邂逅輪廻



【真の努力家は才能を嫉まない】
芽:メイドや執事が万能だという風潮に、風穴を空けたい。
長:何一つ特筆すべき点が無い駄メイドよりは、マシだと思うけど。
芽:一部調査に依ると、完璧すぎる超人は人間味がない、温かみに欠ける、
 弱者の気持ちが分からないなどの意見が寄せられている。
長:どこで仕入れたものかはさておいて、
 そういうの、何を為そうともしない落伍者の言い訳だったりするのよねぇ。


【やっぱりメイドはオールラウンダーだね】
長:楽譜読めないし、耳コピも出来ないのに、
 アナログはデジタルと違って音に深みがあるって言っちゃう人なら知ってるけど、そんな感じ?
芽:合ってるような、そうでもないような。
長:絵画の真贋クイズをやらされて、
 実はどっちも贋作みたいな引っ掛けに逆ギレかまして器の小ささを露呈するみたいな。
芽:め、メイドも長が付くレベルになると、言葉だけで人を追い込めると言うのか。


【たまには詭弁対決で押し切らないと】
芽:メイドと執事は、本来通り、家庭内の庶務作業に徹するべき。
  御主人様の仕事の補佐は秘書の役目であって、明らかに越権行為。
長:まあ、外国じゃ他人の仕事を助けるのは、むしろ疎まれるって聞いたことあるけど。
芽:でしょ? でしょ?
長:その場合、あんたに割り当てられた仕事、誰も手伝ってくれないことになるけど、
 ちゃんと責任取る覚悟あるの?
芽:ヤブヘビだったー!


【いつになったら独り立ちするのか】
芽:仕事なんて、できる人ができるだけやるのが、正しい在り方なのかも知れない。
  その結果、全てをこなす一握りの超メイドが生まれるのも、自然の摂理というもの。
長:見事すぎるまでの変節だったわねー。
芽:という訳で、午後のお茶会の準備は全部メイド長にお任せ――。
長:それで押し通せるほど私が甘くないって、長年の付き合いで分かってるわよね?
芽:にゃー。


【結局面白くなるかはキャラ次第だろ】
芽:メイド探偵という、新機軸を打ち出そう。
長:家政婦に置き換えると、むしろ古典の領域にすら見えるんだけど。
  ってか、世の中、探偵って言葉がついてない職業を探す方が難しいわよ。
芽:破産管財人探偵とかもあるのだろうか。
長:あるかどうかはともかくとして、
 元金持ちの資産管理に首を突っ込めるだけに、転がしやすい題材なんじゃないかしら。
芽:全くもって、なんという時代だ。


【何かの役に立つという訳でもない】
芽:南極調査隊探偵とか。
長:越冬チームなら、三重くらいの意味で陸の孤島だし、外部犯の可能性を消せるでしょうね。
芽:ピザ配達員探偵なら。
長:宅配する度、事件に出食わすのかしら。ピザソースと血糊を絡められそうな感じかも。
芽:その気になれば、大体のものはミステリにできることだけは把握した。


【義憤はいつだって自己満足だから】
芽:探偵がのし上がるには、殺人事件を解決しないといけない。
長:まあ、そうなのかしら。
芽:遺言書を探す為の暗号を解読したり、浮気の真偽を解明したところで名は上がらない。
  ああ、何たることか。その手を血に塗れさせなければ功も為せないとは。
長:それを言い出したら、資本主義の原理自体そういうものの気がするけど、
 その件についての見解はどうなってるの?
芽:私は、自分さえ楽ができれば、どうでもいいかなぁ。


【知らぬが仏って一つの至言だよね】
長:まあ、メイドなんて仕事してると色んなもの見ちゃうのはたしかよねぇ。
  あれはいつだったかしら。メイド達の賄いに……が入っちゃったけど、
 バレやしないって、そのまま出しちゃったことが後で分かってね。
芽:今、言葉を濁した部分を、明確な発音でリピートプリーズ。
  あと、それ、私が入る前か後か、できる限り正確に。
長:もちろん冗談だから、安心してね。
芽:さしもの私も、目を見ればそれが嘘か真かくらいは察することができるのさ。


【働かないからこそ飯は旨い】
芽:秋の味覚は素晴らしい〜♪ 栗、梨、柿を食べ放題〜♪
長:あそこまでセンスが無いのは、逆に一種のセンスなんじゃないかって思うのよ。
?:中々に、奥深い意見ですね〜。
芽:お中元の残りの冷や麦も自由にしていいこの季節〜♪
長:その一点に関してだけは有意義な仕事してるとは言えるんだけど、
 この釈然としない気持ちは何なのかしら。


【名前は無くとも準レギュラー】
芽:だが、素麺は忌むべき対象だ。
長:いつの間に、対立構造が構築されたのかしら。
?:存在するってことは、それだけで敵を作るものなのかも知れませんね〜。
長:何か分かったようなこと言ってるけど、適当よね?
?:もちろんですよ〜。


【意外とこれで切れ味鋭い】
芽:世界冷や麦連合協会も、素麺など邪道と認めているからな。
長:冷や麦って、ジャパンオリジナルじゃなかった?
芽:協会員に一人でも外国籍の人間が居れば、ワールドワイドを名乗っていい。
長:へー、で、具体的にどこの国の人が所属してるの?
芽:それはまあ、これから募集する。
?:つまり、いつもの口から出任せなんですね〜。


【もしかしたら本当かも知れないじゃないか】
長:そういえばメイドの子の一人が、どっか日本以外で生まれたって言ってたような。
芽:それは、聞き捨てならない情報。
長:どこだったかしら。えーと、たしかなんちゃらかんちゃら星雲――。
芽:あ、それはちょっと、関り合いになりたくない人種です。
長:あんただけは、それを言っちゃいけない人種なんじゃないの。


【あくまでも一説である】
芽:そろそろ、醤油は全く油っぽくないのに、
 どうして油という文字が使われているのかに結論を出そう。
長:油という漢字にはトロトロした液体って意味もあって、
 それが元って聞いたことあるけど。
芽:この上司、部下と会話のキャッチボールをする気概が無さすぎる。
長:自分で結論を出そうって言っておいて、その言い様もどうなのよ。


【味噌を噌味に変えて誰が困ると言うのか】
芽:醤油といえば、料理のさしすせそ問題。
長:まあ、私もせうゆで醤油は無理くりが過ぎると思うけど。
芽:そこまで強引な語呂合わせをするなら、
 いっそ醤油や味噌を、せとそで始まる言葉に改変すればよかったはず。
長:何でその謎の情熱を仕事に持っていけないのか、
 私としては、そっちの方が大問題なんだけど。


【自分が原因だという自覚はあるのか】
芽:メイド達で、合唱隊を結成しよう。
長:何よ、唐突に。
芽:歌は世界を癒す最高の文化。
  とりあえず歌っておけば、些事で心が荒んでも発散が可能、かも。
長:そうね。それじゃ私は貴方の耳元で、腹の底から声を出してみようかしら。
芽:直接的にストレスを解消するのは、負の連鎖を生むだけだと思う。


【芽依らしさランキングを付けたら上位は狙える】
芽:ラララー、ララッララー♪
長:この、時たま半音外す感じが、プロの仕事って気がしてきたわ。
?:微妙に音感が狂っちゃう自分が可愛いみたいなアレですか〜。
芽:外野がうるさくて、やる気をなくした。不貞寝する。
長:結局のところ、いつも以上に、いつも通りの芽依だったわね。


【底の浅さでは誰にも負けない】
芽:メイド達で、何かしら楽器を演奏しよう。
長:音楽シリーズ、まだ続いてたの?
芽:楽器は、魂を揺さぶる生命の源泉。人類は、素晴らしい物を生み出したと言わざるを得ない。
長:なんでしょうね、褒められてるはずなのにあんたに言われると、
 何一つとして嬉しくない感じがあるんだけど。
芽:私の方も、ちょっとくらいは白々しいかなって思わなくもない。


【ナイジェリア近辺の打楽器らしい】
長:とは言っても、たまには昔を思い出して演奏してみるのもいいかもね。
芽:お、ソロギターを奏でて悦に入ってた痛々しい過去でも掘り起こすのか。
長:友情の証で貰ったウドゥ・ドラム、どこにしまったかしらね。
芽:何だか、触れてはいけない方の昔話が転がってる予感がひしひしと。


【リーズナブルなのなら五十年ローンでも組めば或いは】
芽:私としては、パイプオルガンを個人所有して弾いてみたい。
長:あれ、どんだけの値段するのか知ってるの?
芽:私のペラッペラなお給金で、何とかならないだろうか。
  何なら、長めの月賦も考慮する。
長:真面目な話、高級車が何台も買えるくらいするから、
 利息分にすら足りないんでしょうねぇ。


【これはこれで奥深いのに】
長:大体、置き場所を決めるのも一苦労だし、メンテナンス代も掛かるし、
 個人で扱うようなものじゃないわよ。
芽:はいはい、どうせ私には、鍵盤ハーモニカがお似合いってこと。
長:その拗ねて、ペポーっと鳴らしてる様が物凄く絵になってる辺り、
 あんたにとって天が与え給うた楽器に見えてきたわ。


【オーラを針のむしろに出来るからな】
芽:雨の日は、メイドとしてどの様に過ごすべきなのだろうか。
長:はいはい、適度な湿度で埃も纏まりやすいし、掃除全般お願いね。
芽:そんな。こういう日は遠出できない近所の猫達と共に、
 人生を語り合うのが常となっているのに。
長:だったら、猫をモップ代わりにするのを許可するけど。
  いっそのこと、あんたに柄を付けたげようか?
芽:この上司、割とマジで言ってるのがヒシヒシと伝わってきて辛い。


【このくらいの域に達してみたい】
芽:猫は割とマジで恨みだけは忘れないから気を付けた方がいい。
長:いいわねー。誰の記憶からも消えてしまうくらいなら、
 それが嫌悪の類であっても憶えてもらう方が、私は好きよ。
芽:何かもう、器とかそういうの全般で勝てない気がしてきた。


【ちなみに死ぬまでインドだと思ってたらしい】
芽:アメリカ大陸を西欧人で初めて発見したということになっているコロンブスは、
 揶揄する聴衆に、この卵を立ててみろと言った。
長:コロンブスの前に、随分と色々付いたわね。
芽:アメリカ大陸入植は現在のベーリング海峡を渡ったアジア人が先だし、
 北欧のバイキングが北回りで辿り着いたというのも事実っぽいし、もうこうするしかない。
長:いい加減、そこら辺の記述は改めればいいのにね。
芽:人とは、一度吐いた言葉を取り消せない生き物だからしょうがない。
長:あんたを見てると、言行不一致すぎるのも、それはそれで問題だと思うんだけどね。


【今日も明日も具なしのオムレツ】
芽:コロンブスは割って立てたが、これは邪道と言わざるを得ない。
  私は、三つの卵を互いに支え合わせることで割と簡単に立つことに気付いた。
  つまりこの逸話は、三本の矢的に語られるべき。
長:あら、本当ね。
芽:そしてこれを発展させて、トランプタワー的な遊びを流行らせたい。
長:食べ物で遊ぶなっていう常識的な説教はさておいて、
 割った場合、あなたというスタッフだけが美味しく食べてちょうだいね。
芽:にゃー。


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