邂逅輪廻



【じゃあ八方美人】
月:月は自転と公転の速度が同じだから、一つの面しか見せない。
朱:いつでもウサギさんに会えるんです〜。
月:対して、太陽は公転自転で全ての面を見せる。
黄:黒点の位置は、日々刻々変わるんだよぉ。
月:これらから導かれる結論は、月を司る私に比べて、太陽を司る姉さんは裏表が激しい。
天:む、無茶な理屈を言わないで……。


【共倒れの気が】
月:それにしても、日本に於ける月読の知名度は絶望的。
朱:そ、そんなこと無いですよ〜。黄龍さんに比べれば大分マシです〜。
白:一人を救えば、一人が傷付く。現実ってのはシビアだね〜。
黄:やたらと綺麗に締めようとしないで欲しいんだよぉ。


【事実上の二番手】
月:こうなったら、武神としての信仰を利用しようと思う。
朱:あれは〜、公家から武家への権力移行で生まれた後付けじゃないんですか〜?
月:まあ、私は出自や氏素性には拘らない主義だから。
黄:日本で一番良い家の出の癖に、良く言ったものなんだよぉ。


【むしろ狙った】
月:その昔、偉大な大打者がこう言った。『月に向かって打て』、と。
朱:ふに?
月:これに倣って、私は太陽に向かって射てみようと思う。
黄:中々に見事な軌跡なんだよぉ。
天:み、道を歩いていたら、矢が、降って来ました。
月:まあ、地球の重力を振り切る程の初速が出せる訳無いけどね。


【影武者とかなら】
月:武神と言われるからには、百人稽古をやってみたい。
朱:百人の相手と休み無く戦うあれですね〜。
月:この日の為に開発した、量産型アマテラスの封印を解く日が来た。
黄:本格的に、今日という日以外の使い道が無いんだよぉ。


【費用掛かりすぎ】
月:うりゃ。
朱:つ、次々と天照さん型の人形が破壊されていきます〜。
白:うーん。こういうのって、どっかで見たこと無い?
朱:ふに?
白:そうだ。ゲーセンでパンチングマシンをやってるOLっぽい。
黄:とんだ憂さ晴らし法もあったものなんだよぉ。


【いつものことではある】
朱:月読さんって〜、色々な物を持ってますけど、お金持ちさんなんですか〜?
月:国庫からくすねるなんてこと、慣れれば誰でも出来る。
白:ねえねえ。お姉さんって呼んで良いかな?
黄:何か今、酷い国家反逆の瞬間を目の当たりにした気がするんだよぉ。


【驚くべき実態】
月:まあ何しろ、日本の借金の、約半分は私が積み上げたものだから。
黄:真か嘘か、実に判断がしづらくて困るんだよぉ。


【しかしそれが信者様】
月:武神ごっこは飽きた。
黄:ごっこ扱いされても困るんだよぉ。
月:ここからは、月読の新たなる信仰を検討する方向で考えていこうと思う。
黄:この傍若無人振りに付いていける人も中々居ないと思うんだよぉ。


【貴子だけに】
月:とりあえず、昔は無かったものの神様になるのが手っ取り早い。
朱:しかも誰もがお世話になってるものが良いですね〜。
月:見えた。戦後家電三種の神器、テレビ、洗濯機、冷蔵庫を狙う。
黄:巧いこと言ったつもりなら、空振りなんだよぉ。


【それこそ無数に】
月:御時世だから、神棚の代わりとして扱えば一石二鳥。
黄:ゴミ捨て場に散乱する神棚もどうかと思うんだよぉ。


【有り難味は微妙】
月:時代も移り、デジカメ、DVDレコーダー、薄型テレビも捨て難い。
朱:パソコンや携帯電話も加えましょう〜。
白:となると、クーラーや電子レンジも必須かな。
黄:初めから、家電総合神を名乗った方が絶対に早いんだよぉ。


【良い年なんだから】
月:そうだ。真空パックや冷凍食品の神様になろう。
黄:思い付きで周りを引っ掻き回すのは、そろそろやめた方が良いんだよぉ。


【水で戻そうぜ】
朱:トレンドはやっぱり〜、フリーズドライ製品ですよ〜。
黄:そしてそっちも、調子付かせないで欲しいんだよぉ。


【貧乏学生か】
白:レトルトパウチはあっという間に出来て、実に重宝するよね。
黄:神族、聖獣の食事が、如何に貧しいものかが良く分かる現場だったんだよぉ。


【食ったつもりで食われたか】
月:コンビニ弁当やファーストフードの神様は、将来的に割を食いそうだから保留。
黄:今日も今日とて、極めて危ない橋を渡っている気がするんだよぉ。


【二十四時間ファイティング】
月:時代背景を考慮して、サプリメントの神様を目指そうと決めた。
朱:だったら私は〜、栄養ドリンクを選択します〜。
黄:既に、当初の主旨が何処かに飛んでいったんだよぉ。


【鳳凰由来成分配合】
白:コラーゲンって、鶏皮に多く含まれてるんだっけ?
朱:な、何だか背筋に寒気が走りました〜。
黄:その感覚を大事にして生きていくのが吉なんだよぉ。


【メラニン溜まるのか】
月:姉さんなんか、お肌の染みがどうとか言い出して、丹念に手入れしてる。
朱:太陽神なのにですか〜?
白:元祖皇室御用達で一儲け出来そうな匂いがするね。
黄:つくづく、病んだ世界になったものだと思うんだよぉ。


【見極めは困難】
月:そう言えばこの間、竹炭配合パックに靴墨を塗ったら、しこたま怒られた。
黄:それは、気付かない方にも若干の責任があると思うんだよぉ。


【何処まで堕ちるんだ】
月:でもまあ、信仰なんて個人個人が好き勝手に持てば良い物だから。
黄:ここまで引っ張って、その言い草もどうかと思うんだよぉ。
月:唯、どうせだったら私を崇めてくれても良いんじゃないというだけの話。
黄:論理が殆ど、新聞勧誘員と変わらないんだよぉ。


【アスリートでも会社員でも】
月:物書きの論理も、割とこれに似てる。
朱:ふに?
月:どうせ大したことの無い作品が粗製濫造されてるんだから、
 俺のを読んでくれても良いんじゃないかと心の何処かで思ってる。
黄:何だか、それは何処の業界でも言える気がしてならないんだよぉ。


【誰とは言わない】
月:フリーエージェントしたものの、何処も手を上げず、
 渋々、元の球団に戻る屈辱は二度と御免。
黄:微妙に、何の話か分からなくなってきたんだよぉ。


【末期的状態】
月:何でこんなに躍起になるかと言うと、神族の格は信者数で決まる所が多い。
白:あ〜。世知辛いのは何処も一緒だね〜。
月:姉さんなんか増長して、世界三大宗教に切り込む気満々。
天:て、適当なことを言ってイメージダウンしないで。
月:こうやって、良い子を演じるのも作戦の内。
黄:とりあえず、この姉妹関係の修復が不可能なことだけは再認識したんだよぉ。


コント連載中



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