邂逅輪廻



【口だけはプロフェッサークラス】
月:真冬に、コタツで食べるアイスの至福なことときたら。
黄:贅沢なのか、堕落なのかの判断が難しいんだよぉ。
月:文化とは、即ち生産力の余剰から生まれるもの。
 贅に過ぎることを忘れる様では、担い手としての本質を見失っていると言えよう。
黄:その、こねくり回した理屈がダメ人間の言い訳に過ぎないと分かる辺り、
 大分、こなれてきた面があるんだよぉ。


【楽しめなくなったら負け】
月:民族、国家、宗教などの人間社会に使命があるとすれば、
 それは文化を産み出すことに他ならない!
黄:ほっほー、その言葉は立派なんだよぉ。
月:私が常日頃から、アニメ視聴やフィギュアの造形に腐心しているのも、
 一翼を担えればとの想いがあるからなのだ!
黄:力強く言ってるけど、それは只の趣味であると、
 断言してしまった方が健全だと思うんだよぉ。


【ルネッサンス期からの伝統】
月:資本主義至上主義に陥り、文化育成に金を出す輩が減ったのが嘆かわしい。
黄:かと言って、共産主義が何かしらの文化を産んだ気もしないんだよぉ。
月:アレだな。結局、やりたいこと、作りたいものがあるなら、
 自分で稼ぐか、スポンサーを騙くらかすしかない訳だな。
黄:何だか、ドロドロした映画作りの舞台裏を聞いているようで、
 いかんともしがたい気分になってきたんだよぉ。


【五輪開催並のレアリティ】
月:いつの世からか、日本には貴族も富豪も居なくなり、
 残ったの成金だけなのだから致し方ない面もある。
黄:それは、中国も変わらないんだよぉ。
月:これが時代の変革期に依る一時的なものならばいいのだが、
 未来永劫続くとなると、暗澹たる気分にもなってしまう。
黄:だよぉ。
朱:お、お二方の中身が、私の知らない方に乗っ取られています〜。


【新薬は真っ先に注入】
朱:そういえば〜、水着を着た記憶がほとんどないんですよ〜。
黄:朱雀は、温水じゃないと火と相殺して消えるとかいう説があった気がするんだよぉ。
白:ってか、冷水と温水の境目って何度?
月:学術的、学術的研究の為、一度刻みで検証してみる必要があるな。
朱:わ、私は、自分の肉体を捧げる程、学問に対する覚悟はありません〜。


【限りない日常モード】
黄:そもそも朱雀の体温は七十五度なんだから、
 ちょっとくらいのぬるま湯なら、すぐ温まるのではなかろうか、なんだよぉ。
月:お風呂に入る時、ジュッて音がした記憶はないのだが。
朱:焼け石じゃないんですから〜。
白:ギリッギリ、温泉卵とか作れそうな温度ではあるよね。
朱:な、何で水着の話一つで、ここまで話があっちこっちに行くのかが分かりません〜。


【タダよりリッチはナッシング】
白:大体、何で水着の話が出てきた訳?
朱:可愛いのは、着てみたいじゃないですか〜。
月:ほぅ、全日本衣服愛好者連盟副理事である、私の血を滾らせたようだな。
朱:な、何だか、コアでニッチで、マニア好みのものを持ちだされそうな流れです〜。
黄:ちなみに、朱雀が普段着ている巫女装束は月読の見立てと仕立てで、
 水着姿の一つや二つ、謝礼の範疇みたいなものなんだよぉ。


【水着と朱雀はどこ行った】
月:まあ、私ほどの達人となると、衣装合わせをせずとも脳内で寸法を合わせられるのだがな!
黄:日本の現行法に、何一つ抵触してないことに、法治国家の限界を感じたんだよぉ。
白:これが野放しってのも、凄い話だよねー。
黄:中国なら、でっちあげとか、別件逮捕も合法みたいなものだから、
 不穏分子として処断できるんだよぉ。
白:それはそれで、多大な問題を感じる面はあるけどね。


【例外もあるはずだ】
白:子供って、三原色が好きらしいね。
朱:絵の具だと赤青黄、光だと赤青緑でしたっけ〜?
月:成程、戦隊物や少女向けヒロインがカラーリングされてるのは、そういった理由か。
朱:赤はやっぱり、いついかなる時もメインカラーですよね〜。
黄:五行の中心たる黄色をイロモノ枠にした輩は、
 八つ裂きにされても文句を言えない立場な気もしないでもないんだよぉ。


【一番人気だとは思うけど】
白:あと、何だか丸いものが好きって聞いたことある。
月:言われてみれば、子供向けマスコットは円形をベースにしているものが多い。
黄:さも大発見の様に言ってるけど、業界では常識なんだよぉ。
月:満月という、ほぼ真円が味方についている私は、最強の存在だな。
黄:日本人は満月だけでなく、十五種全ての月を愛でているはずだから、
 その論理はどうかなと、ちょっと思うんだよぉ。


【わびさび文化からは程遠い】
朱:そういえば〜、子供が甘いもの好きなのは、シンプルな原始の味覚だかららしいですね〜。
月:丸くて原色っぽくて甘い……メロンパン?
黄:大人にも、結構人気なんだよぉ。
月:でも、形はともかく、原色で甘いのは同じアメリカのお菓子には心そそられない不思議。
黄:蛍光色に慣れ親しんでないのが原因で、
 あっちの子供にはあれが自然な色に感じられるのではなかろうか、なんだよぉ。


【常識とは社会のエゴ】
月:つまるところ、子供は本能に忠実なのか。
黄:残酷な訳なんだよぉ。
朱:そ、そこは何とかいい話になりませんかね〜。
黄:純粋とは即ち善でも悪でもなく、価値観が定まっていないというか、
 頓着のない発想ができる輩だというのは、朱雀を見ていて悟ったんだよぉ。
朱:ふに?


【生物界マジヤバい】
白:初代朱雀って、どうやって生まれたの?
朱:ふに?
黄:何だいきなり、なんだよぉ。
白:いや、二百年に一度転生してリニューアルするのはいいとして、
 そんな珍妙な生態、どうやって獲得したのかな、って。
黄:海洋生物の中には、成体から幼体に戻って人生やり直す奴もいるんだし、
 そこらから着想を得たとか、そんなところなんだよぉ。
白:鳥類くらい複雑な生き物に出来るものとは考えにくいけど、
 朱雀の先祖なら有り得るかも知れない辺り凄いかもね。
朱:ふに〜。


【振り返る以前の問題】
黄:赤龍が勤続困難になったから、青龍がどっかから連れてきたのは憶えてるんだよぉ。
白:そこまでボコったの、黄龍だよね?
黄:いい女は、過去を振り返らないんだよぉ。
朱:でも、そのお陰でお仕事を得られたんですから、お礼を言うべきですよね〜?
黄:白虎も、青龍が先代白虎を誅殺したのに感謝してたから、
 まあ、それもありじゃないかな、なんだよぉ。
白:そんなこと、あったっけ?


【バラしたら台無しだけど】
青:後継の指名が無い場合、穴埋めの獲得はなぜだか私の仕事になっているんです。
朱:御先祖様は、どういった理由で採用されたんですか〜?
青:一定以上の霊力の持ち主で火属性、更には長命となると、自然に候補は限られましてね。
朱:しょ、消去法でした〜。
黄:立派な選択方法の一つではあるんだよぉ。
青:後は、三日で逃げ出しそうもないこと、最低限の挨拶ができること、清潔な身だしなみなど――。
朱:だ、段々と、アルバイトの面接みたいになってませんかね〜?
黄:どんな理由であっても選ばれることが大事であると、
 適当極まりないフォローだけはしておくのが、年長者の務めなんだよぉ。


【掘り起こし厳禁の気配】
黄:そういえば、今の朱雀に似てた気がするんだよぉ。
青:これも先祖返りと言うのですかね。
朱:偉大な始祖の名を汚さない様にしたいですね〜。
青:仕事が出来たとも、特別な業績を上げたとも言っていませんけどね。
朱:な、なんだか余計なヤブをつついてしまった様な気がしてなりません〜。


【完全に年齢制限作品】
月:全力で、ラブコメがしたい。
黄:すっげーアホが居るんだよぉ。
月:考えてみよ。日本神話と類似点が指摘されるギリシャ神話は、
 主神ゼウスのハーレムものと言えるではないか。
黄:正妻に、側室くらいまではともかくとして、娘だろうと男性であろうと手を出す作品は、
 そのカテゴリに含まれないと思うんだよぉ。


【ヘンタイは褒め言葉】
月:よくよく考えてみれば、神話なら全年齢対象というのも分からんな。
黄:千年単位で受け継がれたものを否定するのは、根性が要るものなんだよぉ。
月:源氏物語が何となく許されてるのも、そのせいか。
黄:アレもハーレムというよりは、ドロドロの愛憎劇と聞いてるんだよぉ。
月:日本人の昼ドラ好きは、伝統芸能だというのが常識だからな。
黄:ゴシップ好きは何処の大衆も大差ないけれど、
 ここまで妙ちくりんな方向に特化した連中は他に居ないのではと、
 時たま真顔で思ってしまうんだよぉ。


【日本人なら或いは】
黄:ま、一応はお嬢様なんだから、適当に格の高いのを侍らせればいいんだよぉ。
月:逆に、家柄とか財産を重視して、庶民を鼻で笑うラブコメが読みたい。
黄:売れる気がしないんだよぉ。
月:『ふーん、貴方が私を理解してくれているのは分かりました。
 ところで、家格という言葉を御存知ですか。
 そもそも、私をどうやって養ってくれますのかしら』って感じか。
黄:それでも、最終的にデレてくれるなら望みはあるけれど、
 このまま最後まで行くなら、やっぱり流行るとは思えないんだよぉ。


【意外と歴史はワンパターン】
月:ハーレム喫茶を開いたら、儲からないだろうか。
黄:お酒アリなら、いくらでも夜に開いてるんだよぉ。
月:ぐぬぬ。この私の華麗で優雅なアイディアを盗用する下衆どもめ。
黄:っていうか、下手すれば神代の前からある商売で、
 人の世の業は、あんまし変わってない気がするんだよぉ。


【月読の妄言はスルー】
朱:ケルベロスさんっていますよね〜?
月:あー、ケルちゃんね。
黄:何でフレンドリーなんだよぉ。
朱:あれって首が三つありますけど、ヤマタノオロチさんと何か関係があるんですかね〜?
月:古代のバイオテクノロジーを駆使した結果だという調査報告書は読んだことがある。
黄:しっかし、バイオという言葉がこんなにも簡単に死語になるとは、
 一世代前の方々には、とても信じられないのではなかろうか、なんだよぉ。


【あくまでも仮説の一つ】
朱:頭が三つもあると、三交代制で楽ができそうですね〜。
月:睡眠担当になったら、身体を使う機会がないな。
黄:そこは、うまいことローテーションを確立するんだよぉ。
月:というか、三つ首の朱雀を想像して、意外と違和感が無いことに驚いた。
黄:人格という意味では、代々の朱雀の集合思念体みたいなものだから、
 あながち間違ってもいない面もあるんだよぉ。
朱:し、しれっと凄いことを言われてる気がしてなりません〜。


【朱雀昆虫説到来】
朱:顔が三面といえば、阿修羅さんですね〜。
月:あいつは腕が六本あるが、足もあるから、昆虫ではなく蜘蛛の類かという。
朱:顔も腕も三倍なのに、何で足は普通なんですかね〜?
黄:本来、鳥の羽は前足の変形なのに、
 両腕を持った上で背中から羽が生えてる朱雀が言っていいことではないんだよぉ。
朱:ふに?


【昆虫全盛期の生き証人】
月:ケルベロスは、一説によると五十の首を持っているともされている。
朱:い、イメージが湧かないんですけど〜。
黄:誇大広告は、神話のお家芸なんだよぉ。
月:そういえば、阿修羅の寿命は、人間換算で九億年とも十八億年とも言われてた気が。
朱:い、一万年は生きている黄龍さんが霞んで見えます〜。
黄:物差しとして適当なものがないとはいえ、
 こう軽々しく比較対象として持ち出されるのも、なんとも言えない気分になるんだよぉ。


コント連載中



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