【櫛名田もめっきり】 月:姉さんへの最終兵器として須勢理を開放して、早一年。 黄:すっかり忘れてたんだよぉ。 月:最近では、会うことさえ少ない気がするのは何故。 黄:旦那持ちは、特にやることもない伯母の相手をする程、 暇じゃないということだと思うんだよぉ。 【出来れば子供もね】 理:こんにちは。 黄:噂をすれば、なんだよぉ 理:伯母様は、ここに居る確率がとても高いと思う。 月:ぐぅぐぅ。 黄:都合の悪い発言を聞かなかったことにするのは、 愚作且つ下策であり、良い大人は真似をしてはいけないんだよぉ。 【大山鳴動しかねない】 理:少し、旦那のことで相談が。 黄:大国主神がどうしたんだよぉ。 理:どうやら、また浮気の虫が蠢いてるらしい。 黄:穏やかに見えて、額の青筋が半端無い数で、 この場に居るのが辛くさえあるんだよぉ。 【井戸端会議風味】 月:ほぅほぅ、それはそれは。 黄:声のトーンが上がったんだよぉ。 月:世の中、他人と自分の修羅場以上に楽しいことなどあるものか。 黄:そこを言い切られても、こちとら対処する術を持たないんだよぉ。 【これだから崇拝者は】 理:ダーリンと呼び掛けても、反応が今一つ。 黄:シュールな絵なんだよぉ。 月:ここは一つ、ダルゥィンと、呼び方を改めるが吉。 黄:何にしても、月読に真っ当な意見を求めること自体が無謀であると、 そろそろ、気付いて然るべきかと思われるんだよぉ。 【何よりも勢いを尊重】 理:伯母様が言うなら、やってみる。 黄:どう聞いても、進化論者なんだよぉ。 月:ダリーン。ダダーリン。 黄:完全に、言いたいだけになって、 最早、大国主神がどうでも良くなってる訳なんだよぉ。 【舌先マシンガン】 月:まあ、男というのは、そういう生き物だから。 黄:凄い突っぱねなんだよぉ。 理:そこを何とか、伯母様の百戦錬磨の経験から御教示を。 黄:吹聴とは、根拠の無い方が無制限に広がることもある、 典型的な事例を目撃してしまったんだよぉ。 【ソースは昼メロ】 月:先ず第一に、旦那のワイシャツからマーキングを確認する。 理:伯母様、うちは和装しか無い。 月:……さて、二つ目は――。 黄:この応用力の無さは、間違いなく聞き齧りの知識しかないんだよぉ。 【可視不可視の魔術師】 月:妙に優しい時も、要注意。 黄:本当に、アバウトなことしか言わないんだよぉ。 月:そういう時は、優しさで覆い被せて、罪悪感を煽るべき。 黄:残念ながら、男の無神経さは想像を上回るから、 その優しさには気付かないというのが定説なんだよぉ。 【出刃包丁の出番だな】 理:結局、私はどうすれば。 黄:騙し騙しやるか、革命を起こすかなんだよぉ。 月:民衆の生き方と、一緒。 理:日本人は革命を好まないから、適当に首を絞めていこうと思う。 黄:それが応急処置なら、革命レベルの対処法はどうなってしまうのか、 聞きたいようで聞きたくないんだよぉ。 【微妙に悟った】 理:という訳で、軽くボコボコにしてきた。 黄:まあ、夫婦問題には首を突っ込まないんだよぉ。 月:須勢理が日本で始めてディーブイに手を染めたことは、 私の中の正史では常識になっている。 黄:それが本当かはさて置いて、人が他人と生きていくのは、 かくも難しいことなんだよぉ。 【他人事で処理した】 月:言っても須勢理は私の姪だから、かなり強い。 黄:少しは、親の須佐之男に触れてあげるんだよぉ。 月:対する大国主神も、大地を司る中堅神だから、本気の夫婦喧嘩は相当のもの。 黄:家柄が良過ぎる者同志の結婚は、 こういう弊害もあって、頭痛の種になりそうなんだよぉ。 【男の責任感はこんなもの】 白:大国主神はたくさんの女神との間に子を作り、その数は、 古事記に依ると百八十柱、日本書紀では百八十一柱である、と。 朱:す、凄いエネルギーですね〜。 黄:昔は、良くあったことなんだよぉ。 月:もちろん、嫁と子の名前が一致せず、修羅場になることも茶飯事。 黄:この絶望的なまでのドロドロ感、 異質なものがあると言わざるを得ないんだよぉ。 【臭いもの的な発想】 理:私は、一人も授かってない。 白:ひょっとして、地雷だった? 黄:ひょっとしなくてもそうなんだよぉ。 理:ふ……ふふふ。フフフフフフフ。 朱:な、何故だか、禍々しいオーラを感じるんですけど〜。 黄:とりあえず鉄の箱で封じ込めて、 全てを忘れたい気分になったんだよぉ。 【何という御家自慢】 白:にしても、そんなたくさん兄弟姉妹が居ると大変だよね。 黄:ここまで来たら、現代の従兄弟くらいの感覚だと思うんだよぉ。 月:一代前が始祖なもので、公的な従兄弟が居ない私はどうすれば。 黄:さりげなく自慢が入ってる様で、 わざとらしすぎる辺りが月読だとしみじみ思ったんだよぉ。 【言葉のトリックではない】 朱:三代目の須勢理さんは〜、従兄弟が多そうですよね〜。 理:数えたことは無い。 黄:法事があったら、とんでもないことになりそうなんだよぉ。 理:イザナミお祖母様が亡くなった時、お父様はまだ生まれてなかったから。 黄:一見、有り得ないことの様に見えて、 これがまかり通る辺りが日本神話の恐ろしいところなんだよぉ。 【人類皆兄弟】 月:まあ、大国主神の浮気癖も、 須佐之男の子孫だという事実を踏まえれば納得も出来る。 白:――ん? 朱:な、何か不穏当な発言がありませんでしたか〜? 黄:嫁の櫛名田からして兄の孫だけに、 こんなことくらいで驚いてたらとても追いつかないんだよぉ。 【要は慣れだ】 白:え〜と、兄の孫を嫁にして、その間にできた七代目と娘がくっついたと。 朱:は、波乱万丈の人生ですね〜。 理:この業界では良くあること。 白:御先祖様に『娘さんを下さい』なんて言ったの、 世界の歴史で初めてなんじゃない? 黄:世の中、こちらの想像を絶するトンデモ話はあるもので、 この程度では動揺しない自分が居るんだよぉ。 【多神教的結論】 朱:ですけど〜、家族って良いですよね〜。 黄:生きた一人っ子政策が言うと重いんだよぉ。 理:同年代の友達は間違いなく親戚の私は、むしろ他人の幼馴染みが羨ましい。 黄:神族にしろ聖獣にしろ、 求める物はいつだって自分には無いものというお話だったんだよぉ。 【レポーター気取りか】 月:カゾク? ナニソレ? 明治の大名? 黄:何処から突っ込めば良いんだよぉ。 月:それが良いものだなんて発想は、 姉さんが捌いたフグに中った時、消え失せた。 黄:以上、姉妹の仲が悪い理由をハイライトでお伝えしたんだよぉ。 【長生きの極意】 月:大国主神は、姪の婿の分際で、 功績が大きいことになってるのが不満。 黄:酷いやっかみなんだよぉ。 月:須佐之男のいびりには耐えたけど、 私のそれに音を上げたのは良い思い出。 黄:何をしでかしたのか、聞きたくてもすぐに忘れるのが、 精神衛生的に良いはずなんだよぉ。 【目覚めの刻】 理:後に、伯母様の手法を踏襲してみたのも、良い思い出。 黄:聞きたくないんだよぉ。 理:だけどいつからか、旦那が喜びだしたこの不思議。 黄:何故そんな内輪の話を聞かなければならないのか、 時たま、今の自分に疑問符を感じてしまうんだよぉ。 【嘘を嘘で固めよ】 朱:大国主神さんって〜、凄い色男だって噂ですけど〜。 月:神族の外見評を、当てにしてはいけない。 黄:凄いぶっちゃけなんだよぉ。 月:イワナガヒメの醜女伝説だって、 彼女のストーカー気質を隠蔽する為の捏造。 黄:それが真実だとすると、 月読の姪御さんには碌なのが居ない気がして仕方無い訳なんだよぉ。 【カウンセラーは趣味じゃない】 理:まあ、何だかんだ言っても、私は夫を愛してる。 黄:誰が惚気ろと言ったんだよぉ。 理:おっと、万年独身の爬虫類には、ちょいと刺激が強すぎた。 黄:どうでも良いけど、その手の愚痴は肉親である月読個人に持ち込むべきであり、 こっちにまで回されるのは至極迷惑なんだよぉ。
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