【きっと世間の掟】 朱:お邪魔します〜。 黄:厄介なのが来たんだよぉ。 朱:ふに? 黄:とりあえず、新聞は間に合ってるから帰るんだよぉ。 朱:そ、それは理不尽を通り越して無茶苦茶です〜。 【ハムスターと良い勝負】 則:良いでは無いか。何か困るということでもあるまい。 黄:確実に面倒事は増えるんだよぉ。 朱:あ、あの〜、則天武后さんは何処ですか〜? 黄:テーブルの上に居るんだよぉ。 朱:ふに!? 則:何じゃ。幾ばくか小さくとも、妾は妾ぞ。 黄:掌サイズになったのは、幾ばくとは言わないと思うんだよぉ。 【失念し易い】 朱:ど、ど、ど、どういうことなんですか〜? 則:何、妾は人の魂じゃからの。時たま、気を抜いて整えねばならんのじゃ。 最近の言葉で言うなら、めんてなんすじゃの。 朱:……。 則:御主、妾が人間であることを忘れておったじゃろう。 朱:そ、そんなことは無いです〜。 【認めるのかい】 黄:とりあえず、則天武后が一番、人間離れしているのは総意なんだよぉ。 則:その様な不合理がまかり通るのが世の面白い所じゃて。 黄:自分で言うのは、何か虚しいものがあるんだよぉ。 【それこそ個性】 朱:しばらくこのままなんですか〜? 則:一両日中には済むじゃろう。 黄:その間、この鳥カゴが住まいなんだよぉ。 則:小まめに掃除はしておろうの。 黄:小さくなっても、態度は大きいままなんだよぉ。 【かなりのマイペース】 白:今日もゆけゆけ白虎ちゃん〜♪ 塞がる敵は食い殺せ〜♪ 黄:こんな日に限って、無駄に人が集まるんだよぉ。 則:うむ。中々に趣のある唄よの。 黄:この際、それはどうだって良いんだよぉ。 【姫ポジションじゃないのか】 白:ん? 何々。虎が居るのに小鳥を飼うなんてチャレンジャーだね〜。 黄:あんなことを言ってるんだよぉ。 則:何。飲み込まれたら、ハラワタを切り裂いてくれるわ。 黄:それは確実に日本の民話なんだよぉ。 【もちろん有り得ない】 則:そう言えば、知っておるかえ。木の実を丸飲みすると、 時たま身体の熱と滋養を吸い取って芽を出し、ハラワタを突き破るのじゃそうじゃ。 朱:ふ、ふに!? 黄:小鳥を無意味な形で苛めるのは、やめて欲しいんだよぉ。 【猪の丸焼きから】 朱:それにしても、小さいと食費が安上がりで良いですね〜。 黄:その考えは甘いんだよぉ。 則:ここから元の大きさに戻るのじゃ。幾ら食うても、足りぬということは無いぞ。 黄:体重別大食い選手権があれば、負けることなんて無いんだよぉ。 【一人世界記録更新】 黄:炒飯三人前、上がったんだよぉ。 朱:い、いきなりの修羅場です〜。 則:うむ。人手があるのであらば遠慮はせぬぞ。休み無く持ってきてたもれ。 黄:聖獣を顎で使った人間は、後にも先にも則天武后だけだと思うんだよぉ。 【恐らく呆れた】 白:ん〜。こういうのって、どっかで見たことあるんだよね〜。 黄:とりあえず手伝って欲しいんだよぉ。 白:そうだ。雛に餌を与え続ける親鳥。 則:ほっほ。何やら聞こえたの。 黄:現世に在りながら地獄耳を身に付けるとは、大したものなんだよぉ。 【熱源不明】 黄:中華料理は、火力が命なんだよぉ。 朱:あ、暑いを通り越して熱いです〜。 黄:敢えてもう、何も突っ込んではあげないんだよぉ。 【五パーセント増程度】 則:さて。一息吐くとするかの。 黄:な、何度やっても疲れるんだよぉ。 白:それにしても、これだけ食べて元の大きさに戻るだけなんて、 かなりの女性を敵に回してるよね。 黄:元々の数が多いから、大勢に影響は無いんだよぉ。 【権力及ばず】 朱:世界には〜、ふくよかな女性が好かれる地域も多いですから、 多少大きくなっても、問題無いです〜。 則:何。詰まる所、美の基準を妾とすれば、さして問題は無かろうて。 黄:美人の代名詞を楊貴妃に獲られた分際で、良く言ったものなんだよぉ。 【頬袋的存在】 白:ん? ひょっとして、最初より大きくなって無い? 黄:効果はてきめんなんだよぉ。 朱:何だか〜、心が温かくなりますね〜。 白:そう? 朱:これがいわゆる〜、親心なんですね〜。 黄:それは確実に、思い違いなんだよぉ。 【脱出不可能】 則:腹が膨れたら眠くなったの。 朱:あ、あっさり寝入っちゃいました〜。 黄:この際だから、鳥カゴに入ったまま大きくなってくれないかとも思うんだよぉ。 【ダメダメコンビ】 朱:と、ところで〜、この積みに積まれた食器の山、 誰が片付けるんですか〜? 黄:いっそのこと、一番年下に押し付けようとも思うんだよぉ。 朱:わ、私はこれでも〜、五千年以上の齢を重ねた聖鳥ですから〜。 黄:調子の良さに掛けては、白虎に匹敵するものがあるんだよぉ。 【最年少は彼女】 玄:全ての汚れを確認致しました。これより、除去します。 朱:食器洗い機能が付いてるなんて知りませんでした〜。 玄:憧れのネコミミメイドになる為でしたら、この程度の技術開発の労は惜しみません。 黄:未だ引き摺っていたことに、脱帽するしかないんだよぉ。 【絡みもしないけど】 白:うずうず。 黄:一体、どうしたんだよぉ。 白:いや、食器につつーと指を這わせて、『これで洗ったつもり?』って言ってみたいなって。 黄:別に止めやしないんだよぉ。 【益々裏道を】 則:ふむ。良き眠りであったわ。 朱:こ、仔猫くらいの大きさになってます〜。 白:これはこれで、特殊な層の需要がありそうだよね。 黄:中身が則天武后である限り、商売にはならないんだよぉ。 【数字の魔術】 白:そういや、食物連鎖が一つ進む度、重さ的には十分の一になるんだっけ。 黄:そんなものだったと思うんだよぉ。 白:つまり、則天武后の体重を五十キロとすると、単純に必要量は〇.五トン。 黄:現実問題として、単位が変わると恐怖感さえ覚えるんだよぉ。 【自身がイナゴクラス】 白:具体的に言うと、米俵八俵くらいだね。 黄:こっちも、三石に単位を変えた方が良い気がしてならないんだよぉ。 【永遠の搾取サイド】 則:何を言うか。食うても増えぬ輩共に比べれば、余程無駄が無いと言うものよ。 黄:死して尚、国土を食らい尽くすとは、やはり只者では無いんだよぉ。 【理由になって無いし】 則:さて。概ね終わった様じゃの。 黄:今度からは、一人でこっそりやって欲しいんだよぉ。 則:何。御主とて皮を剥いて大きくなったのであろう。それとさして変わらぬわ。 黄:ごっちゃにされても、それはそれで困るんだよぉ。
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