〜プロローグ〜

 瑞枝
「……オベリスクにクラウン残党、共に減退」
 瑞枝
「イースト・エリア天下布武計画は、順調に進んでいますね」
 瑞枝
「さて。何やら、おかしな雰囲気ですし――『鳳仙院』の支配地域に異状がないか、少し見回りして来ますか」


貧家格芸・アーケイドエイジ15
〜瑞枝ルート〜

大根メロン


 VS浅倉撫子

 瑞枝
「あ、撫子さん」
 撫子
「ん、瑞枝か。こんな時間にどうした?」
 瑞枝
「見回りに行くんです。何だか、変な感じがしますから」
 撫子
「そ、そうか。まぁ精々頑張れよ」
 瑞枝
「……撫子さん、何か隠していますね?」
 撫子
「別に、お前には関係ねえだろ」
 撫子
「つーか前から言いたかったが、オレとお前のチームなのに何で鳳仙院なんだよ。ナメてんのか?」
 瑞枝
「いいじゃないですか、私の方が強いのですし」
 撫子
「くあ、1回勝ったくらいで調子乗りやがってッッ!!!!」
 撫子
「来やがれ瑞枝ッッ!!!! どっちが上か、ハッキリ白黒付けてやるッッ!!!!」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS王飛娘

 ???
「鳳仙院瑞枝、ちょっといいアルか?」
 瑞枝
「――? 貴方は……」
 飛娘
「IEOの王飛娘アル。訊きたい事があるアルよ」
 瑞枝
「……IEOって、確かロニィさんがいる所ですよね。えっと、何かあったんですか?」
 飛娘
「んー、守秘義務があって話せないアルが……まぁとにかく、この辺で怪しい奴を見なかったアルか?」
 瑞枝
「怪しい奴? えっと……」
 瑞枝
「……そう言えば、前に変な人を見ましたね。デーヴィ・カーラーみたいな、冷たくて恐ろしい気勢の人でした」
 瑞枝
「それに――あの細長い瞳孔は、明らかに人間の眼じゃ――」
 飛娘
「――ビンゴ!」
 飛娘
「助かったアルよ、鳳仙院瑞枝! じゃあさらばアルッ!」
 瑞枝
「――って、行かせませんよ!」
 瑞枝
「一体何なんですか? 話してくれないのなら、力尽くでも聞き出します!」
 瑞枝
「……それに貴方、見るからに強者っぽいですし!」
 飛娘
「何やら、最後に本音が聞こえたアル……」
 飛娘
「まぁ、仕方ないアルね。我が双龍剣の神技、とくと味わうアルよッッ!!!!」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS月見匠哉

 瑞枝
「何だか気になって、スラムの外まで来ちゃいましたけど――」
 匠哉
「あ、瑞枝?」
 瑞枝
「…………」
 瑞枝
「……妹の耳にキスするような変人さんなんて、私は知りません」
 匠哉
「瑞枝、あれは健康法の一種だ。ほら、最近テレヴィや雑誌で紹介されてるだろ?」
 瑞枝
「あ、そうだったんですか――」
 瑞枝
「――って、納得するとでも思いますかッッ!!!? なら、私にしたセクハラはどんな健康法だったんですかねッッ!!!?」
 匠哉
「なぁ、あの後どうなったんだ? 気付いた時には、学校の屋上から吊るされてたんだが」
 瑞枝
「……魔法冥土マジカル・メイドの、カナメさんでしたか。通り掛かった彼女が、貴方の後頭部に一撃を」
 匠哉
「ああ、そういう事か……良く生きてたな、俺……」
 瑞枝
「とにかく、私は誤魔化されませんからねっ!」
 匠哉
「……ぬぬ。やはり、信じて貰えないか」
 匠哉
「ならば仕方あるまい。我が拳を以って、潔白を証明するまで!」
 瑞枝
「む、その意気や良し。この鳳仙院瑞枝、謹んで御相手仕りましょう」
 瑞枝
「……って、貴方潔白じゃありませんからッ!」
 匠哉
「と言うかお前、ホント何でこの街にいるんだ……? いや、嬉しいけどさ」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS古宮要芽

 瑞枝
「ふぅ、スッキリしました」
 瑞枝
「匠哉さんは成敗しましたし、後はこの気配の主を――」
 カナメ
「――捜し人は、私かしら?」
 瑞枝
「あ、カナメさん――」
 瑞枝
「――じゃ、ないみたいですね。貴方が、最近噂のドルチェッタですか?」
 カナメ
「ええ。初めまして、鳳仙院瑞枝」
 瑞枝
(……でも、変ですね? 確かにこの人も強そうですけど、例の気配とは違って恐くはない)
 瑞枝
(もしかして気配の主は、飛娘さん達が狙っている――あの猫眼の人?)
 カナメ
「どうして黙り込んでるの? せっかく相見えたんだから、何か喋ればいいのに」
 瑞枝
「はぁ……じゃあ、何で他人の姿を真似てるんですか? 外形の蒐集、とかいう話を聞きましたが」
 カナメ
「貴方が、技を修める時――師の手本を見せて貰って、それを真似なかったかしら?」
 瑞枝
「……? それはまぁ、真似ましたけど」
 カナメ
「それと同じよ。私は人間になるために、人間の手本が必要だった」
 カナメ
「だから私は、外形を集め――それを元にして、自分自身を創造するの」
 瑞枝
「――……」
 瑞枝
「貴方は、何者なんです?」
 カナメ
「宇宙生物、かしら? この星の言葉で言うなら」
 カナメ
「星が滅んで、同胞は皆消えた。独りが辛くて、私は宇宙へ飛び出した」
 瑞枝
「……それで、この星に?」
 カナメ
「永い旅だったわ。3億5746万9214年、165日22時間17分48秒も掛かった」
 瑞枝
「3億……」
 カナメ
「ようやく見付けたこの星に、私は永住したい。でもここは、肉体を持つ生物の星」
 カナメ
「理力の塊である私は、自分の実体を創る必要があるの」
 瑞枝
「……成程」
 瑞枝
「律儀ですね、貴方。少し関心しました」
 カナメ
「外形は集まった。後は、経験数値を揃えるだけ」
 カナメ
「それも、あと一戦。私は貴方と闘えば、ようやく自分自身を完成させられる――!」

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- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS浅倉剣司

 瑞枝
「……消えましたか」
 瑞枝
「全力で、倒させて貰いましたよ。これで、いいんですよね」
 瑞枝
「さてと、後は――」
 ???
「――鳳仙院瑞枝? 久しいな」
 瑞枝
「あれ、剣司さん?」
 瑞枝
「どうしてここに――ああ、IEOに保護されてるんでしたっけ。飛娘さんのアシストですか?」
 剣司
「まぁ、そんな所だ。成果は出ていないが」
 瑞枝
(ふふ、撫子さんの様子がおかしかったのはこういう事ですか。色々ありましたが、やっぱり苦手なんですね)
 瑞枝
(それにしても――飛娘さんはなかなか強かったですし、剣司さんは言わずもがな。これ程の戦力が投入されるだなんて、あの猫眼の人は一体……?)
 剣司
「それより、お前は飛娘と会ったのか?」
 瑞枝
「え? あ、はい、ついさっき。飛娘さんにも伝えましたが、猫眼の怪しい人ならイースト・エリアで見ましたよ」
 剣司
「そうか……協力に感謝する」
 瑞枝
「――……」
 剣司
「……何やら、言いたい事がありそうだな?」
 瑞枝
「いえいえ、そんな」
 瑞枝
「ただ――私と貴方は、勝敗が決まっていないですよね」
 瑞枝
「貴方の不疑の剣を折らずして、鳳仙院流の最強は証明出来ません」
 剣司
「――……」
 剣司
「……まったく。ここでお前を一目見た時から、私は剣を納めているのが辛かった」
 剣司
「私闘は罷りならんと、己を律していたが……その言葉を耳にしては、もう止められんぞ」
 剣司
「――良かろう、教えてやる鳳仙院瑞枝! 我が流派こそ、百派において無双最強たるとなッ!」
 瑞枝
「鳳仙院流空手、鳳仙院瑞枝ッッ!!!! その雲耀、超えてみせますッッ!!!!」
 剣司
「示現流兵法、浅倉剣司ッッ!!!! 薩摩隼人の誇りに懸け、空手には敗けられぬッッ!!!!」

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- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






〜エピローグ〜


 匠哉
「……とんでもない轟音と衝撃を感じて、来てみれば」
 瑞枝
「あ、匠哉さんー……」
 匠哉
「瑞枝と剣司が闘ったのか。そりゃま、この爆撃跡みたいな惨状も納得だな」
 匠哉
「つーか強くなり過ぎだろ、お前等」
 瑞枝
「あはは……でも、剣司さんに勝てましたよ……」
 匠哉
「ああ、それは素直に凄いと思うが」
 匠哉
「でもさ、動けなくなってどうすんだよ」
 瑞枝
「ううう、今夜はもうダウンですね……さすがは薩摩隼人、ただではやられてくれません」
 匠哉
「いや、あいつ青森出身だし。薩摩隼人じゃないし」
 瑞枝
「はは、心は薩摩隼人なんですよ。彼の魂は、鹿児島で鍛え上げられたものなんですから」
 匠哉
「……まぁ、そうだろうけどな」
 瑞枝
「それと匠哉さん、さっきの御説教の続きですけどね」
 匠哉
「続くのかよっ!!?」
 瑞枝
「ああいうのは――その、双方の合意の上で、やるべき事だと思いますよ?」






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