邂逅輪廻



おまけ 『女教師桜井岬』

【夏だ! 祭りだ! 衆議院選挙だ!】
公:公康です……女性キャラ陣が濃すぎて、微妙に主人公の立場が無いとです。
岬:……。
公:公康です……作品ジャンルはラブコメを銘打ってるのに、愛の成分が足りんとです。
綾:……。
公:公康です……主人公だというのに、ついにメイン司会を一年生ズにジャックされたとです。
  公康です……公康です……公康です……。
岬:何で今更、ヒロシなんですか。
公:いや、まー、こういうメタというか、パロディ的なネタは、
 現実の問題を絡めるここでしか出来ないなーという上からの御達しが。
綾:満足しましたのなら、始めますわよ。
岬:正直、こんなグダグダな空気の中でっていうのもどうかと思うんですけどね。
公:視線が痛いとです……。
岬:それはそれとしまして、先輩、選挙の夏ですよ。天下分け目の大決戦です。
公:テンション高いなぁ。
岬:そりゃ、何しろ衆議院選挙ですからね。
  小選挙区300に加えて、11の比例ブロックで争われる日本国最大の選挙戦です。
  総選挙という別名があることからも分かるところです。
公:すげー基本的な話だったと思うんだが、衆議院って何だっけか?
綾:衆議院というのは、日本国における議会の一方ですわ。
公:もう少し、噛み砕いてお願いします。
岬:えーっと。たしか、前にも触れた気がするんですが、日本の国会には二つの院があります。
  戦後の日本国憲法下で設立された、衆議院と参議院です。
綾:憲法上、参議院より、衆議院の方が力を多分に持っていますの。
岬:参議院の任期が六年(三年ごとに半分を改選)なのに対して、衆議院は四年と短いです。
  早期解散もあって、平均では三年に一度位の頻度で選挙を行ってきましたので、
 細やかに民意を反映するという解釈からこうなっています。
綾:一般に、この衆議院で過半数を握る政党、或いは連合政党が、
 政権を与る党、与党と呼ばれる訳ですわ。
岬:衆議院の議席数は戦後、何度か変わってきましたが、2009年時点では、
 小選挙区300人に、比例区が180人の計480人です。
  この内の過半数ですから、241人が、政権奪取のボーダーラインになる訳です。
公:あー、どうでも良い気がする質問が湧いたんだが。
岬:どうぞ。
公:基本、法案ってのは、多数決で決まるんだよな。
岬:民主主義の根幹です。
公:何で2で割り切れない、奇数議席にしなかったんだ?
綾:……。
岬:まあ、それはさて置きまして。
公:スルーされたぞ、おい。
岬:一応、それなりの理由はあるみたいですけど、これを本気で語ると、
 実に長くなりそうなので割愛です。
  とにかく、241議席を手中に収めたら勝ちだと思ってくれれば良いんです。
公:バッサリだなぁ。
岬:過去に勢力図が240対240と、きっちり分かれたことは無いですからね。
  その場合、一人の裏切りで与野党が決まるトンデモ展開になる訳ですが。
公:俺はその一人を、ブルータスだのユダだの、好き放題に呼んで罵りたい。

今項目の纏め:2009年8月30日、第四十五回衆議院総選挙が執り行われる。特別な裏切りもなしに、初めて自民党が下野する可能性を多分に秘めている選挙の為、注目度は非情に高い。



【四年間 ざっとおさらい してみよう】
岬:2005年9月11日、後に郵政選挙と呼ばれる第四十四回衆議院選挙が執り行われました。
  絶対的人気を誇る小泉純一郎自民党総裁を前面に押し出した選挙戦略で自公連立与党が圧勝。
  衆議院定数480の内、三分の二を越える、327議席を獲得し、圧勝しました。
綾:小泉劇場と呼ばれる、一つの集大成でしたわね。
公:今にして思うと、何か、もう、メチャクチャな空気だったよな。
岬:翌2006年9月、小泉氏は総理総裁の座を退き、安倍晋三氏が第九十代内閣総理大臣になります。
  ですが、指導力や決断力が不足気味だった点や、年金記録問題の発覚、農水大臣の事務所費問題、
 又、『美しい国』に代表される、一般国民に分かりにくい表現力の問題もあって、支持率は低迷。
  2007年7月、第二十一回参議院選挙で大敗北を喫します。
  二ヶ月の後、『体調の不良』を理由に総理を辞任しますが、実質的には引責と言って良いでしょう。
公:うーむ、総理というのは、やっぱり大変だ。
岬:更にそれを引き継ぐ形で、福田康夫氏が第九十一代内閣総理大臣に就任。
  しかしこの時、既に先の参議院選で、与野党の優劣は逆転しています。
  衆議院は自公連立が圧倒的多数なのに対し、参議院は民主党を筆頭とする野党連合が過半数を握る、
 いわゆる『ねじれ国会』状態にありました。
  まあ、二院制を敷いてる国で、各院の勢力図が違うことは良くあることですし、与党の暴走を止める意味で、
 必ずしも悪いことではないので、ネガティブな印象しか与えないこの表現はどうかとも思うんですが。
公:チクリと、マスコミ批判は忘れない。それでこそ岬ちゃん。
岬:さて、今更の話ですが、法案が法律として採用される為には、衆参両院で議決されなくてはいけません。
  幾ら衆議院で法案を通そうと、参議院では、
 反対するしか能が無いとまで揶揄される野党の皆様方が待っているのです。
  同意できる部分がある法案はさて置き、野党として承服できないものは、絶対に通りません。 
  基本として、絶望的に仲が悪い自民党と民主党ですから、国会機能はほぼ麻痺状態。
  これがある故に、『ねじれ国会』に悪いイメージが付いて回る一面もあります。
綾:これは、長年、自民党が一党独裁に近い形だった為、野党と協議する下地が無いのが大きいんですの。
岬:とはいえ、時間というのは刻々と流れます。
  こと重要法案に関しては、野党と話し合って話し合って話し合った末に、結局は否決される訳ですから、
 与党側もなりふり構ってられません。
  裏技とも言えるウルトラCを使わざるを得ません。
公:ん? 何だか、記憶の片隅に何かが……?
岬:その通り、前にも触れた、法案可決の第二ルート、衆議院での再議決です。
  これは参議院で否決された後、衆議院の三分の二が賛成に回れば、法案は可決されるという憲法にも記載されている決まりです。
  年は明けて2008年1月、米軍を始めとする各国に対して給油を支援する、
 通称、テロ特措法は、この三分の二ルールを用いて可決されました。
  今回の解散に至るまで、実に17もの法律が、この再議決によって成立しています。
  この強権は、あくまで小泉純一郎総理が郵政民営化への支持を問うた選挙で得た327議席によって成立するもので、
 この様な使い方をするのは民意に反するという批判もあります。
  私も、少なからず同意するところです。
公:ほーほー。
岬:時系列的に前後しますが、2007年11月、衆参の勢力が違うことで身動きが取れない国会に激震が走ります。
  福田、小沢、両大政党の党首会談で、大連立構想が持ち上がりました。
公:だ、大連立?
綾:一言でいうと、二大勢力の政党がわだかまりを捨てて、連立として手を組むという話ですわ。
公:ついさっき、自民党と民主党は、恐ろしいほど、仲が悪いって言ってなかったか?
岬:ええ。実際、党内へ持ち帰って検討するとした小沢民主党代表ですが、党内は烈火の如く反発。あっさりお流れになりました。
  ちなみに、現実路線として政策を通すことも出来るようになるこの大連立構想に反対した民主党に怒りを覚えた小沢氏は、
 2007年11月4日、『自らに対する不信任』として、代表辞任を宣言。
  しかし、その直後の11月6日、その宣言を撤回。『辞めるのやめた事件』として、記憶に残してくれました。
公:昨今の、『発言がブレる』の先駆けか。
岬:まあ、政治家の言うことが二転三転するなんて、昨日今日に始まったことじゃないですけどね。

今項目の纏め:郵政選挙から約四年。本当、色々なことがあったなぁ。それにしてもこのおさらい、一本分で終わらせるつもりだったのに、このペースだとどうなるんだろうか。


【2008年! 去年は去年で色々あった!】
岬:それでば、前回に続いて、今回の選挙に至るまでの復習です。
公:ちゃんと終わるんだろうな、これ。
綾:それはまさしく、神のみぞ知るといったところですわ。
公:早くも、人智の及ぶ領域を放棄と来ましたか。
岬:さて、参議院での勢力を野党に握られ、苦しい政権運営を強いられ続ける福田首相の続きです。
  2008年3月、原油高騰に色々な方が頭を悩ませる中、一つの法案の可否が注目を集めます。
  いわゆるガソリンの暫定税率騒動です。
  結論から言えば、3月一杯で暫定税率にまつわる法律は失効し、リットル辺り約25円が安くなりました。
  ですが5月頭に、延長法案が有効化され、税率が少し上乗せされた形で復活。
  国民にとっても、ガソリンスタンド経営者にとっても、混乱を招いただけの迷惑な騒動でした。
  実際、結構な数のスタンドが大赤字を出して、更には潰れたらしいですし。
公:ってか、安くなるのは嬉しいっちゃ嬉しいが、その税金の穴はどうすんだよ?
岬:さぁ、未だに良く分かりません。
  野党が良く言う、『公共事業の無駄を無くす』『埋蔵金利用』『官僚の天下り撤廃』の三本柱くらいですかねぇ。
公:さいですか。
岬:2008年7月、第34回主要国首脳会議、通称、北海道洞爺湖サミットが開かれました。
  福田総理にとってこのサミットはある種の悲願であり、この後、すぐに退陣するとまで言われました。
公:ハハハ。一国の総理ともあろう者が、サミットという手段に固執し、結果も残さずに辞めるなどということが――。
岬:ですがこの二ヵ月後の2008年9月、『あなたとは違うんです』の珍言を残し、突如退陣。
  結局、何がしたいのか良く分からないままに前総理へとなりました。
公:そういえば、そうでしたね。
岬:その後を継ぐ形で、麻生太郎氏が総理の椅子に座ります。
  大方の見解では、麻生総理の国民的人気と、御祝儀相場と呼ばれる、就任直後の高目の支持率を見込んで、
 早期解散に打って出ると言われていたのですが――。
公:が?
綾:ほぼ同時期の2008年9月、リーマンショックと呼ばれる大規模経済危機が世界に波及しましたの。
  その結果、対策を取る為、解散時期を大幅に先延ばしにせざるを得なかったというのが、
 麻生氏を筆頭とする自民党の言い分ですわ。
岬:政治家の言うことを鵜呑みにする訳にはいきませんが、現実問題として、解散が先送りにされたのは事実です。
  朝日新聞が2008年10月26日解散を、確定情報の様に流したという勇み足も生まれました。
公:まだ恨んでるのかよ。
岬:総理という職業は、ある種サンドバッグです。その一挙手一投足が揚げ足取りの材料にされます。
  麻生総理も例に漏れず、マスコミの餌食となって、その支持率を落としていきました。
公:具体的に、何をしたんだっけか。
岬:えー、自分の給料でバーに飲みにいったことや、漢字を読み間違えたこと、
 カップラーメンの値段を知らなかったこととかですかね。
公:……ん〜?
岬:具体的に、失策が今一つ分からないまま、発足当初50%程あった支持率は下降の一途を辿り、
 ついには20%前後、一部調査では10%程度という、危険領域へ突入しました。
公:これだから、日本人という奴は……。
岬:そんな中、2008年12月から翌2009年1月に掛けて、一人の男が自民党内部から麻生総理に反旗を翻しました。
公:おぉ!
岬:まあ、平たく言えば渡辺喜美氏なんですが、深く考えなくて良いです。
公:良いのかよ!?
岬:この直後、たった一人で離党し、今は『みんなの党』を結成して立候補しましたが、
 議席を二つか三つ確保出来れば大勝利と言われてるレベルなので、難しく考える必要はありません。
  トリックスター……は言い過ぎですね。一塁観客席の野次オヤジくらいだと思って下さい。
公:えらい言われようだ。
岬:とにもかくにも、これで何とか、今年、2009年には突入できました。

今項目の纏め:私は別に、渡辺喜美氏に個人的な恨みは無い。唯、あの空回りは痛々しいなぁとは思っている。ついでに、政権交代のその先を見据えてると言うのならば、その具体例を語って欲しいとも思っている。


【2009年! 留まるところを知らぬ泥仕合!】
岬:2009年2月、イタリアローマで開かれたG7に依る財務大臣・中央銀行総裁会議後に、
 中川昭一氏が、酩酊状態にも似たフラフラの状態で会見をし、醜態を晒しました。
  その責任を取る形で中川氏は、財務・金融大臣を辞任。
  麻生政権に大打撃を与えました。
公:あれは個人的に、未だに謎だ。あんだけ見た目がヤバかったら、周りの人間が止めるだろうに。
綾:色々と、勘繰ることも出来る一件ではありますわよね。
岬:2009年3月、政界を激震させる大事件が起こりました。
  当時、民主党代表であった小沢一郎氏の公設第一秘書が政治資金規正法違反の疑いで逮捕されたんです。
  これを受け、民主党内は大混乱。
  すったもんだの末、5月に小沢代表は代表を辞任。後継代表として、鳩山由紀夫氏が就任しました。
公:結局、今日に至るまで、一切、説明なんてしてないよね。
岬:政治家は、真実を喋らないのが御仕事です。
公:そこまではっきり言い切るのもどうなんだろう。
岬:とはいえ、小沢氏は筆頭代表代行として党内の重役に収まったままです。
  当時、幹事長だった鳩山氏も、『小沢代表の疑惑が事実なら、責任ある立場として、当然、連帯責任を取る』
 と言っておきながら、代表への昇進という、訳の分からない行動を取っています。
  どうも民主党では、責任を取る=昇格するっていうことだったみたいですね。羨ましい話です。
  私も、民主党に関わる仕事をする機会があれば、積極的に不祥事を起こしていきたいと思います。
公:お客様の中に、この子の毒を中和できる方はおりませんかー。
岬:2009年6月、日本郵政の西川社長と激しいバトルを繰り広げていた鳩山邦夫総務大臣が更迭されます。
  どちらが正しいかについての見解は分かれるところでしょうが、
 党内が纏まっていないことを印象付けたのは間違いありません。
公:ケンカ両成敗とか、訳分からないこと言ってた人が居たような?
岬:ええ、誰とは言いませんが居ましたよね。
  某巨人軍オーナーの渡邉某氏だなんてことは、基本的には触れてはいけません。
綾:隠す気、ゼロですわね。
岬:2009年7月上旬、麻生総理は閣僚や実務者達を伴って、イタリアサミットへと旅立ちました。
  ある意味に於いてサミットというのは、総理の晴れ舞台ですから、その勢いは大事にしたいところです。
  ですが直後の都議選は敗北。
  自公連立で過半数割れし、第一党の座を民主党に譲ります。
  この前後に、中川秀直氏を筆頭とする、自民党内の一部勢力が麻生降ろしを画策しますが、
 立てる顔が特に居ないこともあって尻すぼみに終わり、麻生総裁で選挙を戦うことを、自公連立政権が再確認します。
  そして7月21日、総理の専権事項である解散権を発動し、衆議院は解散されました。
  投票日程は、憲法に記載されている最大値、40日後を用い、8月18日公示、8月30日投票で決まりました。
公:ほーむ、経緯は概ね分かった。
綾:この40日と、期間を長く設定したのは、都議選に依って崩された体勢を立て直す為や、
 中だるみに依る投票率の減少を狙ったものなど、色々と言われていますの。
公:うむ、投票率の増減は大きく影響する。それくらいは、俺も勉強した。
岬:では、解散に至る経緯はこれくらいにして、次は立候補者を擁立する各党を見ていきましょう。

今項目の纏め:何だか色々あったけれど、遂に自民党と民主党の戦いは、一先ずの最終局面を迎える。凱歌を口に出来るのはどちらか。それは結局、国民に委ねられている。




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