邂逅輪廻



【眼光鋭く】
朱:本日は〜、実に良い夢を見ました〜。
黄:一体、どんな夢なんだよぉ。
朱:ついに私も〜、空を飛べたんです〜。
白:つまり鳥として、そろそろ完熟ってことだよね。
朱:しょ、所詮は夢の話ですから〜。


【ミス瓢箪駒】
黄:それにしても、未だに飛べないのはおかしいんだよぉ。
白:案外、飛べないって思い込んでるから飛べないだけだったりして。
朱:そんな訳無いじゃないですか〜。
月:いや。それ、正解かも。
朱:ふ、ふに?


【生兵法舐めんなよ】
月:催眠術に依る暗示で、精神的、肉体的障害を克服した例が幾つも報告されている。
白:へー。それで月読、出来る訳?
月:昨日、入門書を一冊読破した。
黄:そこはかとなく危険な匂いがするんだよぉ。


【旧型テレビか】
朱:うーん。ファンタスティック。やはり目覚めの一杯はキリマンジャロに限る――。
白:うわっ。黄龍が問答無用で朱雀を殴り飛ばした。
黄:叩けば直るのは、先刻承知なんだよぉ。


【唯一の直し方】
月:いやー、失敗、失敗。
黄:本気でそう思うなら、ちゃんと成功させるんだよぉ。
月:表面上の百の過ちこそが、研究を一つの結果に導く方法だとも思う。
黄:それまで朱雀の身体がもたないんだよぉ。


【真の自由人】
月:あなたは段々、月読を好きになーる。
黄:そしてドサクサ紛れに、自分本位の暗示を混ぜないで欲しいんだよぉ。


【独特のオーラ】
朱:ふに……。
月:多分、成功。
朱:砂上の楼閣も〜、瞬間接着剤で固めれば問題無いと思うんですよ〜。
黄:間違いなく、本人なんだよぉ。


【二百尋ちょい】
白:それじゃ早速――。
黄:千尋の谷は勘弁なんだよぉ。
白:やだなぁ。私だって、そこまでワンパターンじゃないって。
 ちょっとジンマオタワーに行こうってだけだから。
黄:地上高四百メートルは、過酷以外の何物でも無いんだよぉ。


【まずは複雑骨折から】
黄:とりあえず、そこの縁側から飛んでみるんだよぉ。
朱:ひ、膝を打ったら、擦り剥くじゃないですか〜。
黄:普通に墜落したら、その程度じゃ済まないんだよぉ。


【救急箱スタンバイ】
朱:ふにっ。
白:あ、五分もの葛藤の後、ついに踏み切った。
黄:随分と説明口調なんだよぉ。
白:そして大方の予想通り、弧を描いて地面へ落ちていく。
黄:さらば朱雀、なんだよぉ。


【要はまぐれ】
朱:……ふに〜?
白:激突音がしなかったね。
黄:と言うより、浮いている様に見えるんだよぉ。
月:はっはっは。見たか、我が才能。
黄:マイナスにマイナスを掛けてプラスになっただけだと思うんだよぉ。


【超低速飛行】
朱:ふにふにふに〜。
黄:たしかに、飛んではいるんだよぉ。
朱:ふに、ふに〜。
白:あ、またアゲハチョウに追い抜かれた。
黄:むしろ難しいことをしている気がしてならないんだよぉ。


【見事な水平飛行】
白:それにしても、もうちょっと高くならない訳?
朱:こ、これが限界です〜。
月:地上高、約三十センチ。
黄:膝小僧と良い勝負なんだよぉ。
白:男だったら、スカート覗きが出来たのにね。
月:あぁ、それは実に良い。
黄:乗っからないで欲しいんだよぉ。


【レポート報告】
白:五十メートル飛行記録、二分三十一秒。
月:時速換算で、一.二キロメートル程。
白:そして本人は、体力の限界で突っ伏してる、と。
朱:ふ、ふに〜。
黄:本格的に何の役にも立ちそうに無いんだよぉ。


【天文学的低確率】
朱:そ、そんなこと無いですよ〜。
黄:一応、話は聞くんだよぉ。
月:ピラニアが棲んでいる、幅五十メートルの川を、
 どうしても短時間で越えなければいけない時は役に立つ。
白:もちろん、数百メートル以内に、橋の無いことが絶対条件だけど。
黄:一万年生きてきて、そんな状況になったことが無いんだよぉ。


【蚊トンボか】
白:重い物を持てば飛び上がれず――。
朱:ふに〜!
黄:強風には立ち向かえないんだよぉ。
朱:ふ、ふにふに〜!?
黄:実用性がここまで無いと、むしろ感嘆するんだよぉ。
朱:ふに〜……。
月:朱雀七変化を見ているだけで、充分、楽しい。
黄:それが一番、平和な気もするんだよぉ。


【必然のしっぺ返し】
青:皆さん、一体、何をなさっているのですか。
朱:青龍さん〜。私〜、ついに飛べる様になったんです〜。
青:まあ、冗談はさておきまして。
朱:い、一瞬で黙殺されました〜。
黄:部下を信頼しない上司は、自身も信頼されないんだよぉ。


【絶対に認めない】
朱:ふに〜。
青:私には、浮いているだけの様に見えるのですが。
黄:ちゃんと進んでるんだよぉ。
朱:ふに〜!
青:流木とて、その場に延々と留まっている訳ではありませんから。
黄:案外、依怙地になるとしつこいんだよぉ。


【理論を超越】
青:大体、気持ち浮くくらいのこと、私にだって出来ます。
朱:ふ、ふに!? な、何で出来るんですか〜。
青:私は、青龍です。
黄:説明になってなくても、凄味だけは伝わってきたんだよぉ。


【御愁傷様】
朱:ふに〜……ふに〜……。
黄:そして、鳥類としてのプライドをズタズタにされた、
 小鳥の抜け殻が出来上がったんだよぉ。


【かれこれ千年程】
朱:ですけど〜、飛ぶことだけが朱雀の存在意義じゃ無いですよね〜。
黄:脳天ヒマワリだと、復活が早くて羨ましいんだよぉ。
青:あなたは沈みっ放しですものね。
黄:敢えて返答は何もしないんだよぉ。


【龍なのにトラウマ】
朱:ひょっとして〜、黄龍さんも飛べるんですか〜?
青:元運転手を甘く見ない方が宜しいかと。
黄:あのジジィ、大陸の端から端まで、扱き使ってくれたものなんだよぉ。
朱:ふ、触れてはいけない心の傷だったんですね〜。


【飛べる人の論理】
朱:今はこれだけしか飛べませんけど〜、いつの日か大空を羽ばたいてみせます〜。
青:ヘリコプターや小型飛行機の発達した現代で、
 自らの羽で飛ぶことにそれ程の意義は感じませんけどね。
朱:ふ、ふに〜。
黄:この意気の削ぎ方は、天才なのでは無いかと思うんだよぉ。


【似てる様なそうでも無い様な】
白:あ〜、でもちょっと分かるかなぁ。獲物を狩るのは快感なんだけど、
 スーパーで特売の肉とか売ってると、そっちでも良いかな〜って思うし。
青:同列に並べられるのは、心外の気も致しますね。


コント連載中



 ネット小説ランキングさん(現代ファンタジーコミカル部門)にて「それゆけ黄龍ちゃん!」を登録しています。御投票頂けると、やる気が出ます(※一作品につき月一回有効。複数作品投票可能)。

ネット小説ランキング:「それゆけ黄龍ちゃん!」に投票


サイトトップ  小説置場  絵画置場  雑記帳  掲示板  伝言板  落書広場  リンク