邂逅輪廻



【むしろ飲み込みやすく】
朱:一つ思ったことがあるんですよ〜。
黄:どうしたんだよぉ。
朱:ダンゴムシさんって、丸まって防御しますけど〜、
 これって虫さん相手ならともかく、鳥さん相手には何の意味もありませんよね〜?
黄:神の設計図とは、時に想像以上に残酷であると、
 つまりは、そういうことなんだよぉ。


【シュールな絵面だ】
白:むむむ。
黄:こっちはどうしたんだよぉ。
白:つまりアルマジロの防御体勢には、飲み込みで対応すれば良いってこと?
黄:そんな大蛇でも極力やりたがらない真似、
 仮にも肉食獣様が検討するのは如何なものであろうか、なんだよぉ。


【公序良俗的に考えて】
月:今、欲しい物……そうですね。姉を恐怖のどん底に叩き落せる力でしょうか。
黄:何をしてるんだよぉ。
月:見ての通り、いずれやるであろう独占インタビューに備えて予行演習を。
黄:個人の趣味についてとやかく言うつもりは無いけれど、
 それは一人になれる個室でやって貰いたいというのは、
 贅沢というものであろうか、なんだよぉ。


【幸せポイントって何だ】
月:私の様な大物を飼い殺すなんて、天下の損失というもの。
黄:また、大きく出たんだよぉ。
月:経済成長率で言うと二割、国民の幸せポイントで言うと五割引きくらい。
黄:数値的なものを出すのは自由だけれど、
 世間は偉い人のデータを余り信じていないのが、悲しい現実だと思うんだよぉ。


【白黒揃って大変だ】
白:玄武ってさ、どういう訳か、緑の印象が少なからずあるよね。
玄:全く以って不見識な話です。私のイメージカラーは黒なんです。
  闇を身に纏った聖獣なんです。
黄:その表現は果てしなくどうかと思うと同時に、
 じゃあ白虎が光の聖獣かと言われると怪しい訳で、
 結局、疑問符が尽きないということになってしまうんだよぉ。


【誰が得をするんだ】
白:私の研究だとさ。亀の背中に、苔が生えてる印象が原因じゃないかなって。
黄:凄い論理を聞いたんだよぉ。
玄:ということはですよ。カラフルな苔を生やすイメージを定着化すれば、
 レインボーカラーも夢ではないんですね?
黄:いや、それは本当に喜ばしいことなのか、
 少し立ち止まって、考え直してみた方が良いと思うんだよぉ。


【言葉は術者を選ぶ】
月:はぁ……。
黄:余り関わりたくない空気だけど、
 一応、どうしたんだと聞いておくんだよぉ。
月:ふと思う。生きていく以上、やはり未来を向いていくべきではないかと。
黄:それは正論かも知れないけれど、姉の唯一度の過ちを、
 ネチネチ言い続ける、月読が言って良いことではないんだよぉ。


【他人事モードに突入】
天:つ、月読〜。京都の老舗和菓子が手に入ったんだけど、一緒に食べない?
月:ケッ。何が盛られてるかも分からないのに、食べるアホが何処に居る。
天:え、えぐっ。
黄:まあ、人間関係で考えると絶望的だけれど、
 これはこれで、生き生きとしてるので、ありなのではなかろうか、なんだよぉ。


【事故防止機能満載】
玄:こう、何と言いますか、ブースター的な機能を搭載してください。
亜:うん、良いよ。
黄:少しは躊躇うんだよぉ。
亜:とりあえず思いついたのは、
 爆発的に胸部だけ膨れ上がるっていうんだけど、どう?
黄:いや、それはブースターとか何とか言う以前に、
 只のエアクッションじゃなかろうかと、
 ひっそりこっそり突っ込みを入れさせて貰うんだよぉ。


【放任にも程がある】
玄:成程、反動で小さくなったりもしますが、それはそれ。
  どちらの需要にも応えられる、先進的な作りなんですね。
黄:何処の誰でも良いから、このバカ母娘を全力で抑え付けてくれる、
 そんな器の大きな輩は居ないものであろうか、なんだよぉ。


【典型的捏造事案説】
玄:背中に、羽が生えるのはどうでしょうか?
メ:ん……著作権侵害反対。
黄:いつから、専売特許になったんだよぉ。
メ:それは、世界が始まってからの決まりごとうんたらかんたら。
黄:尚、天使に羽が生えたイメージが一般に流布しだしたのは、
 ルネッサンス期以降であると、ここに付け加えさせてもらうんだよぉ。


【若干の心当たり】
亜:うん、飽きた。
黄:天才の特性が発動したんだよぉ。
亜:私の就業時間は、飽きるかお腹が空くまで。
  今は、そのダブルコンボだから、論外。
黄:いや、仮にも元公務員としてその姿勢はどうかと思うけれど、
 まあ、五時に帰宅する為、四時台に片付けを始めるよりは、
 ナンボかマシの気もしないでもないんだよぉ。
白:うにゃ?


【死ぬときゃ死ぬし】
朱:朱雀健康法を開発して〜、世界に名を馳せようと思うんですよ〜。
黄:朱雀の理不尽なまでの健康っぷりは、
 一般人が真似できるものじゃないんだよぉ。
朱:そんなこと無いですよ〜。
  ちょっと気合を入れれば、二百年くらい、簡単に生きられます〜。
黄:いや、万年生きてきてアレだけど、それは単に種族的寿命の問題であって、
 気合は余り関係無いと言って良いかと思われるんだよぉ。


【機械なんぞは邪道】
朱:とりあえず〜、地上三十センチに浮いてですね〜。
黄:早くも、出来る存在が限定されてるんだよぉ。
朱:これも〜、気合と根性で何とかなるんです〜。
黄:いや、これこそ完全に種族依存能力であり、
 人類には千年、二千年掛けても到達出来てない地点なんだよぉ。


【イナゴ様舐めんなよ】
白:空飛べないなら、ジャンプすれば良いんじゃないの?
黄:一体、どの丘を飛び越える気なんだよぉ。
朱:空を飛ぶというのは〜、
 鳥類にのみ許された神聖な領域なんですよ〜。
黄:ところがどっこい、哺乳類のコウモリだって空を飛べば、
 むしろ虫の類が空の覇者と言っても、
 過言では無いかとさえ思われるんだよぉ。


【そして宇宙が平穏に】
朱:それで〜、何の話でしたっけ〜?
黄:鳥頭の、凄さを感じ入ったんだよぉ。
白:だけどちょっと待って。
  この悩みとは無縁で、ストレスレスな生活こそ、
 健康でいつまでも若い秘訣ってことじゃない?
黄:いや、何処と無く綺麗に纏めたつもりかも知れないけれど、
 朱雀の思考回路を搭載するくらいなら、
 別に長生きなんてしなくて良いというのが、
 世間一般の認識かと思われるんだよぉ。


【ウェアーイズシーゴーイング】
月:『怪奇! 国道を走る霊は実在した!!』
黄:いきなり、何なんだよぉ。
月:ボチボチ夏ということで、この手の情報を集めておこうかと。
黄:このダメ神様、己の最終形を何処に持って行きたいのか、
 恐らく、自分でも分かって無いかと思われるんだよぉ。


【貴様が言うか】
月:それにしても、時速二百キロで走る妖怪婆ぁは、心が躍る。
黄:琴線が分からないんだよぉ。
月:百円均一で、掘り出し物を見付けた時に肉薄。
黄:それにしても、庶民臭いというか、所帯じみてるというか、
 仮にも一国の高位神がそれで良いのかと思ってしまうんだよぉ。


【出まかせに乗っちゃった】
朱:月読さんは〜、日本という国に於ける奔放の象徴なんですよ〜。
月:とにもかくにも、象徴という表現が気に入った。
黄:こんな象徴、三日もたずに陥落するんだよぉ。
月:その短い天下こそ、むしろ安定政権を作るより名を残せる法則。
黄:明智光秀、項羽、ハンニバル、成程、たしかに、儚く散っていった面々も、
 それなりに名を知られている気がしないでもないんだよぉ。


【目指せ世界の口先王】
月:『恐怖! 地球温暖化で迫る、四万十川逆流の危機!』
黄:何だか、やっつけ仕事のタブロイド紙っぽくなってきたんだよぉ。
月:最終的には、道楽で一紙を経営できれば良いかなって思う。
黄:まあ、昨今の報道機関なんて、月読程度の気紛れで書き殴ってるから、
 止める気はサラサラ無いんだよぉ。


【近代的野良猫ホイホイ】
フ:グルァァァ!
月:うむ、いつものことながら何という野生。
  飼い慣らしたいものだ。
黄:何を無茶苦茶言ってるんだよぉ。
月:何はともあれ、姉さんの家に生肉でも置いておこう。
黄:何という迷惑極まりない嫌がらせ、
 これはもう、姉妹の確執というレベルを遥かに越えているんだよぉ。


【とりあえず捨て置こう】
白:だけどさ、変じゃない?
黄:何がなんだよぉ。
白:生肉って言うからには、生きてる肉ってことなのに、
 どっからどー見ても、死骸の断片だよね?
黄:いや、まー、何と言うか、少なくても焼肉や燻製肉よりは生きてる状態に近い訳だから、
 何とか妥協して頂けませんか、なんだよぉ。


【極悪非道のその先に】
ヘ:てめぇらに、特殊任務だ。
  どっかの偉い神さんの家に、肉が転がってるらしい。
  全て回収するように。
白:らにゃー!
月:うわー。まさかこんなことになるなんて、思ってもみなかったー。
黄:今後、幾千年と生きようとも、これ程までに白々しい発言は聞かないであろうと、
 自信を持って言える自分が居るんだよぉ。


【悪意は天意を凌駕する】
フ:グルァ、ドルァァ!
ヘ:くぉら、このバカ! 一人で食い散らかしてどうする!
天:え? え?
  な、何で私の家で、凶暴な男が暴れているんですか?
月:人、これを天災と呼ぶ。
黄:いや、どっからどう見ても人災というか、神災で、
 これを故意犯と呼ばずして、一体、何と呼べば良いのであろうか、なんだよぉ。


コント連載中



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