邂逅輪廻



【外れ年がないワインの様】
朱:ふに〜。夏ですね〜。私の季節なんです〜。
黄:何だか、毎年言ってる気がするんだよぉ。
朱:今年の夏は、一味違うんですよ〜。
黄:何処と無く、七月中に宿題を終わらせるだとか、彼女を作るだとか、
 そういう毎年お決まりの文句も、ついでに聞いた気がするんだよぉ。


【平年並が一番】
黄:具体的に、何が起こると言うんだよぉ。
朱:そ、それは、かつてない熱波が押し寄せてくる感じで――。
黄:人はそれを異常気象と呼び、第一次産業に近い程、
 色々な影響を受ける訳なんだよぉ。


【見た目は大差無い】
白:なーつだ、なーつだ。毛皮を脱ぎたいー♪
黄:仮にも最強クラスの獣として、それもどうなんだよぉ。
白:何言ってるかなぁ。この季節は世界中の飼猫が飼い主に対して、
 『うっせ! 暑苦しいから近付くんじゃねぇよ!』
 とでも言いたげになるくらい、しんどい時期じゃない。
黄:いや、まー、その言い分も分からなくもないけど、
 だったら何で夏はもう少し薄毛になるよう進化しなかったのか、
 そこからして色々と考えさせて欲しいんだよぉ。


【淘汰論寄り発想】
白:変温動物が言うと、考えさせられるよねぇ。
黄:一長一短では、あるんだよぉ。
白:こう、寒い時は燃焼が凄くて、暑くなったら排熱完璧なシステムって出来ないのかな。
黄:まあ、余りに優れた機能が搭載されると生への執着が減る気もするから、
 この位が適度な様な感じでもあるんだよぉ。


【齢一万年の結論】
則:ほむ、喉が乾いたのぉ。茶を淹れてたもれ。
黄:自分でも、何でこの関係が続いているか、さっぱり分からないんだよぉ。
朱:友情って、素晴らしいですよね〜。
黄:ぶっちゃけた話、そんな良いものなのかと考えてしまうけれど、
 やっぱり友情なんてこんなものかも知れないと思えたりもするんだよぉ。


【碌な面子が居ねぇ】
白:友情ってか、家族寄りな気もするけど。
玄:たしかに、それは言えるやも知れません。
月:ふぁ、ふぁ、ふぁ、ファミリータイムー♪
黄:いや、あんたらに家族をどうこう語る権利があるのか、
 先ずはその裁定が先の気がしてならないんだよぉ。


【錯誤が生み出す世界の果て】
メ:……がふにえる。
朱:ふに?
メ:ん、一度、言ってみたかっただけ。
朱:結構なお点前でした〜。
黄:何と言うか、この尋常ならざる空気感、
 よもや新しい芸風が誕生するのでなかろうかと思ったけれど、
 そんな訳は無いと思い留まったんだよぉ。


【混ぜるな危険】
朱:四大天使さんって〜、有名ですよね〜。
メ:四神も、これで中々。
朱:そういえば、私はふにえるの称号を持ってましたよね〜。
メ:四大天使の一人には、ウリエルっていうのも居る。
黄:月読の時といい、何故朱雀と掛け合いを始めると落とし所が見えなくなるのか、
 ちょっと研究して提出したくなる辺り、脳がやられていると断ぜざるを得ないんだよぉ。


【立ち位置的には長老系】
玄:そういえば、そろそろ御中元の季節ではありませんか?
白:世話になった上司にプレゼントするあれ?
朱:青龍さんに、何を贈れば喜ばれますかね〜?
黄:この手の話題で、自分も麒麟も出てこない件に関して、
 悲しんでいいのか喜んでいいのか、実に微妙な心持ちなんだよぉ。


【そろそろ過労死説も】
青:下手な物品より、真面目に働いて頂けることが一番嬉しいのですがね。
白:だいじょぶ、だいじょぶ。青龍に心付けが通じるとか、最初から思ってないし。
黄:それはそれでどうなんだよぉ。
白:これは単に、どんな贈り物までなら、上司は嫌な顔をせずに受け取るかの実験だから。
朱:そ、そういう趣旨でしたっけ〜?
黄:しかしこんな面白部下を抱えて良く国が回っているなと、
 青龍の凄さを、今更ながらに実感してしまうんだよぉ。


【道理で気持ち少ないと】
青:大体、一人は莫大な借金を抱え――。
朱:ふに?
青:一人は勤続百年で未だ時給制で――。
白:うにゃ?
青:一人は支給されている俸給を先代に抑えられているというのに、無理はしないで下さい。
玄:わ、私のお給料って、そんなことになっていたんですか!?
黄:世の中、知らない方が幸せなことも多いという実例を、
 たった今、目の当たりにしてしまったんだよぉ。


【突っ込みどころが多すぎる】
青:振り込み先の変更届が、出ていませんでしたから。
黄:凄い御役所仕事なんだよぉ。
玄:い、今すぐその用紙を下さい。
青:ですが先代が存命の限り、その署名か捺印がない限り不備として扱われますよ?
黄:今の今まで気付かなかった娘も凄いけれど、平然と上前をはねる母親も凄いと、
 人生模様を覗いてしまった気分なんだよぉ。


【知恵者は万能に非ず】
ヘ:うちの娘達は、どうすればまともになる?
黄:尋常ならざる難題を、さらりと提示するんじゃないんだよぉ。
朱:ここは〜、四海に散らばるとされる百の賢者を集めて、大会議を開きましょう〜。
白:いやいや、本人不在でそんな大々的な話にされても、普通に困るってば。
黄:と言うか、仮に集まって貰えるとしても、二酸化炭素排出問題に匹敵する喧々囂々の末、
 玉虫色の決着が待っているに決まってるんだよぉ。


【誰の役にも立たない】
窮:別にいーんじゃないの。肉食動物なんだから、生きてりゃ立派なもんでしょー。
ヘ:だったら、結婚をしろ! 子孫を残せ!
黄:若干の、当て付けを感じたんだよぉ。
ヘ:いっそ、そこまで単細胞なら、分裂で増殖をしてみやがれ!
朱:そ、その言い方には、棘があると思います〜。
黄:そもそも、こんな野良猫ファミリーを増殖させることが本当に素晴らしいことなのか、
 そこから議論して然るべきかなとも思うんだよぉ。


【但し素性は野良猫】
フ:元気であれば、いいではないですか。
ヘ:娘の育て方について、父親に発言権などない。
黄:凄い偏った意見があったんだよぉ。
フ:ですが私が娘達を追い出した時、あなたは気付くのに三ヶ月掛かったじゃないですか。
ヘ:単にそこらでふらふらしてると思っただけだ。
  再会まで二百年掛かることになると、誰が想像できる。
黄:いや、もう何と言うか、ここまで来るとどっちも育てる権利については微妙で、
 そもそも一応は大人の年齢なんだから放っておいてやれば良いかなとも思うんだよぉ。


【最後はもちろん放り投げ】
朱:結論として〜、白虎さんはどうなるんですか〜?
黄:現状維持といったところなんだよぉ。
青:今日中にこの書類を、滞りなく事業所に渡せる様にしておいて下さい。
白:無理無理、こんな量、三勤一休で二週間は掛けないと出来っこないって。
へ:さて、と。今日の調練時間だな。
フ:私が課した朝のノルマをサボった様ですが、何か弁明は?
白:う、うにゃー。
黄:まあ、本人のやる気に関わらずやたらと期待されているのは幸せなのか不幸せなのか、
 今後の推移を見守っていきたいと思うんだよぉ。


【人格的に致命傷】
月:聖獣界だけでは飽き足らず、ネトゲ界でも頂点を極めようという黄龍に質問がある。
黄:その、『うまいこと言ってやったぜ』という表情がえらく不快なんだよぉ。
月:こう、ゲームをやってる時、急にやって来る客観視的感情について、思うことは無いかね?
黄:そして人に話題を振る時は、ある程度、考えを纏めてから喋りだしやがれ、なんだよぉ。


【半永久自問自答システム】
月:熱中してる時は楽しいのに、急に冷めてつまらなくなるあの現象について聞いている。
黄:最初からそう言いやがれなんだよぉ。
月:ラスダン前にセーブをして、その感情を味わいたくないが為に、
 グルグルと無駄な経験値稼ぎをして、結局はクリアしなかったあの頃。
黄:そう言えば、人の話を聞いていない訳だから、
 話を要約するとか、割とどうでも良かったんだよぉ。


【若干の結果論】
黄:ネトゲは、ミッションの類がほぼ無限にあるから、中々そうはならないんだよぉ。
月:そして、数年後に冷めて取り返しの付かない人生を送ってしまうことになる、と。
黄:こういう時だけは、半隠居の超寿命生命体であることに感謝なんかもしたくなるんだよぉ。


【弟は捨て置くとして】
天:そうですよね。テーマパークやライブに行った時も、帰宅中、急に冷める瞬間があると言いますものね。
月:……。
天:嗚呼!? 月読がまるで感情を全て捨て去ったかの様に冷たい目付きに!?
黄:こう、一瞥だけして突き放すという姿を見ていると、やっぱりお前ら仲良いだろうという考えが湧いて、
 いつしかどうでもよくなる辺りが貴子観察のコツというものの気がしてきたんだよぉ。


【あくまでも黄龍調べ】
玄:最終的に、人類は私達の様にメカニカルな身体を取得すべきではないですかね?
黄:サイエンスフィクションの世界では、むしろ手垢の付いた設定なんだよぉ。
玄:この身体であれば、腰痛の心配も無ければ、リウマチや膝痛といった関節痛の類から開放されるんですよ?
黄:そしてそんなことになったら、世の御年配方の話題の八割が消滅することになり、
 むしろ不健全社会と化すと推察されるんだよぉ。


【相違は劣性には非ず】
黄:たしかに、生き物の身体は面倒だけど、それも引っくるめて生というものなんだよぉ。
玄:私達がそちら側に行くことは無理なんですから、少しくらい歩み寄って下さい。
黄:無茶な論理を聞いたんだよぉ。
玄:むしろ身体的不自由も、頭脳の不自由も、容姿の不自由もなくなる、
 真の理想郷が待っていると言えましょう。
黄:有性生殖種が一卵性双生児を除いて全て異なる遺伝子を保有しているのは、
 環境に適応できる個を残す為であると、言うべきか否かが微妙なところなんだよぉ。


【ソフトレベルで完成】
伏:くけけー、人類みな兄弟ですわー。
黄:大真面目な話、全ての生き物は何処かで分化しているというのが通説だけれど、
 あんたらガイノイドは完全独立種なんだよぉ。
玄:な、何てことを言うんですか。
  世界でたった三人の家族だなんて――あ、いや、でもそれはそれで格好良い気も。
黄:と言うか、この思考力を持っていながら身体がメタルなことを気にしているのも、
 それはそれで小さなことの様に思えるんだよぉ。


【ブラックホール生成実験並の危険度】
亜:生命体の記憶をハードディスクに移植、ねぇ。
黄:食い付きやがったんだよぉ。
亜:何か面白そうだし、朱雀で実験してみていい?
朱:ふ、ふに?
黄:こんな奇怪な生命体の思考を増殖させようとするとは、
 貴様、実は世界を混乱に陥れる悪の科学者であろう、なんだよぉ。


コント連載中



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