【どう考えてもニセモノだし】 白:そういやさ。朱雀って、生物学的に、どこら辺に分類されんの? 黄:これはもう、『朱雀』という、特異生命体なんだよぉ。 月:私の研究に依ると、スザク亜目スザク亜科スザクモドキということで、 一応の結論が出ている。 朱:せ、生物学は分かりませんが、 とんでもない扱いを受けてることだけは把握できました〜。 【第一話に立ち返る】 月:だったら逆に、朱雀であることを証明してみよ。 朱:わ、私はお母さんの子供ですよ〜。 黄龍さんだって、生まれた時に居たじゃないですか〜。 黄:今にして思えば、ふにふに言っていた時点で、 随分と懐疑的だった訳なんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜。 【記憶の改竄に定評】 朱:そ、則天武后さんも、あの場に居ましたよね〜。 則:ほむ、そう言えば御主、一体、 いつになったら生き血を寄越すのじゃ。 朱:そ、そんな約束、した覚えは一切、ありません〜。 【哲学の領域に突入】 月:結論。朱雀が朱雀であることを立証するのは困難である。 朱:あ、悪魔の証明じゃないですか〜。 黄:口先で、月読に勝てる訳ないんだよぉ。 朱:わ、私は〜、本当に朱雀で良いんですよね〜? 黄:こうして、人は自己同一性を揺らがされ、 尊厳さえも奪われていくという話だったんだよぉ。 【宿命だから仕方無い】 朱:ふに〜。肺活量を量ってみようと思います〜。 月:これは、何か面白いことが起こる。 黄:わくわくどきどき、なんだよぉ。 朱:た、只の健康診断の一貫で、 そんなにもハードルを上げられても困ります〜。 【使えない小鳥だ】 朱:ふに〜……。 月:鳴き声だけ……だと? 黄:全く以って、朱雀には失望させられたんだよぉ。 朱:か、勝手に期待しておいて、 その言い草は流石に酷いと思います〜。 【又しても新語が】 朱:次は、握力ですね〜。 黄:ピーナッツの殻も割れない脅威の肉体で、 どれだけの数字を叩き出せるんだよぉ。 朱:ふ、ふに!? な、何故か数値が、マイナスを示しました〜。 黄:まあこの程度なら、予想の範疇というか、 さして驚くことも無いのが、朱雀玄人というものなんだよぉ。 【歩く概念クラッシャー】 月:こう、掌に握力以上の反作用が働くのでは無いか。 黄:物理学の常識を、超越しすぎなんだよぉ。 月:しかし今まで、朱雀絡みで物理学が意味を成したことがあったか。 黄:それを言われるとたしかにその通りで、 納得し掛けてしまうから困ったものなんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜。 【及第すら程遠く】 朱:ふに〜。夏ですね〜、暑いですね〜。 黄:朱夏として、そうだらけるのもどうなんだよぉ。 朱:昨今は地球温暖化の影響で、昔より暑いんですよ、きっと〜。 黄:そんな安っぽいコメンテーターみたいな意見を言われても、 夏の聖獣として、仕事をサボって良い理由にはならないんだよぉ。 【軽くデジャブが】 月:地球温暖化舐めんなよ、あぁん? 黄:別に、舐めちゃいないんだよぉ。 月:政治の腐敗も朱雀の脳が残念なのも、 地球温暖化が大きな要因であると、とある学者も認めている。 黄:何となくその学者、どこぞの五流大学の教授辺りで、 学界的にも世間的にも、歯牙にかけられていない匂いがプンプンなんだよぉ。 【それよりも飴だらけ】 朱:結局〜、私は夏の聖獣として、何をすれば良いんですかね〜? 月:そりゃもちろん、スイカ割りや、カブト虫捕り。 黄:それは小学生の所業なんだよぉ。 朱:あめ細工、わたあめ、リンゴあめと夢が広がりますよね〜。 黄:そしてそれは日本の縁日であり、 一応は中国聖獣として如何なものであろうか、なんだよぉ。 【脳構造が奇々怪々】 朱:ふに〜。扇風機は、人類の至宝ですよね〜。 黄:炎に風というのも、危険な組み合わせなんだよぉ。 月:東南の風じゃー、東南の風が吹いたぞー。 黄:いや、いきなり赤壁の戦いネタを振られても、 本当、分かる人にしか分からない訳で、 キョトンとされるのが良いところかと思われるんだよぉ。 【それには相手が悪すぎる】 朱:イノブタさんって〜、イノシシさんとブタさんの子供なんですよね〜。 黄:野趣溢れる味わいなんだよぉ。 白:私はお腹に溜まればどっちでもいい〜。 朱:す、少しは愛でてみるとか、学術的な話の方向にですね〜。 【究極の平等主義者説】 白:だって、肉じゃん。 黄:それも極論なんだよぉ。 白:哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類、肉に貴賤なんてあんまない! 黄:何となく、物凄く博愛主義者の様でいて、 まるでそうでもない様な、難しい意見だったんだよぉ。 【まるで絵の具の様】 朱:ところで〜、黄龍さんと青龍さんを交配させたら、 緑龍が産まれるんですかね〜? 黄:まるでそこらの野良猫の柄みたいに、 軽々しく言われるのも酷く心外なんだよぉ。 【争いって不毛だね】 月:朱雀に、玄武を混ぜて、黒く染めていく快感。 朱:ふに? 黄:ところがどっこい、朱雀の侵食性は黒なんかには負けず、 恐らく、玄武を染め上げて決着するとみたんだよぉ。 【何処を切ってもそんなもの】 朱:終末論って〜、つまり世の中が終わる、 最後の審判を乗り越える方法って話ですよね〜。 メ:まあ……一般論で解釈すると、そんな感じ。 黄:あくまで、キリスト教限定の話なんだよぉ。 朱:ふに〜。世界が終わるっていうのに、自分だけは助かろうなんて、 随分、図々しい話ですよね〜。 黄:その超自己中なところがキリスト教の本質であると、 良くぞ気付いたものなんだよぉ。 メ:……。 【これでも怒ってる】 月:世が終わる時は、我が月読商工会に御一報頂ければ、 シェルターくらいは用意する。 黄:何、悪徳商法に乗ろうとしてるんだよぉ。 メ:悪徳商法って……言うな。 黄:とりあえず、声の大きいことが数少ない取り柄なんだから、 幾らか荒らげても良いところなのではなかろうか、なんだよぉ。 【未知はまだまだ終わらない】 朱:この宇宙が終わるんでしたら〜、 私は世界中の木の実を食べる旅に出たいと思います〜。 黄:ある意味、有意義な終末論なんだよぉ。 朱:この広い大地を探し歩けば、 きっと見たこともないものに出会えると思うんですよ〜。 黄:いや、本当に見たことがないものであれば、 幻覚作用や中毒症状を引き起こすから、 口にしない方が無難かと思われるんだよぉ。 【厄日は万国共通説】 月:とりあえず、そんなことが起こった場合、 朱雀の魂は、倭国の黄泉に予約済みってことで。 黄:悪魔の取引みたいに、生きてる間のリターンを寄越すんだよぉ。 月:何の見返りも無く魂だけは寄越せという、天使の真似をしただけの話。 メ:何だか今日は……ボコボコ。 【朱雀を取り巻くエトセトラ】 朱:夏はやっぱり、アイスですよね〜。 黄:体温が七十五度もあるくせに、何で持った瞬間溶けないんだよぉ。 月:そりゃまー、朱雀だから。 朱:私のアイスに対する情熱は〜、物体の三態なんかに負けないんです〜。 黄:いや、情熱なんかたぎらせたら、むしろ融解が加速するのでは無かろうかと、 常識的な判断を口にしてはいけない空気が嫌なんだよぉ。 【確実に獣以下】 月:かき氷、カキ氷。 黄:頭キーンな御約束なら、余所でやるんだよぉ。 月:ふわははは。その物言い、貴様、頭キーンを感じて尚、食べ続けると、 もんどりうって倒れることを知らぬと見た。 黄:生体防御反応とは身を守る為にあると信じていたけれど、 バカには全く効果が無いようで、本当、困ったものなんだよぉ。 【この生命体どこへ行く】 朱:ふに〜。夏になっても、世の中は平和ですよね〜。 黄:脳が万年春色の輩が言って良いことなのであろうか、なんだよぉ。 月:だが、少し待って欲しい。将来的に季節が一様になると言われている訳で、 朱雀の脳は、時代の遥か先を走っていると言えるのではなかろうか。 黄:それを言うなら恐竜時代も似た様なものの訳で、 逆行しまくってるという解釈も可能なんだよぉ。 朱:ふに〜? 【何はともあれ平和です】 朱:昔って〜、暖かかったんですか〜? 黄:氷河期なら寒いんだよぉ。 月:もう既に、何が何やら。 黄:こんな会話の混沌、朱雀という生体の無秩序さに比べれば、 どうってことないのは、常識の範疇なんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜。
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