【とてもらしいけど】 茜:三年生って、ハンデキャップよね? 公:その内、適齢期のお姉さんに刺し殺されますよ。 茜:大丈夫よ。私、護身術に掛けてはちょっとした自信があるから。 公:根本的な面で、一切、反省していないこの人が実に恐ろしい。 【失言に気付け】 岬:私なんかは、三年生には勝てないと思う面もありますけどね。 公:安心しろ。俺はどっちでもオールオーケーだ。 茜:公康君。それは全然、フォローになってないんだよ? 岬:女心を、少しは勉強した方が良いですね。 公:何で又、姉妹纏めて怒られているのかが分からない俺が居る。 【二秒で分かる国際情勢】 遊:どんな攻撃でも防げる盾と、どんな防御壁でも破れる矛、どっちが欲しい? 公:思いっきり、矛盾じゃねーか。 遊:例え話だ。さあ、選べ。 公:だったら盾かなぁ。ミサイルとかも防げるなら、防衛費削れそうだし。 遊:甘いな。矛さえ持っていれば、何処のお偉いさんもいつ暗殺されるか分からなくて、 そもそもミサイルなど撃ち込むまい。 公:お前の理屈は、とことんまでに大国的で、実に怖いわい。 【何処に論理矛盾が】 綾:私でしたら、どんな攻撃でも防げる矛を頂きますわ。 公:……ん? 綾:これでしたら、最強の力を手に出来ますわよ。 公:いや、その理屈は、実におかしいと思う。 【物理的な意味で】 公:女の子にとって、制服って重要な判断基準だよな? 麗:高校を選ぶ上で、ということですか? 公:そうそう。 遊:愚問、だな。選ぶ余裕があって、三年着続けるものを気にしない奴など居るものか。 公:まあ、遊那は置いておくとして。 遊:お前のその、不遜な態度を今すぐ打ち砕いてやるから覚悟しろ。 【無理な相談】 麗:私はそれ程でも。最低限のものであれば、そこまでは気にしませんけど。 千:残念だけど、世の中には、最低限以下がたくさんあるんだよ。 公:千織、お前、何処から湧いた。 千:制服研究家の端くれとして、議論の場があれば何処にだって飛んでいくよ。 公:この情熱を、もう少し有意義な方面で消化して欲しい訳で。 【悪魔との契約に類似】 遊:拳銃研究会というものの設立は可能だと思うか? 公:幾らフリーダムなこの学園でも、それは無理な気がする。 遊:しかし、茜の力を借りれば、或いは――。 公:そこまでの覚悟があるんだったら、俺は敢えて何も言わないでおく。 【生きた構造欠陥】 茜:予算の、半分の使用権を認めてくれるなら、何とかしてみるけど? 公:外道だ。外道が居る。 茜:大丈夫、大丈夫。新設同好会に認められる予算なんて、雀の涙だから。 公:きっと、今まで根本的な部分を嗜めて来なかった社会が悪いんだ。 【ダメダメなコンビ】 千:音楽室に、出る、らしいんだ。 公:孤高のロック野郎がか? 千:そうそう。俺は孤高のロック野郎〜♪ 友達居ないだけなんて言うんじゃね〜♪ って、違うからっ! 公:とりあえず、お前にノリツッコミが無理だということは把握した。 【妙な達観】 千:幽霊だよ、幽霊。美少女のピアニストが、夜な夜な色々と弾くらしいんだ。 公:心霊現象にさして興味は無いが、美少女というところは気に入った。 莉:男って……。 岬:大体、あんなものですから、深く考えたら負けです。 【法学で対処】 茜:無限増殖、って浪漫だよね。 公:何の話ですか。 茜:こう、子会員、孫会員、曾孫会員って、延々と配下の数が増えて行くのが――。 公:マルチ商法、及び連鎖販売取引に類似した行為は違法ですので、あしからず。 【今日に始まったことでは】 莉:でも、お友達紹介キャンペーンとかは横行してるよね? 公:何かを買わせたりしなければ問題無かったんじゃないっけか。 茜:だったら、岬ちゃんのファンクラブを、ネズミ算式に肥大させても良いんだよね。 公:この人は、実の妹でさえ、楽しみの道具にする辺りが底知れず恐ろしい。 【あくまで観賞用】 公:ドジッ子って、良いよな。 岬:そうですか? 公:こう、一生懸命やってるのに、失敗してしまう様は何処までも愛でてやりたいと言うか。 岬:でしたら、今度、コーヒーに塩を入れてお渡ししましょうか。 公:俺自身に、被害が及ぶ展開はお断りする。 岬:一体、どうしろって言うんですか。 【見抜かれるまで約一秒】 公:結局、長期休暇の登校日って何の為にあるんだ? 岬:一応、名目上はダラけないようにする為だったと思いますけど。 公:いや。折角だから俺は、その真の意味について考察しようと思う。 岬:要は、暇なんですね。 公:そう言われてしまうと、身も蓋も無さ過ぎる訳で。 【地味に恐怖映画】 公:あれだ。きっと、校舎は生きてるんだ。 岬:いきなり何ですか。 公:恐らく、人間の生気のちょっとずつ分けて貰うことで活動を維持出来るに違いない。 だけど、一月もの間、人が余り来ないと衰弱しきって崩壊してしまうんだよ。 岬:はぁ。 公:やれやれ。大人って奴は、いつだって本当のことを教えてくれないんだな。 岬:真実だとして、世の中、知らなくて良いこともたくさんあるんですよ。 【割かし良いコンビ】 岬:その理屈だったら、淋しがり屋の学校の為、ってことの方がメルヘンじゃないですか。 公:あー、そういう考え方もあったな。 だが岬君。世間というものは、そんな甘っちょろい展開を求めては居ないのだよ。 岬:時たま、先輩の考えてることが、さっぱり分かりません。 【小悪党にもなれず】 公:超能力を身に付けようと思う。 遊:何だ、唐突に。 公:そうすれば、色んな局面で便利なこと、この上無いと思うんだ。 遊:具体的に、何をする気だ。 公:例えば、購買に欲しいパンがキープされた状態にしたり、 同じ理屈で学食のメニューも――。 遊:発案者がお前で、つくづく良かったと思うぞ。 【残念な脳構造】 公:では早速、基本のテレキネシスから。 遊:その、念でも送り付けてるかの様な格好は、只の馬鹿にしか見えんぞ。 公:ふっ。大抵の偉大な学者や芸術家は、発表当時は頭がおかしいと罵られたものさ。 遊:お前の場合、それが真実な訳だけどな。 【朱色最強説】 公:見たまえ。シャーペンがゆらりと動いたぞ。 遊:机の下から、磁石を使うのはやめて貰おうか。 公:うぬぬ。貴様、この俺のマグネティック・イノセンスを見破るとは只者ではないな。 遊:お前と付き合っていると、こっちの脳まで汚染されそうになって実に困る。 【困った駄々っ子】 公:さて、次はテレポーテーションだな。 遊:一体、何処に飛ぶ気だ。 公:なあに。屋上へひょいと行ってくるつもりだが、 誤差範囲として更衣室に紛れ込んでも、それは事故というものだ。 遊:まあ、私に被害はないようだし、好きにしろ。 公:構ってくれなきゃ、いやん、いやん。 【生返事は事故の元】 公:茜さんって、何か欲しいもの、ありますか? 茜:うーん、王佐の才とか? 公:オウサ……ですか? 茜:そうそう。王佐。 公:ところで、それって何処のデパートに行けば買えますかね。 茜:良く分かってないのに返事すると、いつか痛い目見るよ? 【魔性の十七歳】 公:何だ。王者をサポートする才能のことなら、そう言って下さい。 茜:聞くは一時の恥って、知ってる? 公:ってか、茜さん、元々、持ってるじゃないですか。 茜:でも、私が余分に持てば、その分、ライバルが減るってことにならないかな〜って。 公:この人は、いつだって自分以外の人を潰しに掛かってるんだと、今更ながらに実感した。 【一種の踊り食い】 茜:ヨーグルトって美味しいよね。 公:まあ、人並には好きですけど。 茜:こう、生きたままの乳酸菌を大量に飲み込むのが、また、快感って言うか。 公:圧倒的、権力者的発想に、付いていけない俺が居る訳で。 【現実はいつだって悲しい】 公:普通の女の子は、そういう発想をしたら、生理的に受け付けないもんだと思ってましたけど。 莉:う……ちょっと、気分が悪くなったかも……。 公:どうした。拾い食いでもしたか。 莉:公康が、私のことどう思ってるのか、本当に良く分かるよ。
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