邂逅輪廻



【人生一発逆転】
白:自分の為ならコツコツと〜、努力するのもありかもね〜♪
朱:随分と、浅ましい歌ですね〜。
黄:それよりも、何で人の庭を掘り返してるんだよぉ。
白:いや、原油か鉱石辺りが出てこないかなって。
黄:山師にも、程があるとだけ言っておくんだよぉ。


【妄想は事実よりアレなり】
黄:そういうのは、調査に調査を重ねて、ようやく掘り出すものなんだよぉ。
白:でも、トロイ伝説を現実にした、シュリーマンの前例もあるし。
黄:あれは、私財を投げ打った上に、物凄い努力をしてるんだよぉ。
白:え? 絵本読んで庭を掘ったら、遺跡発見して大儲けしたんじゃないの?
黄:過程を省略して理解したつもりになるのも、程々にした方が良いんだよぉ。


【目先は復讐】
朱:とりあえず〜、生ゴミを埋めますから元は取れますよ〜。
黄:そういう、古典的な有効活用も、面白味が無いんだよぉ。
朱:ふに?
黄:落とし穴にして、何とか麒麟を誘き寄せようかと思うんだよぉ。
月:それも十二分に、古典的。


【白虎感嘆編参照】
白:お? 何か手応えが?
黄:どうせ、石辺りなんだよぉ。
白:いや、固くも無く、柔らかくも無い微妙な感じで?
朱:ふに。これは蝮ですね〜。
黄:どうやら、昔逃げ出した子達が、そのまま眠っていたらしいんだよぉ。


【空回り大好き】
朱:一体、何処まで掘るんですかね〜。
黄:既に、全身が埋まる程の深さなんだよぉ。
朱:この情熱を、どうして仕事に活かせないんですかね〜。
黄:朱雀が言っても、戯言にしか聞こえないのが面白いところなんだよぉ。
朱:ふに〜?


【強盗殺人未遂事件勃発】
白:お、また何か手応えが。
黄:今度は何なんだよぉ。
?:あ、あんた方、わたすんちに何か用け。
朱:も、モグラさんですね〜。
白:とりあえず、小腹が空いたから間食に、と。
黄:あまりに可哀想だから、埋め直して差し上げるんだよぉ。


【超長寿者が言ってみる】
白:ここまで来たら、世界記録とか目指したいよね。
黄:少なくとも、キロメートル単位はあった気がするんだよぉ。
白:ん〜っと。一日一メートル掘れば、何十年かで達成できるかな?
黄:土を捨てる方法や、落盤を全く考えない辺りが、
 長生きする秘訣なのかも知れないんだよぉ。


【たまには知性派】
白:ん? また何かあったかな?
黄:いい加減、岩盤辺りにブチ当たるんだよぉ。
?:おめば、人んちさ抉じ開けて、何のつもりだばさ。
黄:またモグラなんだよぉ。
白:モグラって、下に行くほど、訛りがキツくなるんだ。
黄:どうでもいい知識が溜まる瞬間は、快感であり虚しくもあるんだよぉ。


【さりげに悪趣味】
白:うーん。慣れてきたのか、良い感じで掘り進められるよね〜♪
朱:ふに。掘り返した土が後ろで溜まってることは伝えなくて良いんですか〜?
黄:一体、何処で気付くかが醍醐味と言って良いんだよぉ。


【目測誤る】
朱:そう言えば〜、白虎さんって、鳥目じゃなかったでしたっけ〜?
黄:そろそろ、その影響が出るんだよぉ。
白:うぎゃー!? スコップが足を直撃した!?
黄:続けるつもりなら、懐中電灯の類を使う頃合いなんだよぉ。


【山師にありがち】
朱:白虎さん〜、晩御飯の時間ですよ〜?
白:ん〜。何か片手で食べられるもの置いといて。
朱:わ、分かりました〜。
月:熱中すると、目的と手段がごっちゃになるタイプ。
黄:そして最終的には、目的さえ曖昧になるんだよぉ。


【お前なら出来るのか】
黄:だけど、あのエネルギーは有用なんだよぉ。
朱:ふに?
黄:職場で実力を発揮出来ないのは、使う方に問題があるに違いないんだよぉ。
月:常にそこへ行きつく発想力が、実に素敵。


【卵が先か鶏が先か】
窮:お姉ちゃん、何やってんの?
白:ん? 見ての通り、穴掘り。
窮:……いやいやいや。そーじゃなくて、何の為に穴を掘ってるの?
白:そこに穴があるから。
黄:この場合、自分が掘り始めた穴だけに、パラドックスが生まれるんだよぉ。


【何しろ戦い過ぎ】
白:あー、そうそう。何か出て来ないかなって掘り出したんだっけ。
窮:ふ、普通は忘れないよね。
フ:いやー、しかし私も、新聞を取りに行ったのを時たま忘れますから、
 血は争えないですよね。
黄:それは、パンチドランカーか年齢に依るものを懸念した方が良いんだよぉ。


【時給制だけど】
白:ふぅ。労働の汗は気持ち良いよね〜。
黄:若干、何かを履き違えてるんだよぉ。
白:ところで、これってもちろん、残業手当が付くよね?
黄:むしろ、真っ当な査定があるなら、減俸ものの行動だと言っておくんだよぉ。


【肉体の限界】
窮:うわっ!? お姉ちゃん、これ一日で掘ったの!?
黄:スコップの方が、先に悲鳴を上げそうなんだよぉ。
白:最近の道具って根性無いよね〜。
黄:むしろ、最新の重機を使えば、小一時間で出来る作業ではあるんだよぉ。


【比熱が低いのさ】
白:一晩寝てさ。率直に思ったこと言って良い?
黄:一体、なんなんだよぉ。
白:私、何でまたこんなことに夢中だった訳?
黄:熱しやすい性質は、同時に冷めやすい性質も持ち合わせているんだよぉ。


【脳内で二度手間】
白:折角だからさ、今度から容積の単位を朱雀で勘定しない?
朱:ふ、ふに?
白:具体的に言うと、この穴、大体朱雀三十人分くらいかな。
黄:野球場に匹敵する、むしろ分かり難くなる喩えなんだよぉ。


【引き際知らず】
白:しっかし、これだけ掘り進んで何も出ないってのは理不尽だよね。
黄:モグラの、平穏な日常はブチ壊したんだよぉ。
白:でも、あと一メートル掘れば何か出るんじゃないかって気分にも――。
黄:確実に、ギャンブルで身を崩すタイプだと再確認したんだよぉ。


【ターゲットロックオン】
朱:びゃ、白虎さん〜。頭の耳が、ピクピク動いてますよ〜?
白:あ、これ? テンション上がると勝手に動くんだよね。
黄:犬の尻尾みたいなんだよぉ。
朱:忠誠心は野良猫並ですけどね〜。
月:この余計な一言が、寿命を縮めることに気付かない朱雀なのであった。
朱:ふ、ふに〜。


【警察ドキュメントに匹敵】
白:じゃ、そういうことで。とりあえず帰って寝直すね。
黄:その前に、ちゃんと埋めていくんだよぉ。
白:へ?
黄:呆けるほど意外なことじゃないんだよぉ。
白:でも、だったら私だけじゃなくて、
 キツツキやプレイリードッグにも逐一文句を言うべきだと思うんだけど。
黄:今、酷い居直りの現場を目撃したんだよぉ。


【キジトラはどうなる】
黄:猫は、掘った穴をちゃんと埋めるんだよぉ。
白:私は虎だってば。
黄:トラネコなんて種類が居るんだから、本質的に大差無いんだよぉ。
月:無茶な理屈も続けると、それっぽく聞こえるこの不思議。


【要は自分のせい】
白:う〜。何で私がこんなこと。
黄:無茶苦茶言ってるんだよぉ。
月:因果応報。因果報応。自業自得。自縄自縛。悪因悪果。自因自果。
白:……。
月:まだ続ける?
白:いや……良い。


【割と居るけど】
白:お、終わった……。
朱:ま、また日が暮れましたね〜。
黄:とりあえず、穴掘りだけに二日を費やした愚者として、
 心に刻むことにするんだよぉ。
白:しょ、将軍の埋蔵金に一生を費やしてる人に比べればマシだって。
月:負け惜しみだけは一人前の白虎なのであった、丸。


コント連載中



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