邂逅輪廻



【似た者シスターズ】
月:宝探しをしようと思う。
黄:前に、白虎が似たようなことをした気がするんだよぉ。
月:あんな、気分だけで穴を掘ってた野良猫と一緒にされるのは心外。
白:うにゃ?
黄:とりあえず、気分だけで振り回すのはどっちも同じだとだけ言わせて貰うんだよぉ。


【お値打ち価格で御奉仕】
月:ちゃんと、古文書だってある。
黄:そんなもの、何処で手に入れたんだよぉ。
月:この近くの古道具屋に置いてあった。
黄:そこまであからさまに怪しい物を持ち込んで来るとは、
 ある意味、その根性に感服せざるを得ないんだよぉ。


【最低でも二千歳】
月:店のじっちゃんが、『これは本物だ』って力説してた。
黄:そりゃ、偽物だって言ってたら売れやしないんだよぉ。
月:やっぱり、年上の言うことは少しくらい疑問を持っても、
 三歩引いて聞いてあげないと。
黄:そしてさりげに、とんでもない鯖読みをしやがったんだよぉ。


【思考回路を把握】
月:いずれにしても、これを指針に宝探しへレッツゴー。
黄:こっちにだって、予定というものがあるんだよぉ。
月:ネットゲームの待ち合わせ以外だったら、考慮する。
黄:……とりあえず、何処の山に向かえば良いんだよぉ。


【あくまでそれなり】
月:先ずは、川を遡れと書いてある。
黄:一言で言っても、大陸のそれは大きいんだよぉ。
朱:向こう岸が霞んで見えますよね〜。
白:そう言えば、こういうでっかい川なら、
 それに比例して魚は全部おっきいと思ってた頃があったなぁ。
黄:その理屈で言うと、海の魚はどいつもこいつも、
 キングサイズでなければならないんだよぉ。


【愛をもう少しだけ】
白:ところで、朱雀が向こう岸に向けて飛んでいったら、
 どこら辺で力尽きるか賭けてみようか。
朱:ふ、ふに?
月:回収が面倒だから却下。
黄:同上なんだよぉ。
朱:ひ、否決理由が、釈然としなさすぎです〜。


【グレーテル様とお呼び】
月:途中で見えた森の中を突き進む。
黄:表現がアバウト過ぎるんだよぉ。
月:道筋を示す目印として、餃子の皮を千切って撒いたことを併記する。
黄:何処ぞに、そんな童話があった気がしてならないんだよぉ。


【出るに出れない】
月:ところで、今更で何だけど。
朱:奇遇ですね〜。私も、言いたいことがあるんですよ〜。
黄:聞きたくないんだよぉ。
月:いや、単に、私達は何処を歩いているのか、と。
朱:全く以って分かりません〜。
黄:まさかこの年になって、ここまで見事な迷子になるとは、思いもしなかったんだよぉ。


【発展性が無いよ】
黄:とりあえず、ここは野生の鼻が頼りなんだよぉ。
白:私、犬じゃないんだけど。
黄:何にしても、生じゃない食べ物の匂いがする方向に人間は居るんだよぉ。
月:しかし、見付かるのはきっとお菓子の家。
黄:ヘンゼルとグレーテルの話を引っ張られても、こっちは只、困るだけなんだよぉ。


【歯を大切にね】
朱:ふ、ふに〜。本当に〜、お菓子の家が見付かりました〜。
黄:現代の神秘なんだよぉ。
月:む、この甘みは……キシリトール配合に違いない。
黄:現代の子供事情に配慮して、童話も着々と侵食されてる模様なんだよぉ。


【そもそも何処から湧いた】
白:とりあえず、食べ尽くして良い?
黄:やれるもんならやってみやがれなんだよぉ。
ヘ:ふふふ。私達一族の消化力を舐めて貰っては困るな。
窮:イエス、マム。
黄:もしやこの家族は、シロアリよりタチが悪いんじゃないかと思ってしまったんだよぉ。


【かなりの電波建築】
朱:ほ、本当に食べ始めましたよ〜?
黄:ある意味、これ以上のショーは中々、見られないんだよぉ。
白:はみゅはみゅ。
窮:むひゃむひゃ。
月:世界遺産に認定して貰おうと思ったのに、これで御破算。
黄:名鑑に載ることがマイナスで、審査されること自体が無いから安心するんだよぉ。


【言いたい放題か】
?:くぉらぁ! おめたち、オラの家で何してるだ。
朱:ふ、ふに?
黄:家主の登場なんだよぉ。
月:しかし、もう半分程が食い散らかされて、家とは言えない。
黄:だったら、バラックの持ち主ってことで勘弁してやるんだよぉ。


【素人は真似出来ない】
白:お婆ちゃん。この家、良い仕事してるね。
婆:第一声がそれとは、良い根性しとるの。
ヘ:ふむ。私としては、もう少し甘くても良いと思うがな。
婆:そして文句を付けるとは、とんでもない大物がおるわい。


【朱雀もこうなるのか】
婆:さぁて。どう落とし前を付ける気じゃ。
白:半分だけ残ってるのもアレだし、全部食べちゃおうか。
黄:酷い居直りなんだよぉ。
白:ってか、森の中にこんなの作る目的を知りたいんだけど。
婆:子供の頃からの夢じゃ。文句あるか。
黄:随分と、メルヘンなまま年を取った人が居るものなんだよぉ。


【きっとこれも夢】
月:蟻が湧かないのが、とても不思議。
婆:家の周りに、防虫シートを敷いておる。
黄:無益な努力をしてるんだよぉ。
婆:じゃが、近場の樹には蜜を塗ってカブトムシを寄せとるぞ。
黄:その行為に何の意味があるのか、さっぱり分からなかったりするんだよぉ。


【ロケットの燃料ボトル切り離し的な】
月:さてさて。宝探しも再開ということで。
黄:その主旨を、忘れ掛けてたんだよぉ。
朱:白虎さん達が〜、建て直しに駆り出されてるのが若干の違いです〜。
黄:むしろトラブルメーカーが減って、身軽になったというのが定説なんだよぉ。


【若干のマンネリ】
月:さて。次は、この山を登る。
朱:だ、断崖絶壁ですよ〜?
月:ここは一つ、朱雀に飛んで貰って上に行こうと思う。
朱:わ、私は、五キロ以上の物を持つと飛び上がれません〜。
黄:この遣り取りも、もう慣れ切ってしまった訳なんだよぉ。


【神話の常套手段】
月:仕方無いから、登れそうな道を探そうと思う。
黄:そろそろ、帰りたいんだよぉ。
月:例えどちらかが道半ばで死そうとも、目的を果たそうという誓いを忘れたか。
黄:訳の分からない捏造をして、人を変な道に巻き込まないで欲しいんだよぉ。


【何処の孔明ですか】
月:またしても袋小路。
黄:だから、そろそろ諦めるんだよぉ。
月:ロッククライマーや猫の類なら、登れそうな崖なのに。
朱:切り捨てたはずのものが、案外、有用だったなんて皮肉ですね〜。
黄:斬ったことを後悔するくらいなら、涙なんか流すんじゃないというお話なんだよぉ。


【白虎さんが可哀相】
月:まあまあ。とりあえず、御飯を食べよう。
黄:どう見ても、さっきのお菓子の家の切れ端なんだよぉ。
月:折角だから、そこそこくすねて来た。
黄:この要領の良さが、罪を重ねずに済む唯一の方法なのかも知れないんだよぉ。


【殆ど最終回】
月:血糖値が上がって、ふと気付く。
黄:何を言い出す気なんだよぉ。
月:こんな馬鹿げたことに付き合ってくれる友人こそが、
 真のお宝なのではなかろうか、と。
黄:いきなり、綺麗な締めをしようとしても、時、既に遅しなんだよぉ。


【何か忘れてる】
月:真の宝も見付かったことだし、おうちに帰ろう。
黄:この、情熱の冷め方もどうかと思うんだよぉ。
朱:ですけど〜、そろそろ日も暮れますよね〜。
黄:そういえば、則天武后に御飯をあげないといけないんだよぉ。
朱:空腹だと、機嫌が悪くなりますよね〜。
黄:困ったものを拾ってしまったんだよぉ。


【ひたすら建材集め】
白:いや! 私達のこと、忘れないで!
婆:くぉるぁ! シャキシャキ、働かんかい!
ヘ:そう言えば、働きアリや働きバチは、ほぼ全てがメスらしいな。
窮:たしかに絵面は似てるけど、それに気付いても嬉しくないなぁ……。


コント連載中



 ネット小説ランキングさん(現代ファンタジーコミカル部門)にて「それゆけ黄龍ちゃん!」を登録しています。御投票頂けると、やる気が出ます(※一作品につき月一回有効。複数作品投票可能)。

ネット小説ランキング:「それゆけ黄龍ちゃん!」に投票


サイトトップ  小説置場  絵画置場  雑記帳  掲示板  伝言板  落書広場  リンク