【猫でも分かる聖書学】 朱:ミカエルさんにガブリエルさん、ラファエルさんにウリエルさん。 ふに〜。エルって何なんですかね〜? メ:ん……元々は神の意で、それが転じて神の使いという意味になったっぽい。 朱:つまり〜、課長代行、課長代理、課長補佐みたいなものなんですね〜。 メ:その表現は……ちょっと。 【自爆するのは茶飯事で】 月:まあ待ちたまえ。ここは日本神話で喩えてしんぜよう。 朱:ふに? 月:天照大神と月読之命を見れば分かるように、格としては命と大差無いとも言える。 黄:その二つを並べられると歴然たる差がある様で、 参考意見としては実に微妙と言わざるを得ないんだよぉ。 【そんな輩ばっかりですが】 朱:そう言えば〜、メタトロンさんは付いてないですよね〜。 メ:実は……日本で言う忌み名的なものが――。 朱:そちらには付いてるんですか〜? メ:あったら、私も仲間だったな、って。 黄:あれ程、着地点も見えない内に喋りだすのはやめろと言ったのに、 本当、学習能力が欠如しすぎなんだよぉ。 【そろそろ疲れてきた】 朱:閃きました〜。私も、ふにえるとなって天使さんに仲間入りします〜。 黄:何だか、ムニエルみたいなんだよぉ。 月:美味しく頂いて良いんですね。把握しました。 黄:こっちもこっちで、脊髄と本能だけの発言は控えて欲しいのだけど、 言うだけ無駄な辺りが本当に虚しいんだよぉ。 【頂けるのは名誉だけ】 メ:じゃあ……とりあえず中級三位、能天使の階級をあげる。 朱:箔が付きました〜。 黄:高いんだか低いんだかが分からないんだよぉ。 メ:どうせ人間が勝手に決めたものだから……気分で設定して良いはず。 黄:何だか、勲章や栄誉賞のばら撒きにも似た、 切ない現実を垣間見た気がしてならない自分が居るんだよぉ。 【お気楽さなら負けられない】 月:ムムム。これは能天気と能天使が掛かっていると見た。 黄:はいはい、御意見は把握しましたから、 少し大人しくして頂いて宜しいですか、なんだよぉ。 【舌先三寸良く回る】 メ:自然界の法則を司る天使だから……朱雀には良いかなって思った。 黄:その理屈だと、五行の聖獣から八百万の神様に至るまで、 殆どが能天使になるんだよぉ。 メ:大丈夫……いつかきっとリーグ戦が開かれて、入れ替えがあるはずだから。 黄:その物言いは確実に開催を見たことが無く、 又しても思い付きであることを自ら立証してる訳なんだよぉ。 【マイナスゼロもゼロ的な】 月:ちなみに、最前線で戦う天使だから、堕ちることが多いのも能天使。 朱:ふ、ふに? 黄:これは酷い情報秘匿なんだよぉ。 メ:朱雀なら……堕ちても多分、余り変わらない。 黄:それを言われると何ともはやで、返す言葉も御座いませんなんだよぉ。 朱:す、少しは否定して下さい〜。 【かなり陰寄りだしね】 メ:黄龍は……ミカエルとも良い勝負をしそうだから、 座天使くらいあげてもいい。 黄:配下扱いは御免なんだよぉ。 月:ならば私が承ろう。 黄:面白そうなことに首を突っ込む性分はさておいて、 天使界もこんな薄汚れた神様は堕天使としてしか扱ってくれないんだよぉ。 【エル最強論来襲】 朱:黄龍さん、良いですね〜。 黄:だから、承ってなんかいないんだよぉ。 朱:天使名は〜、だよぉえるで決まりですね〜。 黄:名前として明らかにふにえるより酷い訳で、 これは訴えても勝てるレベルでは無かろうかと思うんだよぉ。 【せめて名声だけでも】 朱:月読さんは〜、何エルにしましょうか。 月:私クラスであれば、発想を変えて、 唯一神エルそのものを名乗っても良いのでは無かろうか。 黄:その手の偉そうな発言は、 姉である天照を超えてから言って欲しいものだと切に願ってみるんだよぉ。 【キリストさんも大変だ】 月:ノラエルだ、ノラエルが居る。 白:うにゃ? 黄:朱雀的なネーミングなら、うにゃえるだと思うんだよぉ。 白:何だか分からないけど、食べられるものならありがたく頂くよ? 黄:人はパンのみにて生きるにあらずという言葉も、 この野良猫にとっては何の価値も無いということなんだよぉ。 【せめて混ぜろと】 朱:え〜と〜、へるえるさんですかね〜? 黄:流石にそれは、直球過ぎるんだよぉ。 月:ここは死神から取って、デスエルというのは如何か。 ヘ:お前ら、本人の前で何を話してるんだ! 【それはダメだと思う】 月:んー……ロボエル。 黄:二十五点くらいなんだよぉ。 朱:私と致しましては〜、じみえるを提唱します〜。 玄:良くは分かりませんけど、輝けるなら受け入れます! 【すっかり忘れてた】 月:――悲しき中間管理職エル。 黄:エルを付ければ良いというものでも無いんだよぉ。 青:何をしてるんですか。 月:世界総天使化計画発動中。 青:理解したくもありませので、とりあえずは実の姉弟からお願いします。 月:――ハッ! 【遊びっ放しの幼子か】 メ:ん……ちょっと天使が増えたみたいで何より。 黄:付き合っておいて何だけど、これで良いのかと思うんだよぉ。 メ:他文化圏で受け入れられる為には、妥協することも必要。 黄:ちなみに月読の場合、今が楽しいからやってるだけで、 飽きたら五秒で忘れられる特技の持ち主でもあるんだよぉ。 【形式的ツッコミ】 メ:今更だけど……ハニエルっていう天使が居る。 朱:ふに? 月:これは酷い商標権侵害。弁護士を立てて戦おう。 黄:どうどう、落ち着くんだよぉと、 余り思ってはいないけどとりあえず嗜めておくんだよぉ。 【キリスト教的着地点】 朱:私のお兄さんですかね〜? 黄:無茶を言ってるんだよぉ。 メ:この世界では、みんな神の子だから……あながち間違いでもない。 黄:そんなことを言われたら、街角で誰かに会う度、『よぉ、兄弟』 と言わなければならず、面倒すぎてしょうがないんだよぉ。 【事実だけど切ない話】 メ:ちなみにハニエルは……愛と美の天使。 月:ピクピク。 黄:反応しすぎなんだよぉ。 月:成程。日本神話に於ける、私の様な立ち位置であることは把握した。 黄:夜と冥界の女王様が何をほざきやがるかと、 この際だから面前で堂々と言わせて貰うんだよぉ。 【落としの基本は弱り目で】 朱:ふに〜。愛と美ですか〜。 黄:ある意味、ここの面子からは一番遠い存在なんだよぉ。 メ:そんなあなたに……主の愛を。 黄:だからそんな分かり易い勧誘をされても、 一万年も戦ってきたこっちには通用しないというものなんだよぉ。 【出まかせに乗っちゃった】 メ:ん……天使であるというのも難しい。 黄:何の話なんだよぉ。 メ:翼を見せないで……私を天使だと分からせるにはどうすれば良いのか。 黄:世の中、殆ど免許や許可証の提示で成り立ってるんだから、 天界承認で発行してしまえば良いんだよぉ。 メ:……ぽん。 【洗濯洗剤みたいだ】 メ:とりあえず……朱雀は仮免で。 朱:こ、これは喜んで良いんですかね〜? 黄:難しいところなんだよぉ。 朱:そ、それにこのアルファベット、 私にはふにえーるとしか読めないんですけど〜。 メ:それは翻訳に良くある発音の問題……多分。 【本心は闇の中】 メ:天使もやっぱり……合理化の時代。 黄:何だか、楽しんでる様に見えるんだよぉ。 メ:堅物のミカエルがしかめっ面をしてたのが楽しかったなんてことは無い。 黄:段々と月読辺りに感化されてきたのか素の性格か、 長年の付き合いだけど、判断に困ってしまうんだよぉ。 【天帝に似た香りが】 メ:上司に……怒られた。 黄:あっけない結末なんだよぉ。 メ:こんな面白いことを相談しないだなんて、何たる不忠義と。 黄:この親にしてこの子ありとは、こういう時に使う言葉なのではと、 しみじみ感じ入ってしまった自分が居るんだよぉ。
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