【虚しい解説】 玄:バーチャルシュミレーション装置を開発致しました。 黄:一体、どういうものなんだよぉ。 玄:分かり易く言いますと、仮想現実空間に意識の複製を送り込み、 多種多様の状況を体験することによって、職業訓練やエンターテイメント等、 様々な分野での応用を期待しております。 白:全然、分かり易くない訳だけど。 玄:ちなみに、『シュミレーションってなんや! シミュレーションやろ!』 というのが、ツッコミポイントです。 黄:そっちの方が分かりづらかったんだよぉ。 【新し物好き】 玄:何はともあれ、披露いたしましょう。 メンバーは、私と黄龍さん、白虎さんに麒麟さんで宜しいですね。 白:んー。まあお付き合いしますか。もしかしたら世界的産業になるかも知れないし。 麒:上司としては、部下の仕事は把握しておくべきだしな。 黄:とか言いつつ、二人とも口元は緩んでるんだよぉ。 【それはそれで】 玄:それでは先ず、どちらに行きましょうか。幕末の日本などは人気も高いのですが。 白:具体的には何するの? 玄:えー、例えば男装して新撰組に潜り込んで、好きな局員を落とすシナリオが御座いますが。 黄:趣旨が今一つ見えないんだよぉ。 【ちなみにほぼ史実】 玄:他に、共和制末期の古代ローマというのも御座います。 白:って言うと、主人公はユリウス=カエサル? 玄:ええ。シーザーとなって多数の女性をものにする、ジゴロゲームです。 黄:ジゴロっていう言葉を久々に聞いたんだよぉ。 【社会風刺です】 玄:現代物もありますよ。世界の警察となって、武力で以って、世界を牛耳るという――。 黄:危険すぎて、時代によっては廃盤ものなんだよぉ。 【そこは触れるな】 玄:エンターテイメント関連で、単純に一番人気と言えばこれですね。 白:ふむふむ。ドキドキ☆恋愛パラダイス? 玄:若年男性の圧倒的な支持を頂きました。 黄:どれだけ局所的な調査なのかが気になるんだよぉ。 【需要があるんです】 玄:何でしたら、女性向けも御座いますよ。 黄:新撰組と何が違うのか、明確な説明を求めるんだよぉ。 【癒されたいお年頃】 麒:おい玄武。この真夏の雪ってのは、どんな作品だ。 玄:二十年程前、日本で流行りましたドラマを原作としたフリーシナリオです。 好みにも依りますが、やや甘ったるい内容の為、麒麟さんの嗜好には合わないかと――。 麒:いや、これが良い。 黄:麒麟の意外すぎる一面を覗いた気がするんだよぉ。 【黙秘権行使】 玄:それでは、皆さん初心者ですので、私は外部アドバイザーとして参加させて頂きます。 分からないことがありましたら、何でも御質問下さい。 白:街中で人を攻撃しても罪に問われたりしない? 黄:幾ら食べても太らないのかを知りたいんだよぉ。 玄:えー、それらの質問には、答えたくありません。 【のめり込む】 麒:二人共、くっちゃべってないで、早く座れ。時間が惜しい。 白:そこまで本気にならなくても良いと思うけど。 黄:さりげに、アイドルの為に遠出するタイプと見たんだよぉ。 【千年位前】 玄:舞台は、八十年代の東京。煌びやかな都会の中で、 喩えようも無い孤独感に襲われる女性が主人公です。職業はオフィスレディ。 過去に酷い失恋をした為、恋に臆病になっています。 黄:実にありふれた設定なんだよぉ。 麒:お前、その発言は宣戦布告と見るが、良いのか。 黄:そもそも、最初にケンカを売ってきたのは、麒麟なんだよぉ。 【独断と偏見】 玄:えー、それで、主要な人物になりきり、ストーリ自身を構成するモードと、傍観者として 俯瞰するモードが有りますが、全体の流れを把握するには、後者の方が良いでしょう。 白:具体的には、どんな役? 玄:主人公の同僚か、或いは家族などが有りますが。 白:ってゆーかー、仕事なんてタルいし〜、早く終えて街に繰り出したいみたいな〜。 黄:何かを根本的に間違えてるんだよぉ。 【違う気もする】 麒:い、今の口調を真似るのか? 玄:いえ、キャラクター作りは個人の自由で、何が正解というものでも無いのですが――。 麒:わ、私〜、営業の鈴木さんなんて好みかも〜。 黄:ある意味に於いて、流行りのツンデレなんだよぉ。 【中国聖獣ですから】 玄:では、仮想現実の世界をお楽しみ下さい。提供は、KARINビールでした。 黄:今のはなんなんだよぉ。 玄:広告収入を得られる方向でも、動こうかと思っております。 黄:中々に商魂逞しいんだよぉ。 【冷たく突き放せ】 白:ここがバーチャルの世界なんだ。 麒:ふむ。思ったより現実感はあるな。 白:はっ!? ジャンプ力が五十センチくらいしかない!? 黄:普通の女の子は、そんなもんなんだよぉ。 白:じゃあ、木の上に美味しそうな小鳥が居たらどうすれば良いのよ!? 黄:知ったこっちゃ無いんだよぉ。 【黄龍に青筋】 麒:バカやってないで行くぞ。えっと、八菱商事――ここか。 白:んー、入る前にさ。大まかな役割決めちゃわない? 私は入社、一、二年目くらいの新人で、麒麟は尊敬する先輩とか。 黄:私は、なんなんだよぉ。 白:お局様。 黄:終いには怒るんだよぉ。 【場合によっては転職】 白:うわっ、何この会社。四神の仕事と変わらないくらい忙しいし。 黄:どんなものだと思ってたんだよぉ。 白:いや、新入社員は媚び媚びしてれば、許されるかな〜って。 黄:確実に間違った見識なんだよぉ。 【どんでん返し】 白:っていうか、これってゲームでしょ! なんでこんなリアルな事務作業までやんなきゃなんないのよ! 玄:えー、麒麟さんが白虎さんにはそうしろと仰られたので――。 黄:むしろお局様は麒麟だったんだよぉ。 【シナリオ通り】 ?:綾乃小路さん! 私、あなたのことが好きなの! ?:白拍子君、僕もだよ! 白:……(ポリポリ) 黄:あ、煎餅が切れたんだよぉ。 ?:あの……見られてるとやりづらいんだが。 黄:だったら、会社なんかでやらないで欲しいんだよぉ。 【自分で気付け】 玄:とまあ、大筋はこの様な感じです。今後はマーケティングをしっかり行い、 需要層に応じたシナリオを多数用意することで皆様のニーズに応えていきたいと思います。 麒:技術的な問題は無いのか。精神に多大な負担を掛けるとかだったら、洒落にならんぞ。 黄:そう言うのは、事前に聞いて欲しかったんだよぉ。 【でっかい玩具】 玄:いえ特には。むしろクラシック音楽を聴いている程のリラックス状態を生み出します。 麒:なら良いんだが。 玄:あ、ですが一つだけ、ありました。 黄:嫌な予感がするんだよぉ。 玄:どういう訳だか、聖獣にしか効果を発揮致しません。 黄:つまりは、何の役にも立たない代物なんだよぉ。
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