邂逅輪廻



【父娘死闘編開演】
朱:そういえば〜、月読さん達のお父さんである伊邪那岐さんって〜、
 まだ御存命でしたよね〜。
月:いつか引導を渡す予定の、男らしい間柄。
朱:わ、渡しちゃダメですよ〜。
黄:殺伐とした関係なんだよぉ。
月:デッドオアアライブ。
  母さんが腐ってたくらいで黄泉の国から逃げ出すようなヘタレ親父には、
 これでも寛容なくらい。
黄:それは逃げ出すには充分の理由だなんて思いつつ、
 単にデッドオアアライブと言いたいだけなんじゃないかと思う訳なんだよぉ。


【過大評価のその先に】
朱:それで、どんな方なんですか〜?
月:一言で言うと、自由な人。
黄:それを月読が言うのもどうなんだよぉ。
月:私なんて、あの人から見れば子供の様なもの。
黄:いや、実際に子供だろうというツッコミはさて置き、
 そう表現されるとむしろ軽んじてしまうから不思議なんだよぉ。


【子を見れば親が分かるとか何とか】
天:父について……ですか?
黄:謎が謎を呼んでるんだよぉ。
天:そうですね。とても変わった方だというのは間違い無いです。
黄:んなこと、あんたらの父親という時点で分かってるんだから、
 もう少し有意義な情報を寄越しやがれ、なんだよぉ。


【バカの思考は一つだけ】
須:親父ぃ? 儂がお袋に会いに行こうとしたのを、邪魔した記憶しか無いのぉ。
黄:マザコン、自重するんだよぉ。
須:嗚呼……お袋。何で儂を置いて先に逝ったんじゃ。
黄:何にしてもこのパターン、そろそろ飽き飽きしてきたと言われても、
 文句は出ないところではなかろうか、なんだよぉ。


【金印辺りが妥当かな】
朱:ここまでを総合しますと〜、やっぱり、相当に変わった方みたいですね〜。
黄:変態キングダム、ニッポンのドンらしいとも言えるんだよぉ。
月:いやはや、大中華様公認とは、恐悦至極というもの。
黄:それは一体、いつの時代の外交姿勢なのか、
 ちょっと脳内年代について詳しく伺いたい気分なんだよぉ。


【基本中の基本説】
?:どうも、私が話題の中心です。
朱:ど、どちら様でしょうか〜?
月:やぁ、父さん。
朱:こ、この流れは読みきれませんでした〜。
黄:いや、この展開はむしろありふれていると、
 残念ながら、認めざるを得ない部分があるんだよぉ。


【ナノメートル単位で】
朱:あなたが伊邪那岐さんですか〜。お噂は聞いてます〜。
黄:物凄い、定型の挨拶なんだよぉ。
伊:では、その噂を一言一句違えずお教え願えますか。
朱:そ、それにつきましては〜、守秘義務に抵触する怖れがありますので、
 控えさせて頂きます〜。
黄:さしもの朱雀でも、ヘタレだの変態だの言えない辺り、
 ほんの少しくらいは、成長しているのかも知れないんだよぉ。


【後の骸に塩である】
伊:いえ、私も悔いているのです。
  如何に腐っていたとはいえ、愛する妻を見捨てたのは如何なものかと。
朱:な、長い人生、色々ありますよ〜。
黄:とはいえ、事実は変わらないんだよぉ。
伊:せめて防腐用の塩さえ持っていけば、何とかなったやも知れませんのに。
黄:たしか塩で穢れを祓うのは神道的行事だった気もするけど、
 本質的には一緒の気もするから、深く考えるのはやめたんだよぉ。


【だから敢えてのですます調】
黄:ところで、何で七三分けにスーツ、黒縁眼鏡なんだよぉ。
月:物凄い、今更感。
伊:はい、やはり日本男児たるもの、
 この様なサラリーマンスタイルが一般的かと思われまして。
黄:それは完全にアメリカ映画の見過ぎで、
 ステレオタイプという言葉を使うこと自体、
 躊躇われるというものなんだよぉ。


【社会的に撲殺】
伊:一昔前は、チョンマゲに袴姿でいたのですが、
 最近はめっきりそういう方を見なくなりまして。
黄:その手のテーマパークにでも行きやがれなんだよぉ。
伊:ハハハ。夢の国が一番、現実的なことくらい、
 若輩の私でも存じ上げているところです。
黄:何やら今、物凄く不穏当な発言を聞いた気がするけど、
 全力で以って聞き流そうと思うんだよぉ。


【偏向世界よドンと来い】
伊:おっと、申し遅れましたが、私、こういう者です。
黄:サラリーマン風にしては、名刺を出すタイミングが遅すぎるんだよぉ。
伊:一見すると凡庸である様に思えて、その実態は凄い奴というのも、
 日本では良くあるパターンです。
黄:それはあくまで漫画に良くある筋であって、
 一般社会では中々無いかと思われるんだよぉ。


【派閥争いが本業】
朱:『株式会社日の本』の相談役さんですか〜。
黄:胡散臭い肩書きなんだよぉ。
天:ちょっと待って下さい。
  ということは私、代表取締役ということですか?
月:実権を握る副社長か専務に、私はなりたい。
黄:物凄いしっちゃかめっちゃか感が伝わってくると共に、
 心の底からこんな会社には勤めたくないと思えてしょうがないんだよぉ。


【有象無象とその輩】
月:ところで、父さん。
伊:公の場では、ダディと呼びなさい。
黄:良く分からない父娘なんだよぉ。
白:それより、ここって公の場だったの?
黄:仮にも四神やら高位神がゴロゴロ居るんだから間違ってないようで、
 何だか、そんなことは皆、忘れてる気がしてならないんだよぉ。


【ニッポン終わるところだった】
月:ヘイ、ダディ。ユーのドーターのクエスチョンタイムだぜ。
黄:バカに拍車が掛かってるんだよぉ。
伊:オー、マイキティ。おめさん、何ゆうてけつかんねん。
黄:こいつら、間違いなく父娘であると確信したことはさて置いて、
 とりあえず権力の中枢が天照にあるのは、不幸中の幸いなんだよぉ。


【時代によって様々だよ】
月:父さんは、何で私ではなく、姉さんに家督を譲ったのか。
黄:恐ろしいまでの、粘着体質なんだよぉ。
月:私は、父さんの右目から産まれた。
  右が左より高位なのはよくあることで、納得のいく説明を求める。
伊:だって、左利きって、何だか格好良いじゃないか。
黄:何という適当っぷりかと思ったけれど、意外と世の歴史なんて、
 そんなものばかりだったりするから困りものなんだよぉ。


【単に関わりたくない】
伊:まあ、良いじゃないか。何だかんだで国は回っているんだから。
月:私が最高神に就いていたら、もっと良い国になっていた。
黄:凄く器が小さい言動を聞いてしまったんだよぉ。
伊:口先だけは良く動く。そんな男に、私もなりたいものです。
黄:いや、それは人格的にどうなんだと思わざるをえないけど、
 本人が満足なら放っておくのが優しさではなかろうか、なんだよぉ。


【誤差範囲扱いで】
天:だ、ダディ。たまにしか会えないのに、月読とばっかり遊んでズルいです。
伊:天照は、お姉さんなんだから我慢なさい。
黄:伝家の宝刀を抜いたんだよぉ。
天:わ、私達は双子なんですから、そういうのは無いと思うんです。
黄:今、サラリと三つ子である事実が隠蔽された気もするけど、
 あの弟だったら、特に問題は無いかなと思ったりもしたんだよぉ。


【あくまで傍観者視点】
天:大体、私が跡目を継いだのも、産まれた順番云々は関係無いじゃないですか。
朱:そう言えば〜、お兄さんやお姉さんがたくさん居ましたよね〜。
白:それじゃ、どうやって決めた訳?
天:もちろん、私が最も貴い子で、優秀だからに他ありません。
月:ほほぉ。
黄:今、姉妹に強烈無比なヒビが入った気もするけれど、
 所詮は他人の家のことなので、これも気にしないでおくんだよぉ。


【父子関係もバカなのか】
須:親父ぃ! 覚悟しさらせぇ!
伊:甘いな、我が息子よ。
朱:あ、あれって真剣ですよね〜。指で受け止めましたよ〜?
黄:しかも、宝剣クラスとみたんだよぉ。
月:いやぁ、いつものことながら、父さんの体術は見事なもの。
伊:やはり男子にとって、父親とは超えるべき壁であると、そう思いませんか?
黄:いや、ここで同意を求められても、子も居なければ、
 親の顔も憶えてない身では、答えようが無いんだよぉ。


【戦いはいつでも空虚】
月:まーまー、須佐之男。ダディは格上なんだから、そうヘコんだりしない。
須:落ち込んでなんか……ないけん。
黄:完全に抜け殻なんだよぉ。
白:まー、親に勝てない時は、諦めるのが一番だよね。
黄:その逃げの一手もどうかと思うけれど、
 たしかに、あの親達に勝ったところで、実益が無いのも事実なんだよぉ。


【夢と理想の狭間】
朱:ところで伊邪那岐さんって〜、今は御隠居さんらしいですけど、
 普段は何をされているんですか〜?
月:ニート仲間の黄龍が、この質問に反応を示した模様です。
黄:勝手に、心情を捏造しないで欲しいんだよぉ。
白:いや、食って遊んで寝るだけの生活って、
 むしろ一番、有意義だと思うんだけど。
黄:それはあくまで、野良猫の人生観であって、
 世間一般様は、そうでもないと思うのは間違ってるのか知りたいんだよぉ。


【冥利どころじゃないレベル】
伊:そうですね。テレビゲームなんかを、結構やりますよ。
月:仲間、ナカマ。
黄:ネトゲは、パソゲーなんだよぉ。
伊:やはり8ビットのレトロゲームは、世代を超えて楽しめるものだと思うんですよ。
黄:ン十年も前のゲーム機を、日本国の始祖が世紀を跨いで楽しんでいると知ったら、
 開発者は、どれ程に喜んでくれるのであろうか、なんだよぉ。


【生きながら亡者に】
伊:初期装備のまま、ラスボスを倒せる程にやりこんでいます。
黄:アホだ、アホが居るんだよぉ。
月:一方、私はチートコードを使って、ラスボスの名をアマテラスに変えていた。
黄:この似た者父娘は、隠遁生活者同士、迷惑が掛からない様、
 ひっそりと暮らして欲しいものなんだよぉ。


【むしろ楽しんでるのか】
朱:それにしても〜、随分と濃いお父さんでしたね〜。
月:そりゃまあ、姉さんの父親だから。
黄:サラリと、人のせいにしやがったんだよぉ。
月:何だかんだ言って、数え切れない程たくさんの子供達に、
 大体は顔を見せに来るんだから、良い父親なんだと思う。
黄:そこまでするなら、いっそ姉妹間の調停もやってくれれば円満だろうに、
 後、一押しが足りない辺り、本当にジャポニズムって感じなんだよぉ。


コント連載中



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