 メ:その友達も、好きなように動いてみて、 面倒事が発生したら部下に投げればいいって言ってた。 黄:どこもかしこも、どうしてこうも無責任な輩だらけなのか、 各地の青龍ポジションに、お悔やみを申し上げるんだよぉ。 【基本的には六人パーティ】 メ:あと、その友達は重度のゲーマー。 月:洋の東西を越えて、親友になれるやも知れぬな。 黄:こんなのがもう一人いるとか、勘弁なんだよぉ。 メ:具体的に言うと、かなり初期のダンジョン探索ゲーで、 ソロでラスボスを瞬殺するくらい。 黄:その凄さが今一つ伝わってこない部分もあるけど、 元ネトゲーマーとしては、いかんともしがたい気分になるんだよぉ。 【茶番の国のお姫様】 朱:わ、私の中の天使像が音を立てて崩れていったんですけど〜。 月:何を今更。 黄:大体、朱雀自身が、四神のイメージを損ねてるんだよぉ。 月:私も、貴子を貶めている自覚がある! 黄:よくぞ言い切った、なんだよぉ。 月:いや、言ってから、割とマジでヘコんだ。 黄:この七面倒くさい神様め、なんだよぉ。 【世界最強のスケープゴート】 メ:天使、ウソツカナイ。 黄:何で微妙に滑舌が悪いんだよぉ。 メ:舌っ足らずは、それはそれで需要があるって、月読が。 黄:あのバカは、相変わらずなんだよぉ。 メ:ということにしておけば、大体は丸く収まるって気付いた。 黄:このオオカミ少年の体現っぷりに、 全く同情心が湧かないというのも、ある意味凄いんだよぉ。 【思考訓練にどうぞ】 黄:というか、今、思いっきり嘘をついたんだよぉ。 メ:嘘と適当なこと言うのは、違うから。 黄:差が分からないんだよぉ。 メ:大体は、言ったもの勝ち。 黄:この発言が嘘なのか、適当なのか、真実なのか、 考えれば考える程、何が何やら分からなくなってきたんだよぉ。 【従うことの楽さ加減】 メ:天使が嘘をつかないと仮定して、悪魔が嘘しか言わないとしたらどうなるのか。 黄:嘘しか言わないと分かってるなら、真実を語ってるとほぼ同義なんだよぉ。 メ:つまり、正体を隠して、悪魔が天使の振りをして、天使が悪魔の……んん? 黄:何かこんなクイズがあった気もするけれど、 大事なのは、人の言うことを鵜呑みにしないことだと思うんだよぉ。 【石を投げたら当たるほどに】 メ:結論として、人生には、嘘というスパイスも必要。 黄:天使の発言として、それもどうなんだよぉ。 メ:世の中、拡大解釈と詭弁で成り立っているという説もある。 黄:たしかにそうかも知れないけど、やっぱり天使として…… いや、それ以下の連中がゴロゴロしてるから、深く考えたら負けなんだよぉ。 【悪党ほど努力家説】 朱:悪魔さんって、普段、どんなお仕事をしてるんですかね〜? 黄:何か、凄い質問が飛び出したんだよぉ。 白:単純に、天使の逆のことしてんじゃないの? メ:今日も……おひさまポカポカ。 黄:働いてるところをあんまし見たことないから、 もしや悪魔とは、意外に勤勉で尊敬できるのかも知れないんだよぉ。 【ビデオ判定すら必要ない】 メ:悪魔は、この世界に悪徳と堕落をバラまく為に頑張ってるらしい。 白:ん? 月:んん? 黄:何かこう、ゴメンナサイって謝りたくなってきたんだよぉ。 白:堕落はしてても、悪徳は振りまいてないからセーフ! 黄:残念ながら、怠惰と暴食はれっきとした七つの大罪で、 思いっきりアウトラインを跨いでるんだよぉ。 【それは母親の方かと】 月:高慢、貪欲、嫉妬、憤怒、暴食、色欲、怠惰、 割と網羅気味の私に、死角は無い! 黄:こいつもしや、悪魔じゃなかろうか、なんだよぉ。 メ:言われてみれば、悪魔の定義って割と曖昧。 月:『この悪魔!』という台詞は、『この泥棒猫!』に並ぶ、 一度は言われてみたいものだから何の問題もない。 黄:まあ何というか、日本の陰の部分というか、穢れを凝縮した存在だとすれば、 悪魔的な存在という解釈も成り立つ気がするんだよぉ。 【初売りだとお高め】 メ:悪魔といえば、三つの願いがどうたら。 月:一方、天使サイドは無償で魂寄越せと言い出した。 黄:酷い広告戦略詐欺なんだよぉ。 メ:悪魔に魂を売るって言うけど、天界で魂はキロいくらで取引されてる。 黄:冗談なのかマジなのかはともかくとして、 とりあえず、聞かなかったことにするのが吉と見たんだよぉ。 【洒落にならない蟻地獄】 朱:ふにえ〜る、ふにえ〜る、ふににえ〜〜る〜〜♪ 黄:そういえば、朱雀はふにえるという、天使の称号をもらっていたんだよぉ。 朱:黄龍さんも、だよぉえるですよ〜? 黄:果たし状と一緒に、叩き返してやったんだよぉ。 メ:天使は……一度なったら、辞められない。 黄:そんな悪徳企業みたいな真似、一応は規範たる天使がすべきではないんだよぉ。 【考えたことも無かった】 メ:でも私は、物理的に天使辞められないよ? 月:何故そこで諦める! 生まれた時から天使だからといって、これからもずっとそうとは限らんだろう! 天使以外の生き方もあるかも知れないぞ! 黄:一生、神族のぬるま湯で生きてく所存の奴が言っても、説得力が無いんだよぉ。 メ:……。 黄:そしてそっちも、もしかしたら可能性あるかもみたいな目をするんじゃないんだよぉ。 【発する電波がバリケード】 メ:天使辞めたら、何になろう。 黄:期待させた分の、責任をとるんだよぉ。 月:煽るだけ煽っての肩透かしが、人格的な成長を促すとは思わんかね。 黄:知ってたけど、こいつ最低なんだよぉ。 メ:何になってもいいって、すごく素敵なことだよね。 黄:こっちとしては、その純真な瞳に耐えられそうもないので、 朱雀を配置して、すたこらさっさなんだよぉ。 【適当の無限連鎖講】 メ:冷静になって考えたら、天使以外の仕事をできるか分からない。 朱:家業を継ぐというのも、立派な選択ですよ〜。 黄:まさか、朱雀が一番大人な対応を取るとは思わなかったんだよぉ。 月:ここまで計算してた私を褒めたたえよ。 黄:さすがに、少し黙りやがれと言いたいところだけど、 結果オーライは結果オーライだから、よしとしておくんだよぉ。
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