【何はなくとも言ってみる】 朱:ふに〜……。 白:うにゃー……。 朱:ふに。人生って〜、どうしてこうも、深遠なんですかね〜。 月:このいつも通りとも思える電波発言が、 よもやあの様な大事に発展するとは、 この時点では誰にも予想しえないのであった。 黄:相変わらず、立ち位置の見えない発言で、 場を乱すのが御得意の模様なんだよぉ。 【どう考えても異常事態】 朱:量子論の本って、面白いですね〜。 黄:明らかに、おかしいんだよぉ。 白:おかしいのは、いつものことじゃない? 黄:それもそうなんだよぉ。 朱:シュレディンガー方程式は、もっと世に知られるべきなんです〜。 月:これを見て尚、納得出来る程、私は達観している訳でも、 悟りを開いている訳でもないのであった、丸。 【同属じゃなきゃ問題無し】 黄:あの面妖な裏人格でも目覚めたのかも知れないんだよぉ。 朱:わ、私は私ですよ〜。 黄:真犯人は、とりあえずやってないって言うんだよぉ。 月:ここは、カツ丼の代わりに、親子丼でも使って尋問すべき。 朱:ちょ、鳥類に親子丼は如何かと思うんです〜。 黄:割と普通に卵料理を食べる朱雀にその台詞を言う資格はあるのか、 ちょっと難しい話になってきたんだよぉ。 【立ち位置は変わらない】 黄:それで、一体いきなり、どうしたと言うんだよぉ。 朱:何だか〜、何処かさっぱりした気分なんですよ〜。 黄:いつも脳がさっぱりのくせに、良く言ったものなんだよぉ。 月:だが少し待って欲しい。 普段、余りにも使われていない脳漿が、 数年分の鬱憤を晴らしている可能性はないだろうか。 黄:ということは、せいぜい数時間位しか持続しない、 期限付きブースターということなんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜。 【渡来人にありがち】 朱:子曰く、賢を見てはひとしからんことを思い、 不賢を見ては内に自ら省みる、なんです〜。 白:え、何これ、何処の言葉? 黄:れっきとした、中国の故事なんだよぉ。 白:私、外国の虎だから分かんなーい。 黄:この潔いまでの開き直りっぷり、評価すべきか呆れるべきか、 微妙に判断が分かれるところなんだよぉ。 【残念無念のフィルター補正】 黄:要は、賢い人を見たら師匠として参考にし、 アホの子を見たら反面教師にしろってことなんだよぉ。 月:おぉ、何という私の為の言い伝え。 黄:後者なのは言うまでもないんだよぉ。 朱:そうですよね〜。月読さんは、本当に色々と教えてくれます〜。 黄:朱雀の台詞だけを聞くと良さげな発言なのに、 相手が月読であることを考えると皮肉に聞こえる辺り、人格は残酷なんだよぉ。 【歩く教典的存在】 朱:子曰く、君子は周して比せず。小人は比して周せず、なんです〜。 白:今度は、ラテン語? 黄:この野良猫は、放っておくんだよぉ。 朱:白虎さんは〜、少し先人の教えを勉強した方が良いと思うんですよ〜。 黄:ある意味、過去の価値観を根底から崩しかねない小鳥が言うというのも、 業が深く、色々と考えさせられてしまうんだよぉ。 【解くことは不可能です】 月:たしか、偉くて賢い人は客観的かつ広い視野で判断するけど、 器の小さい人は、主観的かつ狭い価値観で物事を見るとか何とか。 黄:麒麟に聞かせてやりたいんだよぉ。 朱:麒麟さんは〜、度量以前に、思考回路が一本線過ぎると思うんですよ〜。 黄:だから、絡まりあった釣り糸より奇々怪々な思考をする朱雀が、 そういうことを言うのは、本当にどうなんだよぉ。 【所詮は猫科よ】 朱:囚人のジレンマって言うのは〜、 個として最良の選択が全体として最良の選択とは限らず、 又、それに依って個としての利益をも損なわれることの喩えなんです〜。 白:……くー。 黄:寝るんじゃないんだよぉ。 白:難しいことを考えるエネルギーがあるなら、その分は休養か攻撃に回す。 これ、私の人生哲学! 黄:一応、自称軍師の娘の発言だとは思えないけれど、 父親の血が濃いと言われれば納得出来るから、実に不思議なんだよぉ。 【一種の生体防御反応】 白:で、結局、どゆこと? 朱:例えば〜、白虎さんと窮奇さんが森へ狩りに行ったとします〜。 約束として〜、二人が狩った分、全てを山分けにするんです〜。 つまり〜、狩れば狩る程、労力に対する取り分が減る訳です〜。 ですから、一切、働かないというのが、 最も、効率の良い選択になる訳で〜。 白:ぐがー。 黄:この行動はもしや、ひょっとして脳レベルで欠損があるのではなかろうかと、 考えさせられてしょうがない自分が居るんだよぉ。 【どちらが正犯扱いか】 白:ハッ! 黄:何が、ハッ、なんだよぉ。 白:いや〜、子供の時分はそうでもなかったんだけどね。 お母さんに勉強仕込まれ始めた頃から、 どうにも難しいことは身体が受け付けなくなってさ。 黄:純粋に、遺伝子の問題かと思ったけれど、家庭環境も多分にあるとは、 人格形成とは、奥が深いものなんだよぉ。 【共同戦線は禁止ね】 白:それで、狩りに行って、働いたら負けって話だっけ? 朱:そこに〜、二人が狩った量が二倍以上開いたら、 ヘルさんに全て没収されるという項目を付けるんです〜。 狩り過ぎてもダメ、狩らな過ぎてもダメの状況で、 白虎さんはどうしますか〜? 白:うーん。そんなややこしい現場はあきらめて、 黄龍に御飯をたかるってのはどう? 黄:と、この様に、現実には第三の選択肢があることが多い訳で、 案外、こんな発想をする輩が成功するのではなかろうか、なんだよぉ。 【才能だけはそれなりに】 朱:マクスウェルの悪魔というのは〜、自由運動している分子の内、 高エネルギーのものだけを意図的に選別出来る能力者が居れば、 仕事量無しで、温度差を作り出せるという例えなんです〜。 白:ゴメン、何言ってるか分からない。 月:要は、古典力学の限界点。 白:狩りをするのに、素手や投石より、弓矢を使った方が効率良いってこと? 黄:何だか全く話が噛みあってない様で、 科学の進歩という観点では近いものがある辺り、この野良猫、侮れないんだよぉ。 【ヘレン=ケラーのお師匠さん】 朱:熱力学第二法則というのがありまして〜。 例えば、冷たいものから熱いものへ熱を移行させる場合、 代償と言ってはあれですが、エントロピーが減少するんです〜。 白:エント=ロピー? 黄:何者なんだよぉ。 朱:ふ〜に〜。一般人に学問意識を持たせるのが一流の教育者と言いますけど、 私はまだまだです〜。 黄:恐らく、白虎に学を持たせるのはサリバン先生でも無理だろうから、 気に病むことは無いと思われるんだよぉ。 【脳容量を超えてきた】 月:ここは、白虎にも分かる例えで語ってあげればいい。 黄:泥沼の予感なんだよぉ。 月:白虎と窮奇が獲物を狩るのが、仕事量。 ヘルがそれを食い荒らして、エントロピーが減少する。 これが物理学界の常識。 白:おぉ、そういうことだったんだ。 黄:ここで一見、話が噛み合ってる様に見えるのは、 捩れ切ったがゆえなのか、単に、そんな気がしてるだけなのか、 奥深いようでどうでも良い話なんだよぉ。 【井戸端的科学者思考】 朱:ふに〜。白虎さんを一人前のレディにする為、 カリキュラムを作ってきました〜。 黄:変なスイッチが入ったんだよぉ。 朱:これがいわゆる〜、母性って奴なんですかね〜? 黄:どれかというと、知的探究心、或いは下世話な好奇心と解釈した方が正しいのではと、 思ってしまう自分が居る訳なんだよぉ。 【譲れない一線】 青:何でも、朱雀が賢くなったと聞いたのですが。 黄:噂は千里を走るんだよぉ。 麒:何だと。私が一日に走る距離を、噂如きと一緒にするのか。 名誉毀損だ、取り消せ! 黄:麒麟さん、麒麟さん、あなたの怒りのスイッチは本当にそこで良いのか、 ちょっくら本気で問い質して宜しいか、なんだよぉ。 【事実歪曲は突然に】 朱:鷹と鷲の学術的な違いは〜、基本的に大きさだけなんです〜。 麒:少し論理的になっただけで、普段と余り変わらないとも言えるがな。 白:全く、これでは知性派という私の立ち位置が、輪を掛けて危うくなるじゃないですか。 青:私の声色で、妙な台詞を言うのはやめて下さい。 【白亜の巨塔的】 青:それで、どうするんですか。 黄:こっちに振られても困るんだよぉ。 月:朱雀研究家筆頭として言えることは只一つ。 運が良ければ元に戻る。悪ければそのまま。 白:いや、朱雀研究家第一人者の座は、譲らないよ? 黄:無為無策を推奨する最新鋭研究者が居てたまるかと突っ込みたいところだけど、 現実問題、学者なんてのはそんなのだらけだから困る一面があるんだよぉ。 【南を守護する神なる聖鳥】 朱:渡り鳥さんの中には〜、ほぼ地球の裏側にまで飛んでいく大物が居るんです〜。 黄:いつから、雑学コーナーになったんだよぉ。 麒:ここだけ見てると、やっぱりいつもどおりだな。 朱:宗教を信仰するというのは非論理的な活動で〜、 一民間学者として推奨出来ない行為なんですよ〜。 青:多少、小賢しくなったとはいえ、 自己の存在を平然と否定できる辺り、朱雀は朱雀のままですね。 【ほぼ親心】 朱:一般に燃えないと思われている鉄ですけど〜、 スチールウールの様に、空気を含ませれば、燃やすことも出来るんです〜。 黄:随分と、レベルが下がって来たんだよぉ。 月:まー、元が朱雀だし。 朱:私、今、実に良いことを言いましたよね〜。 黄:脳力の低下に伴い、満足度も下がっている点について、 残念な様な、ほっとしている様な、実に複雑な心持ちなんだよぉ。 【燃費的に極悪】 朱:ふ〜に〜、随分と疲れてきました〜。 月:持続時間、一時間十七分。 黄:はかないブースターなんだよぉ。 朱:何だか〜、凄く眠いんですけど、お昼寝して良いですかね〜? 黄:そして、まさかとは思うけれど、今の無意味な脳運動の影響で、 大量の休息を欲している訳ではなかろうか、なんだよぉ。 【科学界の大損失】 朱:ふに〜、ふに〜。 月:寝息が実に愛らしい。 黄:脳味噌がお天気な感想なんだよぉ。 朱:ふに〜。ついに宇宙の構造を示す方程式を解明できました〜……。 黄:常識的な反応としては、只の寝言として処理されるところだけれど、 朱雀だけに、万一の可能性を捨てきれないのが、厄介なところなんだよぉ。 【世の中そんなものだ】 朱:お騒がせしました〜。一眠りしたので、通常営業を再開できそうです〜。 黄:それはそれで、どうなんだよぉ。 月:最近、本気で思うのは、この星に生きとし生ける全ての存在の為、 朱雀は研究に回されるべきじゃなかろうかということ。 黄:建前以外で、そんな表現を聞くことになるとは思わなかったんだよぉ。 朱:わ、私は私個人の幸せを大事にしたいので、 謹んでお断りさせて頂きます〜。
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