【娘達に難が】 ヘ:お前ら、そろそろ結婚しろ。 白:うにゃ!? 窮:ど、どういうこと? ヘ:お前らのボンクラっぷりに愛想が尽きた。 孫に私の才覚が隔世遺伝してることに全てを賭けることにする。 黄:若干、無茶の様で居て、ある意味、正しい発想にも思えるんだよぉ。 【国家騒乱罪適用か】 白:い、いや。相手も居ないし。 ヘ:既に公募を掛けてあるから心配するな。 黄:無駄な手際の良さなんだよぉ。 青:最近、『ネコミミの嫁が欲しい方募集』、 と書かれたビラが出回っていると聞いたのはこれですか。 【遺伝情報恐るべし】 フ:はっはっは。うちの妻がやることは面白いですねぇ。 黄:何で呑気に笑ってるんだよぉ。 フ:言い出したら、飽きるまでやめないのは、私が一番、知ってますから。 黄:そこら辺は、確実に白虎もそっくりではある訳なんだよぉ。 【親子関係は明白】 黄:ちなみに、何でこんなことになってるか、把握してるかを聞いておくんだよぉ。 フ:さて……かの怪盗が三代目になって再び有名になった件か。 或いは、宰相となった大政治家の孫か……私には、判断しかねますね。 黄:絶対に自分が原因だとは思わない性格も又、白虎にそっくりなんだよぉ。 【実験室になってきた】 ?:ちーす。獅子聖獣っす! アフリカからきやしたー。 ヘ:どうも面白味に欠けるな。 黄:どういうことなんだよぉ。 ヘ:いっそのこと、猫科に拘らず色んな種族からの血を入れた方が、 未知の力を得られる気がしないか? 黄:自分じゃないと思って、これは酷い言いたい放題なんだよぉ。 【マニアの領域】 ヘ:ちなみに、父がライオンで母が虎だと、タイゴンと呼ばれる一代雑種になる。 朱:ふに? ヘ:父が虎で母がライオンのライガーは巨大化するが、 タイゴンは小型種になることが多い。 朱:ふにふに? へ:つまり、何があろうとライオンの婿だけは御免ということだ。とっとと帰れ。 ?:わ、わざわざ遠くから来たのに、酷い扱いっす。 黄:何にせよ、こんな義母を持ちたいと思う奴が居るのかからしてとても疑問なんだよぉ。 【先ずは競い方から】 ?:うーす。趣味は蟻の巣掘りです。宜しくお願いしまーす。 ヘ:これは相当なインパクトだな。 白:帰りたいなぁ……。 ?:待て待てー。巣穴を掘り起こすなど邪道。 アリクイ聖獣の俺様が許さんぞー。 黄:とりあえず、審査委員なんてものを放り出して、昼寝でもしたいんだよぉ。 【天帝には無理そうだ】 朱:ふに〜。拘りがあると言うのは〜、ポイントとしてはどうなんですかね〜? 黄:真面目にやらなくて良いんだよぉ。 朱:ですけど〜、白虎さんの一生に関わる問題ですよ〜? 黄:毎日の食事じゃあるまいし、 気に入ったのが無ければ、選ばなければ良いだけなんだよぉ。 朱:そうやって〜、黄龍さんは行き遅れたんですね〜。 黄:仮に、この口をホッチキスで留めたいという願望に囚われたとしても、 神様は絶対に許してくれるんだよぉ。 【半ば芸風】 フ:ですが、『お父さん。娘さんを僕に下さい』イベントは一度やってみたいですよね。 黄:呑気な親父なんだよぉ。 フ:ちょっとキレる振りをして、『グルァァ! もう一度言ってみんかい!』、 などと言えば、場が盛り上がること間違い無しです。 黄:少しでもあんたの本性を聞いていれば、大抵の男は全力で逃げ出す訳なんだよぉ。 【廃品扱いですね】 須:なんじゃい。その、娘がどうたらっちゅうんは。 黄:仕事の対価に嫁を娶った男の登場なんだよぉ。 朱:娘さんが〜、夫となる人を御両親に会わせるイベントです〜。 須:ぬ。そう言えば須勢理の奴もそげんことしおったな。 うぅ。手塩に掛けて育ててやったけんに、どうしてあんなことになったんじゃ。 黄:何にしても、今はややこしい状態だから、愚痴は姉達のところでやって欲しいんだよぉ。 【最重要参考人白虎】 ヘ:ほぅ。ニホンオオカミの生き残りですか。 ?:ええ。詳しくは知らないのですが、何でも百年ほど前、 何処からともなく現れた虎の血族に次々と――。 白:うーん。同じ虎でも悪い奴が居たもんだね〜。 黄:自覚が無いというのは、これは余りに酷すぎる話ではあるんだよぉ。 【世は弱肉強食】 ?:な! 貴様が犯人だと! おのれ、我が一族の恨み、今こそ果たして――。 ヘ:おい。候補者様が原因不明の意識混濁状態になった。 誰か片付けておいてくれ。 黄:蹴り技一発で昏倒させておきながら、良くも平然と言い切れるものなんだよぉ。 【天帝包囲網構築中】 ヘ:全く。碌な人材が居ないな。 黄:査定がそもそも、曖昧過ぎるんだよぉ。 帝:ひょほほーい。天帝ちゃんが遊びに来たよーん。 へ:爺ぃ。今、真面目なことをやっているんだ。物乞いならとっとと帰れ。 黄:知らないと言うのは、恐ろしくもあり、ある意味、楽しくもあって困るんだよぉ。 【どうでも良いのか】 ヘ:統括神だと? 冗談にしては笑えんな。 帝:あんなことを言っとるぞい。 黄:いつものことなんだよぉ。 へ:だが、ちょうど良い。私達の最終目標は各地の統括神をブチ殺すことだ。 ここで一人殺れるなら手っ取り早くて――。 白:うわっ。お母さんが吹っ飛ばされた。 帝:筋は良いが、まだまだ若輩と言わざるをえんのぉ。 黄:どうでも良いけど、うちを余り壊さないで欲しい訳なんだよぉ。 【当たらずとも遠からず】 フ:グルァァ! ワリャ、ワシの妻に何するんじゃい! 黄:だから、家の中で本気にならないで欲しいんだよぉ。 朱:と、とりあえず、肉を外に放っておきますね〜。 月:一方、白虎と窮奇は全力で何処かへ逃げ出した。 黄:時たま、この一家は笑いにだけ長けているのではないかと勘違いさえしてしまうんだよぉ。 【ケンカは買っただけ】 帝:何じゃ、もう終わりか。張り合いが無いのぉ。 朱:に、二対一で、さっぱり歯が立ちませんでした〜。 黄:あの程度で殺れるなら、こっちも苦労しないんだよぉ。 帝:さぁて。何か楽しかったし、そろそろ帰るとするかの。 黄:それにしても、迷惑を掛けるという点では、他の追随を許す気配が全く無いんだよぉ。 【怒りが蘇る】 ヘ:気を取り直して、婿選びを再開する。 黄:大した逞しさなんだよぉ。 ?:何じゃ、何じゃ。ここで若い嫁が貰えるって本当かのぉ。 ヘ:……。 黄:とりあえず、ちょっと喋り方が似てるだけで蹴り飛ばしてたら、 審査は一切進まないと思われるんだよぉ。 【むしろ虎が邪魔してる】 朱:大した蹴り技ですよね〜。脚線美です〜。 黄:勢いだけで発言するのはやめて欲しいんだよぉ。 朱:これが〜、人の恋路を邪魔する奴は虎に蹴られて死んじまえ、って奴なんですね〜。 黄:そして、巧いことを言ってる様で、得点を付けるなら実に微妙な発言なんだよぉ。 【儒教とは無縁です】 白:と、ところで、何で私達は両手両脚を縛られてるのかな〜、って。 窮:うにゃー。 ヘ:親を見捨てた罰だ。むしろその程度で済んで良かっただろ。 白:うう……あの爺さん。せめて記憶が飛ぶくらい殴っておいてくれれば良かったのに。 窮:うんうん。 黄:相変わらず、親子とは思えない発言に、溜め息しか漏れないんだよぉ。 【脳味噌白トリュフ男】 フ:はて。何かありましたっけ? 黄:こっちは、本当に記憶が飛んでるんだよぉ。 ヘ:獣化せずとも、普段から色々と飛んでる奴だ。深くは考えるな。 黄:心が切なくなるのは、気のせいではないと信じたいんだよぉ。 【オタク的踏み絵術】 ヘ:これは何と読む? ?:い、いかるが、ですか。 ヘ:では、これは? ?:か、かるた、ですね。 ヘ:お前の様な奴に娘はやらん。とっと出てけ! ?:え、え〜!? 黄:唯、難読語を幾つか知っていただけで、その筋の者扱いをするのは乱暴過ぎるんだよぉ。 【月読だもの】 月:扁桃、信天翁、啄木鳥、抽斗、百日紅、吃逆。 黄:……。 月:更紗、柳葉魚、雷魚、杓文字、賽子、若布、為体。 ヘ:見ろ。正真正銘の筋モノが証明してくれたぞ。 黄:何でこう、こちらの迷惑になる方面では物凄い努力家なんだよぉ。 【これが親の欲目か】 ヘ:ふぅ。結局は全滅か。 黄:まあ、そういうものなんだよぉ。 ヘ:第二回の審査は、明日やるからな。遅れるなよ。 黄:もうそろそろ、白虎に結婚は無理だということに気付いて欲しい訳なんだよぉ。 【婿探しですよ】 黄:それで、結局どうなったんだよぉ。 白:いや、終わってみれば結構、面白かったよ。 窓ガラスを噛み砕く男とか、旋盤を素手で止める芸を間近で見れたから。 窮:ダチョウの早食いは、中々に見応えがあったよね。 黄:最早、只のビックリ聖獣大会で、本来の主旨が吹っ飛び過ぎなんだよぉ。
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