【会うまでは信じない】 黄:白龍から、手紙が来たんだよぉ。 白:あー、本当に生きてたんだ。 朱:死後に代筆された可能性と偽造は否定できません〜。 青:あなた方は何処まで彼を殺したいのですか。 【半死半生】 白:だって黄龍にタコ殴りにされた三人が三人共生きてるなんて、 世界観変わるくらいの衝撃じゃない。 赤:かかか。 白:まあ、今のは聞かなかったことにするけど。 青:そして一体、何処まで手前勝手なのですか。 【経緯が不明】 白:それで、何て書いてあったの? 黄:『この度、私も新しい職に慣れ、多少なりとも落ち着いて来ましたので、 宜しければ一度遊びに来て下さい』とか書いてあるんだよぉ。 白:新しい職って……執事だっけ? 黄:仕えてる相手が問題なんだよぉ。 白:って言うと? 黄:『追記。尚、私の主人に当たる方は麒麟様で――』 白:えっと……それ、突っ込む所? 黄:悲しいことに、原文そのままなんだよぉ。 【正論と掛かってる】 麒:うむ。今日のセイロンティーは中々上手く淹れたな、セバスチャン。 セ:ありがとうございます、お嬢様。 黄:一体、何をしてるんだよぉ。 麒:深窓の令嬢と執事ごっこだ。 黄:正面きって開き直られると、それはそれで困るんだよぉ。 【特に変わらない】 セ:これはこれは黄龍殿。今日はどのような御用向きで? 黄:遊びに来いと言ったのはそっちなんだよぉ。 セ:お嬢様、この様に申されていますが。 麒:ふむ。まあ許してやるとするか。 黄:何だか、いつもの三倍くらいムカつくんだよぉ。 【むしろ加減せずに】 黄:それにしても、この転身はどういうつもりなんだよぉ。 セ:私も考えたのです。黄龍殿に殴り倒され、数千年の眠りに就き、 果たして私の生き様はこれで良いのかと。 黄:割合、殊勝な心掛けなんだよぉ。 セ:そして思い至ったのです。女子校の教師か執事になれば、 合法的に女性の側に居ることが出来る、と。 黄:もう一度殴り飛ばしておいた方が世の為かも知れないんだよぉ。 【おからより絞りカス】 麒:まあ待て、黄龍。こんなのでも今は私の従者だ。 下手な手出しは私も敵にすることになるぞ。 セ:ああ、お嬢様。もったいなきお言葉。 麒:一日三十時間働かせて使い物にならなくなったら捨てるから、 それまでは我慢しろ。 黄:そこまでいったら、手を下すまでも無いんだよぉ。 【生き延びることが出来るか】 セ:はっはっは。お嬢様、お戯れを。 麒:私は、決して嘘は吐かない主義だ。 黄:契約を反故にするなら今の内なんだよぉ。 【通り雨の類】 セ:それはそれと致しまして。 黄:現実逃避はお手の物なんだよぉ。 セ:そちらのお嬢様方は一体――。 白:うーん、アップルパイ、美味しいね。 朱:このクッキー、バターの配合が絶妙です〜。 黄:通りすがりの野良猫と小鳥なんだよぉ。 【そこそこ名品】 麒:一応は、私の部下に当たる。 セ:左様で御座いましたか。 麒:私が就任して以来、最低レベルの役立たず共だがな。 黄:怒りでティーカップを壊すのはもったいないんだよぉ。 【たまには当たりも】 セ:及ばずながらこのセバスチャン。お嬢様のお力になれるかと思います。 白:ふえ? セ:これでも昔は副業として白龍を嗜んでいたことも御座います。 西方守護の任に関して一時代を築き上げたものです。 麒:昔は副業、今はバイトと、金行は代々、碌な奴が居ないな。 黄:単に運が悪いだけだと思うんだよぉ。 【そんな制度は無い】 白:ん〜。白虎するのもそろそろ飽きたし、やりたいなら勝手にして良いよ〜。 麒:惜しいな。四神職を二百年務めるとそれなりに恩給も出せるのだが、いや、実に惜しい。 白:さ〜って、ちょっと防衛戦、頑張っちゃおうかな。 黄:絶対に遊ばれてるんだよぉ。 【それはそれでどうだろう】 朱:て、転生まで二百年の私には物凄く不利な制度なんですけど〜。 黄:始めから無いから、安心するんだよぉ。 【拳が迫ってくる】 セ:おっと。暴力に依る対話の時代は、二十世紀に幕を閉じています。 これからの時代は外交力が物を言いますので、そちらで勝負といきましょう。 白:うーん、別に良いけど。 朱:執事だけに紳士的ですね〜。 黄:単に殴る殴られるがトラウマなだけなんだよぉ。 【誰でも知ってる】 白:それで、どうするの? セ:あそこに古ぼけた服を着た旅人が居ます。あの上着を脱がせた方が勝ちと致しましょう。 黄:イソップ童話なんだよぉ。 セ:ふっふっふ。この無知で蒙昧な小娘が故事に精通してるはずもありません。 この勝負、頂きました。 黄:むしろ、地味に自分の無知さを露呈してるんだよぉ。 【抑止力って素敵】 白:ねぇ、お兄さん。その服を置いていかないととんでもないことになるんだけど。 旅:ひ、ひいぃぃぃ。 白:はい、私の勝ち。 セ:そ、その様な手法、認められるものですか。 黄:ある意味、正しい外交姿勢なんだよぉ。 【フードファイター降臨】 セ:さて、ウォームアップはこれくらいで良いでしょう。 黄:小学生が居るんだよぉ。 セ:生物にとって、力の根源の一つは食です。ここは、早食い競争といきましょう。 黄:段々と、イロモノ勝負になってきたんだよぉ。 【昔狩ったし】 白:龍族と共通の食事って言うと、ネズミ辺り? 黄:そんな大量に、何処から調達するんだよぉ。 白:黄龍んちの屋根裏に幾らでも居るでしょ。 黄:さりげに名誉毀損なんだよぉ。 【只の窃盗犯】 白:という訳で持ってきたよ。 朱:こんなにたくさん、何処で手に入れたんですか〜? 白:うん。何とか研究所ってとこで拾ってきた。 黄:それはいわゆる、モルモットなんだよぉ。 【何故こんな展開に】 白:でも、どうせ薬漬けで殺されるんだったら、 一思いに楽にしてあげるのが人情でしょ。 黄:随分と、業の深い話になってきたんだよぉ。 【むしろフェアな題材】 黄:結局、ラーメン早食いに落ち着いたんだよぉ。 白:うー、猫科には恐ろしく不利なんだけど。 セ:ふっふっふ。この勝負、頂きました。 黄:変温動物が下手に急いで食べると、体温が上がり過ぎて死ぬんだよぉ。 セ:黄龍、謀りましたね!? 黄:最初からどっちの味方でも無いんだよぉ。 【凍えて動けなくなる】 黄:なんだったら、カキ氷でも良いんだよぉ。 セ:宜しい。始めると致しましょう。 黄:見事なまでの変わり身、御苦労なんだよぉ。 【一杯十分】 白:ふー、ふー、ふー。 セ:ええい、世に人肌ラーメンと言うものは無いのですか! 朱:絵的に物凄く地味ですね〜。 黄:これで西方守護が決まる訳無いと、誰かが言ってやるんだよぉ。 【良い厄介払い】 麒:終わってみれば、三杯四十分でドローか。 白:れこらにあるろろはるり。 黄:きちんとした言語を喋るんだよぉ。 朱:は、白龍さんが湯気を出して倒れてます〜。 黄:そっちはそっちで、捨て置くんだよぉ。
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