邂逅輪廻



【白虎だらけの中国大会】
猫:なーご。
黄:相変わらず、朱雀の飼い猫の白虎は、ふてぶてしいんだよぉ。
白:その名前、いい加減に変えない?
月:名前には、名付けた人の想いが宿っているから、軽々に変えてはダメ。
黄:とは言え、白くて猫科なことが由来な訳だから、
 白虎の家族全員が白虎になってしまう理屈ではあるんだよぉ。


【罵り合って堕ちてゆく】
猫:うなーご。
黄:それにしても、数年しか生きてないくせに、
 何でこんなに大物然としているんだよぉ。
月:全く、一万年生きても、嫉妬深い小物マムシも居るというのに。
黄:二千年も生きてイタズラをやめられない、
 子供神様が言うことでもないんだよぉ。


【比較対照に難がある】
猫:ぬあぁうふ。
朱:そ、それにしても、縁側から動きませんね〜。
黄:この場所、何か未知の力が働いてるとしか思えないんだよぉ。
月:おのれ、私の憩いの場を奪うとは何たること。
  貴子の力、見せてくれるわ。
黄:そしてたった今、月読より、この何の力もない白猫の方が、
 器が大きいことが確定してしまった訳なんだよぉ。


【幾ら何でもそれはない】
猫:くぅあぁ。
朱:の、伸びをしました〜。
月:これは、散歩に出掛ける前準備と見た。
猫:うなー。
黄:と思ったら、姿勢を変えただけだったんだよぉ。
月:こやつ、もしや朱雀より次の行動が読めないのではなかろうか。
朱:ふに〜?


【立場的には黄龍寄り】
猫:なーご。
メ:……。
猫:……。
黄:あそこは、何で見詰め合ってるんだよぉ。
月:何でも、根負けするのを待ってるとか何とか。
黄:平和主義的というか、暇人というか、熾天使というのは、
 他にすることは無いのかと問いたいところなんだよぉ。


【重役出勤の更に上】
メ:結局……どいてくれなかった。
黄:日が暮れるまで、御苦労様だったんだよぉ。
メ:明日こそは、何とか。
黄:いや、流石に明日は職場復帰しないと、
 弟辺りが泣き出しても文句は言えないところだと思うんだよぉ。


【心理的には鍔迫り合い】
月:という訳で、対猫戦に於ける最終兵器を出そうと思う。
黄:何だか、大仰な話になってきたんだよぉ。
月:そう。この猫缶を開ける音を聞かせれば、
 大抵の輩はこちらにまっしぐら――。
猫:……。
月:何、この、無視されることが最大限の屈辱になる展開。
黄:表現するなら、猫を小馬鹿にした行動が、
 そっくりそのまま刃となって返って来たというのが、
 正しいところではなかろうか、なんだよぉ。


【淘汰と特化がされた先】
朱:うちの白虎は〜、特定の銘柄じゃないと反応しないんですよ〜。
月:何それ。奴は缶が開く音を、聞き分けてるとでも?
黄:凄い様で、無駄な高位能力なんだよぉ。
白:いや、私、獲物を見たら味が何となく分かるし、
 猫科には普通に備わってる能力なんじゃないの?
黄:生命の神秘とは、この様な時の為に使う言葉じゃなかろうかと、
 実に投げ槍な気分で、言ってみたりするんだよぉ。


【敵が無くては生きられぬ】
猫:のわーご。
白:何か、この猫を力づく以外で動かしたら勝ちって話を聞いたんだけど。
黄:いつから、北風と太陽的なゲームになってるんだよぉ。
月:そんなルールが無くとも、先程の屈辱、忘れるものか。
黄:いや、勝手にケンカを売って負けただけで、
 そこまで気合を入れられるのも筋違いかと思われるんだよぉ。


【働かなくとも腹は減る】
月:とりあえず基本に則り、毛糸を垂らしてプラプラ。
黄:これは、狩猟本能が刺激されるんだよぉ。
猫:……。
月:何、この、つまらなそうなものを見る瞳。
朱:この子は〜、こういう遊びに、とんと興味が無いんです〜。
黄:でっぷりとした貫禄は風格が生み出したものかと思ったけれど、
 もしや運動不足が主因なのではと、仮説を立ててみたんだよぉ。


【チキンレースで大惨敗】
白:うにゃ、うにゃにゃ、うにゃにゃにゃにゃー!
黄:そして大きい野良猫さん、御約束ありがとうなんだよぉ。


【むしろこっちが野生寄り】
月:こうなれば、ナチュラルパワーを見せ付けてくれる。
黄:何が始まるんだよぉ。
月:なぁに、更に基本に立ち返り、道端に生えてる猫じゃらしを――。
白:うにゃ、うなー!
黄:どうやら完全にスイッチが入ったみたいで、
 もう、どうあろうと、妨害しかされないかなと思われる訳なんだよぉ。


【賠償請求したろうか】
猫:まーお。
天:誰かを特定の場所から動かしたいなら、ドンチャン騒ぎが一番です。
黄:何処かで聞いた気がする話なんだよぉ。
月:ええい、腹が立つ、酒だ、酒持ってこい!
黄:尚、うちに置いてあったはずの酒は、
 このままだと妹さんが一人で飲み尽くす勢いなんだよぉ。


【普段の面影は何処に】
月:ういっく。
黄:猫に負けたくらいで、自棄酒というのもどうなんだよぉ。
月:うるちゃい。きちゃまに、このくるちちゃがわかるか!
黄:それにしても、酒が入るとここまで呂律が酷いことになろうとは、
 一体、誰が思ったであろうか、なんだよぉ。


【現金激安特価品】
天:ほぅら、楽しいですよー。踊り子さんですよー。
黄:考えてみれば、天照が舞うというのも珍しいんだよぉ。
白:ちょっとバカっぽく見えるけどね。
月:あはは。ばーか、ばーか、バカ姉ちゃん。
黄:ところでこの酔っ払い、そろそろ普段以上に邪魔臭くなってきたから、
 誰か安値で引き取って欲しいところなんだよぉ。


【抑えが利かない機関車か】
猫:うくぁ……。
天:な、何ですか。この、人を小馬鹿にしたかの様な視線は。
黄:多分、実際に呆れてるんだよぉ。
月:にゃはははは。姉ちゃんも、苦ちめー。
黄:何にしても、月読と酒の相性は限りなく最悪に近い、
 その事実だけは、揺るがないことを学んだんだよぉ。


【死亡フラグで家が立つ】
ヘ:智略と言えば、私の出番だな。
黄:白猫の親玉まで湧いたんだよぉ。
ヘ:それにしても猫一匹に苦戦するとは、
 まだまだ戦術屋の仕事は、無くなりそうもないな。
黄:今の発言、何処となく噛ませ犬になる布石の様だけれど、
 皆さん、どの様にお考えであろうか、なんだよぉ。


【軍師的大盲点】
ヘ:先ずは猫の天敵、掃除機だ。
  大音量を鳴り響かせれば、恐れおののくに違いない。
黄:意外と、真っ当な戦法なんだよぉ。
ヘ:さぁ、とっとと、持ってきてもらおうか。
黄:尚、我が家にその様な文明の利器は存在せず、
 ハタキと雑巾が主戦力だったりする訳なんだよぉ。


【偏見こそが生存術】
ヘ:この家の、文化程度を計算していなかったのが問題だったか。
黄:掃除機一つで、酷い言われようなんだよぉ。
ヘ:私の中では、掃除機の有無が先進的か否かの境目だ。
黄:その偏った視点が、軍師的生活にとってどの様に有効なのか、
 レポートとして提出して欲しい気分なんだよぉ。


【手近で手頃だったので】
ヘ:なぁに。大音量を出せるのは掃除機だけじゃない。
黄:何という、当たり前の台詞なんだよぉ。
フ:ところで、私は一体、どういった用件で呼び出されたのでしょうか。
黄:それにしても、自分の旦那を騒音発生器として利用する精神は、
 非情と言うべきか、判断に困るところなんだよぉ。


【意訳すると『やかましいわ、ボケ!』】
フ:グルァァァ!
猫:ふー!!
黄:いやはや、よもや世界屈指の狂獣であるフェンリルに、
 そこらの猫がケンカを売るとは、誰も思わなかったであろう、なんだよぉ。


【公務員生活終了宣告】
黄:何にしても、これ程の大物であれば次代の白虎は決まったも同然で、
 安心して引退が出来るというものなんだよぉ。
白:うにゃ?


【女帝の肩書き伊達じゃない】
則:ほむ。たしかに、獣にしては良い面構えよの。
猫:なーうぉ。
黄:不遜で不敵で、不穏の親玉まで湧いたんだよぉ。
則:こやつであれば、召抱えてやっても構わぬわ。
黄:それにしても、老若男女はおろか、種族さえ問わないこの姿勢、
 ある意味、懐が深い気がしてならないんだよぉ。


【当然だけど自覚無し】
猫:なーご。
黄:結局、ずっとここに居座ってるんだよぉ。
朱:こ、このまま、黄龍さんちの子になったりしませんよね〜?
黄:生憎、もう既に果てしなくふてぶてしいのが住み着いてるから、
 これ以上は、こっちからお断りしてやるんだよぉ。
則:ほぉ?


コント連載中



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