【そもそもドッグじゃない】 朱:に、人間ドックに行く様、言われたんですけど〜。 黄:色々と、ツッコミどころが満載なんだよぉ。 白:うんうん。小鳥なのに犬って、一体、どういうことなのかとかね。 黄:そこはむしろ、一番どうでも良い部類で、構う価値も無いんだよぉ。 【面白そうだからか】 朱:ま、まずは問診です〜。 医:ムムム。お嬢ちゃん。羽根が生えている様じゃが、 何か変なものを食べやしなかったかの? 黄:麒麟の奴、何でまた、人間用の医者を紹介なんかしやがったんだよぉ。 【まさに万能医】 医:何じゃ。生まれ付きなら最初にそう言わんかい。 黄:割と無茶な医者なんだよぉ。 医:ほいで、何か気になることはあるかいの? 朱:妖怪の獏さんって〜、何であんなに奇天烈な格好をしているんですかね〜? 黄:日常の疑問を、こんなところでぶつけるんじゃないんだよぉ。 医:あれは、神が余り物を足して創造したとされるからじゃの。 黄:そしてこっちも、真面目に返答なんかするんじゃないんだよぉ。 【本当に正規医か】 朱:ふに。実に良いお医者さんですね〜。 黄:信頼を得てしまったんだよぉ。 医:インホームドコンセプトは、絆を築く為の常識じゃからの。 黄:微妙に噛んでる上、用法を確実に間違ってるんだよぉ。 【基本的引っ掛け】 医:さて……とりあえずは血液検査じゃの。 朱:ちゅ、注射は苦手です〜。 黄:覚悟をするんだよぉ。 医:目を瞑れば、針の刺さる瞬間が分からんから怖くないぞい。 朱:……む、むしろ、その分からなさが恐怖感を煽るんですけど〜。 黄:こんなにも古典的な心理作戦に、騙される者が居ることに驚きなんだよぉ。 【ツッコミ分が足りない】 医:ふむ……珍しい血じゃの。 黄:そりゃ、鳳凰の一族は一味違うんだよぉ。 医:白血球と血小板が、並より少し濃いと見たわい。 朱:み、見るだけで分かるんですか〜? 医:分かる訳無いじゃろ。 黄:誰か今すぐ、この爺さんを止められる看護師を探し出すんだよぉ。 【既成概念キラー】 医:何じゃ。若いのに骨密度が足りんぞい。 黄:鳥類は、大概、この程度なんだよぉ。 医:それにしても、体温が七十五度とは、随分と高めじゃの。 黄:そろそろ、一般常識を切り捨てての検診をお願いしたいんだよぉ。 【事情が複雑に】 朱:こういう時は〜、逆に考えるんですよ〜。 黄:何が言いたいんだよぉ。 朱:真っ当なお医者さんだと〜、診察そのものを断られてしまうんです〜。 黄:こうなってくると、ここに居る意味自体が曖昧で、何が何やらなんだよぉ。 【無意味な拘り】 朱:バ、バリウムは飲みにくくて苦手です〜。 黄:最近は、大分、楽になったと聞くんだよぉ。 医:うんにゃ。うちのバリウムは、飲み易さ据え置きじゃて。 黄:一応、理由を聞いておくんだよぉ。 医:そっちの方が、反応が楽しいじゃろう。 黄:とりあえず、最低の医者として記憶の片隅へ置いておくことにするんだよぉ。 【青龍脈動編参照】 医:残念じゃが、身体の中に石が発見されたぞい。 朱:け、結石ですか〜? 医:いや、それが普通の石なんじゃが、前例が無いぞい。 黄:鳥類は、消化促進の為に飲み込むことがあると言うべきか、実に悩むんだよぉ。 【奇跡の超伝達】 医:脚気の検査をさせて貰うぞい。 黄:いきなり、ローテクになったんだよぉ。 医:ヌヌヌ。右膝を叩いて左脚が上がるとはどういうことじゃ。 黄:それは、朱雀だからの一言で、全ての解決が出来るんだよぉ。 【軽く既視感】 医:世の中は、まだまだ儂の知らん世界があるんじゃのぉ。 黄:出来れば、今日のことは今後の医療に一切、役立てないで欲しいんだよぉ。 医:儂の目指す至高の極みは、思ったより、遠くにある様じゃのう。 黄:そして、少しは人の話を聞きやがれ、なんだよぉ。 【底無しの胡散臭さ】 医:血圧が少し高めの様じゃの。 朱:ふ、ふに? 医:しかしまあ、儂の様な色男を目の前にしておったら、当然のことじゃろて。 黄:そろそろ、医師免許の提示をお願いしたくなってきたんだよぉ。 【人類超越】 医:何を言うか。元とは言え、皇帝お抱え医の儂に向かって何たる言い草じゃ。 黄:実年齢が、果てしなく謎になってきたんだよぉ。 医:二百歳でも現役という触れ込みで、うちは客が途絶えることが無いんじゃて。 黄:それは恐らく、半ば妖怪化したあんたにしか出来ないと思われるんだよぉ。 【宇宙の落とし子疑惑】 医:脳シーテースキャンの結果が出たんじゃが――。 朱:な、何か問題があるんですか〜? 医:地球上に存在しない成分で出来ておる可能性があると、担当医が驚いておったわい。 黄:それもまあ、朱雀だから別段、驚きもしないんだよぉ。 【ついに科学が証明】 朱:な、何だか、物凄い言われようです〜。 黄:新しい世界へと、旅立つんだよぉ。 医:ついでじゃが、医学の常識では有り得ぬ配線じゃったそうじゃよ。 黄:それはむしろ、最初から分かっていたことなんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜……。 【何が起きても想定内】 医:血液検査が出た様じゃの。 朱:ドキドキです〜。 医:何でも、ふにふにと言う不思議な菌が発見されたらしいのじゃが、 これも驚くに値しないと言うんじゃな? 黄:段々と、扱い方が分かってきた模様なんだよぉ。 【もう慣れたさ】 朱:そ、それの何処が、驚くに値しないと言うんですか〜? 黄:気になるとは、意外なんだよぉ。 朱:ふに? 黄:たくさんのお友達と、常に同居してると思えば良いんだよぉ。 朱:たしかに〜、それもそうですね〜。 黄:この様に、言い包める術も、徐々に憶えてくる訳なんだよぉ。 【気にしてたのか】 医:お主、心理療法士として働く気は無いかの。 黄:謹んで、お断りするんだよぉ。 朱:プー太郎をしているくらいでしたら〜、やっても良いんじゃないですか〜? 黄:わざわざ、人の気にしている部分に触れる小鳥は丸焼きにしてやるんだよぉ。 朱:つ、謹んで、お詫び申し上げます〜。 【ついポロリと】 医:何じゃ。お主、若いのに無職か。 黄:これでも、爺さんの五十倍は生きてるんだよぉ。 医:ヌヌ。その長寿の秘密を知る為に少し解剖――もとい、検診をさせて貰えんかの。 黄:思わず本音が漏れるとは、割かし可愛い部分もある様なんだよぉ。 【ネバーランドっぽい】 朱:そう言えば〜、森に行くと、時期に依っては気分が悪くなることがあるんですけど〜。 黄:恐らくは、花粉症なんだよぉ。 医:うんにゃ。それは妖精さんがこちらの世界へおいでと手招きしておるんじゃよ。 朱:何でこういう時だけ、無駄にメルヘンを大事にしてるんだよぉ。 【永遠の天然属性】 朱:そ、そうだったんですね〜。 黄:信じるのも、どうかと思うんだよぉ。 朱:とりあえず〜、これが終わったら出向いてみようかと思うんです〜。 黄:いい加減、聖獣は妖精より格上であると理解して欲しいものなんだよぉ。 【微妙に正論】 医:最終結果を発表するぞい。 黄:テレビ番組の、見過ぎかと思われるんだよぉ。 医:病院じゃから、鳴り物は自粛する辺りが、儂も大人じゃのう。 黄:大人なら、すっと渡して、とっとと解説を始めるべきなんだよぉ。 【人間辞めすぎ】 医:色々と問題はあったが、先百年は壊れることの無い、頑丈な肉体じゃの。 朱:お、お墨付きを頂きました〜。 黄:この爺さんのじゃ、余り当てにはならないんだよぉ。 医:なぁに。何か起こったら、儂が責任を持って診てやるから安心するがよい。 黄:そして、一体、何歳まで医療行為に従事するつもりなのかを問いたいんだよぉ。
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