瀬利花 「……また、歪んだ気が高まって来たな」 瀬利花 「匠哉から謎の妨害を受けたり、緋姫にやられたりと散々だったが……今夜こそは、私の手で決着を付けねば」 瀬利花 「我が使命、全身全霊を以って果たしてやる……！」
VS倉元緋姫 瀬利花 「って、またお前は病院から抜け出して――」 緋姫 「あっ、霧神さん！ 丁度良い所で会えました！」 瀬利花 「――は？ えっと、その……どうした？」 緋姫 「私は今、人を捜しているんですよ」 瀬利花 「……こんな夜中にか？」 緋姫 「前に会ったのが夜だったので、捜すのも夜がいいかなぁと」 緋姫 「で、霧神さんは知りませんか？ 私より少し年上くらいの、凄く足の速い男の人なんですけど」 瀬利花 「…………」 瀬利花 「――知らん。知らんな。そんな奴は知らん」 緋姫 「ほ、ほえ？ き、霧神さん、何やらオーラが……」 瀬利花 「こんな時間に男に会いに行こうだなんて、羽目を外すにも程があるぞ？」 瀬利花 「さぁ、病院に戻る時間だ。何、その男を見付けたら、私が宜しく言っておいてやる」 VS月見匠哉 瀬利花 「――良し、大人しく斬られろ」 匠哉 「唐突に何事なんだよっ!!?」 瀬利花 「私がお前を襲撃するのは、昔からの伝統のようなものだろう？ 今更、驚く程の事ではない」 瀬利花 「それに――唐突と言えば、この前唐突に襲われて倒された怨みがあるしな」 匠哉 「う……あ、あの時は、安売りで殺気立っててだな。こんな事が起こってるだなんて微塵も――」 瀬利花 「聞く耳持たん」 瀬利花 「ボコボコにして、家に送り返してやる。そう、2度と夜に出歩けん程にな……！」 匠哉 「何だよ、その微妙に限定的な痛め付け方！ 俺が夜に出歩くと何かあるのかーっ!!?」 VS浅倉撫子 瀬利花 「――ッ!!! そこの貴様、止まれッ!!!」 ？？？ 「は？ オレか？」 瀬利花 「話には聞いていたが、まさか本当に緋姫の偽者が出るとは……！」 ？？？ 「……おい、ラリってんじゃねえよ。オレに何の用が――」 瀬利花 「本物はお前なんぞよりよっぽど可愛らしいわッ!! 不出来な偽者め、私の手で消し去ってくれる……ッ!!!」 ？？？ 「……ダメだな、会話にならねえ。そっちから声を掛けたクセに、自分の世界に埋没とはいい度胸だ」 ？？？ 「喧嘩を売るのは勝手だが――オレがやるのは、喧嘩じゃねえぞ。それは分かってんだろうな？」 VS霧神匠哉 瀬利花 「……さっきは人違いだったようだが、今度もある意味人違いだな」 霧神匠哉 「瀬利花か。こんな夜更けに御苦労様だな。尤も、倒したのは事件と関係のない者ばかりのようだが」 瀬利花 「何、関係者なら見付けた。緋姫の偽者が出るなら、匠哉の偽者が出ても不思議ではあるまい」 霧神匠哉 「……今回の件、俺はまったく無関係なのだがな」 霧神匠哉 「まぁ、言っても信じんだろう。信じたとしても、結局お前は俺を倒そうとするはずだしな」 霧神匠哉 「……まったく。一族の婿養子に対して、何て冷たい長女サマだ」 瀬利花 「貴様のような者を、家に迎えた覚えはないが」 霧神匠哉 「俺はあるぞ、迎えられた覚えが。……まぁ、どこぞの愚図のように過去に拘っても仕方ない」 霧神匠哉 「ここでお前を斃せば、1つの節目にはなるだろうさ」 瀬利花 「……節目が、必要になったのか？」 霧神匠哉 「ああ。俺はもう、お前との縁を斬りたいんでな。与えられた役目を放棄した際、どうなるかは分からないが……何、どうにかするしかあるまいよ」 瀬利花 「そうか。まぁ、精々頑張るがいい」 霧神匠哉 「そちらもな。とは言え、お前の恋慕は愛染明王とて叶えられんだろうが」 瀬利花 「……影法師の分際で、良く口が回る。余程消して欲しいのだな」 瀬利花 「良かろう、望みの悪趣を言え。そこに逝けるよう、閻魔に取り次いでやる」 霧神匠哉 「くく……」 霧神匠哉 「相変わらず、威勢だけは良いな。だが剣に頼っているお前に、俺を斃せる道理などありはせん」 霧神匠哉 「剣に頼り、仏に頼り――それでは何も悟れまい。その惰弱、余さず罰責してやろう……ッ！」 VSマノン・ディアブル ？？？ 「情けない犬ね。大見得を切ったくせに、敗けて逃げ帰るだなんて」 瀬利花 「――ッッ!!!?」 瀬利花 「マノン・ディアブル……ッ!!? そうか、ならばこの異変は――」 瀬利花 「……いや、違う。以前の奴が放っていた、無駄に華麗で強大な気が感じられない」 瀬利花 「貴様――何者だ？ 名を名乗れッ!!」 マノン 「ふふ、さすがね。私では、この外形は使いこなせない。こんな無様じゃ、見破られるのも当然か」 マノン 「私の名は、マノン・ディアブル……だけれど、貴方が聞きたい名はそういうのではないわよね」 マノン 「――初めまして、マドモアゼル・キリガミ。私の本来の名はドルチェッタ。たった今、考えた名前だけれども」 瀬利花 「…………」 瀬利花 「……では、お前は緋姫やマノンに化けて何を企んでいる？」 マノン 「大袈裟なのよね、貴方達は。私は、ただ単に資料として外形を集めているだけなのに。ああ、資料と言うよりは材料かしら？」 マノン 「とにかく、悪い事をするつもりはないわ。私の周りをうろついている白色の紳士の方が、よっぽど悪い人に見えるわよ？」 瀬利花 「信用ならんな。犯人の言う事だ、嘘が混じっていないとは限らん」 マノン 「そちらから尋ねたくせに。まぁその短慮も、私が情報子で煽ったせいか」 マノン 「……仕方ない。一曲、付き合ってあげても良いわ」 瀬利花 「――……」 マノン 「マノン・ディアブルのダンスは死の舞踏。下手なステップを見せようものなら、死神の鎌が振り下ろされる」 マノン 「それが嫌ならここから去り、死ぬまで灰を被って暮らしなさい」 瀬利花 「聞くに値せぬわッ!! 南無地蔵菩薩――我が剣、六道より外れし者を断罪せんッッ!!!!」 瀬利花 「終わりだ。大人しく、消えてなくなってしまえ」 マノン 「くッ、は――……ふふ、そうね。この外形も楽しかったし、今夜はこれでフィナーレとしましょうか」 マノン 「けれど、最期に――」 瀬利花 「――お前に、傷を与えてやろう」 瀬利花 「な……ッッ!!!?」 瀬利花 「同じ霧神瀬利花として、お前に尋ねる」 瀬利花 「今の緋姫を、一体どうしてやりたいのだ？ 白紙の少女を、どう導いてやりたい？」 瀬利花 「……っ！ わ、私は――」 瀬利花 「ああ、答える必要はないさ。答えなど出ていない事は、霧神瀬利花が1番良く知っている」 瀬利花 「だからこその、傷だ。さようなら、次はもう少し平和的に会いたいものだな」 瀬利花 「待て、消えるなッ!!! 私は――ッッ!!!!」 瀬利花 「――……」 瀬利花 「……どう導くか、だと？ そりゃあ今の緋姫なら私を好きになってくれるかも知れないが、そんな弱みに付け込むようなやり方は嫌だ」 瀬利花 「じゃあ、緋姫と匠哉の仲を取り持ってやればいいのか？ 2人が、手の届かない人になってしまうのに？」 瀬利花 「……答えなんて、出るはずがない。どう導いたって、私は辛いだけじゃないか――」
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