邂逅輪廻



【煙に撒くのが商売】
朱:ふに〜。聖書って、難しいですね〜。
黄:妙なことを始めたんだよぉ。
朱:何でもっと、分かり易い言葉で書かないんですかね〜?
黄:今、確実に世の経典を、片端から全否定したんだよぉ。


【聞きゃしないだろうけど】
黄:アホの子でも、何となく深く感じさせるのが経典の極意なんだよぉ。
白:何か、ビッグビジネスの匂いがするんだけど。
黄:数多の人間が同じことを考え、そして散っていったんだよぉ。
月:最たるものが国家教だなんて、この国では口に出来ない。
黄:その手の御意見は、世界の麒麟様に対してどうぞ、なんだよぉ。


【生粋のエイリアン】
朱:ですけど〜、天使さんは良いですよね〜。女の子の憧れです〜。
月:私にとっての天使は、朱雀だけ。
朱:い、いきなりそんなことを言われても困ります〜。
黄:何でいきなり話の本質に関係ない告白を出来るのか、
 本当に不思議でしょうがないんだよぉ。


【夢を壊された気分】
朱:それにしましても〜、天使さんには羽根がありますし、
 ちょっと私に似てますよね〜。
黄:天使の羽根は後世の創作であり、
 聖書の何処にもそんな記述は無いんだよぉ。
朱:ふ、ふに?
黄:人間の妄想力は、時に認識さえも捻じ曲げるというお話なんだよぉ。


【率直な感想】
白:だから、別に保険契約とか要らないって言ってるじゃん。
?:……ん。その契約じゃない。
黄:玄関先で、何をしてるんだよぉ。
?:ん……黄龍、御久し振り。
黄:メタトロン、アポ無しでやってくるんじゃないんだよぉ。
白:――誰?


【野良猫の限界点】
黄:キリスト教に於ける、契約の天使様なんだよぉ。
白:保険のオバチャンじゃないの?
黄:仮にも四神職にありながら、他に契約で連想するものは無いのかと、
 問い詰めるだけエネルギーの無駄だからやめることにしたんだよぉ。


【根本から噛み合わない】
朱:こ、この方が天使様ですか〜。
黄:格だけなら、朱雀とそこまでの差はないんだよぉ。
朱:そ、そんなことは無いですよ〜。
 天使様は、いつだって乙女の最上級なんです〜。
黄:どうにも、間違った偏見が抜けきらない様で、何ともはやなんだよぉ。


【兄弟と仲悪い】
白:具体的に言うと、社長と常務くらいの差?
黄:事務次官と局長くらいなんだよぉ。
朱:よ、余計に分からなくなってきました〜。
メ:ん……神様の前では、みんな一緒。
黄:その手の奇麗事は、先ず法王辺りに説くべきであり、
 そうすれば連中も無駄なケンカをしないで済むんだよぉ。


【身内の類ですので】
朱:ところで〜、契約の天使様って、どんな御仕事をされるんですか〜?
メ:人間の皆さんに……神様の素晴らしさを説いて契約するのが役目。
白:やっぱ、保険のオバチャンと大差無いんじゃない?
朱:せ、せめて営業部長さんって言ってあげましょうよ〜。
メ:ここの方達……面白い。
黄:全く以って恥ずかしい連中で、若干、居心地の悪さを感じてしまうんだよぉ。


【少し困ったぞ】
朱:前々から気になってたんですけど〜、
 新約聖書と旧約聖書って何が違うんですか〜?
メ:ん……新約は、キリスト以降、新たに神様と結んだ契約という意味。
黄:中東以西の宗教には、色々と派閥があるということなんだよぉ。
朱:私はてっきり〜、初版と二版の違いかと思ってました〜。
メ:それは流石に……ちょっと違う。


【新世界が見えた】
メ:神様の契約は……そう難しく考えなくても良い。
朱:スーパーのポイントカード入会くらいの気持ちで良いですかね〜。
メ:ん……そこまで噛み砕かれるのは、ちょっと。
黄:朱雀に掛かれば、世の中の全てをグチャグチャにされそうで、
 ちょっと楽しそうなんだよぉ。


【無理かも分からんけどね】
朱:でしたら〜、銀行系のキャッシュカードですね〜。
白:あれは根性要るよね。
黄:小市民ばっかりなんだよぉ。
メ:ここから……どうやって契約に持ち込んで良いかが分からない。
黄:こここそ、営業本部長の意地とキャリアの見せ所なんだよぉ。


【偉いのですよ】
朱:ふに〜? 天使さんって〜、階級があるんですか〜?
黄:基本的に、九段階なんだよぉ。
メ:あれは……人間が勝手に決めたものだから。
黄:第一級であるセラフ様が言うと、謙遜を通り越して嫌味に聞こえるんだよぉ。


【相変わらず敬意無し】
白:セラフって、どんくらい偉いの?
黄:中々に、難しい質問なんだよぉ。
白:仮に黄龍や麒麟くらいだったら、そうでもないかなって思っちゃうんだけど。
黄:それは確実に暴言であると、残念ながら評さなければならないんだよぉ。


【プチコンプレックスかね】
黄:第一級天使セラフ、又の名を熾天使と言えば、
 神の代行者とでも言うべき大物なんだよぉ。
メ:私の場合……たまたまそう生まれただけ。
黄:どうせこちとら蝮からの成り上がりで、御家柄は全然違うんだよぉ。
白:何で微妙に、やっかみが入ってるのかなぁ。


【素晴らしきダブルスタンダード】
月:ようやく、家柄で話合える友が出来そうな予感。
黄:大きい様で、小さい話なんだよぉ。
月:先祖代々、由緒正しい朱雀以外に、この気持ちは分かるまいて。
黄:考え様に依っては、
 朱雀も一代で成り上がったと言えなくもないと思うんだよぉ。


【世界なんてそんなもの】
朱:ところで〜、天使さんの階級って、やっぱり実力で決まるんですか〜?
黄:微妙に違うんだよぉ。
朱:と言いますと〜?
黄:キリスト教では、神に近しい存在ほど、
 現世への干渉力が少ないとされているんだよぉ。
朱:つ、つまり神界に引き篭もっている程、偉くなれるってことですか〜?
黄:何処となく、人間界のキャリアシステムを踏襲しているようで、
 若干の切なさを感じてしまうんだよぉ。


【適性は曖昧】
黄:メタトロンなんて、人見知りが激しくて出世したと言っても過言では無いんだよぉ。
メ:ん……それは過言。
白:人見知りする営業部長ってのも凄い気がするなぁ。


【基本的恒例行事】
麒:あー! 貴様は、メタトロン!
黄:何という説明口調なんだよぉ。
メ:麒麟……相変わらず眼鏡と帽子が似合ってる。
麒:当たり前だ。私は毎年、チャイニーズベストメガネドレッサー特別賞を受賞しているからな。
黄:それは単なる権力の濫用であると、小さな声でこっそり言わせて貰うんだよぉ。


【モンゴルの話はするなと】
メ:ところで麒麟……何でそんなに怒ってるの?
黄:いつだって、カルシウムが足りてないんだよぉ。
メ:騎馬軍団で襲ってきたことなら、私、もう恨んでない。
麒:あの件に関しては、私も被害者だ!


【朱雀終了宣告】
麒:モンゴル怖い、モンゴル怖い。
黄:悪い病気が出たんだよぉ。
朱:ふに〜。騎馬軍団なんて〜、所詮、地べたを這いずってるんですから、
 空から奇襲を掛ければ一発ですよね〜。
黄:彼らの武器はその機動力と突進力、そして短弓だっただなんて、
 残酷すぎて言えやしないんだよぉ。


【焚書坑儒から進歩無し】
麒:くそっ、屈辱だ。こうなったら欧州全土を制覇して、
 全ての歴史を改竄してくれる。
黄:このネット時代に、何を出来もしないことを言ってるんだよぉ。
麒:世界のサーバーなど全て進入してくれる。
 そんなことも出来ずに、何が大中国だ。
黄:現状を一切、把握してないのは気のせいじゃなかったと、
 今、確信を得てしまった訳なんだよぉ。


【とてもいつもの光景】
メ:ん……そういうことをされると、ちょっと困る。
麒:困るのはそっちの理屈だ。こっちは、どうということはない。
黄:酷い論理になってきたんだよぉ。
メ:軍団長ミカエルに相談して、防衛線を引かないといけない。
朱:と、とりあえず私は〜、白旗を振らせて頂きます〜。
白:私、東欧出身。フレンド、フレンド。
麒:貴様らはー!


【過労死は目前】
青:とりあえず、麒麟は宥めすかしておきました。
黄:いつも御苦労様なんだよぉ。
メ:この国で困った時は……いつでも青龍が頼み。
青:無闇と仕事を増やされるというのも、心外ではあるのですけどね。


コント連載中



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