邂逅輪廻



【余程の強運なのか】
玄:先代から、何かとても大きな荷物が届きました。
朱:な、何だか、動いてませんか〜?
黄:不審物として、業者にそのまま持って帰って貰いたいんだよぉ。
白:お、何々。日本の食べ物?
黄:こうも前向きにだけ物を考える存在が、
 良くも今日まで生きてきたものだとちょっと思ってしまうんだよぉ。


【代々住まないと】
?:く、苦しいですぅ。そろそろ開けて下さいですぅ。
朱:こ、今度は、何か聞こえましたよ〜。
黄:これはむしろ、送り返すのが確定した瞬間なんだよぉ。
月:まあまあ。面白そうなことに首を突っ込まないなんて、
 江戸っ子の私には我慢出来ない。
黄:一代前が始祖の御姫様が、どうやったら江戸っ子になれるのか、
 事細かに説明しやがれなんだよぉ。


【謹んでお断り】
?:ふぅ。な、何て奴らですぅ。お母様も空気穴くらい開けろですぅ。
朱:お、お嬢さんが飛び出して来ました〜。
月:これは、日本の伝承で言うと、かぐや姫以来の快挙。
黄:月の女神様として、速やかに引き取って欲しい訳なんだよぉ。


【こうはなりたくないけど】
白:ところでさ。
黄:何なんだよぉ。
白:これが本当の箱入り娘ってことで良いの?
黄:この立て込んだ状況で、
 良くもマイペースにそんなことを言えるものだと感心さえするんだよぉ。


【単に類友】
?:私は、先代玄武から使命を仰せつかってきたですぅ。
玄:ということは、あなたは私の妹ということで宜しいのでしょうか。
?:私より先に生まれたというだけで、敬うつもりは無いですぅ。
月:何となく、仲良くなれそうな予感。
黄:どうしてうちの近辺は、微妙な一家しか増殖しないのか、
 不思議でしょうがないんだよぉ。


【思い付きを重要視】
朱:ふに〜? 先程〜、息苦しいと仰ってませんでしたか〜?
白:あー。そう言えば、機械なら息する必要なんて無いよね。
?:お母様が、廃熱が巧くいかないと、
 呼吸困難に似た苦しさを感じるシステムを取り入れやがったんですぅ。
黄:相変わらず、目的の見えない超科学がてんこもりの一族なんだよぉ。


【子供の裏技】
玄:それで、先代は何と仰られたのですか?
?:当代玄武は二年使ってそろそろ旧型だから、私に取って代われと言ってたですぅ。
玄:……すいません。聴覚機能の調整不足で把握出来ませんでした。
黄:聞こえない振りをして誤魔化すのは、その場凌ぎの下策に過ぎないんだよぉ。


【暴走した一件とか】
玄:み、み、皆ささん。落ち着いてくらさい。
黄:玄武が一番、動揺してるんだよぉ。
玄:そもそも、私の仕事に何か致命的な落ち度があったでしょうか。
 その点を明示して頂かない限り、不当解雇として戦わせて頂きます。
黄:本気で今までの失敗を整頓したら、
 確実に懲戒免職でもお釣りが来る程度のことはやらかしてるんだよぉ。


【超頭脳は継承】
朱:とりあえず〜、新生玄武さんとお呼びすれば良いでしょうか〜?
玄:すんなり馴染もうとしないで下さい!
?:お母様的には、玄武・改という名前らしいですぅ。
黄:あの機械マニアらしい発想なんだよぉ。
?:私としては、愛称でキャロラインと呼んで欲しいですぅ。
黄:何処をどうつついたらそういう変換がなされるのか、
 ちょっとばかり問い詰めたい気分なんだよぉ。


【取り扱いが困難】
黄:差し当たり、玄武の改称である、真武とでも呼ぶとするんだよぉ。
真:それで満足なら、勝手にしやがれですぅ。
白:何か、名前だけ見ると、真の玄武っぽいよね。
玄:ぶつぶつ……玄武の座は私の物です……絶対に私の物です……。
黄:これ以上追い詰めると、精神崩壊を起こしかねない状態だから、
 そろそろ宥めた方が良さげなんだよぉ。


【評論家気取りか】
玄:玄武の椅子は譲りません!
 既得権益の温床であるからには、渡す訳にはいかないんです!
朱:ふに〜。どことなく〜、ニュースで見た単語を、
 格好良いから使ってる匂いがしますね〜。
黄:難しい単語を使うだけで頭が良くなった気になる、
 そんな世相を反映してる訳なんだよぉ。


【無血開城で良いかも】
玄:な、何にしても、勝負です!
黄:その精神状態で、本当に構わないのか問いたいんだよぉ。
真:こういうチャンスを狙うしたたかさが無ければ、
 四神にはなる資格は無いんですぅ。
黄:この狡猾さ一つを取っても、確実に玄武より優秀な気がしてならないんだよぉ。


【玄武虚飾編参照】
玄:題目はもちろん、御料理です。
黄:四神の職務に、何の関係があるんだよぉ。
玄:私の憧れであるネコミミメイドになる為に、避けては通れない道です。
黄:そう言えばそんなこともあったと、ちょっと懐古な気持ちなんだよぉ。


【野良猫ホイホイ】
白:うわっ。凄い腕前だね。
真:世界各国のレシピが入力されているから、この程度は余裕ですぅ。
ヘ:何か良い匂いがしてたから、寄ってみたぞ。
黄:この場合、腕が良いというのも良し悪しだと思ってしまった訳なんだよぉ。


【御推察の通り】
ヘ:ほぅ。中々の味だな。
黄:只飯食いが、随分と偉そうなんだよぉ。
真:隠し味は、もちろん愛情ですぅ。
黄:妙なモンを入れるくらいなら、いっそ機械的に作って欲しいと言ったら、
 顰蹙を買いそうなんだよぉ。


【何という負け惜しみ】
玄:くっ……料理が得意なのが、何だって言うんですか。
黄:言ってることが、真逆になってるんだよぉ。
玄:言葉尻の解釈なんて、大人の都合で変わるんです。
 そういう判断こそが、上に立つ者として重要なんです。
黄:この必死な姿を見ていると、本格的に哀れみしか感じなくなってきたんだよぉ。


【雄大な前振り】
玄:次は、雑巾掛けです。
黄:素直にお掃除バトルで良いんだよぉ。
玄:雑巾を制するものは掃除術を制す、です。
 水拭き、空拭きの極意を知ってこそ、掃除道を歩く資格があるのです。
黄:これは本当に、そんなにも壮大な話なのか、
 少し考えさせて欲しいんだよぉ。


【選手生命的な意味で】
真:雑巾掛けは、プログラムされてないですぅ。
玄:ついに好機到来です。
真:探知レーザーを使って、効率的に埃などを除去する機能しか無いですぅ。
玄:何でしょう。胸の奥底からどうしようもない敗北感が湧いてくるのですが。
黄:そろそろ、現状を認めて楽になれば良いと思うんだよぉ。


【弟が崩壊】
玄:心が……心が痛いです……。
黄:人工知能が、良く言ったものなんだよぉ。
月:とりあえず、こんな姉みたいになりたくなかったら反面教師として学ぶべき。
真:了解ですぅ。
黄:自身もダメ姉の癖に、良くも他人事の様に諭せるものなんだよぉ。


【そういえば姉ですね】
白:えっと、天照、月読に玄武が加わった、と。
黄:何をしてるんだよぉ。
白:いや、ダメ姉リストを纏めとこうかと思って。
黄:そこには確実に、白虎の文字も書き留められなければならないと思うんだよぉ。


【どれ程のポテンシャル】
玄:今までの勝負は茶番です!
 結局のところ、玄武として如何に働けるかが大事なんです!
黄:一発逆転を狙い始めたんだよぉ。
朱:思考回路が〜、私と少し似てますね〜。
黄:それを聞いてしまうと、先代の底知れぬ能力に、戦慄さえ覚えてしまうんだよぉ。


【さよなら玄武さん】
真:決算報告用の書類を、纏めてみたですぅ。
黄:ほぼ完璧なんだよぉ。
朱:わ、私がこのレベルにしようと思ったら、次の決算期が来てしまいます〜。
黄:どうやら、時代という奴は季節と共に移り変わるものの様なんだよぉ。
玄:えぐえぐ……。


【器の問題か】
真:麒麟の奴に、採用を断られたですぅ。
黄:どういうことか説明するんだよぉ。
真:自分より有能な奴が入ると、立つ瀬が無いとか言ってやがったですぅ。
黄:着々と、自分の首を絞めてることに気付いてないのが麒麟らしいんだよぉ。


【ややゴミ捨て場的】
真:仕方無いから、お姉様の家で間借りするですぅ。
黄:先代のところに帰れば良いんだよぉ。
真:お母様は、出来上がった物には愛情を注がないから、邪魔者扱いされるだけですぅ。
黄:何となく、昨今の殺伐とした親子事情を反映した話にも聞こえるんだよぉ。


コント連載中



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