邂逅輪廻



【メイドインチャイナなのに】
玄:イジイジ。
黄:はいはい、お薬出しておくから、お大事に、なんだよぉ。
玄:何ですか、そのぞんざいな扱いは! 不貞腐れますよ!
黄:つい数秒前、負のオーラ全開で地面にのの字を書いていたのは、
 何処のどちら様だったであろうか、なんだよぉ。


【それこそ誰やねん】
玄:聞いて下さい、真武が、真武が酷いんです。
朱:どちら様でしたっけ〜?
黄:鳥頭、自重するんだよぉ。
月:まあ、ここのところ会わないというなら、我が姪、須勢理のことを忘れては――。
黄:不遇に対する不満があるなら、黒龍か赤龍のところにでも行くべきであり、
 ここに持ち込むのはやめて欲しい物なんだよぉ。


【歩くやっつけ仕事】
黄:それで、後継型で最新鋭で、
 全てが前機種を上回るハイスペックを誇る妹さんがどうしたんだよぉ。
玄:黄龍さん、私のこと、嫌いですか?
黄:事実を言っただけなんだよぉ。
亜:うーん。正直、玄武作った時は逐電する気で一杯だったからなぁ。
  後々じっくり考えてみたら、改良する余地がまだまだあったって言うか。
黄:むしろ嫌うというか、愛情に欠けているのは産みの親でなかろうかと、
 ちょっと思ってしまった自分が居るんだよぉ。


【ゴルフ業界では現役】
玄:先代、分かりました。私もパワーアップをお願いします。
朱:十万馬力が、百万馬力になるんですか〜?
黄:今時、馬力が単位なのはどうなんだよぉ。
白:折角だから、私を基準にして、一虎力ってのはどうかな?
黄:そんな、鼻から指先を一単位にした何処かの王様みたいな真似、
 この科学最新鋭の時代に通用する訳が無いんだよぉ。


【愛情は常に薄すぎて】
亜:まあ、可愛い娘の頼みだから、やれって言われればやるけど。
黄:若干、惰性を感じるんだよぉ。
亜:だけど、パソコンとかもそうだけどさぁ。
  旧型を新型並のスペックにするより、いっそ新型組んじゃった方が、
 早いし安上がりってのは良くあることなんだよね。
黄:この物言い、本当に産みの親なのか、
 誰かに判定をお願いしたい気分になったんだよぉ。


【何処の昼メロだ】
亜:そんで、何しようか? ストレートヘアーにパーマ掛けてみる?
黄:それは、美容院でも出来る仕事なんだよぉ。
亜:ちっちっち。分かってないなぁ。
 母が娘の美容を手伝うってのが良いんじゃない。
黄:そして若さに嫉妬して、髪をボロボロにする展開が、
 あったりなかったり、なんだよぉ。


【むやみやたらに高性能】
玄:とりあえず、美容に関しては後回しで良いです。
黄:美しさに関してだけは、真武に勝ってると言いたげなんだよぉ。
玄:……。
黄:それにしても、真意を口にされて気まずくなった時に視線を逸らすその仕草、
 本当に人工知能なのか疑いたくなるんだよぉ。


【むしろ強豪区説】
玄:そ、そ、そ、そんなことはなかとでごわすばい。
黄:少し落ち着くんだよぉ。
玄:ほ、ほら、私って大人の女って感じですし。
  人間で言うと女子高生くらいの小娘に取り合ってられないって言いますか。
黄:その年齢層は、それはそれで需要があることを言うべきか否か、
 ちょっくら考え込ませて欲しいところなんだよぉ。


【常識的な結論】
亜:うーん、腕の着脱ってネタは前にやったしなぁ。
玄:――ネタ?
黄:不穏当な発言が聞こえたんだよぉ。
亜:ギャグマンガなんかだと、首が外れるのも珍しくないし、
 こう、目新しい展開って中々無いよね。
黄:いや、そこで笑いに固執する理由が分からない訳で、
 普通に真武に近い実装にすれば良いと思われるんだよぉ。


【直球勝負も限界で】
亜:同じ作業やるなんて、つまんなくて耐えらんなーい。
黄:超天才肌なんだよぉ。
玄:そうです。大体、真武のコピーだなんて、所詮は二番煎じじゃないですか。
  姉としての尊厳が傷付きます。
黄:元々、そんなものは無いと言ってしまったら負けだから、
 玄武のプライドを守る方法を模索してみようではないか、なんだよぉ。


【夢と希望を忘れずに】
亜:今の動力が原子力だからさ。いっそ、光子力とかに転換してみる?
黄:何処までマンガから離れられないんだよぉ。
亜:何、言っちゃってんの。現代科学者の八割強は、
 マンガ、或いはアニメが最初の切っ掛けだって調査もあるんだよ?
黄:たった今、独自調査という奴の胡散臭さを体験した訳で、
 本当にそうだとしても、サイエンス業界はもう終わりだと思わされたんだよぉ。


【見事な三方一両損】
玄:分かりました。私も、マンガを読みます。
黄:その解釈は間違ってるんだよぉ。
玄:知ってますか? かの有名なネコ型ロボットは、兄が百馬力、
 妹が一万馬力ですが、その性能差は、オイルの濃淡で生じているんです。
黄:その豆知識で得をするのか、一体、どちら様なのか、
 是非とも教えて頂きたいところなんだよぉ。


【八十年代を彷彿】
真:お母様とお姉様は、相変わらず愉快ですぅ。
黄:噂の妹さんが登場なんだよぉ。
亜:あ、真武。もう面倒だからさ。
 互いの記憶領域だけ入れ替えるってことで決着にしない?
黄:要はボディチェンジなんだよぉ。
朱:頭と頭をゴッツンするあれですね〜。
黄:今日は古めかしいマンガデーか何かなのか、
 ちょっとカレンダーを確認してしまった自分が居るんだよぉ。


【動揺率マキシマム】
真:何が悲しくて年増にならなくちゃならないのか分からないから、
 真っ平御免ですぅ。
玄:ヒクッ。
黄:あるはずのない青筋が見えた気がするんだよぉ。
玄:そ、そ、そんなことは無いですよ。私は年長者です。
  ここはどっしり、大きく構えてですね。
黄:そう言うなら、その豪快な貧乏ゆすりはやめて欲しいと、
 言ってしまうのは不遜なのであろうか、なんだよぉ。


【圧勝と言えるレベル】
朱:そういえば〜、そもそも何でこんな話になったんでしたっけ〜?
黄:何処かのメカ娘が、妹に嫉妬しただけなんだよぉ。
玄:ち、違います。
  真武が高性能なことを鼻に掛けて、尊大な態度をとるのが悪いんです。
黄:発言に、相違は無いか、なんだよぉ。
真:お姉様がそういうなら、きっとそうなんですぅ。
黄:どちらが悪いかについてはさておき、
 とりあえず器の大きさについては決着が付いた訳なんだよぉ。


【雰囲気だけは一流】
亜:いやー、うちの娘達は仲が良いよねぇ。
黄:何だか、凄いデジャブを感じたんだよぉ。
亜:ノンノン。人間、感情として、好きの反対は嫌いじゃなくて無関心。
  何だかんだ言って反応しあってる内は円満の範囲なんだよ。
黄:何処となく、プロの意見を聞いた様な気がするけれど、
 発言者がこの人なだけに、適当に違いないんだよぉ。


【ハウスルールって大事だよ】
玄:分かりました、姉としての矜持を守る為、不退転の覚悟で勝負を挑みます。
黄:いつもの流れなんだよぉ。
月:一方、私は姉としてのプライドを守る為、弟を冷たくあしらっていた。
須:姉貴ィ!
黄:兄弟姉妹関係というものは、一体、どの様な形が理想であるのか、
 肉親という観点では一人身の立場だと、さっぱり分からなくて困るんだよぉ。


【全部ぶん投げた】
白:肉♪ 肉♪ 美味しいお肉♪
窮:あー、お姉ちゃん、内臓の一番美味しい部分取ったー。
黄:まあ、あれはあれで円満な姉妹絵図に見えるから、
 結局は各家庭で勝手に何とかすれば良いかなって思うんだよぉ。


【基本的に張り子】
玄:では、真武、勝負です!
真:良く分からない展開なんですぅ。
黄:この界隈では良くあることなんだよぉ。
玄:花札でもトランプでも、好きなものを選んで下さい。
黄:しかし、どちらが優れた機体であるかを競うのに子供のゲームを選択するのは、
 既に負けを宣告しているのに等しいのではなかろうか、なんだよぉ。


【見事なまでの肩透かし】
月:古来より続くカードゲームを、児戯とは何たる暴言。
黄:戯れならともかく、良い年して熱中してるのは大きな子供なんだよぉ。
月:そー言われると、否定も出来ない訳で。
黄:頼むから、意見を言うなら一貫して欲しい訳で、
 そうコロコロ転がられると、こっちも対応に困るんだよぉ。


【後年の酒席用】
玄:ていっ!
真:やー、ですぅ。
黄:それで、何で花札でメンコをしているかを聞いておくんだよぉ。
玄:何故だか知りませんが、兄弟愛を育むにはこれが良いと、
 記憶領域の奥底から沸き上がってくるんです。
黄:むしろカードを取り合う賭博的遊戯な訳で、
 人間関係をクラッシュする方のお遊びかと思われるんだよぉ。


【比較級より最上級】
亜:おっかし〜なぁ。私が読んだマンガだと、
 竜巻スクリューとかいう技が飛び交って、最終的に握手してたんだけど。
黄:マンガから離れるんだよぉ。
亜:こうなったら、グラヴィティ・ボムの異名を持つ、
 ベーゴマ使いの物語を参考に――。
黄:どうもこの天才は頭の配線がおかしいけれど、
 身近にもっとおかしいのが居るから、目を瞑っておくんだよぉ。
朱:ふに〜?


【牧歌的姉妹風景図】
玄:ていやっ、爆裂! 縦横無尽撃ち!
真:月下! 甲竜始原固め、ですぅ。
黄:どこまでも、母娘なんだよぉ。
月:花札をメンコ代わりにするのは、罰当たりという説も。
黄:とはいえ、あれだけ楽しそうなら作った方も本望でなかろうかと、
 思わなくも無い自分が居るんだよぉ。


【何処かの日月姉妹並】
玄:はぁはぁ……しょ、勝負が付きませんでした。
真:まさか私達のパワーに耐え切れず、
 花札が散り散りになるとは、ですぅ。
黄:何処まで少年マンガなんだよぉ。
玄:勝負はお預けです。決着はいずれ。
真:返り討ちにしてやるですぅ。
黄:何だかほんの少しだけ姉妹の距離が縮まったようで、
 明日にはすっかり元通りなんだろうなと思えて、
 溜め息が留まるところを知らない訳なんだよぉ。


コント連載中



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