【ボケの積み木崩し】 月:旅に出ようと思う。 黄:こっちに来るのは、旅では無いのかと問いたいんだよぉ。 月:これはあくまで、散歩のついでみたいなもの。 黄:基準が分からないんだよぉ。 月:とりあえず、東海辺りで一泊して、温泉を楽しむ予定。 黄:むしろ近場だろうと、突っ込んだら負けに違いないんだよぉ。 【それはお前もだ】 月:皇族は、遊園地に行くだけでニュースになるから、何の問題も無い。 黄:素直に、保養地にでも行けば良いんだよぉ。 月:姉さんの子孫が好き勝手してる場所だと思ったら、静養になんてなる訳が無い。 黄:年がら年中、骨休め中の分際で、その偉そうな発言もどうかと思うんだよぉ。 【犯人は女将かもね】 月:湯煙旅情なくして、温泉の旅は語れない。 黄:何で、こっちまで付き合わされてるんだよぉ。 月:女一人で温泉宿に泊まると、失意の果てに自殺するんじゃないかと思われる。 黄:それは確実に、偏った知識であるとだけ言っておくことにするんだよぉ。 【アラブの石油然り】 月:はぁ……温泉はやっぱり、入浴剤が一番。 黄:不穏当な発言はよすんだよぉ。 月:既にこの国の温泉が枯渇しているという事実が隠蔽されているのは世俗の常識。 黄:良くも、そういう嘘を平然と吐けるものだと、感心さえするんだよぉ。 【目指せ耽美系】 月:それにしても、お色気が欠けているのは釈然としない。 黄:文句があるなら、そこらで勝手にチラリズムを披露すれば良いんだよぉ。 月:共用温泉の一角で、足を組んでのポージングなんかしたら、只のナルシスト。 黄:人類は、七三で自分大好きな人の方が多いから、どうということは無いんだよぉ。 【基本的に別物】 月:はぁ〜。極楽極楽。 黄:黄泉の世界の番人が、良く言ったものなんだよぉ。 月:そもそも、極楽という概念は仏教のものと突っ込んで欲しかった。 黄:日本人にとっては、天国と大差無いものなんだから気にしたら負けなんだよぉ。 【マイノリティの極み】 則:ほう。温泉とは優雅じゃの。 黄:何処から湧いたんだよぉ。 月:だけどまあ、謎を身に纏った女性というのは、男子永遠の憧れ。 黄:それが事実だとしても、誰も則天武后にそんなことを求めちゃ居ないんだよぉ。 【慎ましく生きなさい】 則:ふむ。それにしても、こうして湯に浸かっておると、 源泉を宮殿まで引いておった昔を思い出すのぉ。 黄:何という、傾国レベルの無駄遣いなんだよぉ。 月:その発想は無かった。 黄:そして、本格的に只の無駄だから、絶対に真似はよすんだよぉ。 【同類相憐れむ】 則:ほっほ。良い湯じゃったの。 月:さて。マッサージ機で日頃の疲れを癒さないと。 黄:だから、年中、自由に生きてるだけなんだよぉ。 月:好き勝手に何をしても良い生き方は、これはこれで大変。 黄:酷い開き直りと同時に、何故だか若干、心に突き刺さるものがあるんだよぉ。 【そもそも温泉卵か】 月:変温動物は、排熱を巧くやらないと命懸けだと聞いてる。 黄:入った時に調節してるから、そう簡単に死にゃしないんだよぉ。 月:ちっ。その廃熱を利用して、温泉卵を作ろうと思ったのに。 黄:人を勝手に、スチーム代わりにしないで欲しいものなんだよぉ。 【牛乳野郎が暗躍】 月:ううむ。 黄:何を悩んでいるんだよぉ。 月:コーヒー牛乳とフルーツ牛乳、どっちにすれば良いのか、難しいところ。 黄:良い大人の悩みじゃないんだよぉ。 月:いや、ここはトロピカル牛乳も捨て難い。 黄:何にしても、絶対に牛乳であることが凄いところなんだよぉ。 【大人の渋味が売り】 則:妾も一本、貰おうかの。 黄:堂々とたかれる性格は羨ましいんだよぉ。 月:これなんか、美味しそう。 則:ほう。ごうや牛乳とは、如何様な味がするものなのかの。 黄:何でこんなものが紛れてるのか、若干の陰謀を感じざるを得ないんだよぉ。 【その道のプロか】 則:ふむ。倭国の茶菓子というのも、中々に味わいがあるものじゃの。 黄:さっきから、食べてばっかりなんだよぉ。 月:仲居さーん。お菓子足りないから、ガンガン持ってきてー。 黄:そして、旅の恥は掻き捨てと言うには、余りに嵌まり過ぎの面子なんだよぉ。 【まさに不死身】 月:うう……食べ過ぎた。 黄:アホの子が居るんだよぉ。 月:食べれば食べる程、後を引く。これは絶対、中毒性物質が含まれている。 黄:単に卑しいだけなんだよぉ。 則:ほっほ。この程度で苦しむとは、まだまだよの。 黄:そして、半分幽霊の分際で、胃腸系だけはやたらと頑丈なのもどうかと思うんだよぉ。 【そしてふりだしへ戻る】 月:仕方無いから、散歩をして腹ごなししようと思う。 黄:それが良いんだよぉ。 月:晩御飯はやっぱり、お腹一杯に海の幸を食べようと思うから。 黄:馬鹿は何処まで行っても、やっぱり馬鹿だと言わざるを得ないんだよぉ。 【全て演出】 月:ふむふむ。ここら辺は、風情があって良い。 黄:珍しくまともなことを言ってるんだよぉ。 月:この風情を出す為に、観光協会が如何に汗を掻いているかを忘れてはいけないと思う。 黄:そしてそれは、一見、褒めてるようで、実は全く持ち上げていないことになるんだよぉ。 【バランスとは無縁】 月:パクパク。 黄:また、馬鹿みたいに食べ出したんだよぉ。 月:料金に差は無いんだから、ある分は食べるのが常識。 黄:御嬢様の癖に、随分とセコいんだよぉ。 則:ふむ。このきゃびあとやらは美味じゃの。山の様に持ってきてたもれ。 黄:そして、金銭感覚が麻痺した女帝も、それはそれでどうかと思うんだよぉ。 【朱雀ならきっと】 月:ふう。食った食った。 黄:寝転がってる辺り、もう一歩も動けないと見たんだよぉ。 月:はーはっは。それを見破るとは流石、黄龍。見直したぞ。 黄:むしろ、その推察が出来ないのは、 どれだけボンヤリ生きてるのかが気になるところなんだよぉ。 【外見年齢と同じか】 月:では、夜の更けてきたところで、枕投げでも。 黄:それは、中高生のやることなんだよぉ。 月:だったら、布団を何枚積み重ねて耐えられるかを検証――。 黄:とりあえず、頭の中は、そのレベルで止まってることだけは把握したんだよぉ。 【無駄知識が溜まる】 則:くーくー。 黄:何という寝付きの良さなんだよぉ。 月:はっ、しまった。枕が変わると、眠れない。 黄:だからいつだってマイ枕を持ってうちに来てたのかと、 今更ながら真実に気付いてしまったんだよぉ。 【きっと朱雀型抱き枕】 月:……一睡も出来なかった。 黄:知ったこっちゃないんだよぉ。 月:やれやれ。変温動物様は、体温の立ち上がりが悪くて御機嫌斜めの様だ。 黄:それだけ元気なら、多少、眠れてなくても、特に問題は無いんだよぉ。 【ネコじゃないのか】 則:ほふぅ。良く寝たの。 黄:見事に、対極なんだよぉ。 月:あな悔しや。眠気を他人に分け与える道具さえあれば、呪ってくれるものを。 黄:そんな、何処ぞのタヌキ型ロボットの様な話をされても、こっちは実に困るんだよぉ。 【これぞ堂々巡り】 月:さて。家に帰るまでが旅行です。 黄:校長先生が居るんだよぉ。 月:だけどまあ、やっぱり眠いから、黄龍の家で一泊していこうと思う。 黄:だから、うちの方が旅行先より遠いと、何度言わせる気なんだよぉ。 【一種の高級羽毛布団】 朱:ふに? 皆さん、どちらに行ってたんですか〜? 月:嗚呼、何も言わず、とにかく今は腕の中で眠らせて。 朱:ふ、普通に、重いんですけど〜。 月:くかーくかー。 黄:多分、明日の朝くらいまでは起きないから、そのままにしておくんだよぉ。 朱:と、とても理不尽な展開に、頭がついていかないです〜。
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