〜プロローグ〜

 マリリン
「……久し振りに立ち寄ってみれば、何やら不穏な空気ね」
 マリリン
「別に、興味はないけれど――私の進路に立ち塞がるなら、容赦なく蹂躙させて貰おうかしら」


貧家格芸・アーケイドエイジ11
〜マリリンルート〜

大根メロン


 VS灰島泉

 
「フハハ、お前のぱんつを寄越せ――」
 マリリン
「…………」
 
「――げぇッ、マリリン・ヴィンセントッ!? 何でお前がここにッ!?」
 マリリン
「私が何処にいようと、私の勝手でしょう。口を慎みなさい、魔女狩り役人が」
 
「……うーん、こいつなら追い返す必要はないよな……それ以前に無理か、家はアメリカだろうし」
 
「あ、でもぱんつは欲しい」
 マリリン
「……貴方、何をやってるの? まさかそれが、噂に聞くジャパン名物のNAMAHAGE?」
 
「日本文化に対する、甚大な誤解をありがとう。まぁ、掠ってはいるかも知れない」
 
「――夜に出歩く悪い子は、お化けに襲われる前に帰りなよ?」
 マリリン
「……帰りなよ、ね」
 マリリン
「不愉快だわ。私の行動を定めて良いのは、三千世界で私だけよ」
 マリリン
「灰島泉、貴方には厳罰を下すわ。ついでに、以前の借りも返してあげる」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS伯爵

 マリリン
「…………」
 伯爵
「今晩は、御嬢さん。今宵は良い夜だね」
 マリリン
「……審問官の次は吸血鬼か。私は確か、日本に来ているはずなのだけどね」
 マリリン
「そこを退きなさい、醜い蛭。誰が、私の御前に立つ事を赦したの?」
 伯爵
「……醜い蛭、と来たか。まったく、酷い言われ様だ」
 伯爵
「これでも私は、一国の王だったのだが。それなりに、敬意を払ってくれても良いと思うのだがね」
 マリリン
「周辺国の王に、興味なんてないわ。ましてやそれが、かつての王ではね」
 マリリン
「名君だろうが暴君だろうが、国が滅べばただの凡俗。私と会話する事すら、本来ならば在り得ないのよ?」
 伯爵
「……流民の王が、よくぞそこまで吠えられるものだ。感心するよ、御嬢さん」
 伯爵
「矜持を知らぬ流民の血など、私の趣味ではないが――まぁ、悪食も仕方あるまい。腹が減っては軍は出来ぬからな」
 マリリン
「……王様も大変よね。こうして、おかしな輩にも好かれてしまう」
 マリリン
「通行の邪魔だし、さっさと処分しましょうか。来なさい――王ではなくなった、ただの伯爵さん」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS幽子

 幽子
「あら、マリリン? こっちに来るなら、教えてくれれば良かったのに」
 幽子
「くすくす。予め連絡があれば、盛大に出迎えてあげたのにね――」
 マリリン
「……そうなるだろうと思ったから、無断で来たのよ」
 マリリン
「さすがに、航空機を撃墜されて大海原を遠泳するのは御免だわ」
 幽子
「くすくす、そんな事するはずないじゃない。国交とは、もっと穏やかにするべきものよ――?」
 マリリン
「…………」
 幽子
「それで貴方は、こんな所で何を――?」
 マリリン
「……私が何処で何をしようと、私の勝手でしょう。口を慎み――」
 幽子
「くすくす――素直に、匠哉に会いに来たと言えばいいのに」
 マリリン
「…………」
 マリリン
「……匠哉に、会いに来たのよ」
 幽子
「くすくす、やっぱりそうなの――」
 幽子
「ならば私は、ここで貴方を斃さなければならないわ――」
 マリリン
「……私、本当に貴方の事が嫌い」
 マリリン
「と言うか、いつまで星丘ここにいる気? さっさと東京に帰りなさいよ」
 幽子
「――……」
 幽子
「……東京は、将門の地。1度出ると、再び入るのは一苦労なの」
 幽子
「私の意を無視した、奠都の結果よ。忌まわしい坂東主義者どもめ――未来永劫、黄泉の火に焼かれるがいい!」
 マリリン
「……初めて聞く日本語だわ、坂東主義」
 幽子
「ああ、気分を害したわ――これは、貴方に責を負って貰わないと」
 マリリン
「何、闘う気? 幽子ったら死にたいの?」
 マリリン
「長生きし過ぎて、死にたくなったのね。まぁ知らぬ仲でもなし、介錯は任せなさい」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VSマリリン・ヴィンセント

 マリリン
「……何、貴方?」
 マリリン
「見ての通り、マリリン・ヴィンセントよ。そんな事も分からないだなんて、本当に馬鹿ね」
 マリリン
「……何処の誰かは知らないけれど、私の姿はどうかしら?」
 マリリン
「ええ、悪くないわ。生まれながらの、極めて高い能力値――まったく、母親似よね」
 マリリン
「…………」
 マリリン
マリリン・ヴィンセントわたしは、王となるために生まれて来た。そして、こうして王になった――ははッ、まさしくレールの上の人生だわ!」
 マリリン
「何が、言いたいのよ?」
 マリリン
「ふふ――生憎だけど、自分に説法する程ヒマじゃないのよ」
 マリリン
「そのくらい、自分で考えなさい。何しろ、自分の事なんだしね」
 マリリン
「……そう。なら私が、1つ説いてあげるわ」
 マリリン
「何かしら? 私に聞かせるのだから、相応の価値ある話なのでしょうね?」
 マリリン
「貴方は、ここで死ぬべきよ」
 マリリン
「世界の王が、2人もいるのはおかしいでしょう?」
 マリリン
「ああ――それは同感よ、マリリン・ヴィンセント」
 マリリン
「ならば、分かっているわよね? 一体、どちらが死ぬべきか」
 マリリン
「ええ、議論の余地すらないわ。議論を赦す気もないけど」
 マリリン
「ははッ、ならば死になさい! 貴方の大事な世界は、この私が護ってあげる――!」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






 VS月見匠哉

 マリリン
「まったく、あれで私とは笑わせるわね。全然似てないじゃない」
 ???
「いや、ソックリだよ! あれはまさしく、テンション高い時のお前だよッ!」
 マリリン
「……匠哉?」
 匠哉
「ゲッ、しまった! ついツッコミを……ッ!」
 マリリン
「許可もなく私に話し掛けるだなんて……身の程を知りなさい、貧乏モンキィが」
 匠哉
「……何か、そこまで行くと罵倒っぽくないよな」
 匠哉
「お笑い芸人のコンビ名みたい。貧乏モンキィズとか、そんな感じ」
 マリリン
「悪いけど、貴方とコントをする気はないわ。コメディにおいても私は一流だろうけど、そういうのは道化の仕事でしょう」
 マリリン
「下々の仕事を奪うようでは、世界の王は務まらないわ」
 匠哉
「……いや、俺もそんな気はありません」
 マリリン
「弁えるのは良い事ね、匠哉」
 マリリン
「…………」
 マリリン
「……ま、まぁ、コメディアン以外のコンビなら、組んであげてもいいけど」
 匠哉
「んあ? 何だそりゃ、主人と奴隷とか?」
 マリリン
「それは既になっているでしょう。そうじゃなくて、もっとこう、対等な2人コンビよ」
 匠哉
「うわぁ、既になってたんだぁ……って、もっと対等?」
 匠哉
「うーん……つまり、俺にも王サマになれと? 何だ、幽子の所に婿入りしろとでも言うのか?」
 マリリン
「……匠哉。今私が考えている事を、3語で伝えてあげる」
 マリリン
「『月見匠哉』、『サンドバッグ』、『ストレス発散』。ふふ、分かってくれたかしら?」
 匠哉
「ひぃぃぃぃッッ!!!?」
 マリリン
「……婿入りだろうと何だろうと、好きにすればいいわ。ええ、私には関係ないもの」
 マリリン
「どうせ、私には関係ないわよッッ!!!! 貴方の事なんて、大ッ嫌いなんだから――ッッ!!!!」

- 3 -

- 2 -

- 1 -

- FIGHT -






〜エピローグ〜

 マリリン
「うぁぁぁぁ……」
 幽子
「…………」
 マリリン
「振られた、匠哉に振られた……」
 幽子
「くすくす、振られた訳じゃないわ。告白が遠回し過ぎて、まったく伝わらなかっただけよ――チリンチリン、と」
 マリリン
「……店員呼ぶの、早いわよ」
 幽子
「さっさと決めなさい――」
 マリリン
「む……」
 幽子
「ほら、来たわよ――塩ラーメン3つ、海鮮ラーメン3つ。あと、特大餃子」
 マリリン
「……チャーシューメン5つ、チャーシュー増量で。あ、それと鶏唐揚げを4つ」
 幽子
「…………」
 マリリン
「…………」
 幽子
「何やら、店員の笑顔が引き攣っていたわね――」
 マリリン
「フン……知らなかったとは言え、私達の会食で顰めっ面をした罪は重いわ。後で償わせましょう」
 幽子
「くすくす、それは大袈裟ね。それより、暇だから漫画でも取って来るわ――」
 マリリン
「なら、私の分も持って来なさい。ええと、ニャムエルは何巻まで読んだかしらね――」






 Newvelさんにてビンボール・ハウスを登録しています。御投票頂けると、やる気が出ます(※一作品につき月一回有効。複数作品投票可能)。
 ネット小説ランキングさん(恋愛ファンタジーコミカル部門)にて「ビンボール・ハウス」を登録しています。御投票頂けると、励みになります(※一作品につき月一回有効。複数作品投票可能)。

ネット小説ランキング:「ビンボール・ハウス」に投票


サイトトップ  小説置場  絵画置場  雑記帳  掲示板  伝言板  落書広場  リンク