【これは川柳】 月:趣味の会は、中々に楽しいものだと思う。 白:俳句でも始めたの? 月:コンテスト、一人も応募が、こんですよ。 黄:どこら辺に季語があるのか、 とことんまでに問い詰めて差し上げるべきなんだよぉ。 【芸術的脱線】 月:ふにふに〜、ふにふにふに〜、ふに〜ふに。 朱:結構な一句ですね〜。 黄:何にせよ、川柳が本題じゃないのは分かってるんだから、 とっとと話を進めて欲しいものなんだよぉ。 【それが浪漫さ】 月:少し、機械工学を嗜んでみた。 黄:随分と濃い趣味なんだよぉ。 月:次辺り、意志を持った人工知能の製作を教えてもらうつもり。 黄:好き放題、仲間を増殖出来る神族がその技術を身に付ける意味を、 詳細に語って欲しいんだよぉ。 【悪夢がやってくる】 白:ん? 意志を持った人工知能? 朱:私の知る限り〜、そんなことを出来る方は一人しか居ないんですけど〜。 黄:敢えて、その可能性を全否定してるこちらの苦悩を、 読み取るのが大人の機微という奴なんだよぉ。 【人を見たら金蔓と思え】 亜:あれ? 何で黄龍達が居るの? 黄:こっちは、来たくも無かったんだよぉ。 月:私の、教え子達。 亜:じゃあ、私にとっては孫弟子だね。 黄:宗教に勧誘される現場は、 こう訳の分からない内に決まるんだろうと思ってしまったんだよぉ。 【妬み嫉みをバネに】 亜:まあ、あれよ。ロボット作りの極意は、愛と情熱? 黄:科学者らしからぬ表現なんだよぉ。 月:愛憎なら誰にも負けない自信があるのですが、どうすれば。 黄:そこは、何とかベクトルを調整して、 人並の生き方をして欲しいものなんだよぉ。 【どちらも無意味】 ?:ぽよぽよ〜。ぷるぷる〜。 月:先生。何か、変なのが出来ました。 黄:自分で作っておいて、良く言うんだよぉ。 亜:これは、ここをこうすれば――。 ?:ぼよぼよ〜。ぶるぶる〜。 黄:この半濁音から濁音への変化が、 何を意味するのか、素人にはさっぱり分からなくて困るんだよぉ。 【優性遺伝過ぎて困る】 ?:ふにふに〜。 朱:お、お師匠様〜。 亜:うーん。人工知能とは言え、製作者に何処となく似るっていうのは、 中々に興味深いテーマよね。 黄:あんたの二人の娘も、ちゃらんぽらんなところがそっくりなんだよぉ。 【大人ですから】 黄:結局、この研究の最終目標は何なんだよぉ。 亜:科学者にそんなことを聞くなんて野暮だね〜。 楽しいからに決まってるじゃない。 黄:社会貢献や意義なんて、研究費を稼ぐ為の御題目に過ぎないと、 暗に言われた気分なんだよぉ。 【ムジナ相憐れむ】 亜:何だったら、天帝をぶっ倒すってことにしても良いけど。 黄:血が目覚めた気分なんだよぉ。 月:あー、やだやだ。復讐しか生き甲斐が無い人生の何が楽しいんだか。 黄:世の中、これほどまでに痛々しい発言があるのかと、 嫌悪感を通り越して、感心さえしてしまったんだよぉ。 【山師覚醒の刻】 亜:流石のジジィも、現行の玄武タイプを百万も量産すればビビるでしょ。 黄:中々の構想なんだよぉ。 亜:問題は予算なんだけど――。 黄:自慢じゃないけど、こちとら食ってくのでカツカツなんだよぉ。 月:私は、姉さん以外の相手にお金を使う気は無い。 亜:うーん。じゃあまあ、この続きはお金の都合がついたらってことで。 黄:こうなったら、デイトレードに命を賭して、あぶく銭を掴んでみせるんだよぉ。 【無駄な熱血】 月:だけど、私より高位の神族となると、物量では無理な予感。 黄:どういうことなんだよぉ。 月:その気になれば、幾ら数を揃えようと、電気系統一つで操れるということ。 黄:それでも、可能性があれば戦い続けるのが生き様というものなんだよぉ。 【村正で千切り】 亜:まあ、最近は時空転送装置に凝ってるんだよね。 黄:分かり易く説明するんだよぉ。 亜:うん、例えばさ。買いすぎちゃった特売の野菜を、 三日後の未来に送るとかして腐るのを防いだり――。 黄:難しい理屈が分からなくても、 とてつもない無駄遣いをしてることだけは把握したんだよぉ。 【根本的に一緒】 月:これは、使い出がある。 黄:悪い笑みなんだよぉ。 月:秋に収穫したお米を、定期的に未来へ送ることでいつでも新米の美味しさ。 黄:意外と、思考回路が似た者なのでは無いかと、 嫌な悪寒が走ってしまったんだよぉ。 【他にどうしろと】 亜:この道のプロはね。ワインやブランデー、泡盛なんかを過去の蔵に貯蔵して、 じっくりねっとり、大人の熟成を――。 黄:いい加減、飲み食いをどうにか忘れてくれないかと思うんだよぉ。 【片羽折れし天使】 亜:じゃあ、放射性物質を遠い未来に捨てようか? 朱:国防レベルの〜、重要機密書類なんかも捨て難いですね〜。 月:私のパソコンのハードディスクも、処理をお願い。 黄:これだけの技術を持ってして、 この程度の発想しか出来ないとは、悲しい話なんだよぉ。 【出る杭は薙ぎ倒せ】 亜:あと、これは遊びで作ってるんだけどね。 黄:只のガムに見えるんだよぉ。 亜:ところがどっこい。味が半永久的に無くならないガムなんだよね〜。 黄:そんなものを流通させようとしたら、確実に既得権益から嫌われて、 社会的に抹殺されるだけだと思うんだよぉ。 【気持ち悪くなりそうだ】 朱:これは浪漫に溢れてますね〜。 黄:食い付かなくて良いんだよぉ。 亜:具体的にどういう理屈かって言うとね。 味を感じる味蕾に成分を沈着させて脳を騙すの。 黄:それはつまり、ガムを捨てても甘い味がし続けるということになるのではないかと、 物凄い恐怖を覚えてしまったんだよぉ。 【むしろ消えないもの】 亜:類似品で、味が消えないチョコレートってのもあるけど。 黄:お菓子の家にも似た、若干の浅ましささえ感じるんだよぉ。 月:次は、初恋の淡い思い出を永遠に残す研究を。 黄:それはそれで、全く別次元の題目である気がしてならないんだよぉ。 【天然大魔神め】 朱:私は〜、記憶そのものの保持を要求します〜。 黄:小まめにメモするんだよぉ。 朱:そのメモの〜、何処に書いてあるかが分からなくなるんです〜。 黄:こうもお約束を展開させられると、指導する手段さえ思い付かなくて困るんだよぉ。 【蛙の子はオタマジャクシ】 亜:酔いが冷めないお酒とか面白いと思わない? 黄:社会体制を、根本から壊す気で満々なんだよぉ。 亜:科学者が社会どうこう語るのは傲慢だと思うのよ。面白そうだから作る。 それの社会的影響はそれから考えても遅くないでしょ。 黄:仮にも社会の中枢に居た玄武様が、 そんな無責任なことだから、娘達もあんな感じだと理解したんだよぉ。 【暴言か嫌味か】 亜:そういえば、あの子達、元気? 黄:最初に聞くことの様にも思えるんだよぉ。 亜:親は無くたって子は育つって言うでしょ。 ほら、今度の朱雀だって立派なものじゃない。 黄:これを立派だと言うとは、 科学以外のことは何も見てないということなんだよぉ。 【分かり易い関係】 亜:うん。じゃあ、今日の講義はこんくらいで。 月:起立、礼。 黄:懐かしい人生模様なんだよぉ。 亜:じゃあさ。約束してたパーツお願いね。 月:了解。 黄:と思ったら、随分と即物的な人間関係を目の当たりにしてしまったんだよぉ。 【関わりは適度にね】 玄:先代と、お会いになったのですか? 黄:とりあえず、元気そうだったんだよぉ。 真:蛇亀聖獣が、簡単にくたばる訳が無いんですぅ。 黄:こうしてみると、親子関係というのはこれくらいが適切の様な、 そんな心持ちにもなってしまう訳なんだよぉ。
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