【何と改元十七回】 朱:則天武后さんって〜、名前を変えるのが好きなことで有名ですよね〜。 則:新しきことを起こすには、名を改めるのが常道じゃ。 黄:国名から元号まで、変えたい放題だったんだよぉ。 則:童は、あいでぃあうーまんじゃからの。 黄:飽きっぽいだけなんだよぉ。 【拒否権は無いらしい】 則:そうじゃ。主の名前も変えるとするかの。 朱:ふ、ふに? 則:ふむ。小鳥だけに、『ばーでぃ』というのが良かろう。 黄:上手いこと言ったつもりなら、考え違いなんだよぉ。 【割とお茶目】 黄:他にも、則天文字なんて新しい漢字まで産み出してるんだよぉ。 青:現代までに、殆ど廃れてしまっていますけどね。 黄:水戸光圀の圀なんかが、生き延びた数少ないものなんだよぉ。 則:文字通り、諸国を漫遊してきた訳じゃ。 黄:上手いこと言ったつもりなら、なんだよぉ。 【伝説多過ぎ】 則:この世に生を受けたからには、名を遺したいと思うのが人の常よの。 黄:残った名前は、悪名が主たるものなんだよぉ。 【施政方針演説?】 則:妾が、唐代屈指の帝であったことは、歴史家達も認めることよの。 黄:私生活はともかく、それは認めざるを得ないんだよぉ。 則:やはり、不穏なる血筋は一族郎党皆殺しにし、 逆らう気力を根こそぎ奪うのが正しき政よ。 黄:そこを認めて良いのか、実に悩む所なんだよぉ。 【一服盛ったか】 白:則天武后の二人目の旦那、高宗って病気がちだったんだってね。 則:うむ。それ故に、妾が政を取り仕切っておったわ。 黄:何かあるかと勘繰ってしまう辺り、付き合いの長い証なんだよぉ。 【十三億人を束ねる気か】 則:妾も寄る年波には勝てなくての。晩年はちと乱心しておったわ。 黄:失権して、その年の内に死んだのは、実にらしいと思うんだよぉ。 則:じゃが反省した妾は強いぞ。今こそ復権してくれようぞ。 黄:頼むから、大人しくしていて欲しいんだよぉ。 【完全独立事項】 黄:そう言えば、守護獣の座を奪われたのも、則天武后が死んだ頃なんだよぉ。 則:妾の崩御がそなたにも影を落としたとは済まぬことをしたものよ。 黄:自意識過剰も、そこまでいくと清々しいものなんだよぉ。 【尼にもなった】 朱:則天武后さんって〜、低い家柄からも人材を登用した、 実力主義者ということでも名を残してますよね〜。 黄:自分がないがしろにされて生きてきたから、 気に食わなかっただけだと思うんだよぉ。 【何か引っ掛かった】 則:何を言う。野に眠る力ある者を使わぬなぞ、国家の損失じゃ。 白:おぉ。凄く愛国者っぽい発言。 青:数合わせで四神を揃えてる我々には、耳の痛い話ですね。 白:――ん? 【これって言うな】 則:否。異国の者でも迎え入れる辺り、妾はそれなりに評価しておるぞ。 青:最初に見つかったのが、たまたまこれだっただけの話ですけどね。 白:やっぱ、私の話なの!? 【能力はさておき】 白:いーもん、いーもん。私なんてどーせやっつけ四神だもん。 てきとーに仕事して、寿退神してやるんだもん。 黄:そういう性格が問題だと思うんだよぉ。 【完全世襲制】 則:家柄だけで官位を与えることなぞ、愚の骨頂じゃ。 その様な政を続けておれば、いずれ世を乱すに決まっておる。 朱:な、何だかチクチク苛められてる気がします〜。 黄:あれで中々、天然で人を傷付けるんだよぉ。 【何か安心する】 白:あれ? だけど則天武后って、自分の家族をガンガン要職に就けてたって話だけど。 則:妾だけは例外じゃ。 黄:それでこそ則天武后なんだよぉ。 【気付いたらこの位置に】 白:そっか。だから、蝮からコツコツ叩き上がった黄龍と気が合うんだ。 黄:別に、成り上がったつもりは無いんだよぉ。 【七段階に分類】 白:たしかに、宮女の階級制って、龍族の出世に通じるものがあるよね。 黄:一人で納得されても困るんだよぉ。 【実録・女の戦い】 白:ところで、則天武后と言えば、韋后が外せない訳だけど。 朱:誰ですか〜? 青:則天武后の息子、中宗の皇后――いわゆる、嫁姑の関係ですね。 黄:見事に、最悪レベルの所へ嫁いだ訳なんだよぉ。 朱:ふ、ふに〜。 【老いて益々パワフル】 黄:韋后は旦那が帝位に就いて、好き放題しようとしたのが、 則天武后の逆鱗に触れたんだよぉ。 則:妾も若くての。つい息子共々、島流しにしてしもうたわ。 黄:ちなみにその時、既に六十歳くらいだったのは内緒なんだよぉ。 【ある種サラブレッド】 白:この話はこれで終わりじゃなくてね。中宗は則天武后の死後、 再び帝位に就くんだけど、実権は韋后に握られちゃうの。 青:更にその五年後、自身と韋后の娘である安楽公主に殺されるという非業の死を遂げます。 黄:則天武后と韋后の血を継いでるなら、納得も出来るんだよぉ。 【女系家族なのに】 朱:お、女って怖いんですね〜。 黄:その表現が正しいのか、返答に悩む所なんだよぉ。 【完全自分主義】 則:案ずるな。そなたも女である以上、妾と同じ気質が眠っておるわ。 黄:誰も彼も同じだと思わないで欲しいんだよぉ。 【本日三回目】 白:成程。これが本当の女王様気質って奴だね。 黄:上手いこと言ったつもりなら、なんだよぉ。 【無限の可能性を】 黄:則天武后は言葉に力が宿るって信じてたから、墓碑に何も刻まなかったんだよぉ。 朱:ふに〜? 則:妾が死後も武則天であるとは限らんであろう。 黄:改名マニアも、ここまで来ると如何ともしがたいんだよぉ。 【多分外れる】 則:言葉の力を信じぬと言うのであれば、見せ付けてくれようぞ。 黄:誰も疑ってなんか無いんだよぉ。 則:妾を支持する声が、これより鰻上りになると出たわ。 黄:そして、只の占いと化してるんだよぉ。
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