邂逅輪廻



【何しろ昔人】
白:わ、わ、わ。これ、どうしたの?
黄:朝起きたら、この惨劇なんだよぉ。
青:見事なまでに蝮小屋を破壊されましたね。
黄:蛇太郎も、蝮姫も完全に行方不明なんだよぉ。
青:ネーミングセンスには共感出来無い訳ですが。


【時間の無駄だ】
白:ここは放浪時代、探偵業で生計を立ててた私にお任せだね。
黄:絶対に嘘なんだよぉ。
白:むむむ。この足跡、小さくて特徴的だね。
朱:それ〜、私のです〜。
黄:とりあえず、白虎は放置するんだよぉ。


【崩壊への序曲】
?:――じゃけんのぉ。
黄:何かが聞こえたんだよぉ。
?:何じゃ、この蝮、筋張ってて旨くないのぉ。
黄:怒りの吐き出し所は決まったんだよぉ。
青:避難した方が賢明かも知れませんね。


【助ける気無し】
?:うぉ、何じゃ。話があるんじゃったら飯が終わってから――。
黄:――だよぉ。
?:あぁ?
黄:人の後継者を朝飯にするなんて、どういう了見なんだよぉ。
?:うぎゃーー!?
白:うーわ、あれは確実に死んだね。
朱:どなたか知りませんが冥福を祈ります〜。


【どうせ止められない】
?:お、おんどりゃー。やるやないかい。
黄:今のは、蛇太郎の分なんだよぉ。
?:なんじゃと?
黄:命の重みを、その身体で知るんだよぉ。
?:どはおぅ!?
白:これって、熱血格闘物だっけ?
青:たまにはこういうのも良いのではないですかね。


【忘れがちな事実】
?:な、なんちゅう所じゃ。大陸には、こげな奴がゴロゴロしとるんかい。
青:いえ。あなたが相手にしているのは中原最強の御方です。
白:あんた、生きてるだけで大したものだから。


【一つ勉強に】
黄:簡単に殺す訳が無いんだよぉ。
朱:な、何だか物騒な声が聞こえました〜。
白:世の中、聞かなかったことにした方が良いってことあるよね。


【軽く偏見】
月:須佐之男。何してるの。
須:あ、姉貴。助けてくれ。このままじゃ殺される。
月:自分の不始末は、自分で処理すべきだと思う。
須:姉貴ー!
朱:噂通りのシスコンさんですね〜。
青:日本の神様は、ああいうのばかりですよ。


【直視をやめた】
黄:八岐大蛇を倒した位で粋がらない方が良いんだよぉ。
須:お、おまーなんか、天叢雲剣がありゃ、一太刀じゃけん。
黄:やれるものならやってみるんだよぉ。
白:いやー、臨場感溢れる攻防、真に見応えがありますね、解説の朱雀さん。
朱:須佐之男さんの健闘に期待したい所です〜。
青:現実逃避は如何なものかと思いますが。


【虐殺モード突入】
天:す、須佐之男!?
須:姉貴、良い所に。昔渡した天叢雲剣、ちょい貸してくれ。
天:え。あれなら、御神体として天皇家に渡して、それっきりだけど。
須:……。
月:どの道、錆びて使い物になんかならない。
黄:勝負あったんだよぉ。


【言いたい放題】
天:ま、待って下さい。この様な者でも私の弟です。
 罰を受けるというのであれば、私も一緒に――。
黄:良い覚悟なんだよぉ。
天:え、いや、ここは姉弟愛に感動して、引き下がって頂けるのでは――。
黄:お涙頂戴は通じないと、何度言えば分かるんだよぉ。
月:流石は、この国の最高聖獣。
白:軽く問題発言だけどね。


【愛が違う】
黄:埃がまだ付いてるだよぉ。
須:くっそ〜。なして儂がこげなことせねばならんのじゃ。
黄:全部、聞こえてるんだよぉ。
白:それで、当分の間、下僕になることで決着した訳?
月:須佐之男には、良い薬。
天:あ、あの〜。何で私まで……。
黄:言いたいことは、はっきり目を見て言うんだよぉ。
天:な、何でも無いです。
月:そして姉さんは、良い気味。
青:分かり易い応対の差ですね。


【常人は三つが限界】
白:ところで須佐之男さん。
須:なんじゃ。
白:この度、マザコン、シスコン、ロリコン、そして親バカに乱暴者と、
 見事、五冠を獲得した訳ですが、何かコメントを。
須:……。
黄:むしろ、よくぞそこまで極めたものなんだよぉ。


【たまにはそういう日も】
月:女装趣味も付け加えて。
須:あ、姉貴。あれは、八岐大蛇を油断させる為の作戦じゃき。
白:そーいや、酒でべろんべろんにして倒したんだっけ。
黄:誇り高き龍族が、真っ向勝負で負ける訳が無いんだよぉ。
青:あなたは麒麟に遅れを取りましたけどね。
黄:そこは触れないで欲しいんだよぉ。


【歴史家大混乱】
白:ところで、食べ物で大喧嘩したエピソードって、
 書物に依っては須佐之男だったり、月読だったりするんだけど。
須:フグじゃったら、儂も中った。
青:実に分かり易い終着点でしたね。


【のらりくらり系】
月:あの一件以来、姉さんが調理場に立つことは無く、侍女が使われる様になった。
朱:そうなんですか〜。
月:それがメイドの起源になったのは、有名な逸話。
黄:適当なことを言って場を乱さないで欲しいんだよぉ。


【華が無かったのか】
月:月読メジャー化計画を考えてみようと思う。
須:何じゃ、いきなり。
月:姉さんや須佐之男に比べて、私のエピソードが少ないのが不満。
白:あー、たしかに殆ど無いかも。
月:夜の帳が降りる頃、猫の遊べる世界を作ったのに、全部カットされた。
黄:それは神話の編纂者に言うんだよぉ。


【もう飽きた】
月:その時から、猫は夜行性になった。
朱:勉強になりました〜。
黄:嘘八百と、誰か逐一、教えて欲しいんだよぉ。


【時を経た真実】
月:そう言えば、こんな話もある。
黄:今度は何なんだよぉ。
月:姉さんが持ってた三種の神器、腹癒せにレプリカと取り替えておいた。
天:――!?
月:今だから明かせる、お茶目な笑い話。
白:いや。確実に笑えないから。


【今も押入れに】
天:と、と、と、と言うことは。ほ、本物は今、何処に!?
黄:少し落ち着くんだよぉ。
月:気分は晴れたから、ニニギに渡した時分には返してある。
天:そ、そうですか。安心しました。
月:だけど、八咫鏡だけは本当に返したのか、記憶が曖昧。
天:……。
黄:固まるのは、余所でやって欲しいんだよぉ。


【敬意ゼロ】
月:青龍、覚悟。
朱:ふ、ふに?
白:何々。どうしたの?
月:月読の名を知れ渡らせる為に必要なのは、武勇伝だと思った。
青:でしたら、黄龍の方が格としては上ですよ。
月:日本では知名度が絶望的だから良い。
黄:三姉弟、揃いも揃って無礼なんだよぉ。


【むしろ意図的】
天:な、何で私が含まれてるんですか!?
黄:長子としての責任なんだよぉ。
天:ああ。お姉ちゃんはこれだから不遇です。
 小さい時、何度『お姉ちゃんだから我慢なさい』と言われたことか。
月:私達、三つ子だからそれは無い。
黄:真面目に対応するのは、新手の苛めなんだよぉ。


【針小棒大らしい】
月:知名度を考慮するなら、白虎でも良い。
白:わ、私?
月:日本に虎は居ないから、三十メートルの巨大狼を倒したことにする。
黄:どの道捏造するなら、本当に倒すことは無いんだよぉ。


【基本的に仲悪い】
白:ってことは。八岐大蛇を倒したのも嘘かも知れないってこと?
黄:きっと、指くらいのトカゲを倒して吹聴したんだよぉ。
須:きさんら。好き放題言いおって!
月:弱い犬ほど、良く吠える。
白:あんたら、本当に姉弟な訳?


コント連載中



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