【人間界にも居る手合い】 朱:私は〜、やれば出来る子なんですよ〜。 黄:又しても、妄言を吐きやがったんだよぉ。 月:とりあえず、根拠を聞こうか。 朱:今朝起きましたら〜、何となくそんな気がしたんです〜。 黄:きっと、転生を果たすまで朱雀はこの様な状態なのであろうと、 気付いてはいるけど、目を背けてあげるんだよぉ。 【そんな神経あったのか】 黄:その頭脳はカラスを遥かに凌駕し――。 朱:ふにふに〜。 黄:空を舞う姿は朱鷺より美しく――。 朱:ふに! ふに! 黄:気品溢れる鳥類の中の鳥類である鳳凰の血族、それが朱雀なんだよぉ。 朱:こ、ここまで露骨に褒め殺されますと、流石に居心地が悪くなります〜。 【それは良いのか】 黄:ちなみに、野良猫の中の野良猫は、 白虎ということで自己完結させて貰ってるんだよぉ。 白:うにゃ? 【趣味で作った犬小屋以下か】 黄:本来持ち合わせてるスペックからすれば、現状は納得出来ないんだよぉ。 朱:わ、私に言われましても〜。 月:逆に考えよう。腕の良い大工が作った家だって、白蟻が食うことくらいある。 黄:とは言え、揺すったくらいで崩れそうなレベルには中々ならないんだよぉ。 朱:な、何だか、さりげなくとんでもないことを言われてます〜。 【ヨーヨーより遊べない】 白:朱雀の浮力は、磁力依存だって説は提唱したっけ? 朱:ふ、ふに? 黄:微妙に新しいんだよぉ。 白:ほら、だって高さは三十センチ固定だし、 これって磁石の反発力と重力が釣りあってる状態に似てない? 黄:その理屈だと、上から押し込んでもある程度は抵抗するはずなのに、 朱雀の場合、尻餅をついて終わりになるだけなんだよぉ。 【誰も彼もが毒されて】 黄:それに朱雀の場合、反転させても浮いてるんだよぉ。 朱:ふにふに〜♪ 月:いや、朱雀なら、リニアモーターカー並の超精度で、 地磁気の方を調整していたとしても信じられる。 黄:何でそんなことをしてまで浮かなければならないのかは分からないけど、 たしかに朱雀なら有り得ることだからどうしようもないんだよぉ。 【理に適ってる訳だ】 白:とりあえず、羽が飾りっていうのはほぼ確実なんだけどなぁ。 黄:鳥類として、それもどうなんだよぉ。 朱:私たちにとっての翼は〜、魂なんですよ〜。 黄:侍の刀を連想した訳だけれども、成程、竹光が多いというのも、 これなら納得出来るというものなんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜。 【一種の狼少年】 月:一つ気付いた。まだ仮説に過ぎないが、全裸になれば軽くなる分、 ちょっとは高くなるのではなかろうか。 黄:絶対に、見たいだけなんだよぉ。 朱:わ、私、急用を思い出したので失礼します〜。 黄:そして月読が言うと誰しも本気に受け取るから、 逃げ出す方も真剣にならざるを得ないというものなんだよぉ。 【五千年目の真実】 朱:やっぱり〜、フェニックスさんは永遠のライバルなんですよ〜。 黄:ふにっくすが、良く言ったものなんだよぉ。 月:たしかに、血が不老不死の妙薬になる、転生を果たすなど、 朱雀はどちらかというとフェニックス寄り。 黄:もしや鳳凰の血族というのが捏造で、実はあっち生まれだとしたら、 中華至上主義の麒麟がどんな顔をするか、ちょっと楽しみなんだよぉ。 【近くに居たからだろう】 麒:任命責任は、拾ってきた黄龍にある。 黄:どれかというと、あの腐れジジィが連れてきたんだよぉ。 月:これは良い責任の擦り付け合い。 黄:麒麟が無能なのも、月読がこんなに腐ったのも、 みんな、みーんなあのジジィの責任なんだよぉ。 月:そして、何でとばっちりを受けたのかがさっぱり分からない件。 【知らぬが仏とは良く言ったもの】 白:うーにゃ、うにゃにゃー、うにゃにゃにゃにゃにゃー♪ 黄:大体、あれだって外国産なんだよぉ。 麒:白虎は他に居ないからしょうがなく雇ってるだけだ。 他に居ればとっくに放り出してる。 白:何だか、公務員が安定してるって嘘なのかも知れないって思ったよ。 【月読之命徒然日記】 朱:ふ〜に〜、ふに〜。 月:一方、当の小鳥は、呑気な日々を享受していた。 朱:ケンカするのにエネルギーを使うのは〜、実に無駄だと思うんですよ〜。 月:世の中が全て朱雀の様になれば世界平和は容易く実現できるであろうが、 こうなるのもどうであろうかと思う私であった、丸。 【常識的結論に辿り着く】 月:朱雀の火力を使って、豪炎百烈拳を開発しようと思う。 朱:ふに〜? 黄:妙な発言を聞くのも、慣れてきたんだよぉ。 月:という訳で、ちょっと炎を貸して――。 黄:どうしたんだよぉ。 月:――熱い。 黄:今、物凄いレベルのアホを見たけど、 敢えて目を逸らしてみようかと思うんだよぉ。 【黄昏の雰囲気クラッシャー】 月:掌を、神気でコーティングして再挑戦。 黄:しなくていい努力が大好きな子なんだよぉ。 月:この上で、高速でサンドバッグを連打すると――。 ?:ふにふにふにふにふに! 月:何故だか、拳が妙な鳴き声をあげた。 黄:朱雀の炎だし、その程度の作用は、 普通にあって然るべきというのが正しい解釈なんだよぉ。 【研究なんてそんなもの】 月:では、今度は蹴りで試してみよう。 朱:す、素足で頭を踏むのはやめてください〜。 黄:本当に自由なんだよぉ。 ?:にふっ! 月:何故だか、ひっくり返った。 黄:検証材料としては貴重な気もするけど、生憎、 煮ても焼いても、世間様の役には立たないのが難点なんだよぉ。 【生き様って難しい】 ?:ふにっ! 月:ヘッドバットだと正常に鳴り――。 ?:にふっ! 月:膝蹴りだと反転する。 白:つまり、腰を境に上下の半身がキーポイントみたいだね。 黄:この情熱を、真っ当な仕事に向けてくれれば国益に寄与するであろうに、 何でこうも無駄なことばかりするのであろうか、なんだよぉ。 【世界中間管理職協会名誉会長】 朱:ふに〜……もう食べられません〜……。 月:寝ているだけで、随分と幸せそう。 黄:朱雀の脳内は、いつだって幸せそのものなんだよぉ。 朱:ふ、ふに! こ、このままでは、食べられてしまいます〜。 月:それにしても、食物連鎖の世界でも中間管理職は大変なもの。 黄:今頃きっと、青龍がクシャミを連発してるんだよぉ。 【籠の鳥そのものか】 朱:お、恐ろしい夢を見ました〜。 黄:弱肉強食の世界は、何処も非情なんだよぉ。 月:だから私が、三食昼寝付きで囲ってあげるというのに。 朱:わ、私に尊厳が無いじゃないですか〜。 黄:そんなものは始めから無いというのが定説になりつつあるのに、 何処まで抵抗するのか見ものというものなんだよぉ。 【アジア代表就任おめでとう】 月:朱雀が近々、世界天然ボケ四天王に選ばれるらしい。 朱:ふ〜に〜? 黄:何を言っているかが分からないんだよぉ。 月:貴様、北アメリカに一名、アフリカに一名、 そしてロシアの大地に燦然と輝く恐ろしき者達を知らぬのか。 黄:何だか、バトル漫画の様な展開だけれど、 天然ボケが集まったところで何も発展しないのが真実というものなんだよぉ。 【朱雀には無理な話だ】 月:しかしここで、欧州、日本、南アメリカ、豪州、 中東、インドの雄が立ち上がった。 黄:もう、しっちゃかめっちゃかなんだよぉ。 月:尚、南極大陸のペンギン聖獣は、『寒いから動きたくない』、 とのコメントを残して召集を辞退している模様。 黄:そもそもが、一人でこの中国に辿り着けるのか、 そこからして怪しすぎるんだよぉ。 【捏造は得意技】 朱:そろそろ〜、私も音頭になって良いと思うんですよ〜。 黄:果てさて、今日もお国は良い天気なんだよぉ。 月:あー、朱雀音頭で、ふ〜にふに〜。 黄:とりあえずそっちも、あたかも実在するかの様に、 奇怪な踊りを披露するんじゃないんだよぉ。 【あれはあれで大変なのに】 月:面白そうだから、私の持つ全てのコネクションを使って、 一大センセーションを巻き起こしてみせる。 黄:そんなものが、本当にあるのかという話なんだよぉ。 月:あー、オレオレ。今度、お前の番組に出させて欲しいんだけど――切られた。 黄:月読の話術は舌先三寸の詐欺師にさえ及ばない事実を、 露呈させるだけで終わってしまった訳なんだよぉ。 【神仏混交行事なのさ】 黄:大体、もう秋なんだよぉ。 朱:この際ですから〜、季節問わず踊れる新機軸でですね〜。 黄:盆踊りの意味を理解していないのが良いことかはともかく、 五行の聖獣なんだから許容範囲の気がしないでもないから困るんだよぉ。 【世界崩壊への序曲】 朱:ふ〜にふに〜。 黄:まあ、極狭い範囲で楽しむ分には、勝手にすれば良いんだよぉ。 白:ふ〜にふに〜。 フ:ふ〜にふに〜。 黄:――とは言え、感染症の如く無秩序に広がっていくリスクがあるとすれば、 ちょっとばかり、早まった気がしないでも無いんだよぉ。
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