【人形にも説教】 伏:くけけー。 黄:相変わらず、目付きが悪いんだよぉ。 伏:生まれつきのものに難癖をつけるなんて、 育ちというものを疑ってしまいますわー。 黄:生憎、こちとら何千年も生存競争を生き抜いた身で、 作法なんざ、何の役にも立たないことを知ってるんだよぉ。 【そんな面子ではない】 玄:あら、黄龍さん。伏龍と何を。 黄:龍族繁栄の為に、不可欠なことは何かと話し合ってたんだよぉ。 玄:それは、建設的且つ、仲が宜しくて結構ですね。 黄:お願いだから、冗談は冗談として処理してくれないと、 こちらとしても、後が続かないんだよぉ。 【猫娘は百獣の王の夢を見る】 黄:大体、何で蛇亀玄武の娘が龍なんだよぉ。 白:凄い、今更だね。 玄:世界の中心たる意味を持つ中華、日出づる国、日本と同じく、 名前には大いなる夢が籠められているんですよ。 黄:蛇はともかく、亀はどう頑張っても龍にはなれないから、 どれかと言うと、妄言なんだよぉ。 【迷走は御家芸】 玄:良いじゃないですか。どう足掻いたって、 神が創りし生あるものにはなれないんですから。 伏:けけけー。 黄:いきなり、切ない話になったんだよぉ。 亜:だけど、そこを何とか頑張ってみるのが科学者の真骨頂だよね。 黄:何でこう、話があっちこっちに行くのか、 喋ってる方も良く分からなくて困るんだよぉ。 【バカ時々秀才】 伏:くけけー。人類、滅ぼしますわー。 朱:原点回帰ですね〜。 黄:では、どの様に滅ぼすつもりか、明確に答えるんだよぉ。 伏:人類など、放っておけば、自傷にも似た殺戮によって自滅する。 我は、悠然とそれを眺めているだけで良いのだよ。 黄:誰が、この様な答が返ってくると予想しえただろうか、なんだよぉ。 【親心は割り切れない】 玄:私の娘ですから。えっへん。 黄:親バカが居るんだよぉ。 伏:生んでくれなんて、頼んだ憶えはありませんわー。 玄:はぅ!? 黄:まあ、生まれた時から反抗期な訳で、 別にショックを受けることでも無い気がする訳なんだよぉ。 【想定を超えてくる】 玄:何で世間は、この子の可愛さを理解出来ないのでしょうか。 伏:きけけー。 黄:妄言が、止まらないんだよぉ。 伏:価値というものは、人に依って無限の彩りを見せる。 絶対的価値観などというものは、むしろ滑稽であると思うよ。 黄:どうでも良いけど、このモードは何かと心臓に悪いから、 停止して欲しいと、要望だけ言わせて貰うんだよぉ。 【たまに殺意が】 伏:くけくけくくけー。 黄:調子を、取り戻してきたんだよぉ。 伏:虚無と無限の狭間にあるもの。 それこそが人類の求める至高の財……けけこー。 黄:ある意味、一日中見ていても飽きない、 奇妙奇天烈なオモチャであると言える気がしないでもないんだよぉ。 【理想は乖離する】 伏:くかかー、実は私、鳳凰に憧れてるんですわー。 黄:もう、無茶苦茶なんだよぉ。 朱:い、いえ、それほどのものでは無いですよ〜。 伏:実物がこれだと知ったら、一気に冷めましたわー。 朱:ふ、ふに〜。 黄:まあ現実とは、得てしてこういうものなんだよぉ。 【ココロの正当防衛】 伏:やっぱり中国なら、龍族ですわー。 黄:目の前に居るんだよぉ。 伏:……。 黄:……。 伏:冗談はそれくらいにしておかないと、政府に怒られますわー。 黄:今なら、糸ノコでバラバラにしても、 誰にも咎められない気がしてならない自分が居るんだよぉ。 【カツラくらいかな】 伏:けけくー、髪が伸びてきましたわー。 黄:どういうことなんだよぉ。 亜:バイオヘアーシステムを採用してるんだよ。 ヒントは、髪が伸びる呪いの人形だったかな。 黄:この凄まじい技術の実用性を、 だれか素人にも分かる平易さで説明して欲しいんだよぉ。 【良くあることです】 亜:もちろん、玄武や真武にも使ってあるよ。 伏龍は、そこからの流用だね。 玄:ええ。言われてみれば、定期的に散髪をしていますね。 黄:地味に無駄なんだよぉ。 亜:何言ってんの! 髪に再生能力なんてないから、痛んでく一方なんだよ。 定期的に全取っ替えの方が面倒じゃん。 黄:どうにも、会話が成り立ってる様で成り立ってないのが、 かなりしんどいんだよぉ。 【現実から目を逸らせ】 伏:そろそろ、プロトタイプのボディを破棄して、 動ける肉体が欲しいですわー。 玄:はい? 伏:うっせ、このババァ! 四の五の言わず、とっとと寄越しやがれ! 玄:はぅ。こ、これが噂の、キレる若者なのですね……。 黄:だから、生まれた時から反抗期だと、 何度言えば理解出来るんだよぉ。 【見て見ぬ振りかも】 黄:大体、動けるようになって、どうするつもりなんだよぉ。 伏:もちろん、広い世界を、この目に焼き付けてくるんですわー。 玄:うぅ、何て殊勝な子なんでしょう。 分かりました。先代と相談して検討を――。 黄:こんな見え透いた詭弁にさえ騙されるとは、 親としての責務を果たしているか、かなり疑問なんだよぉ。 【コアな層は獲得】 玄:とりあえず、稼動可能な手足をつけてみました。 伏:くけ? 朱:ちょ、ちょっとばかり怖いんですけど〜。 黄:そりゃ、手足だけリアルなら当然の結果なんだよぉ。 亜:だったら、耳と鼻もヒューマノイドタイプを使ってみようか。 黄:この着せ替え人形モドキは、 何があろうと、絶対に流行らない確信を得た訳なんだよぉ。 【好奇心は無限大】 伏:人の身体を、弄びやがるんじゃないですわー。 黄:まあ、人形の開発現場なんて、こんなもんなんだよぉ。 伏:かここー。人形権利団体に、訴えてやりますわー。 黄:本当にそんな組織があるなら、 ちょっと見てみたいのが厄介なんだよぉ。 【ジョークは笑えないもの】 伏:命の洗濯は、良いものですわー。 黄:風呂くらい、一人で入れば良いんだよぉ。 朱:さ、さりげなく、無茶を言ってます〜。 黄:愛してるからこそ言える、鞭の様な言葉なんだよぉ。 月:目が笑ってないから、失格。 伏:くけけ。 【親心は奥深い】 黄:服を脱がせるのが、案外、面倒なんだよぉ。 伏:キャー、黄龍さんのエッチ。 黄:……。 玄:特殊な趣味を持った方に襲われない様、 警報代わりに入れておきました。 黄:こんな笑えないネタを仕込む余裕があったら、 サイレンの方が、ナンボか効果があると思われるんだよぉ。 【ちょっと遅いだろ】 黄:プカプカ、なんだよぉ。 伏:オモチャのアヒルの様にしやがるんじゃ――ブクブク。 朱:お、溺れてますよ〜。 黄:今更ながら思うのは、防水機能は装備されてるかということなんだよぉ。 伏:ブペペ。 【生あるものか否か】 伏:けけくー。良い湯でしたわー。 黄:中々に、逞しいんだよぉ。 朱:こ、壊れなくて良かったですね〜。 伏:人を、機械みたいに言うもんじゃ無いですわー。 黄:逆に聞きたいのは、伏龍は自分のことを何だと思ってるか、 ということなんだよぉ。 【人類が退化するな】 玄:凄いことを閃きました。これはもう、学会騒然レベルです。 黄:順序立てて話すんだよぉ。 玄:いえ。あの子にテレキネシス能力さえ与えれば、 稼動する肉体は必要無いんです。 黄:たしかに、そんなことが出来るなら、 学会どころか、世界中が激震する訳なんだよぉ。 【胡散臭さがマキシマム】 亜:出来るよ。 黄:……またまた。冗談はよすんだよぉ。 亜:黄龍の言う通り、世界のパワーバランスが壊れちゃうから、 アメリカとロシアに口止めされてるのよ、これが。 黄:その台詞さえ無ければ微妙に信憑性があっただなんて、 口が裂けても言えない様な気がするんだよぉ。 【玄武からしてね】 亜:取り付けてみようか。 伏:くけ。 黄:嫌な予感しかしないんだよぉ。 伏:ききかー。五分後に、ちょっと揺れる地震が来ますわー。 亜:うーん。何か弾みで設定が変わって、予知能力になってるね。 黄:どうにも、この天才様が作るものは、 何処まで本気なのか、判断に困る訳なんだよぉ。 【もう何が何やら】 朱:ふ、ふに? 今、揺れました〜。 伏:けけこー。 黄:恐ろしい瞬間を目撃した気がするんだよぉ。 月:さぁて。何だか愛しく思えてきたから、私が連れて帰る。 黄:その素晴らしい即断能力は評価するとして、 玄武が本気で泣きだすからやめてあげるんだよぉ。
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