邂逅輪廻



【中国聖獣が言うか】
天:姉妹は、仲良くするのがあるべき姿ですよね?
黄:この遣り取り、本格的に何度目なんだよぉ。
天:大事な話は、何度しようとも、結論を出すべきなんです。
黄:では、貴国の、利子だけで小国を買い上げられる程に膨れ上がった国債、
 急激すぎる少子高齢化に依り破綻が確定事項となっている年金、
 並びに各国の領土侵攻に対する明確な答弁をお願いしてみるんだよぉ。


【猫でも分かる戦後史】
天:それは、こちらの方に置いておきまして。
黄:実に、日本の神様らしい対応なんだよぉ。
天:とりあえず、ことは穏便に、巨大な力には逆らわず、
 難しい問題には出来るだけ目を背けていくのが、正しい生き方です。
黄:何だか、凄く情けない発言ではあるのだけれど、
 この遣り口で焼け野原から先進国までのし上がってきただけに、
 本当に彼の国は謎が多いんだよぉ。


【骨の髄から日本神】
月:意見自体には賛同したいところだけど、姉さんの言うことだから、
 敢えて否定の立場を取らせて頂く。
黄:面倒くさい妹なんだよぉ。
月:生き様とは!
  常に困難な道を往き、巨悪に屈せず、
 何事にも折れることのない、強い心を持つことである!
黄:ここまで清々しい程に似合わない啖呵を聞いたことがあったかと、
 割と本気で脳内検索を掛けてしまった自分が居るんだよぉ。


【何はなくともメンソーレ】
黄:そもそも、根源的な質問をさせて貰いたいんだよぉ。
天:はぁ?
黄:貴公は、本当にこんな妹を愛していると言うのか、なんだよぉ。
月:さりげなく、凄まじい物言いだ。
天:日本には、出来の悪い子ほど可愛いという故事があります。
月:そしてこっちも、どう反応しろと言うのか。
黄:世の中、愛ほどに素晴らしい物は無いと同時に、
 愛ほど残酷なものはないという一例を垣間見たと思えば良いと思うんだよぉ。


【ボケに真顔はマジ辛い】
朱:仲良き事は美しき哉ですね〜。
黄:脊髄で物を言うのはやめるんだよぉ。
月:現実に、脊髄が何か喋ったら怖いと思うのだが。
黄:変なところに食いつきやがったんだよぉ。
天:とっさの防御反応などで、脳が指令が出すよりも早く身体が動くことがありますが、 
 これは脊髄からの信号で行われている為で、
 転じて、大して考えも無しに相槌を打ったりすることなどを表現することもあるようです。
月:ふーん。
黄:この姉妹の仲が独特なのは、フグの一件もそうだけれど、
 単に感性に絶望的な壁がある為なのではと、ちょっと思ってみたりもしたんだよぉ。


【真面目なのかヤケなのか】
月:そもそも、前提が間違っている。
朱:と言いますと〜?
月:我々はこれでも、高貴を通り越した、超越的な家柄。
  お家騒動でギスギスしている方が自然というもの。
黄:こういう手で来ましたが、返し手はどうしますか、なんだよぉ。
天:困難は、愛を更に深めるというものです。
黄:やっぱり、根本的に会話が成立していない傾向がある訳で、
 まずはここから考えてみてはどうであろうか、なんだよぉ。


【怨嗟の連鎖は途切れない】
天:昼型と夜型の生活の差で、スレ違いが生じるのは、ある程度はやむをえません。
黄:芸能人夫婦の破局みたいな言い様なんだよぉ。
月:私が、長く太陽光に当たると大変なことになるのは知っておろうに。
黄:初めて聞いた気がするんだよぉ。
月:むしろ、姉さん憎しで、そういう体質に調練した。
黄:何一つとして生産性が無い努力だけれど、
 復讐とか私怨とはそういうものだと思ってしまう自分も居るんだよぉ。


【攻撃は最大の防御論】
朱:具体的に〜、何がどうなるんですか〜?
月:こう、色々な武器が生えてくる、戦闘態勢ということで。
黄:無茶苦茶言ってるけど、日本神話っぽいんだよぉ。
月:最近のトレンドは、汎用機関銃。機銃掃射が得意技。
黄:話が一気に胡散臭くなったけれど、仮にも高位神なんだから出来そうな訳で、
 でも、だからと言って何がどうしたという訳でもないのが如何ともしがたいんだよぉ。


【時代は変われど人は人】
黄:一族郎党が力を合わせる為には、共通の敵が有効ではあるんだよぉ。
天:戦乱の世で、良くとられる手法ですね。
月:ふっ。その様な有り体の絆など、トランプタワーより脆いと、何故気付かん。
黄:とは言え、人類史そのものがこれを使い続けた結果の綱渡りみたいなもので、
 意外と有効な手段であることは否定出来ないと思うんだよぉ。


【ガラパゴス列島ニッポン】
天:つまり、黄龍さんを含めた中華全般が、私達の仮想敵になってくれるという話ですね?
黄:何でわざわざ、恋敵が当て馬になってやるみたいなドラマ展開に付き合ってやらないといけないんだよぉ。
天:家族の愛は、地球より重いから、です。
  ちなみに、重いと、想いが、掛かってます。
黄:もしかするとこの最高神、妹とだけじゃなく、世界中の殆どの相手と会話が成立しないんじゃないかと、
 少し恐ろしい考えが頭をよぎったんだよぉ。


【それはニートの特権】
月:流石は姉さん。私のことを、全く分かっていない。
朱:と言いますと〜?
月:もし姉さんと黄龍が盛大にケンカを始めたら、私はそれを煽るに決まっている。
黄:最悪に近いんだよぉ。
月:かの関ヶ原では、親兄弟が東西に分かれて、家の存続を最優先にしたところも少なくないと言う。
  私も、この高貴な家柄を残す為、泣く泣く、第三者の立ち位置を選んだというだけの話。
黄:何でこう、屁理屈だけは天才的なのか、どこかの誰かさん、解説をお願いします、なんだよぉ。


【それでもゼロよりは】
天:ここは、月読研究の第一人者である私が。
黄:単に、他に興味がある奴が殆ど居ないというだけの気もするんだよぉ。
須:そんなことは、ないけん。
理:伯母様は、絶対正義。
黄:いや、アリバイもそうだけど、こういう場合、近親者は数に入らない訳で、
 マイナーなバンドのアルバムを親戚が買い支えるみたいな話にも、似てる気がしないでもないんだよぉ。


【方向性はさておこう】
黄:基本的には赤の他人なのに、大人気な朱雀を見習うべきだと思うんだよぉ。
朱:ほ、褒められたんですか〜?
月:うむ、流石は我がマスコット。
白:え? 私の、保存食だよね?
則:何を言うておる。妾の侍女に、決まっておろうに。
黄:まー、この人気さ加減が羨望の対象になるかはまた別の話であって、
 そこら辺の匙加減は、皆々様方にお任せしようかなと思うんだよぉ。
朱:ひ、他人事だと思って、投げっぱなさないで下さい〜。


【人は神の劣化コピーなのか】
白:しっかし、姉妹愛ねー。まあ、居て困るもんでも無いけど、二百年、一人でやってきた訳だし。
窮:自然に、そこにあるのが家族ってことなのかもねー。
黄:と野良猫がほざいておりますが、御意見どうぞ、なんだよぉ。
天:猫って、母猫が目を離している隙に一匹二匹抜いたり足したりしても、
 気付かないんじゃなかったでしたっけ?
黄:たしかに、猫科の家族事情はちょっと特殊な様な気もするけれど、
 それを言ったら、鮭なんか卵だけほっぽらかして死んじゃう訳で、
 ここはあくまで、人間、或いはそれに近しい神族の価値基準でものを考えていこうかと思うんだよぉ。


【あんまし褒めてない】
則:ほぉ。人間の、家族事情、のぉ。
黄:近しい存在の中で唯一の人類な訳で、本来であらば参考にすべきなんだろうけれど、
 この全く当てにならない感じ、ある意味、凄いことなのかも知れないんだよぉ。


【屁理屈対決惨敗の模様】
玄:私と真武は、食うか食われるかの、生存競争な関係です。
真:お姉様がそう言うなら、きっとそうなんですぅ。
黄:相変わらず、無駄に出来た妹なんだよぉ。
玄:何を言ってるんですか。私達は人工知能で、ガイノイドです。
  人間や神族などの器量の問題を当て嵌めて考えること自体、浅薄というものです。
黄:いや〜、アダムが神様を模して作られてたり、
 日本人の大多数が伊邪那岐の血を引いてるところから鑑みるに、
 結局のところ、アンドロイドだって人間をモデルにしてる訳だから、充分に参考にしていいはずなんだよぉ。
玄:うぐぐ。


【朝令暮改は知性の証】
黄:と言うか、玄武は、あまりこの話に入ってきて欲しくないんだよぉ。
玄:な、何でですか。私が、機械だからですか。
  この超科学工学時代に、たかだか肉体が人工合成されているものだったり、駆動系に歯車が使われていたり、
 血の代わりにオイルが流れているというだけの理由で差別すると言うんですか。
  そもそも、生物と無生物の境目は極めて曖昧でして、
 ウィルスなど、増殖だけを使命としたプログラムに近しい存在とさえ――。
黄:とても、ついさっき人間と機械を同一視するなと言った口が喋ってるとは思えない訳で、
 その点はたしかに区別する必要性を感じないんだよぉ。


【業界用語でキャラ被り】
黄:単に、微妙に天照と玄武は物言いとか行動原理が似てて話がこんがらがりそうだから、
 ちょっと抑えて欲しいなというだけの話だったんだよぉ。
玄:げ、現実は私が思うよりも残酷でした。


【甘えたいお年頃】
天:結論は、出ましたでしょうか。
黄:そもそも、何の話だったかすら、良く憶えてないんだよぉ。
月:双子の妹は、事実上同一人物みたいなものだから、
 遺産の八割くらいは貰っても問題は無いというテーマだったはず。
黄:三つ子の真ん中が、何か言ってるんだよぉ。
須:くぅぅ。儂は、どっちの姉貴に、付けばいいんじゃい。
黄:いや、どちらを選択しても無視されるのは確定事項な訳で、
 と言うか、ここまで邪険に扱われてもめげない辺り、真性のシスコンはタチが悪いんだよぉ。


【小鳥の言葉は聞き流せ】
黄:根源的な問題として、天照大御神の知名度が、月読之命よりのそれより上回っている限り、
 嫉妬の種は尽きないんだよぉ。
天:私だって、別に好きで有名な訳じゃありません。
  父の左目から先に生まれたことが主因で後継者に任命されて、
 結果として、広く日本国に認知されてしまったのですから。
月:フォルァ!
黄:何だか、世の中、天然ボケが一番、残酷で迷惑であるという持論を、
 目の当たりにしてしまった感が、あったりなかったりなんだよぉ。
朱:ふに〜、全くもってその通りですね〜。


【いつだって扱いはぞんざい】
黄:こう、天照が上に居るから、揉める種になるんだよぉ。
  ジャンケンとか、三すくみみたいに、三角形の序列を形成すれば良いと思うんだよぉ。
月:ゲームの属性の様なものか。私が、姉さんの上に来るのであらば、文句は言わない。
黄:でもそうすると、須佐之男に負けることになるけど、それで矜持は保てるのか、なんだよぉ。
朱:さ、さりげに凄いことを言っていませんか〜?
月:姉さんに勝つ為ならば、コールタールをすすり、松ヤニだけを食べて生活する苦難をも厭わない。
朱:お、弟さんに負けるのが、それ程の苦役と比較されるのも、如何なものと思います〜。


【大事なのは積み重ね】
天:私にとって月読は可愛い妹です。その様な壁にも似た序列を付けるだなんて、とんでもない話です。
黄:月読『は』の部分に、色々なものを感じ入ってしまうんだよぉ。
須:男は、背中で語るものじゃけぇのぉ……。
朱:す、凄い哀愁です〜。
黄:とは言え、別に慰める気にも、何かフォローする気にもならない辺り、
 普段の行いや言動の影響は凄いものだなと思う訳なんだよぉ。


【イザナギにでも任せとけ】
黄:まあ、二千年もこの関係なんだから、今後も適当にやっていけば良いんだよぉ。
朱:お、おざなりすぎませんか〜?
黄:偉そうな人は責任を取れと簡単に言うけれど、
 責任を取るということは、そのものが消滅するまで見守るということであって、
 そんな大層なことは真っ平御免だから、この程度の関係が一番というものなんだよぉ。


【上意下達的発想】
天:ああ、愛してます、月読。
月:愛と憎しみは、ほぼ同質の感情だと知っているか?
須:姉貴達、睨み合ってないで、茶でも飲もうけん。
黄:カオスな空間なんだよぉ。
朱:これが日本的な家族なんですね〜。
黄:いや、まあ、それはどうかなぁと思わなくもないけど、
 じゃあ、どういうのが一般的な日本の家族かと言われると返答に困る訳で、
 偉い神様らしいから、これがサンプルってことにしておこうと思うんだよぉ。


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