【北を守護する蛇亀】 黄:何かを忘れてる気がするんだよぉ。 白:あ〜、私も、小骨が喉に刺さったって言うか、奥歯に物が挟まったって言うか。 青:もしや、玄武のことですか。 朱:誰ですか〜? 青:鳥頭もここまで来ると犯罪級ですね。 【居ても役に立たない】 黄:そう言えば、最近、見てないんだよぉ。 白:先代に続いて、逃げ出したとか。 朱:最近の若者は仕事が続きませんね〜。 黄:朱雀が言うのもどうかと思うんだよぉ。 【北は友好国だもん】 白:まあ、居なくても大して違和感無いし、良いんじゃない。 黄:それはそれでどうかと思うんだよぉ。 【年長者激レア】 玄:皆さん、お久し振りです。 黄:噂をすればなんだよぉ。 白:でも、何か様子が違うんだけど。 玄:ええ。今日は皆さんに、説教をしたいと思います。 黄:この年になると、逆に新鮮な響きなんだよぉ。 【そもそも日本の風習】 玄:良いですか。悲しいことに、人は生まれながら平等では有りません。 それと同様に、我々聖獣も、等しき存在でないのは当然で、有り得ないことなのです。 ですが、それにも限度というものがあってですね――。 黄:一体、何時まで続くんだよぉ。 白:ね、猫科に正座は辛いんだけど。 黄:朱雀なんか、もう白目剥いてるんだよぉ。 【女性型アンドロイドのこと】 玄:私はガイノイドですので、理論上は年単位での正座が可能です。 黄:と言うより、前は正座が苦手だった気がするんだよぉ。 玄:あの反省を糧に、改良に改良を重ねました。 黄:労力の使い方を間違えてるんだよぉ。 【脱皮でもするのか】 白:そういう意味で、黄龍は元々蝮なんだから、楽勝でしょ。 朱:というより〜、蛟に成る時ってどうなるんですか〜? 白:オタマジャクシみたいに、少しづつ生えて来るとか。 黄:そこは、乙女の重要機密なんだよぉ。 【心を打たない】 玄:皆さん! ちゃんと私の話を聞いて居られるのですか! 黄:ぶっちゃけた話、頭には全然、残ってないんだよぉ。 【困った時は天帝のせい】 玄:大体、あの天照さんという方は何なんですか。 そこはかとなく私とキャラが被ってるではないですか。 青:それは、私達の責任では無いと思うのですが。 黄:完全に只の愚痴なんだよぉ。 【空気読めない】 朱:出番が少なくても〜、それは優遇されてないってことじゃないと思います〜。 蜜蜂の世界だって、女王蜂はあくまで出産役で、本当に偉い訳じゃ――ふにふにゃ!? 白:うーわ。痺れた足をつつくと、こんな声で鳴くんだ。 黄:良さげな話が、台無しなんだよぉ。 【合併分離を繰り返し】 玄:皆さんの気持ちは良く分かりました。 黄:何処をどう分かったんだよぉ。 玄:北方方面はこれより独立し、新聖獣連盟として、守護の任に就きたいと思います。 黄:何だか、プロレス団体みたいなんだよぉ。 【寛容な姿勢】 白:ところで人工物が単体で聖獣を名乗るのって有りな訳? 黄:これもまた、時代の流れなんだよぉ。 【マイクパフォーマンス必須】 白:でもまあ、少し思ったんだけど。 玄:何でしょうか。 白:独立するってことは、今まで以上に絡みが減るってことなんじゃ。 玄:そんなことはありません。遺恨試合など、ドラマティックな展開を用意することで、 必然的に出番が増えるという寸法です。 黄:本格的にプロレスなんだよぉ。 【むしろ脱力】 朱:とりあえず〜、元気があれば何でも出来るんですね〜。 黄:その間延びした声だと、微妙なんだよぉ。 【逃げ道を用意】 白:コーナーポストに登ってる間、敵が絶対に立ち上がらないのは、 特撮戦隊物に通じるものがあるよね。 黄:何だか、巨大なものを敵に回してる気がするんだよぉ。 【物凄い晒し者】 玄:という訳で皆さん。明日から早速、各地巡業が有りますから。 朱:ここで〜、行かないって言ったらどうなるんですか〜。 黄:それは流石に、可哀想過ぎるんだよぉ。 【もちろんノーギャラ】 玄:レディースアンドジェントルメン。本日はお忙しい中、良くお越し下さいました。 精一杯強めさせて頂きますので、どうぞお楽しみ下さい。 白:何で玄武自ら、アナウンスやってる訳? 黄:予算と人員が、恐ろしく足りないらしいんだよぉ。 【音がペコペコ】 白:あ、本当だ。このリング、ベニヤ板だし。 黄:むしろ叩き壊して、無かったことにしたいんだよぉ。 【虐殺モードに】 天:あ、あの〜。何で私が玄武さん側なのでしょうか? 黄:数をそれなりに合わせないと、盛り上がらないんだよぉ。 【全部天帝のせい】 窮:ふっふっふ、お姉ちゃん。私も不遇な人の気持ちは良く分かるから、 手加減なんかしないんだからね。 白:だから出番の有無は、私達のせいじゃないんだけどな。 【実況兼任】 白:お〜っと、ここで黄龍のジャンピングニーが入ったぁ! すかさず玄武が返し技でボディスラム! 細身に見えて、その重量は数百キロ。 黄龍、立ち上がれるのかぁ!? いやー、解説の麒麟さん。序盤から鬼気迫る展開ですね。 麒:お前らは仕事もせずに何をしとるんだ。 【熱中し過ぎ】 窮:ふぎゃー! 白:何とここで窮奇が乱入だぁ! 相棒の朱雀は何をしているのか! おぉっと。何故だか、場外で天照とお茶を飲んでいます。これはいけません。 麒:と言うより、お前が助けるべき局面じゃないのか。 【最強龍復活】 玄:良い勝負でした。またいつかやりましょう。 白:最後は感動的場面です。そのすっと差し出された右手を黄龍は――。 黄:――だよぉ。 玄:はい? 黄:久々に戦ったら、血が騒いだんだよぉ。 白:何と、右手を握り締めると、そのままロープに投げ付けた! 何という豪腕。何という怪腕。第二ラウンドの開演だぁ!! 麒:まあ、本気になったら、水行の玄武が、土行の黄龍に勝てる訳無いだろうがな。 【積年の恨みを自覚】 麒:それじゃあ、私は帰るぞ。お前らも明日に響かない程度で切り上げろよ。 青:火の粉が降り掛かる前に逃げ出す辺りは流石ですね。
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