【バカ母ここに在り】 ヘ:あのアホ娘達には、未知なる力が眠っているんじゃ無かろうか。 白:うにゃ? 黄:珍しく、親バカなんだよぉ。 ヘ:そうとでも思わなければやってられるか! おい、もっと酒を寄越せ! 白:は、はい! ただ今! 黄:と思ってみたけど、蓋を開けたら只の絡み酒だったんだよぉ。 【朱雀回りは特に】 白:折角、中国に住んでるんだし、気功でも取り入れてみようか? 黄:酷い偏見があったんだよぉ。 白:はぁぁぁ。 朱:ふにふに〜。 白:……何だか、あの鳴き声一つで、全部が霧散する気がしてならないんだけど。 黄:世の中、根拠が全く無くても同意できることはあると、 今更ながらに実感させられてしまったんだよぉ。 【査定がとても難しい】 フ:いやぁ、仮にも四神と四凶の一角を任されているのですから、 立派なものじゃないですか。 黄:他に居なかっただけとは、言いづらい空気なんだよぉ。 フ:その様な場に巡り合える強運も、実力の内ですよ。 黄:たまたま先代のフェンリルをぶち殺して後釜に座った男が言うと重いのか否か、 ちょっとばかり、考え込ませて欲しい訳なんだよぉ。 【実害はさて置こう】 フ:長く生きてみると、世の中、 なるようにしかならないことが多過ぎると分かります。 黄:ちょっと同意してしまうんだよぉ。 ヘ:貴様がそんな心構えだから娘達もだな――! 黄:どうでも良いけど、他人の家で岩を持ち上げる様は、 ちょっと滑稽だと思ってしまったんだよぉ。 【答はいつでも遠過ぎて】 月:ふむ。たしかに白虎は、私の目から見ても実力を出し切れてるとは思えない。 黄:いつから評論家になったんだよぉ。 月:よぉし、ここは秘中の秘である我が催眠術を使って潜在能力を引き出し――。 黄:まあ、才能をいかんなく発揮するにしても、月読みたいに、 無駄遣いばかりしてるのとどちらが良いかについては、賛否両論、色々ありそうなんだよぉ。 【他人のフンドシ持ってくな】 月:ふ〜にふにふに〜。 黄:何の真似なんだよぉ。 月:いや、何となく効きが良くなるんじゃないかと思って。 白:イエス、マスター! 御命令を! 黄:流石、洗脳能力に関しては他の追随を許さない呪詛だけのことはあるけれど、 これはむしろ朱雀の手柄なのでは無かろうかと思ってしまったんだよぉ。 【微妙に達観】 ヘ:これは良いな。私の手駒として使わせろ。 月:面白そうなので、許可。 黄:酷い会話なんだよぉ。 白:うにゃー!? 朱:に、逃げ出しましたよ〜? 黄:ヘルへの恐怖心は催眠を上回った――唯、それだけの話なんだよぉ。 【朱雀の習性に類似】 ヘ:なぁに、実験材料はまだ残ってる。 黄:とても、母親の台詞とは思えないんだよぉ。 月:えいやっ! 窮:お母様、御世話になりました。私はこれより、お嫁に行って参ります。 黄:所詮、月読の催眠術の再現性なんてこんなもので、 混沌が混沌を呼ぶだけだから、本当に疲れて困るんだよぉ。 【何もそこまで】 青:白虎の才能……ですか? 考えたこともありませんね。 黄:酷い上司が居るんだよぉ。 青:ではあなたは、朱雀の有効な活用法について何か結論を得られましたか。 黄:それを言われると、返す言葉も無く、 唯々、土下座に近い平謝りをせざるを得ないんだよぉ。 【地味にあやつも自由人】 玄:そうですねー。とても良い人――虎でしたよー。 あんなことをする様には見えませんでしたねー。 黄:その甲高い声は何なんだよぉ。 玄:匿名で他人の評を下す時は、ボイスチェンジが必須だと先代が仰っておりました。 黄:あの蛇亀は、本当に碌なことを娘に吹き込まないと、 つくづく骨身にまで染み込ませてくれるんだよぉ。 【見えてるけど見えません】 朱:ふに〜、白虎さんですか〜。自由奔放な方ですよね〜。 黄:朱雀と月読にだけは言われたくないと思うんだよぉ。 月:いやぁ、ついに私も、そこまでの存在になったか。 黄:この場合、余り褒めていないという事実に気付いているのか触れたくないのか、 難儀で厄介な関係は今日も続くんだよぉ。 【決して零から這い上がれない】 フ:才能とかいう話より、健康であることが何より素晴らしいじゃないですか。 黄:ある意味、逃げの一手なんだよぉ。 フ:後はまあ、何かで一山当てて、イザという時に養ってくれると最高ですね。 黄:生憎、山師というのはその儲けた分を更に注ぎ込んで、 又してもすっからかんになってしまう悲しい存在なんだよぉ。 【いつしか甘噛みに】 白:とりあえず、ほとぼりが冷めるまで屋根裏で暮らすことにしたよ。 黄:本格的に野良猫なんだよぉ。 ?:チューチュー。 白:しー。うるさくしてバレたらどうすんのさ。 黄:それにしても、ネズミ退治のバイトを請け負ってた頃から見ると、 丸くなったと言うか、本格的に牙を抜かれてしまったんだよぉ。 【関与はもう飽きた】 フ:グルァ! 茶が温いぞー! 朱:ふ、ふに〜!? 白:いやぁ。こうやってコソコソ覗き込むのは、気疲れしなくていいねぇ。 黄:たしかにたまには、こっちサイドで傍観するというのも、 新鮮で面白いかも知れない訳なんだよぉ。 【類友かく集まる】 ヘ:ほぅ、随分と良い身分じゃないか。 白:う、うにゃ!? 黄:短い自由だったんだよぉ。 ヘ:そんなに私達から離れたいなら、国情が最悪な戦場にでも飛ぶか、あぁ? 黄:それにしても、下では月読とフェンリルが無駄な攻防を繰り広げている訳で、 結局、ヘルも逃げ出してきた一人なのではなかろうか、なんだよぉ。 【朱雀は逃亡済み】 ヘ:たまには、私も旦那から解放されたいんだ、文句あるか。 黄:本音が漏れたんだよぉ。 月:うりゃ! フ:グルガァ! 白:おぉっと、月読の宙返り蹴りがお父さんに入ったけど、全然、効いてない。 黄:何にしても、あの二人じゃ絶対に後片付けはやってくれないだろうなと、 こっそりひっそり溜め息を吐かせて貰うんだよぉ。 【そろそろ山の様】 月:戦って、良い汗を掻いた。 フ:それにしても、酷い荒れようですねぇ。 黄:一度、あいつらは殴るべきなんだよぉ。 ヘ:そう思うなら降りれば良い。今なら二人とも疲弊しているぞ。 黄:とても夫に対する発言とは思えないんだよぉ。 ヘ:運が良ければ、頭の線が真っ当に繋がるかも知れんからな。 黄:果たしてこれは愛と呼べるものなのか、 又しても、難題ばかりが増えていく現実があるんだよぉ。 【別の意味で難問だ】 黄:何にしても、こんな薄暗いところは目に悪いんだよぉ。 白:猫科の私達は、なんとも無いけど。 黄:瞳孔が開き過ぎなんだよぉ。 ヘ:まあ、蛇は蛇らしく、ピット器官で赤外線でも感知していろということだ。 黄:そして何で又、こんな意味の分からない発言を聞かされているのか、 誰か、朱雀にでも分かるレベルに噛み砕いて欲しいんだよぉ。 【忍で食べていけそう】 月:何となく、懐中電灯で照らしてくれる。 白:うわっ、眩しいって! ヘ:貴様、目が潰れたらどうしてくれる! 黄:それよりも何よりも、いつの間に上がって来たのか、 先ずそこから説明をして欲しいのは贅沢というものなのか、なんだよぉ。 【脳レベルは似た感じ】 フ:こちらで、懇親会ですか? 黄:狭くは無いけど、何でこんな光も届かないところに集まってるんだよぉ。 フ:猫は肌寒い時は日の当たる場所、 そして身体が火照った時は薄暗いところが大好きなんですよ。 黄:生物として、至極まともなことを言っているはずなのに、 どうにも釈然としないこの人物補正は、朱雀に酷似していると気付いたんだよぉ。 【もうやだこの生活】 黄:それでは、皆が降りてきたところで、 こうもグチャグチャになったのは誰のせいか考えてみようと思うんだよぉ。 白:うーん、やっぱお父さんじゃないかなぁ。 ヘ:どう考えても、このバカ娘のせいだ。 フ:大きな声では言えませんが、私は妻のせいだとばかり。 黄:この見事なまでの責任転嫁に、ちょっと頭がグラグラしてきたんだよぉ。 【誰か救いの手を】 朱:ふに〜。麒麟さんが青龍さんに仕事を回すのに似てますね〜。 黄:それを世間では、たらい回しと言うんだよぉ。 白:問題は、私達の仕事も、かなりの部分が青龍任せなとこなんだけどね。 黄:まあ、そこのところを頑張るのが青龍の存在意義なんだよぉ。 青:かなり、好き勝手を言われていて釈然としないのですが。 【体力は温存すべき】 白:結局、どんだけ仕事を他人に押し付けるかが社会でやってくコツだよね? 黄:凄い台詞があったんだよぉ。 フ:いやぁ、流石は私の娘です。その本質に気付きましたか。 ヘ:貴様の苦労を背負っているのが私だと、知った上での暴言だな。 黄:何だか嵐の予感がするけれど、ここまで混ぜこぜになった以上、 難しく考えるだけ損の気がしてならないんだよぉ。 【上から目線で天下獲り】 黄:かくして、野良猫では世界最強クラスの夫婦喧嘩は一応の幕となったんだよぉ。 朱:見事なお手前でした〜。 白:何で微妙に冷めちゃってるかなぁ。 黄:生きるとは戦うということ、その本質を見誤らず実践しているとは、 バカとはいえ立派なのかも知れないんだよぉ。
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