邂逅輪廻



【判官は義経だしね】
月:天下獲りに挑戦しようかと思う。
黄:また、妙なことを言い出したんだよぉ。
月:三国志演義の様に、単にマイナーだった側を正義の使者に仕立てておけば、
 判官贔屓の日本人のこと、何百年後かに評価される。
黄:何処と無く、何処ぞの源氏兄弟ゲンカの様相を呈して来た訳なんだよぉ。


【干渉しないでおこう】
天:な、何故だか、とてつもない悪寒が走ったので、飛んできました。
黄:放っておいたら、中長期計画で悪役にされるんだよぉ。
天:あぁ、ですが、月読と関係を築けるのでしたらそれも又――。
黄:まあ、姉妹の問題だから、本人達が満足なら勝手にしやがれなんだよぉ。


【限度を知ろうか】
月:先ずは徳を広めて、民衆の支持を得る。
黄:かなりの本気モードなんだよぉ。
月:おー、よしよし。お主らを苦しめる賊をブチ殺して、その臓腑を撒き散らしてやるからの。
黄:幾ら恨みが溜まっていようと、そこまでやったら普通にひかれると思うんだよぉ。


【早くも全開だ】
月:賊とは話し合いの末、遊撃兵として雇うことで纏まった。
黄:大人の対応を見てしまったんだよぉ。
月:とりあえず表向きは、我が軍の精鋭が縦横無尽に薙ぎ払ったことにしておこうと思う。
黄:正史なんてこんなものだけど、実際に目の当たりにすると何故だか遣る瀬無いんだよぉ。


【飯がやばいのはこっち】
朱:お、御屋形様〜。敵軍が攻めてきて、取り囲まれました〜。
月:ふむ。これは危機的状況。
黄:声が安穏としすぎなんだよぉ。
月:とりあえず、兵糧攻めをする為、ネズミの調教を始めてみようと思う。
黄:そういうのは常日頃からの対策が肝要で、ここまで来たら手遅れかと思われるんだよぉ。


【むしろ凶報】
月:案ずる無かれ。非常食として、鳥肉を常備してあるぞよ。
朱:ふに、それは良いお話を聞きました〜。
黄:何故、いつまで経っても勘が鈍いのか、本当に不思議でしょうがないんだよぉ。


【半端無い予算を消耗】
月:足軽に槍を持たせて突撃させるのは古いと思う。
黄:一番安上がりで、訓練も少なくて済む戦い方なんだよぉ。
月:とりあえず、暗殺術を仕込んで、ステルス迷彩スーツを着込ませれば、
 無敵の部隊になる。
黄:時代考証が無茶苦茶の上、それは確実に足軽の仕事では無いと思われるんだよぉ。


【ロマンで飯は食えない】
月:全軍をそうする為には、五十年分の国家予算が必要だという試算が出た。
黄:至極当たり前の話なんだよぉ。
月:国家百年の計を思えば、きっと国民も納得してくれるはず。
黄:国外への逃亡者が出まくって、あっさりと破綻するのが関の山なんだよぉ。


【それは基本なので】
月:離間の計を発動しようと思う。
黄:家臣を裏切らせる作戦のことなんだよぉ。
月:幼少の頃に淡い恋心を抱いた人を抱き込めば、釣れない男なんていやしない。
黄:この瞳は、その事実さえ捏造する気で満々とみたんだよぉ。


【オーラオブジェラシー】
月:計が不発に終わった。
黄:まあ、始めから無理があったんだよぉ。
月:『後の私の妻です』なんて言われちゃ、成功するはずが無い。
黄:そういうお約束なオチを見ると、怒りが湧いてくるのが不思議なんだよぉ。


【教科書には載らない】
月:次は、駆虎呑狼の計。
黄:敵対勢力に内紛を起こして、弱体化させる作戦のことなんだよぉ。
月:部下の嫁さんを、上司が寝取ったと言えば、ブチギレない男は居ない。
黄:冗談の様に聞こえて、本気でこの計略は何度も使われてるから困るんだよぉ。


【そういう本能】
月:部下が下克上の野心を抱いていると吹き込むのも基本。
黄:計略大好きっ子なんだよぉ。
月:偉くなっても苦労が多いだけだと言うのに、何故、男は出世を望むのか。
黄:永遠の閑職に身を置く者が言っても、説得力は微妙と言わざるを得ないんだよぉ。


【有名は有名】
黄:完全に囲まれたんだよぉ。
月:これはもう、諦めるしかないかも知れない。
黄:投げ槍過ぎるんだよぉ。
月:ここで豪快に宝物と自爆したら伝説になれるのかと、本気で思わなくも無い。
黄:松永久秀と平蜘蛛のエピソードなんて、
 そこそこの歴史通でもない限り、知らないかと思われるんだよぉ。


【無かったことに】
月:とりあえず、辞世の句だけは遺しておこうと思う。
黄:家臣のことを、少しは気遣えなんだよぉ。
月:床の間に、飾ってある絵は、贋作よ。
黄:もしも千年後にその句が発見されたとして、
 歴史家達は、全力で封印すると見た訳なんだよぉ。


【引き金なんてそんなもの】
月:この際だから、各国の大将クラスの恥部を書き記しておこうと思う。
黄:そんなものがあるなら、休戦調停の材料にするんだよぉ。
月:これが表に出回るリスクを知ったら、
 むしろ死を厭わず攻撃してくるだろうからダメ。
黄:一体、何が書かれているのか、知りたい様で知りたくない自分が居るんだよぉ。


【笑えれば良いけどね】
朱:お、御屋形様〜。援軍が到着したので、何とか助かりそうです〜。
月:すると、この延々と書き連ねた恥ずかしい記録はどうすれば。
黄:多分、燃やしてしまうのが良いんだよぉ。
月:それだとつまらないから、五百年くらい開かない箱を作って埋めることにする。
黄:それも又、無かったことか、或いは裏の歴史にされる気がしてならないんだよぉ。


【だから無理なのです】
月:この時代、最後に物を言うのは、都までの近さだと思い知らされる。
黄:漢の高祖、劉邦の様に、例外だってあるんだよぉ。
月:しかぁし。旧家に媚を売る能力に掛けて、引けを取っている訳が無い。
黄:少しは人の話を聞きやがれと、毎度の台詞を言わざるを得ないんだよぉ。


【上流階級の基本】
月:旧家の威光を利用しつつ、実権は全て奪い尽くすのが楽しい。
黄:こういう仕事は、大好きなんだよぉ。
月:ハハハ。大本を辿れば、神の力なんぞを背景にするからこんなことになる。
黄:何だか、若干とは言えないレベルで私怨が混じってる気がしてならないんだよぉ。


【月読学習編参照】
月:今更ながら、先人達の覇道は学ぶべきだと思う。
黄:熟年神が、良く言ったものなんだよぉ。
月:うぅむ。長宗我部元親の半生は、やはり参考になる。
黄:何ゆえにそこまで長宗我部元親に拘るのか、端的な説明が欲しいんだよぉ。


【凄い命懸けだけどね】
月:キリシタン大名、大友宗麟も捨て難い。
黄:もう、勝手にしやがれなんだよぉ。
月:それにしても、現職で八百万の神様なんかやってると、
 一神教の存在価値が分からない。
黄:そういうことは、バチカン辺りに足を運んで言って欲しい訳で、
 ここで吐露されても、只の世間話なんだよぉ。


【極めて似合わない】
月:覇道を極めるというのも、難しい。
黄:力押ししか出来ない分際で、選り好みをするんじゃないんだよぉ。
月:こう見えて、徳に依る王道が得意なことを、見せ付ける時期かと思う。
黄:こうも妄言を垂れ流すことが本当に許されるのか、
 持ち帰り案件として、検討させて貰いたいんだよぉ。


【忍ぶ心が肝要】
月:オー、銅。
黄:アホの子が居るんだよぉ。
月:敢えて同音異義語の黄銅を用いず、 アメリカンな感じを出したのが高ポイント。
黄:何にしても、自分で自分を褒めることは、
 徳にならないとだけ言わせて貰うんだよぉ。


【自称天才の典型】
月:そろそろ、飽きてきた。
黄:酷い言い草なんだよぉ。
月:私の様にクリエイティブでセンシティブな存在だと、
 気まぐれなのが難点だということ。
黄:何を根拠にそこまでの自信を持てるのか、世の中、まだまだ謎が多いんだよぉ。


【個人的収穫】
朱:お、御屋形様〜。
黄:それはもう、終わったんだよぉ。
月:いや、折角だから、その呼称だけは継続の方向で。
黄:この期に及んで、変なところだけ気に入りやがるんじゃないんだよぉ。


コント連載中



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