【誰のことやら】 莉:恋愛を、鍵と錠に例える人って居るよね。 公:どういうことだ? 莉:結局、本当の意味で相性が良いのは、極一握りだってこと。 公:その理屈は分からんでも無いんだが、 時たま、マスターキーを持ってる奴が居るよな。 千:ん? 【ほぼ勢いで】 公:生物学的に考えると、どの様な環境に陥ろうと問題が無い訳で、 実に有能とも言える。 千:あんまり褒めないでよ、公康。 公:私は、とても舞浜君の将来が心配です。 莉:何で、微妙に教科書の和訳口調なのよ。 【それが現実】 公:前向きに考えれば、世界中探せば、一人くらいは合う奴が居るってことか? 遊:そんな貴様に、朗報だ。 公:何だよ? 遊:世の中には、只の飾りとしての鍵や錠も、案外、少なくない。 公:気持ち欝になったわい。 【そしてダブルノックダウン】 千:恋愛は、結局、相性ってことだよね。 公:そういうことになるのかね。 千:相性が悪いのに押して押して押しまくると、 鍵自身が壊れて、傷付くってことなんだよ。 公:誰が巧いこと言えと言ったんだ。 【笑うところ以外無い】 遊:将来、ナースになることを検討しようと思うのだが。 公:済まないが、ギャグは脈絡をきちんとした上で発して欲しい。 遊:貴様は、私の無礼打ちリストに入ったから覚悟しろ。 【安い懇願】 遊:私は、世間一般の高校生に比べ、血に対する耐性が相当に高い。 公:凄い志望理由だ。 遊:まあ、病院に従事するより、病院送りにする方だろうと言われると、 反論の余地は無い訳だが。 公:土下座までならするから、思い留まって下さい。 【何故に日記調】 遊:分かった。家政婦で勘弁してやる。 公:お前、わざと有り得ない方向で考えてるだろ。 遊:天職というものは、大概、意外なものと相場が決まっている。 公:今日、僕は発想の転換も良し悪しだと思いました。 【レポート終わり】 遊:ちっ、こうなったらフライトアテンダントしかないか。 公:何故に、そこまで制服に拘る。 遊:私の殺気を誤魔化す為には、画一の服装である方が良いだろうからな。 公:発想に、抜本から問題のある浅見遊那さんでした。 【根性絶無】 公:どうにかして、一度、茜さんをギャフンと言わせてやろうと思うんだ。 綾:仰ってることの重さを、理解しておりますの? 公:重さって……そんな大仰なことなのか。 綾:強いて例えるなら、女性へ婚姻を申し込むくらいの覚悟が必要ですわね。 公:……全て無かったことにして良いですか。 【間違い探しか】 公:とりあえず、茜さんが食べるうどんに七味を仕込んでみよう。 綾:せせこましいお話ですわね。 茜:つるつるつる〜。 公:ぬぅ。顔色一つ変えないとはどういうことだ。 綾:見て下さいまし。眉毛が少しだけ毛羽立ってますわ。 公:どんだけ微細な変化なんだよ!? 【痒くて仕方無い】 公:今度は、ドアノブにトロロ芋を仕込んでみたぞ。 綾:本格的に、無駄な情熱ですわね。 茜:――! 千織君。ちょっと用を思い出したから、先に入っててくれる? 千:了解です。 公:あの人は、どうしてここまで危機回避能力が高いのだろうか。 綾:異様にもがいている御親友を放っておいて宜しいのですの。 【せめて下僕を】 公:結論として、食物連鎖に於ける上下関係の如く、 勝てないものには、どうやっても勝てないってことだ。 綾:悟るというのも、悲しい話ですわ。 公:悔しいから、せめて千織を弄って憂さを晴らそう。 綾:せせこましさも、ここに極まりましたわね。 【精気吸われた】 茜:桃太郎って、現代の経済戦争を予見したものだと思うのよ。 公:はぁ。そうっすね。 茜:敵対的買収を仕掛けてくる相手を鬼と仮定して、 無為無策で怯えるだけの村人が企業とすると、 友好的に支援してくれる存在が桃太郎、犬、猿、雉でぴったりでしょ? 公:うんうん。言ってることは正しいです。 茜:何でそんなに無気力なの? 【道無き道を往く】 公:はっ!? いかんいかん。このままでは千織の如く飼い慣らされてしまう。 岬:人として、ここが正念場です。 茜:あなたは段々、桜井茜に忠誠を誓いたくな〜る。 公:……ふらふら。 岬:お姉ちゃんの自由人っぷりは、ここ最近、磨きが掛かる一方です。 【無理なものは無理】 莉:血を分けた実の妹として、止めるっていう選択肢は無いの? 岬:逆説的に考えて、生まれた時から一緒に居る人が、 何もしようとしない訳なんですから察して下さい。 莉:あ〜……。 【形式的懇願】 公:アカネサマ。ドウゾ、ゴメイレイヲ。 莉:うわっ! 本当に人形化してる!? 茜:この技術を応用して民衆を飼い慣らそうと思うんだけど、どうかな? 岬:世界に恥を晒すだけだから、やめた方が良いよ、お姉ちゃん。 【目指せ自爆王】 茜:我慢大会をしようと思うのよ。 公:この、初夏の過ごし易い時期に何を言いやがるんですか。 茜:誰が暑さ寒さの我慢って言ったの。 公:違うんですか? 茜:自分の恥を何処までも晒して耐える、新機軸の我慢大会なの。 公:失うものが多過ぎて、実行するメリットをさして感じないぜ。 【独断と偏見】 岬:一番。桜井岬、行きます。 公:程ほどにねー。 岬:高校に上がるまで、柏餅の葉っぱを一緒に食べてました。 茜:う〜ん。普通は小学生で気付くから、これはかなりポイント高いね。 公:採点基準が、本格的に良く分からん。 【良い子は真似すんな】 千:二番。舞浜千織、行くよ。 公:お前も大変だな。 千:痒み止めのクリームを瞼の上に塗って、限界に挑戦したことがあるんだ。 公:むしろ、一種の男気を出してるように思えるのは、俺だけか。 【地味に深刻】 麗:三番。西ノ宮麗です。 公:何かあんのか? 麗:先の選挙で、レオタードやバニー服等、 コンパニオン的な格好で票を獲得することを、少しだけ検討しました。 公:うーわ……。 【遊那的確信犯】 遊:四番。浅見遊那だ。 公:お前の場合、人生自体が恥そのものじゃないか。 遊:とりあえず、貴様に粛清を加えることを、敢えて我が汚点としよう。 公:言っていることが無茶苦茶です。 【一回だけですよ】 綾:五番。一柳綾女ですわ。 公:皆、何でこんなに身を削るんだろう。 綾:中学生の時分に、小児料金で電車に乗ったことがありますわ。 公:それは、れっきとした犯罪です。 【有り得ぬ武勇伝】 茜:さぁ、次は公康君だよ。 公:俺もかよ!? えっと、昨日、トラックに撥ねられそうな仔猫を助けたぜ。 莉:……。 公:ふっ。悪人気取りの俺が、こんなことをしたなんて照れくさくて言えなかったのさ。 茜:捏造は、審査対象外だからね。 公:にゃー。 【何が飛び出すやら】 公:ってか、茜さんは何も言わない気かよ。 茜:う〜ん。私も参加して良いの? 公:……。 茜:本当に、問題無い? 公:いえ……やっぱ、審査だけで良いです。
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